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エミリーは有能な人事課長。“殺し屋”と呼ばれるほど、感情を挟まない人事は上司から評価され、彼女も自分の能力に自信を持っていた。だから、部署を変えてほしいとつきまとう中年社員も、彼女は取り合わず一日伸ばしにしていた。

その社員が会社の窓から飛び降り自殺してしまう。社員は大きなショックを受け、労働監察局が事情聴取に来る。
「奥さんと別れ、鬱状態だった」会社は責任を回避したいが、
「職場で自殺している。メッセージは明らかです」と監察局。

社長(ランベール・ウィルソン)がエミリー(セリーヌ・サレット)を採用したのは、あまり有能でない中年過ぎの管理職の一部を“排除する”ためだ:解雇すれば会社にお金がかかるので、自ら辞めるように追いつめる。

映画『Corporate/コーポレート』

能力、採算性だけが問われる非人間的な世界で、その“掟”に従っていたエミリー。
いつも真っ白なシャツ-車の中でシャツを着替え、デオドラントをつける-男社会の中で完璧であろうとしたエミリー。

監察局の追及の矢面に立たされ、社内では孤立し、自分が追いつめられる番。会社を救うか、自分を救うか・・・
ニコラ・シロル監督の『Corporate/コーポレート』

映画『Corporate/コーポレート』
photos:allociné

セリーヌ・サレットがすごく上手い。この女優さん、若いころのシモーニュ・シニョレに似ている・・・と思ったのは私だけではなく、すでにELLEが比べていた。

Celine-Sallette-sera-Simone-Signoret-au-cinema.jpg

フランスでも(フランスでさえ)職場のストレスやバーンアウトが問題になり、大統領選立候補者たちが労働時間や環境の改善を公約に掲げている。でも日本の残業時間とは程遠い。
第一、残業上限100時間という線引きは「過労死ライン」から来ているから、裏返せば「死ぬまで働け」に等しい。

フランスの勤務時間は週44~48時間、つまり残業週9~13時間まで認められていた。
不況の折、今年1月から「例外的な状況のみ」週60時間が認められることに。でもDIECCTEと呼ばれる地域企業・消費・労働・雇用局と労働監査局が、本当に“例外的状況”かを審査して、許可を出した場合のみ。
フランスのことだから、許可が出るころには例外的状況が終わってそうだ・・・

Corporate
ニコラ・シロル/Nicolas Silhol監督作品
主演:セリーヌ・サレット、ランベール・ウィルソン
1時間35分
フランスで上映中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。

長谷川たかこ

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