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日本共産党の志位和夫委員長が29日の衆院本会議でおこなった代表質問

2009-10-30 19:13:54 | 国内政治
新政権 見えない「転換」
志位委員長代表質問
暮らし・平和 “要”の問題迫る

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 国民の暮らしから安心と希望を奪った旧来の政治からの転換をはかることができるかどうかが、鳩山新政権に問われている――。29日の衆院本会議で日本共産党の志位和夫委員長はこう述べて、「いま強く転換が求められている肝心要の問題」について首相の見解をただしました。首相から、自公政治からの転換の中身は示されたのか――。

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雇用 正社員が当然の社会に
首相 通常国会に派遣法改正案

 自公政治のもとで進んだ「人間らしい雇用の破壊」をどうただすかは、「転換の要」中の「要」です。志位氏はこの問題で、「二つの喫緊の課題」をあげました。

 一つは、失業者とその家族をホームレスにしない取り組みです。

 志位氏は、(1)失業給付の緊急延長(2)求職活動中で困窮しているすべての失業者への生活・住居支援の拡充(3)中小企業への雇用調整助成金の抜本的拡充―の三つの対策を提案し、政府の決断を迫りました。

 二つ目は、大企業の横暴を抑え、人間らしい労働のルールを再構築することです。

 エコカー減税による増産に非正規雇用の復活で対応するトヨタの例を挙げ、「大企業の横暴勝手を許していいでしょうか」と追及。「『雇用は正社員が当たり前の社会』をめざすべきだ」と述べ、労働者派遣法の抜本改正を求めました。

 鳩山首相は「企業が安易な雇用など行わないよう、労働関係法令順守の指導を徹底していく」と前向きに答弁。派遣法の改正でも、「(所信表明では)逐一触れていないが重要性に関しては十分に認識している」と述べ、来年の通常国会への法案提出を初めて言明しました。

沖縄新基地 一喝され迷走 これで対等か
首相 米軍の抑止力も必要

 外交では、「アメリカとどう向き合うのか」が、旧来政治からの「転換の要」です。その重大な試金石が、日米間の不平等の象徴である沖縄の米軍普天間基地問題にあると指摘し、沖縄県民の思いを受けとめ、従属外交を転換した対米交渉を強く求めました。

 鳩山首相は、総選挙中の党首討論で、普天間基地「移設」について「県外移設か国外移設」と明言しました。ところが、20、21両日に来日したゲーツ米国防長官が、日米合意をたてに同県名護市辺野古への新基地建設を強圧的態度で求めて以来、公約を覆す発言が閣僚から相次いでいます。

 「米国に一喝されたら、態度を変え公約を覆す。こんなことでどうして対等の日米関係といえるのか」―志位氏は、自公政権時と変わらない対米従属の姿勢をただしました。

 辺野古への基地移設方針が持ち上がって13年。各種世論調査では基地建設反対が圧倒的です。

 「新基地建設のための杭(くい)を一本も打たせていない事実にこそ、沖縄県民の意思は示されている」―こう力説した志位氏は、「危険きわまりない普天間基地の即時閉鎖、県内移設・新基地建設は許さないという県民の思いをしっかりと受けとめ、本腰を入れた対米交渉を行え」と迫りました。

 首相は、「沖縄の思いをしっかり受けとめる」「日米間で真剣に取り組んでいく」と答えながらも、「在日米軍の抑止力も安全保障上必要だ」「過去の日米合意もある」と指摘し、「真剣な検証を行っている。最終的には私自身が決める」と述べるだけ。「対米従属政治とはまったく思っていない」と弁明しました。

後期医療 延命は痛み増すだけ
首相 「廃止」いいつつ先送り

 社会保障での政治変革の「要」は、自公政権がすすめた削減路線を拡充に転換することです。

 志位氏は削減路線の「最悪の象徴」として、世界に例のない年齢での差別を持ち込んだ後期高齢者医療制度をとりあげ、鳩山首相が「新しい制度」ができるまでは廃止しないという「先送り」方針なのかとただしました。

 昨年5月に4野党(民主・共産・社民・国民新)が共同提出した廃止法案は、制度をただちに廃止して老人保健制度に戻すとし、民主党の答弁者もそれが「非常に重要」としていたのです。

 ところが鳩山首相は、「まさに年齢で人間を差別する、大変けしからん制度」と述べて「廃止」を明言しつつ、「たびたび見直して混乱を生じてはいけない」などとして、老人保健制度に戻すことは拒否。「新制度」への移行を「先送りではない」と弁解しました。

 しかし、志位氏が指摘したように、「延命させればさせるだけ『差別への怒り』を広げ、2年ごとの保険料引き上げという痛みを増す」のが後期高齢者医療制度。「多くの高齢者から『とても4年も待てない』と強い怒りの声が上がっている」のです。実際、厚労省は来年4月には保険料が全国平均で10・4%上がると試算しています。

 「この制度をすみやかに廃止することこそ、混乱の原因を大本から取り除く解決策」(志位氏)です。

財源 「思いやり」予算メスを
首相 「包括的見直し」言及したが…

 「いったい財源は大丈夫か」―。志位氏は国民に広がる不安の声を取り上げて、(1)税金の使い道の優先順位(2)財源を庶民増税に求めるべきでない(3)軍事費、大企業・大資産家優遇をひきつづき「聖域」とするのか―の3点を質問。「聖域」にメスを入れる問題で、米軍への「思いやり」予算と証券優遇税制を取り上げました。

 米軍への「思いやり予算」は、概算要求では、自公政権時代と同じ水準の1919億円。志位氏は「日米地位協定上も支払う義務のない『思いやり予算』に切り込む意思はあるのか」と迫りました。

 鳩山首相は「包括的な見直しが必要」と初めて言及しましたが、概算要求額についてはなにもふれませんでした。

 また、証券優遇税制の問題では、現在日本では株取引などで得た所得に対する税率はわずか10%。アメリカの25%やフランスの30%と比較して、格段の低さです。

 志位氏は「汗水たらして働いて得た所得より、濡(ぬ)れ手で粟(あわ)の不労所得のほうが税金が軽いというのは異常」と追及。鳩山首相は「時限的措置」と述べたものの、「政府税調でしっかりと議論したい」とするだけでした。

 財政問題で新政権の弱点が浮かび上がりました。

農業 歯止めない自由化反対
首相 FTAなど国際交渉を推進

 志位氏は、「食料自給率が4割にまで落ち込んだ日本農業をどう再生させるか、日本国民の存亡がかかった大問題」とし、歯止めのない輸入自由化からの転換が「要の問題だ」と強調しました。

 EU(欧州連合)20%、ブラジル35%、韓国62%…。志位氏は、他国の農産物の平均関税率もあげ日本の関税率12%が異常に低いという認識があるかと追及。民主党がマニフェストに明記した自由貿易協定(FTA)の「促進」が不安と怒りをよびおこしているとして、「これ以上の輸入自由化、関税撤廃を絶対に行うべきではない」と力説しました。

 志位氏は、政府の「関税撤廃とセットの戸別所得補償制度では、穴のあいたバケツに水を注ぐようなもの」と批判。「農産物の価格保障と所得補償を組み合わせ、再生産が可能な農家収入を保障することと、関税など国境措置の維持・強化を進めることが必要だ」と提起しました。

 これに対し鳩山首相は「戸別所得補償制度は、決して関税の撤廃が前提ではない」と述べながら、「FTAやWTO(世界貿易機関)などの国際交渉の推進」と「食料自給率の向上、農業、農村地域の振興を損なわない」と両立不可能な立場を表明しました。

志位委員長の代表質問
衆院本会議

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 日本共産党の志位和夫委員長が29日の衆院本会議でおこなった代表質問は次の通りです。

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 私は、日本共産党を代表して鳩山総理に質問します。

 さきの総選挙で、国民は、自民・公明政権に退場の審判をくだしました。私たちは、この結果を、日本の政治にとって前向きの大きな一歩であり、新しい歴史のページを開くものとして、歓迎するものです。同時に、民主党を中心とする新政権に対しては、「政治を変えてほしい」という期待とともに、さまざまな不安や批判の声もおこっています。わが党は、「建設的野党」の立場に立って、国民の期待にこたえるとともに、不安や批判を代弁して問題点をただし、日本の政治をさらに前にすすめるために力をつくす決意であります。

暮らし――いま強く転換が求められている要の問題を問う

 国民が自公政権にきびしい審判をくだした要因は、何よりも国民の暮らしから安心と希望を奪ったことにありました。鳩山新政権が、この旧来の政治の害悪をただし、そこからの転換をはかることができるかどうかが問われています。ところが、総理の所信表明演説では、「政治を変える」という言葉は繰り返されましたが、国民の暮らしにかかわって、いま強く転換が求められている肝心要の問題について、具体的方策は語られませんでした。そこで以下、具体的に、総理の見解をただします。

雇用――失業者支援、労働法制の規制緩和の抜本的な転換を

 人間らしい雇用の破壊は、旧来の政治がつくりだした、もっとも大きな害悪の一つです。私は、新政権が、つぎの二つの喫緊の課題に真正面から取り組むことができるかどうか――ここに旧来の政治からの転換の要があると考えます。

 第一は、失業者とその家族をホームレスにしないための本腰のとりくみです。いま、失業率は史上最悪の水準となり、失業給付が切れたり、雇用保険に未加入なために、生活の糧を奪われ、ホームレスになってしまう失業者が続出しています。ところが政府がさきに策定した緊急雇用対策は、自公政権の対策の延長線上にとどまるもので、これでは昨年末の「年越し派遣村」にあらわれたような事態の再来を防ぐことは到底できません。私は、旧来の延長線上の対策から抜け出して、つぎの三つの対策を実行することを緊急に求めるものです。

 ――一つは、失業給付の緊急延長です。現行の90日間の失業給付では多くの失業者は再就職を果たせません。緊急措置として給付期間を半年以上に延長すべきです。

 ――二つ目に、失業者の7割以上が、失業給付が切れたり、もともと対象外で、生活の糧が奪われた状態です。求職活動中で生活に困窮しているすべての失業者に、生活と住居の支援をおこなう制度への抜本拡充が必要です。

 ――三つ目は、中小企業への雇用調整助成金の抜本的な拡充です。雇用の7割を支える中小企業での雇用維持のための経営努力は限界を超えています。給付期間の延長、助成額の引き上げは待ったなしの課題であります。

 これらの緊急対策は、どれも法律の改正を必要としない、政府の決断ですぐにでもとりくめるものです。総理の答弁を求めます。

 第二は、大企業の横暴を抑え、人間らしい労働のルールを再構築することです。

 いまトヨタをはじめ自動車、電機などの大企業で、期間工や派遣など非正規雇用を復活させる動きが広がっています。ところが契約雇用期間は、4カ月から6カ月という極めて短期で、それが切れたら再び「非正規切り」をおこなうことを、あらかじめ予定しているのです。エコカー減税などでの増産の対応を「非正規」でおこない、減税が切れたら再び「非正規切り」。こんな大企業の横暴勝手を放置していいでしょうか。増産で人員が必要なら、正社員をこそ増やすべきではありませんか。総理、大企業に雇用への社会的責任を果たさせるために、政府として強力な指導をおこなうべきではありませんか。

 同時に、労働法制の抜本的転換が必要です。総理は、所信表明演説で、「働くことの尊さ」について力説されましたが、それを大本から奪っているのが派遣労働に代表される「使い捨て」労働です。ところが総理は、演説で、労働者派遣法の改正について、一言ものべられませんでした。これは一体どういうわけでしょう。

 政府は、貧困の指標の一つである「相対的貧困率」を初めて正式に公表し、1997年以降、貧困が拡大していることを明らかにしました。総理は、日本で貧困が拡大している最大の原因が、派遣労働の「自由化」を中心にした労働法制の規制緩和であり、その抜本的な転換が必要だという認識をお持ちではないのでしょうか。

 労働者派遣法は、究極の不安定雇用である登録型派遣の原則禁止、製造業への派遣の禁止、違法行為があった場合には派遣先企業に直接雇用義務を課す「みなし雇用」の導入など、抜本改正に踏み出すべきです。「雇用は正社員が当たり前の社会」をめざすべきだと考えますが、総理の見解をうかがいます。

社会保障――後期高齢者医療制度は「先送り」でなくすみやかな撤廃を求める

 社会保障を削減から拡充に転換することも、大きな要をなす問題です。とりわけ、世界に例のない「年齢による差別」を持ち込んだ後期高齢者医療制度は、社会保障削減路線がもたらした最悪の象徴です。この制度について、総理は、所信表明演説で、「廃止に向けて新たな制度の検討」をすすめるとのべました。長妻厚生労働大臣は、「廃止にむけて元に戻すのではなく、4年以内に、そのまま新しい制度に移行していこうという考え方をもっている」と発言しています。総理、「新しい制度」ができるまでは廃止しないという「先送り」が新政権の方針なのですか。多くの高齢者から「とても4年も待てない」と、強い怒りの声が上がっていることをどう受け止めますか。

 昨年の国会で当時の野党4党が後期高齢者医療制度の廃止法案を共同提案したときには、民主党の提案者も、最大の問題点は「差別への怒り」だとして、「いったん元に戻すことが非常に重要」、「戻したうえで、旧老人保健法制度の問題点を是正する」と国会で答弁していたではありませんか。「まず廃止」の方針を転換した理由は何か。答弁を求めます。

 一部に「老人保健制度に戻したら混乱する」という議論がありますが、去年3月までの老人保健制度は、高齢者を国保や健保に加入させたまま、現役世代よりも窓口負担を軽減する財源調整の仕組みで、どこにも「混乱」などなかったではありませんか。大混乱をもたらした最大の原因は、「年齢による差別」という制度を持ち込んだことにあります。すみやかにこの制度を廃止することこそ、混乱の原因を大本から取り除く解決策ではありませんか。

 後期高齢者医療制度は、延命させればさせるだけ、「差別への怒り」を広げ、2年ごとの保険料引き上げという痛みを増す制度です。わが党は、後期高齢者医療制度は、「先送り」でなく、ただちに廃止し、老人保健制度に戻す。そのうえで75歳以上の医療費無料化、国保への国庫負担の増額などの改善をはかるべきだと考えます。総理の答弁を求めます。

日本農業の再生――歯止めない輸入自由化路線の転換を求める

 自民党農政のもとで、食料自給率が4割に落ち込んだ日本農業をどう再生させるかも、日本国民の存亡がかかった大問題です。

 私は、日本農業をここまで落ち込ませた最大の原因の一つは、歯止めのない輸入自由化をすすめてきたことにあり、ここに旧来の農政からの転換が求められる要の問題があると考えます。農産物の平均関税率は、EUが20%、アルゼンチンが33%、ブラジルが35%、メキシコが43%、韓国が62%であるのに比べて、日本はわずか12%まで下がっています。主要国の中で、すでに関税が最も低い国の一つが日本なのです。総理は、この認識をお持ちでしょうか。

 この点で、民主党が、「マニフェスト」で、「米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易、投資の自由化をすすめる」と明記したことが、広い農業関係者、国民に不安と怒りをよびおこしています。米国の関係者は「農業とコメを含めないFTAはありえない」と明言しており、そうなれば農業とりわけコメに壊滅的打撃が与えられます。財界団体で構成された日米経済協議会が委託した試算によると、日米FTAによる関税撤廃で、日本の農業生産は激減し、コメの生産は82%も減少してしまいます。これ以上の輸入自由化、関税撤廃は絶対におこなうべきではありません。

 総理は、所信表明演説で、「戸別所得補償制度の創設」を表明されましたが、関税撤廃とセットでは、穴のあいたバケツに水を注ぐようなもので、何兆円という財源を投入しても農家の経営は守れないでしょう。日本農業の再生のためには、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて、再生産が可能な農家収入を保障することと、関税など国境措置の維持・強化をはかることを、一体にすすめることがどうしても必要です。総理の答弁を求めます。

財源問題――国民が不安をいだいている三つの問題点を問う

 つぎに来年度予算案の編成にかかわって質問いたします。さきに発表された来年度予算案の概算要求は、95兆円を超える史上最大の規模となっています。もちろんこのなかには、国民要求にかなった内容も盛られています。

 同時に、「いったい財源は大丈夫なのか」という大きな不安が、国民のなかでひろがっています。来年度予算案がどうなるかは、これからの予算編成作業にかかっていますが、私は、現時点で根本的見直しを求めたい問題点を、3点に絞って提起するものです。

税金の使い道の優先順位――高速道路より福祉を優先すべき

 第一は、税金の使い道の優先順位という問題です。概算要求には高速道路の無料化予算が盛り込まれていますが、はたしてこれが最優先の仕事でしょうか。温暖化対策とのかかわりでも慎重な検討が求められるのではないでしょうか。メディアの世論調査でも、反対が賛成を上回り、早急な実施を求める声は少数ではありませんか。高速道路無料化に要する1兆3000億円があれば、高齢者と子どもの医療費を国の制度として無料にすることができます。私は、国民の大切な税金は、高速道路よりも福祉にこそ優先的に使うべきだと考えますが、総理の見解を求めます。

庶民増税を財源にすべきではない――扶養控除、配偶者控除の廃止に反対する

 第二は、財源を庶民増税に求めるべきではないということです。子どもへの手当の拡充は当然ですが、その財源として、扶養控除と配偶者控除の廃止を抱き合わせることに、私たちはくみするわけにはいきません。私たちのもとには、子どもを持ちたくとも持てないご家庭、健康上の理由で働きに出たくとも出られないご家庭などから、「立場の弱い、少数者を切りすてる心ないやり方ではないか」という強い不安と批判がたくさん寄せられています。庶民の一部を犠牲にして、一部に回すというやり方は、けっして国民の理解を得ることはできないのではないでしょうか。こうしたやり方では、子ども手当が給付されたご家庭も、心から喜べないのではないでしょうか。さらに、人的控除の廃止には、生計費非課税という税制の民主主義の大原則を侵すという大問題がありますが、どうお考えでしょうか。

 くわえて、子育て支援というなら、「手当」の増額だけでなく、認可保育園の大幅拡充で待機児童をゼロにする、「子育て」と仕事が両立できる雇用のルールをつくるなど、総合的な支援策が必要であります。以上についての総理の見解を求めます。

二つの分野――軍事費、大企業・大資産家優遇をひきつづき「聖域」とするのか

 第三は、旧来の政治が「聖域」としてきた軍事費と大企業・大資産家優遇という二つの分野にメスを入れることです。概算要求を見る限りでは、この分野はひきつづき「聖域」とされています。「聖域」に切り込む意思があるのかどうか。端的に2点ただします。

 一つ。米軍への「思いやり予算」は、自公政権が8月におこなった概算要求額とまったく同額のまま概算要求に盛り込まれています。日米地位協定上も支払う義務のない「思いやり予算」に切り込む意思はあるのかどうか。答弁を求めます。

 二つ。大資産家むけの証券優遇税制も継続されようとしています。株取引などで得た所得に対する税率は、アメリカで25%、フランスで30%にたいして、日本はわずか10%です。汗水たらして働いて得た所得より、濡(ぬ)れ手で粟(あわ)の不労所得の方が、税金が軽いというのは異常だと考えませんか。少なくとも本則の20%に戻すべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 二つの分野を「聖域」とせず本格的なメスを入れれば、消費税増税に頼らなくても、暮らしのための財源はつくれます。日本共産党は、この立場から将来にわたって消費税増税に反対をつらぬくものであります。

沖縄基地問題――対米従属外交からの転換を強く求める

 アメリカとどう向き合うか。これも旧来の政治からの大きな転換が求められている要の問題です。総理は、所信表明演説で、「対等の日米関係」ということを力説されましたが、その最初の重大な試金石となるのが、沖縄の普天間基地の問題です。

 総理は、総選挙の最中の党首討論で、普天間基地は「県外移設か、国外移設」と明言してきました。ところが、この間、米国のゲーツ国防長官が来日し、名護市・辺野古への新基地建設を強圧的態度で求めていらい、この公約を覆す発言が閣僚から相次いでいます。

 岡田外務大臣は、それまでの態度をひるがえして、「県外は事実上選択肢として考えられない」と発言しました。北沢防衛大臣は、辺野古への新基地建設について、基地機能の一部をグアムや岩国に移すから公約違反ではないとして容認する驚くべき詭弁(きべん)をのべました。これらの発言に大きな怒りが広がっています。

 総理、米国に一喝されたら、態度を変え、公約を覆す。こんなことでどうして「対等の日米関係」といえますか。これでは自公政権の対米従属政治と変わらないではありませんか。

 総理は、「沖縄県民の意思を尊重する」と繰り返しておられますが、県民の意思はとうに明りょうとなっています。辺野古への基地移設の方針がもちあがっていらい13年。どの世論調査でも県民の圧倒的多数は新基地建設に反対です。だいたい13年間にわたって新基地建設のための杭(くい)を一本も打たせてこなかったという、この事実にこそ、沖縄県民の意思は示されているではありませんか。それを尊重するというなら、基地の県内たらい回しなどありえない選択ではありませんか。

 沖縄の基地問題を解決しようとすれば、アメリカの顔色をうかがったり、理不尽な圧力に屈するという旧来の対米従属外交を転換し、「基地のない沖縄」を願う県民の思いを、正面から米国にぶつける対米交渉をおこなうことがどうしても必要です。

 危険極まりない普天間基地は即時閉鎖する、県内移設は許さない、新基地建設は許さない。これこそ沖縄県民の断固たる意思です。私は、総理に、この思いをしっかりと受け止め、本腰を入れた対米交渉をおこなうことを強く求めるものであります。

 総理の明確な答弁を求めて、質問を終わります。

(出所:日本共産党HP  2009年10月30日(金)「しんぶん赤旗」)
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