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中学の最終学年のどこかの企業や機関で「3日間の研修」がカリキュラムに入っていて、娘はアーティストのアトリエですることになったことは書いた。
パリの境界ぎりぎりにあるそのアトリエは、彫刻家と絵本作家と写真家の3人の女性が共同で使っている。
研修を引き受けてくれたのは彫刻家で、3日間の課題は「自分のマスコットを作る」。
マスコットとは、例えば不二家のペコちゃん(古いかな)とかミシュランタイヤのミシュラン・マンとか、イメージキャラクターみたいなもの。自分の特徴を捉えてカリカチュアする、面白く難しい課題だ。

michelin-man.jpg

研修1日目の朝。「お昼はどうするの?」と娘。食べることをまず心配するのが彼女らしい。
「みんなで食べに行ってもちゃんと自分で払うのよ」とお金を渡す。
1日目、まずデッサンを描き、発泡スチロールで原型を作る。マスコットはこけしにヒントを得たとか。
2日目、プラスティリン粘土という工業用粘土で肉付けをする。
石膏を削ったりする彫刻家のアトリエは埃っぽいので、毎晩、薄汚れて帰ってくる。
「お風呂に入ったらお湯が灰色になった!」
3日目は髪の毛とか、メガネの細部に取り掛かる。
結局3日間では足りなく、復活祭休みの一日アトリエに行って“カミーユこけし”ができあがった。
本人に似ているのがおかしい。

kokeshi2_400.jpg

娘は暇さえあれば絵を描いている。学校のノートの余白は絵がびっしり、レストランで料理を待ちながら紙ナフキンに、うちのティッシュの箱も、レシートの裏側も絵だらけだ。成績の中でも美術が一番いい。
叔母の隔世遺伝かな。私は逆に絵が苦手だ。
あるとき通訳をしていて、「イタチ」のフランス語が出てこなかったので、とっさに絵を描いた。
「ナンだろう?犬かな」「ヘンな犬・・・」結局、わかってもらえなかった。
後で「叔母さんの後を継がなくてほんとに良かったですね」としみじみと言われてしまった。

話が逸れましたが、娘は4日間の研修に大満足。
「お昼のお金は足りた?」と聞くと、少しモジモジしてから、
「毎日おごってくれたの。お昼代はお小遣いにしちゃいなさいって」
そういう悪知恵をつけてくれるのも研修なんでしょう・・・


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コメント
はじめまして
先週初めて拝読させていただきました。とても楽しくて面白く、過去にさかのぼり読ませていただいております。
パリに2000年から数年おりました。そのころ長谷川様にお目にかかっていたら…と残念に思っております。
読ませていただいて、自分と誕生日が近いことまで嬉しい気がしていましたら、生まれて初めて膝を骨折した時期まで(長谷川様は大腿部ですが)同じ頃でした。
だからなんなんだ!?という話ですが…

これからも楽しいお話をお待ちしております。
Re: sagnan様
お便りありがとうございます。
お誕生日が近いということはふたご座ですか?星占いを読むほうではありませんが、二面性があるというのは当たっている気がします。
骨折された脚はもう大丈夫ですか?私はまだ走れず、走れたら乗れたはずのバスに乗れなかったとき悔しい思いをしています。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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