長谷川たかこのパリのふつうの生活

「この映画、すごく評判悪いよ」と言っても「絶対観る」と夫。
映画は『Oh, Canada』



「リシャール・ジアが好きだから」
リチャード・ギアのことだ。わたしも好きだけど…
ガンの末期の有名なドキュメンタリー作家が、最後にカメラの前で自分の人生を語る、というストーリーを聞いただけで退屈そう。その上、観客の評判が画期的に悪いので、観る気がしなかった。
「インタビューに出てたし評判いいんじゃないか？」
「それは『アメリカン・ジゴロ』でセックスシンボルになった“ギア”がヨレヨレの老人を演じるのが話題になったのよ」
しかし夫の決意は固く、結局31日につきあった。
封切りになったばかりなのに観客は少なく、映画は予想したよりさらに退屈で、２人とも部分的に居眠り。
「これほど退屈したことはない」が、夫の第一声だった。
「だから言ったじゃない！」

大晦日のがっかりを挽回すべく、元日は娘も一緒に、アニメ『La plus précieuse des marchandises/もっとも貴重な貨物』を観に行く。



時は第二次世界大戦中。ポーランドの山奥に木こりの夫婦が住んでいた。
彼らのつましい家の傍を毎日貨物列車が通る。自分たちに食糧を持ってきてくれないか、と期待しながら妻は列車を待つのが常だった。



ある日、ついに列車から落とされた“貨物”は････赤ん坊。
列車が運んでいるのは収容所に送られるユダヤ人だったのだ。
子供のいない木こりの妻は「これは授かりもの」と赤ん坊を連れて帰るが、夫は許さない。



妻は納屋で赤ん坊を育てることにする。
ジャン＝クロード・グランバーグの原作をもとにしていて、絵（ちょっとムンクを思わせる）がタブローのように美しく、後に残る作品。声役にあっという名優が名前を連ねている。

監督はミッシェル・アナザヴィシウス。『007』のパロディ『OSS 177』、無声映画『アーティスト』（2011）はカンヌ映画祭で主演男優賞、アカデミー賞も５部門で獲得。『カメラを止めるな！』のリメイク『Coupez !』も彼の作品で、バラエティ豊か。
絶対のお薦めです。上映館が少なくなっているのでお早めに。

文末になってしまいましたが、
2025年がみなさまにとってよい年でありますように。
戦争が終わり、穏やかな年になりますように。
ハタと気づけば、このブログも15年目。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

La plus précieuse des marchandises
ミッシェル・アナザヴィシウス監督作品
声：ジャン＝ルイ・トランティニアン、ドミニック・ブラン、ドゥニ・ポダリデス
１時間21分
フランスで上映中


インスタTakako_wakameもご覧ください。

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。

にほんブログ村



国際恋愛・結婚ランキング