貧困ビジネス宿泊所撤退へ
建設計画に住民から批判
東京・板橋
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東京都板橋区で、住居のない人の生活保護費から高額の入所費用を徴収する「無料低額宿泊所」の建設を計画していた特定非営利活動法人(NPO法人)やすらぎの里(中野区)が、住民の「貧困ビジネス」を批判する声などによって、建設計画からの撤退を表明していることが、20日までに分かりました。
やすらぎの里の宿泊所計画では、7平方メートルの部屋の入所費用が、月に家賃5万3700円(生活保護の住宅扶助上限額)、食費4万5000円もかかり、単身者世帯生活保護費約13万円の大半が徴収されます。(本紙10月11日付既報)
同法人が北区で運営する宿泊所を現地調査した住民からは、「ベニヤ板で仕切った3畳の部屋でこの費用は暴利だ」「人が人として住める施設ではない」と声が上がっていました。
16日夜に行われた住民説明会には、70人の住民が参加し、区からも福祉部管理課長と福祉事務所長が出席。「保護費をむしりとる貧困ビジネスは来るな」などの意見が相次ぎ、やすらぎの里側も「(住民協定を結べなければ開設できないという)区の要綱を守る」と答えていました。
板橋区福祉部管理課の担当者によると、19日、やすらぎの里側から電話で撤退の意向が示されたといいます。地域の住民で結成した「宿泊所」建築反対連絡会の会員が、20日、やすらぎの里に問い合わせたところ、「撤退する。21日にも、区役所へ書類で報告する。24日の次回説明会には出席しない」という回答でした。
この会員は、「貧困ビジネスを批判する世論が高まり、住民運動が急速に広がったことが業者を撤退に追い込んだと思います。悪質業者では入所者の人権は守られない。困っている人には、国と自治体が自立できるようサポートすべきです」と話しています。
同連絡会世話人代表は「日本に、ヨーロッパのような安定して働けるよう支援するシステムがないことが、一番の問題ではないでしょうか。法の不備を突いて、福祉をもうけの対象とするような事態がまかり通ることのないよう、公的支援で、社会的弱者を守ってほしい」と訴えました。
(出所:日本共産党HP 2009年10月21日(水)「しんぶん赤旗」)
貧困ビジネスに批判
住民ら「悪質業者来るな」
地元への説明を偽る
東京・板橋「無料」宿泊所計画
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生活困窮者を食い物にする「貧困ビジネス」が社会問題となるなか、東京都内で持ち上がった「無料低額宿泊所」の建設計画に、地域住民から「悪質業者は来るな」「国・自治体が責任をもって住まいを確保すべき」だと声が上がっています。(田代正則)
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問題となっているのは、特定非営利活動法人(NPO法人)やすらぎの里(中野区)が事業者となり、東京都板橋区で進められている宿泊所の建設計画。
入所費用は、月に家賃5万3700円(生活保護の住宅扶助上限額)、食費4万5000円で、単身者世帯生活保護費約13万円の大半を徴収するといいます。
やすらぎの里は当初、「3階建ての老人施設」を建てると近隣住民の一部に説明していましたが、途中で「5階建ての宿泊所」に変更。路上での立ち話や住民側からの問い合わせしか行われていないのに、板橋区には、区の要綱で定められた住民説明会を開いたと報告していました。
宿泊所の部屋数も、住民には、37室(1室14平方メートル)で1室1人と答え、区には81室(1室7平方メートル)の建設案を示すなど、住民に偽って建設計画をすすめていました。
住民たちは、「本当に社会的弱者を助けるなら、地元住民に説明し協力を求めるものでしょう。こそこそ建設を進めるのは信頼できない」と口々に話します。
同法人は06年にも、大田区で虚偽の開設目的を説明されたと怒った地域住民の反対運動にあい、宿泊所の開設が中止になっています。
建設予定地のすぐ近くに住む住民は、「住居のない人の支援は、民間丸投げにせず、国や自治体が責任をもってほしい。公営住宅の空き室を使ったり、民間アパートを借り上げて、自立して生活できるようにすべきではないでしょうか」と強調しました。
3畳、食費込み12万円余
都内劣悪「宿泊所」
東京都板橋区での無料低額宿泊所建設計画が問題になっているやすらぎの里は、隣の北区でも宿泊所を運営しています。
古い元ビジネスホテルの部屋をベニヤ板で3畳弱に仕切ったものでした。「異臭がひどく、衛生状態も疑問です。あんなに狭くて家賃5万3700円では“高額宿泊所”です」と話す人もいます。
日本共産党の金崎文子板橋区議が現地調査したところ、家賃5万3700円、食費4万5000円に加え、水光熱費1万5000円、日用品費9600円をあわせて、12万3300円を生活保護費から徴収していると分かりました。手元には、6000円そこそこしか残らないことになります。
しかも、北区の宿泊所は、民間団体「FIS」が運営していた施設で2008年4月から事業を行っていることも分かりました。FISは、劣悪な宿泊所運営で逃げ出す入所者も多く、徴収した入所費用から多額の使途不明金を出して問題となっています。
板橋区の要綱では、宿泊所を設置する場合、住民説明会を開き、住民と協定を結ばなければならないと定めており、区議会健康福祉委員会で10月6日、住民の提出した陳情の住民説明会の開催を求める項目が、全会一致で採択されました。
区の担当職員も「住民の理解が得られるまで、建設を見合わせるよう要請する」と答えました。
やすらぎの里の担当者は、宿泊所運営費用についての本紙の取材に対し、「プライベートなことなので、答える必要はない」と話しました。
宿泊所運営に乗り出す業者が増加する背景には、公的責任がおざなりにされている実態があります。
東京都内で生活保護法に基づき住宅扶助を行う「宿所提供施設」は、たった6施設491人分しかありません。
国民のたたかいで、自公前政権も重い腰をあげ、雇用と住居も失った人がアパート入居を果たすまでの臨時的住宅(シェルター)を自治体が確保する際の補助金を引き上げましたが、肝心の自治体が失業者の集中を恐れ、十分活用されないままになっています。
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無料低額宿泊所 社会福祉法で定められた第2種社会福祉事業で、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他施設を利用させる」とされています。入所者のほとんどが生活保護を受給しています。
(出所:日本共産党HP 2009年10月11日(日)「しんぶん赤旗」)
「無料低額」宿泊所告訴へ
元入居者「生活保護費横領解明を」
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生活保護受給者を対象にした無届け・無料低額宿泊所が社会問題となるなかで21日、宿泊所の元入居者2人が宿泊所を運営する団体の代表を相手取り、業務上横領や私文書偽造などが行われていたとして、今月28日までに刑事告訴すると発表しました。告訴されれば全国で初めてのケースとなります。
告訴するのは水谷正勝さん(61)と田川渥さん(64)。水谷さんは千葉市内で宿泊所を運営する「稲毛厚銀舎」、田川さんは千葉市内に本拠をおく任意団体「市民活動団体シナジーライフ」をそれぞれ告発します。
水谷さんは2006年11月ころ、東京都内で「稲毛厚銀舎」関係者に声をかけられ同行。翌日、水谷さんら約10人を千葉市稲毛区役所に連れて行き、本人の同意を得ないまま生活保護を申請したといいます。水谷さんに知らせないまま銀行口座を開設して、通帳・キャッシュカードを管理。入金される生活保護費約12万円のうち、水谷さんには3万円を手渡していました。
田川さんは昨年6月ころ、都内で「簡単に生活保護が認定される」と声をかけられ、千葉市内で生活保護を申請、民間アパートに入居しました。保護費約14万円のうち田川さんに手渡されたのは約2万円の現金と10キロの米だけだったといいます。
都内で記者会見した2人は、生活保護費が他に使われている構図を明らかにしたいと語りました。
また埼玉県川口市の宿泊所に入居していた50代の男性も告訴する予定といいます。
(出所:日本共産党HP 2009年10月22日(木)「しんぶん赤旗」)
建設計画に住民から批判
東京・板橋
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東京都板橋区で、住居のない人の生活保護費から高額の入所費用を徴収する「無料低額宿泊所」の建設を計画していた特定非営利活動法人(NPO法人)やすらぎの里(中野区)が、住民の「貧困ビジネス」を批判する声などによって、建設計画からの撤退を表明していることが、20日までに分かりました。
やすらぎの里の宿泊所計画では、7平方メートルの部屋の入所費用が、月に家賃5万3700円(生活保護の住宅扶助上限額)、食費4万5000円もかかり、単身者世帯生活保護費約13万円の大半が徴収されます。(本紙10月11日付既報)
同法人が北区で運営する宿泊所を現地調査した住民からは、「ベニヤ板で仕切った3畳の部屋でこの費用は暴利だ」「人が人として住める施設ではない」と声が上がっていました。
16日夜に行われた住民説明会には、70人の住民が参加し、区からも福祉部管理課長と福祉事務所長が出席。「保護費をむしりとる貧困ビジネスは来るな」などの意見が相次ぎ、やすらぎの里側も「(住民協定を結べなければ開設できないという)区の要綱を守る」と答えていました。
板橋区福祉部管理課の担当者によると、19日、やすらぎの里側から電話で撤退の意向が示されたといいます。地域の住民で結成した「宿泊所」建築反対連絡会の会員が、20日、やすらぎの里に問い合わせたところ、「撤退する。21日にも、区役所へ書類で報告する。24日の次回説明会には出席しない」という回答でした。
この会員は、「貧困ビジネスを批判する世論が高まり、住民運動が急速に広がったことが業者を撤退に追い込んだと思います。悪質業者では入所者の人権は守られない。困っている人には、国と自治体が自立できるようサポートすべきです」と話しています。
同連絡会世話人代表は「日本に、ヨーロッパのような安定して働けるよう支援するシステムがないことが、一番の問題ではないでしょうか。法の不備を突いて、福祉をもうけの対象とするような事態がまかり通ることのないよう、公的支援で、社会的弱者を守ってほしい」と訴えました。
(出所:日本共産党HP 2009年10月21日(水)「しんぶん赤旗」)
貧困ビジネスに批判
住民ら「悪質業者来るな」
地元への説明を偽る
東京・板橋「無料」宿泊所計画
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生活困窮者を食い物にする「貧困ビジネス」が社会問題となるなか、東京都内で持ち上がった「無料低額宿泊所」の建設計画に、地域住民から「悪質業者は来るな」「国・自治体が責任をもって住まいを確保すべき」だと声が上がっています。(田代正則)
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問題となっているのは、特定非営利活動法人(NPO法人)やすらぎの里(中野区)が事業者となり、東京都板橋区で進められている宿泊所の建設計画。
入所費用は、月に家賃5万3700円(生活保護の住宅扶助上限額)、食費4万5000円で、単身者世帯生活保護費約13万円の大半を徴収するといいます。
やすらぎの里は当初、「3階建ての老人施設」を建てると近隣住民の一部に説明していましたが、途中で「5階建ての宿泊所」に変更。路上での立ち話や住民側からの問い合わせしか行われていないのに、板橋区には、区の要綱で定められた住民説明会を開いたと報告していました。
宿泊所の部屋数も、住民には、37室(1室14平方メートル)で1室1人と答え、区には81室(1室7平方メートル)の建設案を示すなど、住民に偽って建設計画をすすめていました。
住民たちは、「本当に社会的弱者を助けるなら、地元住民に説明し協力を求めるものでしょう。こそこそ建設を進めるのは信頼できない」と口々に話します。
同法人は06年にも、大田区で虚偽の開設目的を説明されたと怒った地域住民の反対運動にあい、宿泊所の開設が中止になっています。
建設予定地のすぐ近くに住む住民は、「住居のない人の支援は、民間丸投げにせず、国や自治体が責任をもってほしい。公営住宅の空き室を使ったり、民間アパートを借り上げて、自立して生活できるようにすべきではないでしょうか」と強調しました。
3畳、食費込み12万円余
都内劣悪「宿泊所」
東京都板橋区での無料低額宿泊所建設計画が問題になっているやすらぎの里は、隣の北区でも宿泊所を運営しています。
古い元ビジネスホテルの部屋をベニヤ板で3畳弱に仕切ったものでした。「異臭がひどく、衛生状態も疑問です。あんなに狭くて家賃5万3700円では“高額宿泊所”です」と話す人もいます。
日本共産党の金崎文子板橋区議が現地調査したところ、家賃5万3700円、食費4万5000円に加え、水光熱費1万5000円、日用品費9600円をあわせて、12万3300円を生活保護費から徴収していると分かりました。手元には、6000円そこそこしか残らないことになります。
しかも、北区の宿泊所は、民間団体「FIS」が運営していた施設で2008年4月から事業を行っていることも分かりました。FISは、劣悪な宿泊所運営で逃げ出す入所者も多く、徴収した入所費用から多額の使途不明金を出して問題となっています。
板橋区の要綱では、宿泊所を設置する場合、住民説明会を開き、住民と協定を結ばなければならないと定めており、区議会健康福祉委員会で10月6日、住民の提出した陳情の住民説明会の開催を求める項目が、全会一致で採択されました。
区の担当職員も「住民の理解が得られるまで、建設を見合わせるよう要請する」と答えました。
やすらぎの里の担当者は、宿泊所運営費用についての本紙の取材に対し、「プライベートなことなので、答える必要はない」と話しました。
宿泊所運営に乗り出す業者が増加する背景には、公的責任がおざなりにされている実態があります。
東京都内で生活保護法に基づき住宅扶助を行う「宿所提供施設」は、たった6施設491人分しかありません。
国民のたたかいで、自公前政権も重い腰をあげ、雇用と住居も失った人がアパート入居を果たすまでの臨時的住宅(シェルター)を自治体が確保する際の補助金を引き上げましたが、肝心の自治体が失業者の集中を恐れ、十分活用されないままになっています。
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無料低額宿泊所 社会福祉法で定められた第2種社会福祉事業で、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他施設を利用させる」とされています。入所者のほとんどが生活保護を受給しています。
(出所:日本共産党HP 2009年10月11日(日)「しんぶん赤旗」)
「無料低額」宿泊所告訴へ
元入居者「生活保護費横領解明を」
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生活保護受給者を対象にした無届け・無料低額宿泊所が社会問題となるなかで21日、宿泊所の元入居者2人が宿泊所を運営する団体の代表を相手取り、業務上横領や私文書偽造などが行われていたとして、今月28日までに刑事告訴すると発表しました。告訴されれば全国で初めてのケースとなります。
告訴するのは水谷正勝さん(61)と田川渥さん(64)。水谷さんは千葉市内で宿泊所を運営する「稲毛厚銀舎」、田川さんは千葉市内に本拠をおく任意団体「市民活動団体シナジーライフ」をそれぞれ告発します。
水谷さんは2006年11月ころ、東京都内で「稲毛厚銀舎」関係者に声をかけられ同行。翌日、水谷さんら約10人を千葉市稲毛区役所に連れて行き、本人の同意を得ないまま生活保護を申請したといいます。水谷さんに知らせないまま銀行口座を開設して、通帳・キャッシュカードを管理。入金される生活保護費約12万円のうち、水谷さんには3万円を手渡していました。
田川さんは昨年6月ころ、都内で「簡単に生活保護が認定される」と声をかけられ、千葉市内で生活保護を申請、民間アパートに入居しました。保護費約14万円のうち田川さんに手渡されたのは約2万円の現金と10キロの米だけだったといいます。
都内で記者会見した2人は、生活保護費が他に使われている構図を明らかにしたいと語りました。
また埼玉県川口市の宿泊所に入居していた50代の男性も告訴する予定といいます。
(出所:日本共産党HP 2009年10月22日(木)「しんぶん赤旗」)