ゆうPRESS
労働組合の力で会社と交渉
残業代70万 支払わせた
パティシエだって労働者
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「ケーキを作るパティシエ(菓子職人)だって労働者」―。千葉県内のケーキ店で働いていた野田みのりさん(21)=仮名=。個人で加入できる労働組合の仲間とともに団体交渉をして70万円の不払い残業代を勝ち取りました。「生きててよかった、とやっと思えた」と振り返ります。(染矢ゆう子)
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3歳からの夢だったパティシエの仕事。兄の誕生日ケーキを作る母親の姿を見て、「誰かを幸せにするケーキをつくりたい」という夢がありました。
立ちっぱなし
しかし、実際に働き始めたお店は―。午前5時ごろから午後8時30分まで毎日14時間労働。午後3時、ひどいときは5時まで休憩はなく、何も食べられません。
1時間の休憩を除いて、ずっと立ちっぱなし。働きはじめてしばらくして右腕がしびれ始め、次第に両手がしびれるようになりました。
週に1日の休みはひたすら寝て過ごし、友人と会うことを避けました。会ってグチを話したら、「職場に行けなくなってしまうのが怖かった」からです。
一年で最も忙しいクリスマスを過ぎた昨年12月29日の朝、みのりさんに合わせて毎朝、午前4時30分に起きてくれていた母親が「休みな」と声をかけてくれました。母親の言葉に涙があふれました。
結成時から加入していた労働組合、千葉青年ユニオンの神部紅委員長(日本民主青年同盟千葉県委員長)に「やめたいんだけど、どうしたらいい?」とメールを送りました。
高校生のときから相談相手だった神部さんは、その日のうちに来てくれました。「彼女は『私がやめたらほかの人に迷惑がかかる』っていうんです。優しいですよね。どんな働き方をしてるのか聞くと有給休暇がないとか残業代不払いなど違法がたくさんある。『会社と交渉してみない』と相談したんです」(神部さん)
「大変だね」で終わらない。「ではどうするか」それが組合
9カ月で80万
昨年4月から9カ月間の不払いの残業代を計算すると80万円を超えました。
「これまでの手取りは残業代が1万円ついて月12万円。自分がどれだけ損していたか、知りました。団体交渉は組合員が1人であっても申し込めて、会社は拒否できないことも知らなかった」とみのりさん。
初めての団交を会社に申し込みました。最初は「法律を守るとお店がつぶれてしまう」といっていた会社も、団交を重ねるなかで問題を認め、残業代を70万円払うことで合意しました。
「団体交渉の中で、自分の働き方を法律にもとづいて見つめなおせた」とみのりさん。
「働き始める前に、労働者は労働基準法などでこんなに守られています、と教えてほしい。友達との話だと『大変だね、おたがい』で終わる。ユニオン(労働組合)の仲間と話したら、『じゃあどうするか』となる。働き始めたらユニオンですね」
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美容師や調理師も
パティシエだけでなく、美容師、調理師など、「修行」と称した師弟制度がつよい業界でも、労働組合の要求で残業代が次々支払われています。
大手美容室チェーンの「Ash(アッシュ)」では、一人の勇気ある訴えで338人の全従業員に対して約4800万円の残業代が支払われました。ちゃんこ鍋店「Chanko Dining 若」の元社員が訴えていた裁判では、6人に約2600万円の支払いを命じる判決を京都地裁が出しました。
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労働者の酷使は業界にも会社にも損失ですよ
ある日の団交ダイジェスト
社長 この業界って言うのは、修行を目的とした業界。本人にも採用の時に伝えて、同意納得のうえで就労してもらっている。残業代として出せる額は、月2万円程度。
組合 労働基準監督署にいえば、すぐ労基署は踏み込んで、不払いの賃金支払い命令が下されるはず。労働者を1日8時間、1週間に40時間以上働かせてはいけないってのは、労働基準法で強制的なしばりがあるんです。
社長 みたいですね。すごいですね。労働基準法って。ただこの業界も長い歴史があるんで、(労働基準法には)疑問です。
組合 パティシエをめざし夢をもって入ってきた人たちが体を壊してやめていくのは、業界にとっても、企業にとっても損失。労働基準法はそういう社会をつくらないためにできた最低限のルールです。
社長 この業界では技術をもった段階で給料が上がる。何もできない人に払えない。
組合 会社は人を育てる義務があります。
社長 ずっと勤めてくれるのかもわからない。ほとんどの人がドロップアウトする。
組合 やっぱり過密労働、長時間労働だからじゃないですか? 長年そういう働き方を強いてきたら企業そのものが地域で成り立たなくなりますよ。
派遣切り寸前 正社員に
労組の支援受けた2人
KBS京都カメラマン
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京都の地方放送局・KBS京都に派遣されていた報道カメラマン2人が、9月末で「派遣切り」される寸前に、KBSへの正社員化を勝ち取りました。
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2人は、民放労連・京都放送労働組合(KBS労組)に加わる女性(31)と、男性(29)。それぞれ04年3月と08年5月から、派遣元のKBS関係会社からKBSに派遣されていました。
KBS労組は今年3月から、3年以上派遣で働かせている問題などを指摘し直接雇用を求めてきましたが、KBSは拒否してきました。交渉のさなかの8月、派遣元のKBS関係会社が突然、事実上の倒産を発表し、9月末で2人は解雇されることになりました。
KBS労組は直後に、ストライキ権を確立するためのスト権投票を行い約8割の組合員が支持。労組が支援の輪を広げるなか、KBSは24日の団体交渉で、10月1日付で正社員として直接雇用すると回答しました。
正社員化が決まり、スーツ姿で面接に向かう2人に、すれ違う社員から「おめでとう」「がんばろな」と次つぎ祝福の声がかかっていました。
2人は「とてもうれしい。いつ仕事がなくなるかと、つねに不安でした。組合の活動がなければ、ここで働き続けられなかった」「まだ信じられない気分です。組合でたたかってよかった」と喜びを語っています。
KBS労組の古住公義副委員長は、「派遣切りから一気に正社員化されたのは全国でも異例だ。格差と貧困の解決をめざす社会的な運動が高まるなかで、勝ち取った成果だ」と話しています。
(出所:日本共産党HP 2009年9月28日(月)「しんぶん赤旗」)
労組入りたい67%
“権利守る”“助け合える”
大学生
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労働総研アンケート
労働運動総合研究所と同若手研究者研究会は1日、大学生の労働組合観に関するアンケート調査の結果を発表しました。ことし2月時点で大学生の3分の2が「労組に加入したい」と答えるなど、学生のなかに労組への共感が高まっていることがわかりました。
アンケートは、首都圏や静岡、群馬、新潟で、研究会メンバーが自らの講義中、1~2月に1~4年の大学生610人から集め、新年度の4月に新入生593人から回収しました。
労働組合を「必要だ」とする項目に、「そう思う」「ややそう思う」と肯定したのは、大学生の57・2%、新入生の68・5%でした。
一方、「ダサい」「怖い」「迷惑だ」というマイナスイメージに対し、7~8割の大学生・新入生が「そう思わない」「あまりそう思わない」と否定しました。
「就職後に労働組合に加入したいと思いますか」と聞いたところ、「ぜひ加入したい」「必要に迫られたら」という大学生が67・3%。就職がまだ差し迫っていない新入生は44%でした。
加入に前向きな学生は、「自分たちの権利を守りたい」「労働条件などの改善に向けて団結していけそう」「助け合える組織が必要だ」と労働者の権利や団結・連帯を理由に挙げました。
記者会見で、全労連の伊藤圭一調査局長は、「一時期、若者の組合離れといわれたが、多くの学生が必要と認識していることが分かった。これから、どんどん若者に接近していきたい」と述べました。
(出所:日本共産党HP 2009年10月2日(金)「しんぶん赤旗」)
労働組合の力で会社と交渉
残業代70万 支払わせた
パティシエだって労働者
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「ケーキを作るパティシエ(菓子職人)だって労働者」―。千葉県内のケーキ店で働いていた野田みのりさん(21)=仮名=。個人で加入できる労働組合の仲間とともに団体交渉をして70万円の不払い残業代を勝ち取りました。「生きててよかった、とやっと思えた」と振り返ります。(染矢ゆう子)
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3歳からの夢だったパティシエの仕事。兄の誕生日ケーキを作る母親の姿を見て、「誰かを幸せにするケーキをつくりたい」という夢がありました。
立ちっぱなし
しかし、実際に働き始めたお店は―。午前5時ごろから午後8時30分まで毎日14時間労働。午後3時、ひどいときは5時まで休憩はなく、何も食べられません。
1時間の休憩を除いて、ずっと立ちっぱなし。働きはじめてしばらくして右腕がしびれ始め、次第に両手がしびれるようになりました。
週に1日の休みはひたすら寝て過ごし、友人と会うことを避けました。会ってグチを話したら、「職場に行けなくなってしまうのが怖かった」からです。
一年で最も忙しいクリスマスを過ぎた昨年12月29日の朝、みのりさんに合わせて毎朝、午前4時30分に起きてくれていた母親が「休みな」と声をかけてくれました。母親の言葉に涙があふれました。
結成時から加入していた労働組合、千葉青年ユニオンの神部紅委員長(日本民主青年同盟千葉県委員長)に「やめたいんだけど、どうしたらいい?」とメールを送りました。
高校生のときから相談相手だった神部さんは、その日のうちに来てくれました。「彼女は『私がやめたらほかの人に迷惑がかかる』っていうんです。優しいですよね。どんな働き方をしてるのか聞くと有給休暇がないとか残業代不払いなど違法がたくさんある。『会社と交渉してみない』と相談したんです」(神部さん)
「大変だね」で終わらない。「ではどうするか」それが組合
9カ月で80万
昨年4月から9カ月間の不払いの残業代を計算すると80万円を超えました。
「これまでの手取りは残業代が1万円ついて月12万円。自分がどれだけ損していたか、知りました。団体交渉は組合員が1人であっても申し込めて、会社は拒否できないことも知らなかった」とみのりさん。
初めての団交を会社に申し込みました。最初は「法律を守るとお店がつぶれてしまう」といっていた会社も、団交を重ねるなかで問題を認め、残業代を70万円払うことで合意しました。
「団体交渉の中で、自分の働き方を法律にもとづいて見つめなおせた」とみのりさん。
「働き始める前に、労働者は労働基準法などでこんなに守られています、と教えてほしい。友達との話だと『大変だね、おたがい』で終わる。ユニオン(労働組合)の仲間と話したら、『じゃあどうするか』となる。働き始めたらユニオンですね」
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美容師や調理師も
パティシエだけでなく、美容師、調理師など、「修行」と称した師弟制度がつよい業界でも、労働組合の要求で残業代が次々支払われています。
大手美容室チェーンの「Ash(アッシュ)」では、一人の勇気ある訴えで338人の全従業員に対して約4800万円の残業代が支払われました。ちゃんこ鍋店「Chanko Dining 若」の元社員が訴えていた裁判では、6人に約2600万円の支払いを命じる判決を京都地裁が出しました。
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労働者の酷使は業界にも会社にも損失ですよ
ある日の団交ダイジェスト
社長 この業界って言うのは、修行を目的とした業界。本人にも採用の時に伝えて、同意納得のうえで就労してもらっている。残業代として出せる額は、月2万円程度。
組合 労働基準監督署にいえば、すぐ労基署は踏み込んで、不払いの賃金支払い命令が下されるはず。労働者を1日8時間、1週間に40時間以上働かせてはいけないってのは、労働基準法で強制的なしばりがあるんです。
社長 みたいですね。すごいですね。労働基準法って。ただこの業界も長い歴史があるんで、(労働基準法には)疑問です。
組合 パティシエをめざし夢をもって入ってきた人たちが体を壊してやめていくのは、業界にとっても、企業にとっても損失。労働基準法はそういう社会をつくらないためにできた最低限のルールです。
社長 この業界では技術をもった段階で給料が上がる。何もできない人に払えない。
組合 会社は人を育てる義務があります。
社長 ずっと勤めてくれるのかもわからない。ほとんどの人がドロップアウトする。
組合 やっぱり過密労働、長時間労働だからじゃないですか? 長年そういう働き方を強いてきたら企業そのものが地域で成り立たなくなりますよ。
派遣切り寸前 正社員に
労組の支援受けた2人
KBS京都カメラマン
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京都の地方放送局・KBS京都に派遣されていた報道カメラマン2人が、9月末で「派遣切り」される寸前に、KBSへの正社員化を勝ち取りました。
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2人は、民放労連・京都放送労働組合(KBS労組)に加わる女性(31)と、男性(29)。それぞれ04年3月と08年5月から、派遣元のKBS関係会社からKBSに派遣されていました。
KBS労組は今年3月から、3年以上派遣で働かせている問題などを指摘し直接雇用を求めてきましたが、KBSは拒否してきました。交渉のさなかの8月、派遣元のKBS関係会社が突然、事実上の倒産を発表し、9月末で2人は解雇されることになりました。
KBS労組は直後に、ストライキ権を確立するためのスト権投票を行い約8割の組合員が支持。労組が支援の輪を広げるなか、KBSは24日の団体交渉で、10月1日付で正社員として直接雇用すると回答しました。
正社員化が決まり、スーツ姿で面接に向かう2人に、すれ違う社員から「おめでとう」「がんばろな」と次つぎ祝福の声がかかっていました。
2人は「とてもうれしい。いつ仕事がなくなるかと、つねに不安でした。組合の活動がなければ、ここで働き続けられなかった」「まだ信じられない気分です。組合でたたかってよかった」と喜びを語っています。
KBS労組の古住公義副委員長は、「派遣切りから一気に正社員化されたのは全国でも異例だ。格差と貧困の解決をめざす社会的な運動が高まるなかで、勝ち取った成果だ」と話しています。
(出所:日本共産党HP 2009年9月28日(月)「しんぶん赤旗」)
労組入りたい67%
“権利守る”“助け合える”
大学生
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労働総研アンケート
労働運動総合研究所と同若手研究者研究会は1日、大学生の労働組合観に関するアンケート調査の結果を発表しました。ことし2月時点で大学生の3分の2が「労組に加入したい」と答えるなど、学生のなかに労組への共感が高まっていることがわかりました。
アンケートは、首都圏や静岡、群馬、新潟で、研究会メンバーが自らの講義中、1~2月に1~4年の大学生610人から集め、新年度の4月に新入生593人から回収しました。
労働組合を「必要だ」とする項目に、「そう思う」「ややそう思う」と肯定したのは、大学生の57・2%、新入生の68・5%でした。
一方、「ダサい」「怖い」「迷惑だ」というマイナスイメージに対し、7~8割の大学生・新入生が「そう思わない」「あまりそう思わない」と否定しました。
「就職後に労働組合に加入したいと思いますか」と聞いたところ、「ぜひ加入したい」「必要に迫られたら」という大学生が67・3%。就職がまだ差し迫っていない新入生は44%でした。
加入に前向きな学生は、「自分たちの権利を守りたい」「労働条件などの改善に向けて団結していけそう」「助け合える組織が必要だ」と労働者の権利や団結・連帯を理由に挙げました。
記者会見で、全労連の伊藤圭一調査局長は、「一時期、若者の組合離れといわれたが、多くの学生が必要と認識していることが分かった。これから、どんどん若者に接近していきたい」と述べました。
(出所:日本共産党HP 2009年10月2日(金)「しんぶん赤旗」)