5中総の新しい選挙方針の実践と教訓について
つぎに5中総の新しい選挙方針の実践と教訓について報告します。
5中総で決めた新しい選挙方針の基本点
今回の総選挙は、5中総で決定した比例代表での前進に力を集中する新しい選挙方針を、最初に実践するたたかいとなりました。新しい選挙方針の基本は以下の点にありました。
――比例代表で「650万票以上」を獲得することを衆参の国政選挙の共通の全国的目標として掲げ、その達成をめざすこと。
――現在の党組織の力を最も効果的に比例代表での前進に集中するために、「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」という方針を見直し、小選挙区での擁立は一定の要件を満たした選挙区とすること。比例代表の候補者は、ブロック全域で活動する候補者にくわえて、全県からそれぞれの県で日常的な活動をおこなう候補者を擁立すること。
――この方針を成功させる要は、比例選挙で前進するためのとりくみを、あらゆる選挙戦と党活動全体の中軸にすえ、文字どおり日常不断のとりくみにしていくことにあります。すなわち選挙活動の日常化ということであります。
この提起にもとづいて、わが党は、全国すべての都道府県で比例代表の候補者を擁立し、152の小選挙区に候補者を擁立してたたかいました。148もの小選挙区に候補者を擁立しないで比例一本で総選挙をたたかったのは、初めての経験となりました。この新しい方針の実践を踏まえて、つぎの諸点を教訓として明確にしておきたいと思います。
国政選挙の日常化・系統化という点で大きな前進をつくった
第一は、全党が、国政選挙の日常化・系統化にとりくむという点で大きな前進をつくったということであります。
とくに、早い段階から、全都道府県に、比例候補者、小選挙区候補者を擁立したことは、国政選挙は「選挙間際にならないと本気にならない」という弱点を克服するうえで、大きな力を発揮しました。候補者が先頭にたって、多面的な要求運動、団体・個人との対話と交流、「大運動」と「集い」、各種シンポジウムなど、国民との新しい多面的な結びつきを築いてきたことは、今後の大きな財産をつくりました。
5中総では、得票目標に見合う後援会員づくり、ニュースを活用した系統的な後援会活動にとりくむことを、「選挙活動の日常化の一つのカナメ」と提起しましたが、後援会員数はこの2年間で295万人から386万人に前進し、「後援会ニュース」を通じた結びつきも前進し、ここでも今後につながる重要な財産がつくられました。
小選挙区候補を擁立した選挙区――比例得票前進の力となった教訓
第二は、小選挙区候補を擁立し、日常的、系統的に活動したことが、比例得票前進の大きな力となった経験が各地で生まれたことであります。小選挙区候補を擁立した選挙区では、そのうち70%の選挙区で得票を伸ばしています。
東京都では、比例代表の得票を前回比で114%に伸ばし、得票増では全国一となりました。この教訓の一つが、すべての小選挙区で早くから候補者を擁立し、小選挙区候補者が、比例での前進への貢献を最優先の仕事としつつ、小選挙区でも自信をもって「勝たせてください」と訴える姿勢を確立してたたかいにのぞんだことにあったと報告されています。東京では、9回にわたって候補者会議をおこない、候補者演説や候補者活動、政策論戦の意思統一をおこない、その積み重ねが選挙本番での公開討論会で他党候補を論戦で追い詰めることなどにもつながり、陣営に勇気をもたらしました。都委員長の報告では、「小選挙区候補者を擁立した選挙区では、小選挙区選挙でも、他党に負けない演説と活動をすすめてこそ、比例代表選挙での前進の力となることを、今回の選挙ほど鮮やかに証明した選挙はなかった」とのべています。
比例一本でたたかった選挙区――得票前進のとりくみから教訓を
第三に、小選挙区に候補者を擁立せず、比例一本でたたかった選挙区では、得票を伸ばした選挙区は31%でありました。小選挙区に擁立しないことからくるデメリットを乗り越えられなかったとする報告も寄せられていますが、比例一本でたたかうという新たな方針に正面から挑戦して、得票を前進させている選挙区が31%も存在することが重要であり、そのとりくみから教訓をひきだすことが必要であります。
比例一本でたたかった選挙区のなかでも、山形2区では前回比で比例得票率を116%、神奈川4区では110%にするなどの経験が生まれています。山形2区では、(1)得票目標を絶対にやり抜くことを共通の決意とし、「これまでやったことのないあらゆることに挑戦しよう」という気概で、地方議員が先頭にたって「自らの選挙」として大奮闘するとともに、(2)「小選挙区の候補者がいない中で、どうしたら票が出せるか、元気な党の姿を見せる街頭宣伝は、他党に勝って地域第1党になろう」という決意で、党員一人ひとりが候補者になるという気概で、かつてない規模でのハンドマイク、メガホン宣伝にとりくむなかで、得票率増をかちとっています。
方針の的確さを確認しつつ、将来的には全小選挙区で擁立できる党への前進を
こうして、5中総が提起した新しい選挙方針にもとづくとりくみは、個々には弱点やアンバランスも生まれましたが、全体として見るならば現在の党の力量、実情にそくした的確な方針であったと確認できます。また、この方針の実践をつうじて、今後の国政選挙に生かすべき豊かな財産を数多くつくったことも、全党の確信にすべきであります。
同時に、5中総決定でものべたように、「本来は、すべての小選挙区で候補者を擁立してたたかうことが、綱領路線の実現という見地からも、将来的にはめざすべき当然のあり方」であり、そうした力量をもつ党への前進をめざすことが、全党的課題となっていることも、あわせて強調しておきたいと思います。
比例ブロックでの政治的力関係を変え議席増を確実に実現する政治戦略をもつ
総括の最後に、一つの問題提起をしておきます。
今回の選挙では、比例ブロックごとに政治スローガンと政治目標を明確にして、「ブロックは一つ」のとりくみを強めましたが、各ブロックでの議席増を確実に実現するためには、現行のドント方式のもとで議席増を達成できるだけの政治的力関係の変革をめざし、そのための活動を目的意識的に追求する必要があります。
私たちは、過去3回の衆議院選挙で、それぞれの条件は違いますが、連続して9議席にとどまり、ブロックごとでみても議席数を前進させた経験をつくれていません。四つの比例ブロックでは連続して空白が克服できていないという問題があります。こうした現状に絶対に甘んじるわけにいかないことは、いうまでもありません。
つぎの総選挙にむけて、比例ブロックごとにどうやって政治的な力関係を変え、議席増をはかるかの政治的・組織的戦略をたて、それにもとづく系統的な活動にとりくもうではありませんか。比例ブロックごとの得票目標を、全支部、全党員のものにするとともに、要求実現の活動、新たな支持層の開拓、党建設の系統的追求などにとりくみ、どの比例ブロックでもつぎの機会には必ず議席増をはかることをめざすとりくみに、ただちにとりかかろうではありませんか。
3、参議院選挙の勝利にむけた基本方針について
報告の第三の主題は、参議院選挙の勝利にむけた基本方針についてであります。
来るべき参院選の政治的位置づけと政治的構え
まず参議院選挙の政治的位置づけと、この政治戦にのぞむ政治的構えについてのべます。
9カ月後に迫った参議院選挙は、民主党政権誕生後の新しい政治状況のもとでの最初の全国的選挙としてたたかわれます。この選挙は、自公政治に代わる新しい政治をもとめる国民の探求が本格化するもとでたたかわれる政治戦となります。総選挙で始まった日本政治の前向きの変化のプロセスがさらに前進し、「二つの政治悪」から抜け出す方向にむかうかどうかは、日本共産党が伸びるかどうかにかかっています。
また、参議院選挙は、民主党・社民党・国民新党という与党3党、「建設的野党」としての日本共産党、退場の審判を下された自民党と公明党という、まったく新しい政党配置のもとでの政治戦となります。わが党にとっては、「建設的野党」としての真価が問われるたたかいとなります。
こうして参院選は、新しい政治局面、新しい政党関係のもとで、私たちのたたかいいかんでは、これまでの政党間の力関係を大きく変える可能性をはらんだ政治戦となるでしょう。
来るべき参議院選挙を、政治の根本的変革を求める党として大志を持ってたたかい、必ず日本共産党の本格的な前進・躍進に転じる選挙にしようではありませんか。
参議院選挙の政治目標について
つぎに参議院選挙の政治目標について提起します。
比例代表選挙――650万票以上の得票、5議席の絶対確保を
参議院選挙では、「比例を軸に」をつらぬき、比例代表選挙で650万票以上の得票を獲得し、5議席を絶対確保することを目標とします。比例代表選挙では、「日本共産党」と党名での投票をよびかけることを基本にします。5人の比例代表予定候補とその活動地域割りを、発表します。
北海道・東北・北関東 大門実紀史さん。現参議院議員です。
東京・南関東 田村智子さん。党東京都委員会副委員長です。
東海・北陸信越 河江明美さん。党愛知県委員会県委員です。
近畿 市田忠義さん。党書記局長、現参議院議員です。
中国・四国・九州沖縄 仁比聡平さん。現参議院議員、弁護士です。
書記局長として奮闘している市田さん、現職議員として試されずみの大門さん、仁比さんにくわえて、将来性豊かな田村さん、河江さんという新人の女性候補者、5名のベストチームであります。全国の力を一つに集め、5人全員当選を勝ち取ろうではありませんか。
選挙区選挙――全選挙区で候補者を擁立・挑戦し、東京での絶対確保を
選挙区選挙では、全都道府県で候補者を擁立し、東京選挙区で絶対確保をはかることを目標とします。
東京選挙区の予定候補者は、党政策委員会責任者・現参議院議員の小池晃さんです。中央委員会と東京都委員会が協議し、首都で必勝を期すに最もふさわしい候補者として小池晃さんを擁立することを決めました。比例代表の5人とともに、東京選挙区での議席の絶対確保をはかることを目標とします。
選挙区選挙では、全選挙区に候補者を擁立し、勝利をめざしますが、とりわけ、かつて議席をもったことのある北海道、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県での積極的な議席獲得への挑戦をよびかけるものであります。すべての県で、選挙区予定候補をすみやかに決定するようにします。
たたかいの基本方向について
参議院選挙の勝利にむけたたたかいの基本方向としては、つぎの2点を強調しておきたいと思います。
すべての党組織と党支部で、得票目標とそれを達成する方針を
第一は、参議院選挙にむけて、「650万票以上」に見合う都道府県、地区、自治体、支部ごとの得票目標をあらためて明確にして、その達成にむけたとりくみをただちに開始することであります。
とくに、得票目標を支部の生きた自覚的な目標にすることが重要です。支部の「政策と計画」のなかに得票目標をしっかりと位置づけて、それを達成するための方針をもち、その実践に踏み出すなかで方針を充実させていくようにします。
いっせい地方選挙の準備を急ぎ、一体にたたかう態勢を
第二は、1年半後に迫ったいっせい地方選挙の政治目標と候補者決定をいそぎ、地方議員と予定候補者が参議院選挙を一体にたたかう態勢をつくることであります。
とくに道府県議、政令市・区議、県庁所在地・主要な地方都市では、第25回党大会までに政治目標と予定候補者を決定し、参議院選挙勝利にむけた機関の態勢づくりと一体に、いっせい地方選挙勝利をめざす態勢づくりをすすめます。
幹部会報告で明らかにした総選挙のたたかいの総括と教訓は、そのすべてが参院選をたたかう方針につながってくるものであります。総選挙の激戦でえた教訓のすべてを生かし、さらに発展させ、今度こそ必ず勝利をつかみとろうではありませんか。
4、第25回党大会の招集と党大会にむけた「党躍進特別期間」のよびかけ
報告の第四の主題は、第25回党大会の招集と、党大会にむけた運動についてであります。
第25回党大会の招集の提案
まず第25回党大会の招集を提案します。
次期党大会については、7中総で延期を決めるとともに、衆議院選挙後に開催する中央委員会総会で判断することにしてきました。党規約にもとづく党大会の招集の措置として、招集日と議題について、以下の通り提案します。
招集日は、2010年1月13日。会期は16日までの4日間とします。
議題は、大会決議と中央委員会報告、新中央委員会の選出、その他とします。
党大会にむけて「党躍進特別期間」にとりくもう
党大会にむけて、全党がつぎの四つの課題に重点的にとりくむ「党躍進特別期間」を設定し、党躍進の大きな上げ潮のなかで大会を迎えることを提案します。
国民要求実現、公約実践の活動を、あらゆる分野ですすめる
第一は、国民要求実現、公約実践の活動を、あらゆる分野ですすめることであります。国民の暮らしの「SOS」を受け止め、その苦難軽減の活動にとりくみましょう。暮らしと平和を守る国民運動を、あらゆる課題で前進させるために力をつくしましょう。
そのさい、自民党の支持基盤が大規模に崩壊するもとで、従来の保守層も含めて、これまでにない広範な人々との対話と共同の広大な条件が広がっていることをとらえ、そのすべてをくみつくす構えでのとりくみの発展をはかることが大切であります。
「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を新たな情勢のもとで発展させる
第二は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を、新たな情勢のもとで発展させることであります。
「建設的野党」という立場と結びつけて党綱領を語る、新たな探求と発展をはかりましょう。国民要求にこたえて現実政治を前に動かす党の役割を語りながら、日本の政治の根本的変革のためには、「財界中心」「軍事同盟中心」という古い枠組みを打破し、「国民が主人公」の新しい日本にすすむことが不可欠になることを、新しい情勢のもとで新鮮に語っていきましょう。
参議院選挙にむけて、新たにすべての支部が「集い」を開き、100万人を超える規模をめざし、党大会までに最初の大きなうねりをつくりだそうではありませんか。
すべての支部で新たな党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者では前大会時を突破して大会を
第三は、党勢拡大の大きな上げ潮で大会を迎えることであります。
党員拡大は、全党的な努力で9月度も前進し、23カ月連続前進のなかで9中総を迎えました。大会後、新たな党員を迎えた支部は41・2%であります。大会にむけ、すべての党支部で新たな党員を迎えるとともに、すべての党組織が「政策と計画」「総合計画」で掲げた党員拡大目標を達成することをめざして奮闘しましょう。
この間の党の奮闘によって、党前進の条件を大きく広げてきた労働者と若い世代のなかでの党員拡大に、思い切って力をそそぐことを訴えます。また、11月下旬に全国大会を迎える民青同盟にたいする親身な援助を強めることをよびかけるものです。
読者拡大は、全国すべての都道府県、地区、支部が、参院選を、前回参院選の陣地を大きく上回ってたたかうことを展望して、党大会までに日刊紙読者を3万1791人以上、日曜版読者を15万269人以上増やし、前回党大会水準を突破することをよびかけます。前回党大会水準を突破すれば、全党的には前回参院選時比で日刊紙106・1%、日曜版106・4%となり、参院選を読者の大幅増でたたかう土台が築かれます。選挙後に読者を大きく減らし、それを取り戻せないままつぎの選挙を迎えるという悪循環を、今度こそ断ち切ろうではありませんか。読者を大きく増やして選挙に勝ち、選挙に勝った力でさらに読者を大きく増やすという、発展の循環に転じようではありませんか。
読者拡大は、機関紙の再発行、経常財政の維持、選挙闘争資金の保障など、党の基礎的財政の確立という面からも、なんとしても安定的前進の軌道にのせなければならない課題となっていることも強調しなければなりません。
みなさん。党大会にむけて党勢拡大の大きな上げ潮をつくれるかどうかを、参院選勝利の第一の関門と位置づけて全力をつくそうではありませんか。
全党員が参加する強く温かい党づくり ―― 「党生活確立の3原則」で大きな前進を
第四は、すべての党員が条件にそくして力を発揮し、党活動に参加する、強く、温かい党づくりにむけて、「党生活確立の3原則」――支部会議に参加する、「しんぶん赤旗」日刊紙を読む、党費を納める――で大きな前進をはかることであります。
とくに大会にむけて開かれる支部総会を、これらの党生活確立にむけた一大転機となるよう、支部への懇切丁寧な援助を強めることを訴えるものです。これまでさまざまな事情から党活動に参加できなかったすべての同志を、この機会に訪問し、実情を聞き、悩みや要望に耳を傾け、人間的な信頼のきずなをつくり、党活動に参加する手だてをとりきろうではありませんか。
党員の一人ひとりの生活や活動を、狭く党活動の当面の課題だけで見ずに、丸ごと見るならば、多くの同志は、国民とのさまざまな結びつきをもち、国民のなかの多様な諸団体のなかでのさまざまな活動に参加しているはずであります。それらのすべてに光をあて、党の活動のなかに位置づけ、みんなの力を結集する党活動をつくりあげようではありませんか。
「特別期間」の成功で、参院選勝利にむけた基礎的土台をつくろう
以上、四つの課題を提起しましたが、多くの国民が新しい政治への期待と探求を強めるもとで、これらの課題をやりきる客観的条件は大いにあります。
主体的条件という点でも、私たちは、第24回党大会期に、2回にわたる「職場講座」、「特別党学校」、雇用・社会保障・農業などでの新たな政策提起とたたかいの発展、青年・学生のなかでの活動の強化、野党外交の発展などにとりくみ、国民の期待や注目を広げてきました。これらの数々の新たな探究と努力を、党大会にむけた運動にすべて結実させようではありませんか。
「党躍進特別期間」を成功させ、参院選勝利にむけた基礎的土台を、党大会に向けてつくりあげることをよびかけて、幹部会を代表しての報告を終わります。
(出所:日本共産党HP 2009年10月15日(木)「しんぶん赤旗」)
つぎに5中総の新しい選挙方針の実践と教訓について報告します。
5中総で決めた新しい選挙方針の基本点
今回の総選挙は、5中総で決定した比例代表での前進に力を集中する新しい選挙方針を、最初に実践するたたかいとなりました。新しい選挙方針の基本は以下の点にありました。
――比例代表で「650万票以上」を獲得することを衆参の国政選挙の共通の全国的目標として掲げ、その達成をめざすこと。
――現在の党組織の力を最も効果的に比例代表での前進に集中するために、「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」という方針を見直し、小選挙区での擁立は一定の要件を満たした選挙区とすること。比例代表の候補者は、ブロック全域で活動する候補者にくわえて、全県からそれぞれの県で日常的な活動をおこなう候補者を擁立すること。
――この方針を成功させる要は、比例選挙で前進するためのとりくみを、あらゆる選挙戦と党活動全体の中軸にすえ、文字どおり日常不断のとりくみにしていくことにあります。すなわち選挙活動の日常化ということであります。
この提起にもとづいて、わが党は、全国すべての都道府県で比例代表の候補者を擁立し、152の小選挙区に候補者を擁立してたたかいました。148もの小選挙区に候補者を擁立しないで比例一本で総選挙をたたかったのは、初めての経験となりました。この新しい方針の実践を踏まえて、つぎの諸点を教訓として明確にしておきたいと思います。
国政選挙の日常化・系統化という点で大きな前進をつくった
第一は、全党が、国政選挙の日常化・系統化にとりくむという点で大きな前進をつくったということであります。
とくに、早い段階から、全都道府県に、比例候補者、小選挙区候補者を擁立したことは、国政選挙は「選挙間際にならないと本気にならない」という弱点を克服するうえで、大きな力を発揮しました。候補者が先頭にたって、多面的な要求運動、団体・個人との対話と交流、「大運動」と「集い」、各種シンポジウムなど、国民との新しい多面的な結びつきを築いてきたことは、今後の大きな財産をつくりました。
5中総では、得票目標に見合う後援会員づくり、ニュースを活用した系統的な後援会活動にとりくむことを、「選挙活動の日常化の一つのカナメ」と提起しましたが、後援会員数はこの2年間で295万人から386万人に前進し、「後援会ニュース」を通じた結びつきも前進し、ここでも今後につながる重要な財産がつくられました。
小選挙区候補を擁立した選挙区――比例得票前進の力となった教訓
第二は、小選挙区候補を擁立し、日常的、系統的に活動したことが、比例得票前進の大きな力となった経験が各地で生まれたことであります。小選挙区候補を擁立した選挙区では、そのうち70%の選挙区で得票を伸ばしています。
東京都では、比例代表の得票を前回比で114%に伸ばし、得票増では全国一となりました。この教訓の一つが、すべての小選挙区で早くから候補者を擁立し、小選挙区候補者が、比例での前進への貢献を最優先の仕事としつつ、小選挙区でも自信をもって「勝たせてください」と訴える姿勢を確立してたたかいにのぞんだことにあったと報告されています。東京では、9回にわたって候補者会議をおこない、候補者演説や候補者活動、政策論戦の意思統一をおこない、その積み重ねが選挙本番での公開討論会で他党候補を論戦で追い詰めることなどにもつながり、陣営に勇気をもたらしました。都委員長の報告では、「小選挙区候補者を擁立した選挙区では、小選挙区選挙でも、他党に負けない演説と活動をすすめてこそ、比例代表選挙での前進の力となることを、今回の選挙ほど鮮やかに証明した選挙はなかった」とのべています。
比例一本でたたかった選挙区――得票前進のとりくみから教訓を
第三に、小選挙区に候補者を擁立せず、比例一本でたたかった選挙区では、得票を伸ばした選挙区は31%でありました。小選挙区に擁立しないことからくるデメリットを乗り越えられなかったとする報告も寄せられていますが、比例一本でたたかうという新たな方針に正面から挑戦して、得票を前進させている選挙区が31%も存在することが重要であり、そのとりくみから教訓をひきだすことが必要であります。
比例一本でたたかった選挙区のなかでも、山形2区では前回比で比例得票率を116%、神奈川4区では110%にするなどの経験が生まれています。山形2区では、(1)得票目標を絶対にやり抜くことを共通の決意とし、「これまでやったことのないあらゆることに挑戦しよう」という気概で、地方議員が先頭にたって「自らの選挙」として大奮闘するとともに、(2)「小選挙区の候補者がいない中で、どうしたら票が出せるか、元気な党の姿を見せる街頭宣伝は、他党に勝って地域第1党になろう」という決意で、党員一人ひとりが候補者になるという気概で、かつてない規模でのハンドマイク、メガホン宣伝にとりくむなかで、得票率増をかちとっています。
方針の的確さを確認しつつ、将来的には全小選挙区で擁立できる党への前進を
こうして、5中総が提起した新しい選挙方針にもとづくとりくみは、個々には弱点やアンバランスも生まれましたが、全体として見るならば現在の党の力量、実情にそくした的確な方針であったと確認できます。また、この方針の実践をつうじて、今後の国政選挙に生かすべき豊かな財産を数多くつくったことも、全党の確信にすべきであります。
同時に、5中総決定でものべたように、「本来は、すべての小選挙区で候補者を擁立してたたかうことが、綱領路線の実現という見地からも、将来的にはめざすべき当然のあり方」であり、そうした力量をもつ党への前進をめざすことが、全党的課題となっていることも、あわせて強調しておきたいと思います。
比例ブロックでの政治的力関係を変え議席増を確実に実現する政治戦略をもつ
総括の最後に、一つの問題提起をしておきます。
今回の選挙では、比例ブロックごとに政治スローガンと政治目標を明確にして、「ブロックは一つ」のとりくみを強めましたが、各ブロックでの議席増を確実に実現するためには、現行のドント方式のもとで議席増を達成できるだけの政治的力関係の変革をめざし、そのための活動を目的意識的に追求する必要があります。
私たちは、過去3回の衆議院選挙で、それぞれの条件は違いますが、連続して9議席にとどまり、ブロックごとでみても議席数を前進させた経験をつくれていません。四つの比例ブロックでは連続して空白が克服できていないという問題があります。こうした現状に絶対に甘んじるわけにいかないことは、いうまでもありません。
つぎの総選挙にむけて、比例ブロックごとにどうやって政治的な力関係を変え、議席増をはかるかの政治的・組織的戦略をたて、それにもとづく系統的な活動にとりくもうではありませんか。比例ブロックごとの得票目標を、全支部、全党員のものにするとともに、要求実現の活動、新たな支持層の開拓、党建設の系統的追求などにとりくみ、どの比例ブロックでもつぎの機会には必ず議席増をはかることをめざすとりくみに、ただちにとりかかろうではありませんか。
3、参議院選挙の勝利にむけた基本方針について
報告の第三の主題は、参議院選挙の勝利にむけた基本方針についてであります。
来るべき参院選の政治的位置づけと政治的構え
まず参議院選挙の政治的位置づけと、この政治戦にのぞむ政治的構えについてのべます。
9カ月後に迫った参議院選挙は、民主党政権誕生後の新しい政治状況のもとでの最初の全国的選挙としてたたかわれます。この選挙は、自公政治に代わる新しい政治をもとめる国民の探求が本格化するもとでたたかわれる政治戦となります。総選挙で始まった日本政治の前向きの変化のプロセスがさらに前進し、「二つの政治悪」から抜け出す方向にむかうかどうかは、日本共産党が伸びるかどうかにかかっています。
また、参議院選挙は、民主党・社民党・国民新党という与党3党、「建設的野党」としての日本共産党、退場の審判を下された自民党と公明党という、まったく新しい政党配置のもとでの政治戦となります。わが党にとっては、「建設的野党」としての真価が問われるたたかいとなります。
こうして参院選は、新しい政治局面、新しい政党関係のもとで、私たちのたたかいいかんでは、これまでの政党間の力関係を大きく変える可能性をはらんだ政治戦となるでしょう。
来るべき参議院選挙を、政治の根本的変革を求める党として大志を持ってたたかい、必ず日本共産党の本格的な前進・躍進に転じる選挙にしようではありませんか。
参議院選挙の政治目標について
つぎに参議院選挙の政治目標について提起します。
比例代表選挙――650万票以上の得票、5議席の絶対確保を
参議院選挙では、「比例を軸に」をつらぬき、比例代表選挙で650万票以上の得票を獲得し、5議席を絶対確保することを目標とします。比例代表選挙では、「日本共産党」と党名での投票をよびかけることを基本にします。5人の比例代表予定候補とその活動地域割りを、発表します。
北海道・東北・北関東 大門実紀史さん。現参議院議員です。
東京・南関東 田村智子さん。党東京都委員会副委員長です。
東海・北陸信越 河江明美さん。党愛知県委員会県委員です。
近畿 市田忠義さん。党書記局長、現参議院議員です。
中国・四国・九州沖縄 仁比聡平さん。現参議院議員、弁護士です。
書記局長として奮闘している市田さん、現職議員として試されずみの大門さん、仁比さんにくわえて、将来性豊かな田村さん、河江さんという新人の女性候補者、5名のベストチームであります。全国の力を一つに集め、5人全員当選を勝ち取ろうではありませんか。
選挙区選挙――全選挙区で候補者を擁立・挑戦し、東京での絶対確保を
選挙区選挙では、全都道府県で候補者を擁立し、東京選挙区で絶対確保をはかることを目標とします。
東京選挙区の予定候補者は、党政策委員会責任者・現参議院議員の小池晃さんです。中央委員会と東京都委員会が協議し、首都で必勝を期すに最もふさわしい候補者として小池晃さんを擁立することを決めました。比例代表の5人とともに、東京選挙区での議席の絶対確保をはかることを目標とします。
選挙区選挙では、全選挙区に候補者を擁立し、勝利をめざしますが、とりわけ、かつて議席をもったことのある北海道、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県での積極的な議席獲得への挑戦をよびかけるものであります。すべての県で、選挙区予定候補をすみやかに決定するようにします。
たたかいの基本方向について
参議院選挙の勝利にむけたたたかいの基本方向としては、つぎの2点を強調しておきたいと思います。
すべての党組織と党支部で、得票目標とそれを達成する方針を
第一は、参議院選挙にむけて、「650万票以上」に見合う都道府県、地区、自治体、支部ごとの得票目標をあらためて明確にして、その達成にむけたとりくみをただちに開始することであります。
とくに、得票目標を支部の生きた自覚的な目標にすることが重要です。支部の「政策と計画」のなかに得票目標をしっかりと位置づけて、それを達成するための方針をもち、その実践に踏み出すなかで方針を充実させていくようにします。
いっせい地方選挙の準備を急ぎ、一体にたたかう態勢を
第二は、1年半後に迫ったいっせい地方選挙の政治目標と候補者決定をいそぎ、地方議員と予定候補者が参議院選挙を一体にたたかう態勢をつくることであります。
とくに道府県議、政令市・区議、県庁所在地・主要な地方都市では、第25回党大会までに政治目標と予定候補者を決定し、参議院選挙勝利にむけた機関の態勢づくりと一体に、いっせい地方選挙勝利をめざす態勢づくりをすすめます。
幹部会報告で明らかにした総選挙のたたかいの総括と教訓は、そのすべてが参院選をたたかう方針につながってくるものであります。総選挙の激戦でえた教訓のすべてを生かし、さらに発展させ、今度こそ必ず勝利をつかみとろうではありませんか。
4、第25回党大会の招集と党大会にむけた「党躍進特別期間」のよびかけ
報告の第四の主題は、第25回党大会の招集と、党大会にむけた運動についてであります。
第25回党大会の招集の提案
まず第25回党大会の招集を提案します。
次期党大会については、7中総で延期を決めるとともに、衆議院選挙後に開催する中央委員会総会で判断することにしてきました。党規約にもとづく党大会の招集の措置として、招集日と議題について、以下の通り提案します。
招集日は、2010年1月13日。会期は16日までの4日間とします。
議題は、大会決議と中央委員会報告、新中央委員会の選出、その他とします。
党大会にむけて「党躍進特別期間」にとりくもう
党大会にむけて、全党がつぎの四つの課題に重点的にとりくむ「党躍進特別期間」を設定し、党躍進の大きな上げ潮のなかで大会を迎えることを提案します。
国民要求実現、公約実践の活動を、あらゆる分野ですすめる
第一は、国民要求実現、公約実践の活動を、あらゆる分野ですすめることであります。国民の暮らしの「SOS」を受け止め、その苦難軽減の活動にとりくみましょう。暮らしと平和を守る国民運動を、あらゆる課題で前進させるために力をつくしましょう。
そのさい、自民党の支持基盤が大規模に崩壊するもとで、従来の保守層も含めて、これまでにない広範な人々との対話と共同の広大な条件が広がっていることをとらえ、そのすべてをくみつくす構えでのとりくみの発展をはかることが大切であります。
「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を新たな情勢のもとで発展させる
第二は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」を、新たな情勢のもとで発展させることであります。
「建設的野党」という立場と結びつけて党綱領を語る、新たな探求と発展をはかりましょう。国民要求にこたえて現実政治を前に動かす党の役割を語りながら、日本の政治の根本的変革のためには、「財界中心」「軍事同盟中心」という古い枠組みを打破し、「国民が主人公」の新しい日本にすすむことが不可欠になることを、新しい情勢のもとで新鮮に語っていきましょう。
参議院選挙にむけて、新たにすべての支部が「集い」を開き、100万人を超える規模をめざし、党大会までに最初の大きなうねりをつくりだそうではありませんか。
すべての支部で新たな党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者では前大会時を突破して大会を
第三は、党勢拡大の大きな上げ潮で大会を迎えることであります。
党員拡大は、全党的な努力で9月度も前進し、23カ月連続前進のなかで9中総を迎えました。大会後、新たな党員を迎えた支部は41・2%であります。大会にむけ、すべての党支部で新たな党員を迎えるとともに、すべての党組織が「政策と計画」「総合計画」で掲げた党員拡大目標を達成することをめざして奮闘しましょう。
この間の党の奮闘によって、党前進の条件を大きく広げてきた労働者と若い世代のなかでの党員拡大に、思い切って力をそそぐことを訴えます。また、11月下旬に全国大会を迎える民青同盟にたいする親身な援助を強めることをよびかけるものです。
読者拡大は、全国すべての都道府県、地区、支部が、参院選を、前回参院選の陣地を大きく上回ってたたかうことを展望して、党大会までに日刊紙読者を3万1791人以上、日曜版読者を15万269人以上増やし、前回党大会水準を突破することをよびかけます。前回党大会水準を突破すれば、全党的には前回参院選時比で日刊紙106・1%、日曜版106・4%となり、参院選を読者の大幅増でたたかう土台が築かれます。選挙後に読者を大きく減らし、それを取り戻せないままつぎの選挙を迎えるという悪循環を、今度こそ断ち切ろうではありませんか。読者を大きく増やして選挙に勝ち、選挙に勝った力でさらに読者を大きく増やすという、発展の循環に転じようではありませんか。
読者拡大は、機関紙の再発行、経常財政の維持、選挙闘争資金の保障など、党の基礎的財政の確立という面からも、なんとしても安定的前進の軌道にのせなければならない課題となっていることも強調しなければなりません。
みなさん。党大会にむけて党勢拡大の大きな上げ潮をつくれるかどうかを、参院選勝利の第一の関門と位置づけて全力をつくそうではありませんか。
全党員が参加する強く温かい党づくり ―― 「党生活確立の3原則」で大きな前進を
第四は、すべての党員が条件にそくして力を発揮し、党活動に参加する、強く、温かい党づくりにむけて、「党生活確立の3原則」――支部会議に参加する、「しんぶん赤旗」日刊紙を読む、党費を納める――で大きな前進をはかることであります。
とくに大会にむけて開かれる支部総会を、これらの党生活確立にむけた一大転機となるよう、支部への懇切丁寧な援助を強めることを訴えるものです。これまでさまざまな事情から党活動に参加できなかったすべての同志を、この機会に訪問し、実情を聞き、悩みや要望に耳を傾け、人間的な信頼のきずなをつくり、党活動に参加する手だてをとりきろうではありませんか。
党員の一人ひとりの生活や活動を、狭く党活動の当面の課題だけで見ずに、丸ごと見るならば、多くの同志は、国民とのさまざまな結びつきをもち、国民のなかの多様な諸団体のなかでのさまざまな活動に参加しているはずであります。それらのすべてに光をあて、党の活動のなかに位置づけ、みんなの力を結集する党活動をつくりあげようではありませんか。
「特別期間」の成功で、参院選勝利にむけた基礎的土台をつくろう
以上、四つの課題を提起しましたが、多くの国民が新しい政治への期待と探求を強めるもとで、これらの課題をやりきる客観的条件は大いにあります。
主体的条件という点でも、私たちは、第24回党大会期に、2回にわたる「職場講座」、「特別党学校」、雇用・社会保障・農業などでの新たな政策提起とたたかいの発展、青年・学生のなかでの活動の強化、野党外交の発展などにとりくみ、国民の期待や注目を広げてきました。これらの数々の新たな探究と努力を、党大会にむけた運動にすべて結実させようではありませんか。
「党躍進特別期間」を成功させ、参院選勝利にむけた基礎的土台を、党大会に向けてつくりあげることをよびかけて、幹部会を代表しての報告を終わります。
(出所:日本共産党HP 2009年10月15日(木)「しんぶん赤旗」)