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殆どタダの朝市

夫が不在で、娘は友達のうちに泊まりに行ってまだ帰ってこない。
ロベールをお伴に朝市に行こうと思ったら、「今、ご飯食べてる」
「じゃ食べ終わったら市場まで来て」
と私はひとりで魚屋に向かった。
鮭やカジキマグロを買って、お財布を出すと ・・・クレジットカードがない !! うちを出るときちゃんと確認して、お財布はキャディの底に入れたのに・・・どうやって盗めたの ?? 仕方なく現金で払い、さてどうしよう?
朝市はチェックを断る店が増えていて(不渡りの危険)、肉屋、魚屋はカードで払う。つまり現金はそんなに持っていない。
私はチェックを取りに一旦うちに戻り、ロベールを連れ、歩きながら銀行に電話してカードの差し止めを頼んだ。

「どうやって盗んだの?」とロベール。
それが謎・・・魚屋の前はいつもお客が群がっていてキャディもゴチャゴチャと錯綜している。私のキャディに手を突っ込んだ人がいても、誰も気づかなかった・・・そうに違いない。
「現金は取られなかったの?」とロベール。
「それが不思議。私なら現金を取るけどね。だってカードは3度暗証番号を間違えるとブロックされるでしょ」
「でもsans contactで買える」
私はロベールの顔を見た。よく知ってるわね。最近端末に近づけるだけでいいカードが増えている。でも限度額は30ユーロ。

肉屋に赴き、
「チェックで払っていいですか?さっきカードを盗まれたとこなの」
「ええ!そりゃ災難だ。次回払ってくれればいいですよ」
と肉屋のオジサン。
私は子牛や挽肉を買い、ロベールが「シポラタが食べたい」というので2本買い、
「じゃ次回払います。ありがとう!」と言うと、
「まだ買い物があるでしょう、はいコレ」
と50ユーロ貸してくれた。
ロベールはシンジラレナイという顔。
「どうして50ユーロもくれたの ?!」
「くれたんじゃなくて、貸してくれたの。親切ね」

八百屋でも同じ。「払うのはいつでもいいよ」と言われ、野菜や果物を選んでいると、
「シポラタ、今食べていい?」とロベール。
シポラタは、子牛や豚の挽肉のソーセージだ。

シポラタ

「焼かないと食べれないわよ」
「ボク、生のほうが好きなんだ」
「ウソ・・・生で食べたことあるの ?! お母さん、いいって言うの?」
「もちろん」
「後で気持ち悪くなっても知らないわよ」
「なるもんか」
ロベールは買ったばかりのシポラタを美味しそうに食べだした。
シンジラレナイ・・・

「みんな君のこと知ってるからタダでいいの?」
「行きつけのお店にしか行かないから仲良くなったの。おまけしてくれるし、色んなこと教えてくれる」
そういえば祖母も魚屋さんと植木屋さんが親友だった。
その後は夫が行きつけの生ガキ屋とニシン・バーに寄って現金で払う。

グラスワインと生ガキをその場で味わう人も

パリの朝市 生ガキ屋

ポーランド人が2年前に始めて大繁盛のBar à Hareng/ニシン・バー。
色んな野菜とマリネにしたニシンが10種類くらい並ぶ。

パリの朝市 ニシン屋

ロベールは、「げーっ不味そう!」を連発。
「そういうこと言わないの!好きな人も(私とか)たくさんいるし、第一お店の人に悪いでしょ。シポラタ生で食べるほうが気持ち悪い」
と言うと、やっと黙った。

帰り道、ロベールは買いたい電動キックスケーターのことを熱心にしゃべり、うちに着くと8ユーロ受け取って帰って行った。10ユーロは高すぎると交渉して1時間8ユーロになったのだ。

カードを盗まれた怒りより、市場の人の親切と生シポラタの驚きが残った。


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コメント
たかこさんとロベールの記事を拝見すると、いつもあたたかい気持ちになります。
朝市での市場の人々もあたたかいですね。
市場の人々とたかこさんのやりとりを見たロベールは人から信頼される事、人を信頼する事を少しずつ学んでいくのではないでしょうか…。

それにしても豚肉が入ってるのに、生で食べても大丈夫なんですかね…。
Re: 恵子さま
そうですよね!私もカードがキャディに落ちたのでは?とひっくり返して調べました。
お財布が赤だったので目立つからカードだけ取った?・・・想像ですが。
Re: タイトルなし
帰ってウィキペディアで見たら「ソテーかグリルにして食す」とありました!
夕方すれ違ったので、「大丈夫だった?」と聞いたら「何が?」という返事でした。
暖かい交流、いいですね!
Parisの市場
の雰囲気が出ていました。

寒い季節に暖かなお話。


それに比べて、
Cardを取ったのは
誰なんでしょうか?

どこか、思いも懸けないところから
出て来たら、
是非とも
教えてください!
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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