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禁固3年、うち執行猶予2年(つまり1年ムショ暮らし)という重い求刑が3月1日に下りた。

サルコジ元大統領 有罪判決
photo:lemonde.fr

罪状は何かというと:
2007年の大統領選のとき、ニコラ・サルコジがリビアから選挙資金を受け取った疑いで予審が始まり、2014年3月からサルコジと当時の内務相の電話が盗聴された。
ところが捜査員がゲットしたのは、ベタンクール事件でのサルコジの画策。
ロレアル相続人で大富豪のリリアン・ベタンクールは、“愛人”フランソワ=マリー・バニエを筆頭に、訪ねてくる人たちに札束を渡していた(行けばよかった?)。
その中にサルコジ大統領選挙の予算担当者の名前があり、横領の疑いで取り調べられていたのだ。
盗聴した会話から、サルコジと弁護士が、最高裁の司法官ジルベール・アジィベールを抱き込み、ベタンクール捜査の経過を事前に聞き出し、その見返りとしてモナコの高ポストを約束していたことが判明。瓢箪から駒・・・

この《収賄》 《優越的地位の濫用》に下りた判決で、共犯の弁護士ティエリー・エルゾグにも同じ禁錮3年、執行猶予2年になった。
サルコジ被告は、自分がやっていないことに対して刑を受けられない、と無罪を主張 、控訴すると言っている。まぁ、反撃に出るしかないでしょうね。

このニュースは右派、レ・レピュブリカンにとって落雷のようなショック。「重すぎる刑」「根拠がない」など司法に対する批判やサルコジへの支持が相次ぎ、現政府の内務相ジェラール・ダルマナンは、
「ニコラ・サルコジに対するわたしの敬愛は周知のところだ。彼は偉大な大統領で、この国にもたらしたものを忘れてはならない。この困難な時期にわたしは支持を惜しまない。」ですって。
ジェラール・ダルマナンはサルコジの忠実な側近で、内務相へのキャスティングは、マクロンがレ・レピュブリカンににじり寄っている証だった。
どの国の政治家も多かれ少なかれグレイではあるけど。
サルコジは、主に選挙資金をめぐり、告訴過剰が10もある、限りなく黒に近いグレイな政治家であり、第五共和制で禁固刑を受ける初めての元大統領(ジャック・シラクは架空雇用容疑で有罪になったけど、執行猶予)。にもかかわらず、右派の重鎮として君臨している。
判決のあと「支持メッセージ」が相次いだのも、右派の政治家でやっていくにはサルコジのご機嫌を取らなければならない、ということ。マフィアのドンみたいな存在なのだ。


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コメント
私のフランス語力では、事件の内容が今一つ理解できなかったのですが、たか子さんの説明で、よくわかりました。
サルコジが、今でも、レ・レピュブリカンで、重鎮であることは、知りませんでした。なるほで、マクロンがダルマナンを内務相に登用した背景には、そういう理由があったのですね。
Re: 恵子さま
サルコジは様々な汚職、賄賂で取り調べられていてわかりにくいです。
クリーンな政治家じゃないことは確かなのに、支持があるのは腹立たしいです。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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