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「毎晩泣いてる ?! どうして電話しないのよ!」
「だって夜中の3時とかだもん」
「あ、そう・・・」
娘は小さい時から泣かないので有名な子で、「怒られても平然としている」と幼稚園の先生がぼやいていたくらいだ。
「変化が過激すぎた」と娘。
「うちから離れ、パリから離れ、家族や友達やボーイフレンドや猫とも離れ、夜8時になったら誰も歩いてないみたいな田舎に来ちゃって・・・」
順位から言えばボーイフレンドと猫のタマが筆頭だけど、私がむくれるので後にもってきたらしい。

それでも学校の授業が面白ければモチベーションになるけど、「かなりがっかり」
娘が今年6月まで通っていたのは、2年間でDMA(Diplôme des métiers d’art/アート技術ディプローム)を取得できる美術学校のひとつ。2年間で色々な画法、版画、製本・・・をみっちり教え、課題制作がひっきりなしに出て、先生が密着して意見やアドバイスをくれた。ところがアングレームのボザールは、課題が出て、
「では6か月後に提出してください。質問があれ僕の部屋に来て」
ところが“僕”は部屋にいた試しがなく、生徒たちはほっぽり出され、みんな勝手なことをやっている。
「その上、課題が何だと思う?『音』をテーマに漫画を描け!美術史は去年やったのと同じことだし(だからさぼる)、英語はシェイクスピアを読むだけだし(これもさぼる)、バンドデシネの先生は『タンタン』で止まってるし、唯一面白い授業は2週間に一度・・・」
自分はここで何をしてるんだろう?と思っても、アパルトマンを契約し、トラックで引っ越ししたあげく「“やめたい”なんて言えない」
「そんな!鬱になったらどうするの?年末までとか期限を決めて見切りをつけたほうがいいよ。時間の無駄」
時間だけじゃない。家賃や光熱費、TGVの往復・・・その上、タマは愛情不足を食べ物で補おうとしてまた太った。

tama camille

娘の心配は、やめたらどこにも行くとこがなく(途中編入はできないから)もっと路頭に迷うんじゃないか・・・それもわかる。
「とにかく。いつでもやめられると思えば、少しは気が楽になるでしょ。やめたって研修とか見つかるわよ」
「そうだね」
娘は“じゃ明日帰る”と電話を切った。

ヤレヤレ・・・フランスの格言『小さい子供、小さい心配。大きい子供、大きい心配』、よく言ったもんだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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