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11月1日公開になる最新作『D’après une histoire vraie/実話にもとづいて』と連動して、パリのシネマテークで始まるロマン・ポランスキーの回顧映画祭。
ポランスキーと言えば1977年、アメリカで13歳の子役に性的行為をした嫌疑で有罪判決になり、一時釈放のとき国外脱出してフランスに移住している。40年前のスキャンダルがハーヴェイ・ワインスタイン事件で蘇り、シネマテークには「回顧映画祭を止めろ」と叫ぶフェミニズム運動家が集まった。

「強姦がアートなら、すべてのセザール賞をポランスキーにやれ!」

ポランスキー回顧映画祭に抗議
photo:lemonde.fr

ポランスキー回顧映画祭に抗議
photo:nouvel obs

「作品とアーティストを切り離せ、というのはわかるけど、ポランスキーはまだ生きている。彼の作品を観ることには反対しないけど、彼を称える映画祭はやめてほしい。ベルトラン・コンタ(DVでパートナー、マリー・トランティニアンを殴り殺した歌手)と同じ。彼のディスクを買うのはウィ、でも彼が雑誌の表紙を飾るのはノン。ポランスキーの回顧映画祭は、我慢のならないことを我慢しろ、というメッセージの政治行為」
と明確に理由を言う運動家は説得力があるけど、上半身裸で叫ぶ人たちは逆効果な気がする。

「ポランスキーの作品は、私たちの世界、映画というアートを理解するため、これまでになく不可欠だ。不当な同一視からくる圧力で、回顧映画祭を中止しようとは一秒たりとも思わなかった」とシネマテークのプレジデント、コスタ-ガヴラス。映画祭は予定通り始まった。

作品とアーティストを切り離せ・・・映画『ゴーギャン:タヒチの旅』が9月末封切りになったときも、ゴーギャンが最後のタヒチ生活で13歳の少女テフラと暮らしていたことが取り沙汰された。本人が生きていないからそこで止まったけど、一方テフラをモデルにした作品は高く評価されている。

この週末、海の向こうでは俳優アンソニー・ラップが14歳のとき、ケヴィン・スペイシーに性的ハラスメントを受けたと告白し、スペイシー主演の人気TVシリーズ『House of Cards』のプロデューサー(Netflix)はシリーズを打ち切りにすることに決めた。
『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティ』など実力派の名優に、わいせつ行為の謝罪を、同性愛の告白にすり替えたと非難の雨。確かに、同性愛とペドフィリアを一緒にするのはヒドイ。

とにかくハーヴェイ・ワインスタイン事件は、今まで“業界の人は知っていたけど口を閉ざしていた”有名人のわいせつ行為を明るみに出した、という皮肉な“功績”。

この日曜日、パリや他の大都市で #Me tooのデモがあり被害者たちに「もう黙るのはやめよう」と呼びかけた。

me tooデモ
photo:ouent-france.fr

会社で「その服、似合うね」と言ってもセクハラになるアメリカとは違うけど、フランスの場合、口説く→相手がのってこない→セクハラに変身、という構図が少なくないそうだ。つまり「え?ただ口説いただけだよ」という逃げ道がある。線引きが難しいのだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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