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2つ目の伝染病

週に2-3回行くピカールの、顔見知りの店員さんの姿が見えなくなって2か月以上になるので「ヴァカンスにしちゃ長すぎる。辞めたのかな?」と思っていたら、先月、再びレジに座っていた。
「お久しぶりじゃない」と言ったら、コロナに罹って「めちゃくちゃ大変だった」
病気自体も辛く長かったけど、小さいアパートに一人で寝ているのが「気が滅入っておかしくなりそうだった」
もともと細いので、とくに痩せた感じはないけど、顔が土気色で表情が暗い。暗くて険しい。
「大変でしたね、元気出して」という月並みな言葉しか見つからなかった。

以前はお客さんみんなに感じいい青年だったのに、いつもうつむいて人の顔を見ようとせず、それ以来、わたしとも口も開かなくなった。深刻な鬱のようだ。
2月のアンケート調査(成人2000人対象)で、不安&鬱状態を訴える人が32%に増えた。
2020年の3月末、厳しい外出禁止が始まって2週間目の調査以来、最高(最悪)の数字だそうだ。
3人に1人はすごく多いけど、フランス人が鬱傾向の国民で、落ち込むとすぐに「わたしは鬱だ」とお医者に行き、お医者はわりと簡単に抗鬱剤や安定剤を処方する、ということ、そしてコロナの背景を考えると、驚くべき数字ではないかも。

病気の不安、孤独、経済的不安定、失業 ・・・に加えて、娯楽の部分を削った(TVシリーズは別として)制限生活。
今日は昨日に似ていて、明日も明後日もまた同じような日が来るのだ。

1月末の調査では、大学生のモラルが最悪で18~24歳の40%が鬱状態を訴えている。
1年近く“大学での授業”がなく、ひとりパソコンに向かう毎日。友達と不安を吐き出し合うことも、騒いで発散することもできない。アルバイトができないのでお金もない。

1月28日にマクロンが決めた「学食の食事、学生全員に1ユーロ」の一例。
味はともかくボリュームはある。

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「20歳が人の一生で一番美しい年齢などと誰にも言わせまい」とポール・ニザンは書いている-もともと20歳は大人になる不安のほうが希望より大きいと思うから名言。
コロナ禍での20歳は、彼らの一生で一番苛酷な時期だと誰もが認めるだろう。


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コメント
一年近く授業がオンラインで、クラスメイトや先生と直接関わることがないのは本当につらい状況ですよね。自分も当事者で、オンライン授業と教室での授業(とその前後のおしゃべりの時間)との違いを痛感しています…。家族がいればまだいいかもしれませんが、毎日四六時中顔を突き合わせているのも場合によっては問題かもしれませんし、家以外に所属する場所があるのは大事だなと感じます。

ピカールの方も、これから暖かくなって、人と交流する機会も増えていって、だんだんと回復していくと良いですね。
Re: りりー様
りりーさんは大学(院)生ですか?大変ですね・・・
オンラインではなく実際に会って話して触れられる人間関係の大切さをヒシヒシと感じます。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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