2009.01.31
日本の独自性発揮がオバマ改革を支援する
早房長治 ((地球市民ジャーナリスト工房代表)
米国のオバマ政権が大統領就任式の翌日、1月21日に素早いスタートを切った。ジャンプスタートの対象は、国内経済の再生と、パレスチナ、アフガニスタンなどにおける新外交の展開である。ブッシュ政権とは目的、手法ともまったく異なるオバマ政権に対して、日本を含む世界各国はどのように対応したらいいのだろうか。
オバマ大統領の就任演説の終わり近くの部分に、今回の演説のさわりとなる、次のような一節がある。
「いま、私たちに求められているのは、新たな責任の時代である。それは、一人ひとりの米国人が、私たち自身や我が国、世界に対する責務があると認識することだ。この責務は嫌々ではなく、むしろ困難な任務にすべてをなげうつことほど心を満たし、私たち米国人を特徴づけるものはないという確信の下に、喜んで引き受けるべきものである」
これは、歴史に残る故・ケネデイ大統領の演説にも通じる、米国民の責任感に訴えたものだが、「米国人」を「世界諸国」と読み替えてみると、世界各国、とりわけ先進国に対して、「各国が自発的に責任を果たしてほしい」と訴えた演説と解釈することができる。
第2次大戦後、60年間余の日米関係の歴史をたどってみると、一口にいって、「対米従属外交」であった。米軍に占領されていた期間の「従属」はやむをえないとしても、その後も、安全保障は核兵器を中心とする米国の巨大な戦力に依存し、経済発展は対米輸出に頼った。そればかりではない。「寄らば大樹の陰」と、外交方針を自主的に立てることを放棄して、米国に委ねたのである。