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夜8時のニュースでエマニュエル・マクロンが演説をすることになっている:ジレ・ジョーヌの抗議に対し、フランス各地で行われた大討論の総括と提案。
それを聞こうかとラジオをつけたら「演説は急遽延期になりました」なぜ?「ノートルダム寺院が燃えています」「!!」
ちょうどその時、息子から現場の写真が届いた。近くにいたらしい。
それからは晩ごはんも忘れ、みんなテレビにくぎ付けになった。

ノートルダム寺院火災
photo:RTL.fr

ノートルダム寺院火災2
photo:l'opinion

修復工事の真っ最中で、屋根の足場から出火したらしい。炎に包まれた尖塔が焼け落ちる映像は、NYの同時テロでワールドトレードセンターが折れた時のを思い出させた。
9.11に感じたのが恐怖なら、“哀しい”という言葉が一番近い。信者だろうとなかろうと、9世紀に渡る歴史を、訪れる人たちを見守ってきた寺院の存在はシンボルなのだ。パリから地方都市の距離はノートルダム寺院から測られている。

息子がオテル・デュー病院に入院していたとき、私は毎晩ノートルダム寺院の前を通って通った。ある晩、広場に巨大なクリスマスツリーが現れた。一色だけのイリュミネーションに照らし出された寺院は思わず立ち止まるほど美しかった。

サン・ミッシェルやオテル・ド・ヴィルから火災を見守っている人たちは泣いていた。

消防車の梯子は最長30m、80mある屋根には到底届かない。
「森林の火事のときみたいに飛行機かヘリから水を撒けないの??」という私の疑問に、アナウンサーが間もなく答えてくれる:6トンもの水を空から落下すると、消防団や付近の住民が死亡する危険があるだけでなく、建物の構造が崩れ落ちる可能性がある。なるほど。

ノートルダム寺院火災
photo:ledauphine

11時半。「火災は鎮火したようです」とニュース。「屋根は3分の2が焼け落ちたが、建物の構造は救われた模様。エマニュエル・マクロンはノートルダム寺院再建の寄付を始めると発表しました」
再建には何年(何十年?)もかかるだろう。その間、サン・シュルピス寺院が代役を務める。


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コメント
悲しい哀しい(涙)
初めまして。いつも興味深くブログを拝読しています。

NY時間の午後の早い時刻に第一報を聞きました。テレビやネットで入って来る映像を見て、驚きの次に心の底からの悲しみしかありませんでした。仰るとおり、NYの2001年のテロの時とは全く異なる感情です。(あの時、私は自宅の窓から崩落する二つのビルを目撃し、おろたえるばかり)

大好きなパリにはこの30年余りの間に何度もお邪魔してきましたが、まさかこんなことになるなんて。。。悲しいです。


Chie

追伸 米国の、大統領とは名ばかりの恥さらし者Tが、なんで上空から水をかけないんだ、とツィートしたようですね。赤面モノ。。。
たかこさん、こんにちは。

私も朝起きたら、家族からノートルダムが火災で…と聞き、慌ててテレビをつけて知りました。
塔も焼け崩れ落ち、本当にびっくりしましたし、ショックです。
いつもパリに行く時は5区に泊まっていて、毎日通ったり、訪れたりしているくらい、大好きな場所でした。
パリやフランスの人々のお気持ちは、いかほどか…と思います。
修復作業は困難なのかもしれませんし、大変な年月も要するかと思いますが、ノートルダムの修復を心よりお祈りしています。
ショッキングな出来事ですね。キリスト教徒でもパリジャンでもありませんが、人類の遺産、アムールの街パリのシンボルが傷つく姿は、私も哀しかったです。親友のお父さんを失くしてしまったような、普段ろくに挨拶にもいかないけれど、それはいつもそこにいてくれているのを知っているから、みたいな。二週間前にパリを訪れた際、なぜだかシテのあたりに行きたくなり、久しぶりに中に入ってお祈りをしました。あの美しいステンドグラスが割れてしまったと思うと残念です。
昨日パリではノートルダム、あまり報道されていませんがエルサレムではアルアクサモスクが消失しました。
彫刻は修繕のため数日前に移動されていた。
放水ヘリを使用しなかった件は、6トン落とさなくても水量は調整できたはずです。
下からチョロチョロ水を掛けているだけで焼け落ちるに任せていたとしか見えませんでした。
犯人に仕立てられそうなのは黄色いベスト参加者 またはイランに繋がるムスリム。
リビア攻撃するに参加したフランス。シリアがほぼ安定した今、フランスの911としてイラン攻撃、中東への介入の口実にするために仕掛けられた事件でないことを祈ります。
哀しいです…
今年の秋に3度目のパリ旅行を計画している最中のニュースで、呆然となりました。ノートルダム大聖堂の中にお詣りするのは次に来た時にしようと後回しにしたことを後悔しています…。必ずお見舞いに行きます。
たかこさんのおっしゃる通りで9.11の時とは全く違う「哀しい」という気持ちで一杯です。日本の平安時代に建てられたノートルダムは、本当に美しく、パリに住む人々に寄り添ってきたばかりではなく、旅人にも寄り添う存在でしたね。夏に訪問するのを楽しみにしていました。哀しいですね。
不思議な静けさ
「ノートルダムのゴシック建築の構造は救われた。」何かこれだけでもすごく不安にさせられる言葉ですが、建物の中の歴史的な品々や装飾品など、セーヌ川沿から真っ赤に立ち上る炎を呆然として見ながら、あの白く不思議に黄色い煙の中に様々な思いが焼かれて煙になって空に向かって帰って行っているのかな、なんてほとんど思考停止状態の頭で思っていました。

もうすぐ復活祭のお祭り前のタイミングでの大火災で修復のための作業があだになっての火災だなんて本当に皮肉で悔やまれます。燃える大聖堂を河岸で見ながら私の周囲の人達のほとんど物音たてずにただただ呆然と見つめている不思議な静けさにフランス人の一面を見た思いもしました。
まだ足場を組んだだけで、溶接作業など火を使う作業は始まっていなかった。教会建設には樫の木が使われており一瞬で燃え広がるような木材ではないとも。highly likely 放火ではない、との発表は妙です。
また国宝級建物に警備員はいなかったのでしょうか。
ここ最近フランス全土で起こった教会火災のマップを見て驚きました。
普通ではないですよ。フランスの価値だと刷り込まれた自由平等博愛、博愛は捨てるべきです。自分達の命を差し出してまで何がしたいの?何が起ころうとしているのか危機感を持つべきです。
Re: 悲しい哀しい(涙)
Chie様
ありがとうございます。
NYにお住まいで、9.11を目撃されたんですね。その衝撃は想像を超えますが、日常の風景になっていたノートルダムが燃える姿には言葉を失いました。

Re: アレックス様
ほんと”いつもそこにいてくれる”、そこに行けば会える存在ですね。Dameだから親友のお母さん?
マクロン大統領になってから災難続きですが彼は移民政策を変えないですね。このままでは数十年後はムスリム人口の方が多くなります。キリスト教徒がマイノリティになったフランスはどういう姿に変わるのか、どういうフランスを残したいのか、ただ再建を待ち望むのではなく、フランス人が真剣に考えるべき時だと思いますす。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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