私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

巨悪アメリカ:海坊主さんにお答えする

2013-05-08 20:37:29 | æ—¥è¨˜ãƒ»ã‚¨ãƒƒã‚»ã‚¤ãƒ»ã‚³ãƒ©ãƒ 
 いまリチャード・バーンシュタインの『Radical Evil』(2002年)という本を読みかけています。このタイトルは「根本悪」とでも訳せばよいのでしょうか。本書の終章第三章では「アウシュヴィッツ後(AFTER AUSCHWITZ)」でレヴィナス、ヨナス、アレントの三人をめぐる議論が展開されています。この三つの名を見ただけで私の気は重くなります。この本は大きく乗り越えられなくてはなりますまい。しかし、よく読んでから私の考えを書き付けます。いま直ぐに言えることは、現前する圧倒的巨悪は米国とイスラエルの共同体だということです。これはノーム・チョムスキーが随分前から声をからして我々に告げていることですが、人々は、とくに日本人はあまり聞く耳を持たないようです。
 4月13日の当ブログ『再び北朝鮮のこと』に対して、海坊主さんから、“ついにイスラエルがシリアを空爆してしまいました。Youtubeを見るとキノコ雲のような爆風も・・・”というコメントを頂きました。シンボリックにはこれは極めて重大な事件です。イスラエル政府は、これはイスラエルを防衛するための行為だと言い、オバマは「自国を守る権利はどの国にもある」としてイスラエル支持を表明していますが、北朝鮮も自国を守るために自らに可能な手段を用いることを認めようとは絶対にしません。北朝鮮が米国を“挑発する”理由は何もありません。何とか自国を守りたいという必死の思いがあるだけです。
米国は実に恐るべき国です。最悪最大のテロ国家、最悪最大のフェイルド・ステイト(failed state)です。
 イスラエル/アメリカはシリアがイスラエルをミサイル攻撃したという報道を流しています。イスラエル領内に数弾着地したが、人的損害は無かったそうです。シリア国内の反政府軍傭兵に命じて八百長をしたのだろうと思います。危なくない所を狙って数発ミサイルを打ち込ませて、それをシリア政府軍がやったように見せかけたのでしょう。しかし、インチキの作り話がばれかけることもあります。「シリア政府軍が化学兵器(サリンガス)を使用した」ことを米国は反政府勢力の全面的支援に踏み切る口実に使用しようとしていますが、毒ガス使用の問題を調査している国連の調査団の内部から、サリンは罪をアサド政府になすり付ける目的で、反政府傭兵側が使用したことを示唆する強い証拠があるという声が上がりました。発言者はスイスの有名な肝っ玉おばさん Carla del Ponte です。この人はルワンダのカガメ大統領の悪業を暴きかけたために米国のその筋の不興を買い、命を狙われたことがあります。この人、いつ消されるかわかりません。

藤永 茂 (2013年5月8日)



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FBに載せさせていただきます。力強い発言に感謝い... (kenshin)
2013-05-09 07:29:35
FBに載せさせていただきます。力強い発言に感謝いたします。
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藤永先生、大変恐縮です。北朝鮮の置かれている立... (海坊主)
2013-05-10 00:22:02
藤永先生、大変恐縮です。北朝鮮の置かれている立場は私もそう思います。北朝鮮は生き抜くので精一杯であるのに対して、アメリカはそれを自国の利益のために利用している、と私は思うのです。

さて、何故イスラエルはシリアを空爆することになったのでしょうか。私なりにいろいろと考えてみました。間違っているかもしれません。その時はご指摘下さい。
シリアは天然ガスの産出国のイランからイラク、シリアを繋ぐパイプライン、いわゆる「イスラム・パイプライン」の建設契約をイランと締結していたと言います。このパイプラインを通して、イラン産の天然ガスがヨーロッパへ輸出される、という計画でした。それは2011年1月のことです。ヨーロッパのエネルギー政策にイスラムが関わる、という画期的なことでした。その後、不運にも発生したのが東日本大震災、そして福島第一原発事故、いわゆる311でした。原発由来の放射性汚染物質の問題が世界的に深刻となるなか、主にドイツを中心とする脱原発の気運がヨーロッパで芽生えました。折しもドイツではロシアから天然ガスを輸入するルート、「ノルド・ストリーム」が2012年に完成する予定でした。これが本格的に始動するとヨーロッパのエネルギー政策がロシアにコントロール下に置かれる状況が成立する可能性が高いと考えられました。

藤永先生はイスラエルとアメリカは共同体と称されましたが、私はイスラエルはヨーロッパに対するアメリカの橋頭堡として存在していると考えるようになりました。つまり、ヨーロッパに対する脅威としてイスラエルは存在する意義がある、ということです。
さて、2009年にイスラエルに天然ガス田が発見されますと、イスラエルはヨーロッパへのエネルギー供給国としてロシアの地位を脅かそうとします。そしてイスラエルからヨーロッパに向かう天然ガスのパイプラインが着々と計画されていきます。経由地のキプロスは近郊海域に豊富な天然ガス田が存在するそうで、金融危機を引き金にエコノミックヒットマンよろしくIMFの介入を引き起こそうとしますが、EUはこれを強硬に反発しました。キプロスの先にはギリシャがあります。こちらは既に金融危機を迎えてしまいました。もし、アメリカの計画通りに進めばイスラエルーキプロスーギリシアを経由してヨーロッパにイスラエル産の天然ガスが供給されることになるのではないでしょうか。これは原子力発電によって電力をヨーロッパに輸出しているフランスにとって大きな脅威です。
ご承知のとおりドイツとイタリアは第二次世界大戦の敗戦国です。このためドイツとイタリアには今でも米軍が駐留しています。この状況は日本と変わりません。ドイツに対しては駐留米軍の存在が脱原発の流れとエネルギー源の輸入元の変更に影響したのではないかと私は思っています。

長々と述べましたが、イスラエルが何故シリアを排除したいのは311以後のヨーロッパのエネルギー政策を米国がコントロールし、同時にイラン、ロシアを孤立させたいという意図があったからではないかと私は思うのです。

藤永先生が述べたように、本当に、米国は世界最大最強の失敗国家です。
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イスラエルのシリア空爆について、なぜか中国の反... (Unknown)
2013-05-10 18:34:14
イスラエルのシリア空爆について、なぜか中国の反応がいつもより鈍く思えました。丁度イスラエル首相の訪中と時期が重なったためでしょうか。イスラエルとの経済協力を重視してイスラエルに対する批判を控えたように思えてなりません。
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「マスコミに載らない海外記事」に投稿したコメン... (海坊主)
2013-06-05 22:07:51
「マスコミに載らない海外記事」に投稿したコメントを一部転載することをご容赦下さい。

===転載はじめ

5月31日付のワールド・トリビューン紙の記事によれば、NATOは報告書で、シリア人の70%が現下のシリア国家とアサド大統領を支持、20%が中立姿勢を示し、反体制武装勢力を支持するのは10%だけであることを明らかにした、そうです。

http://www.worldtribune.com/2013/05/31/nato-data-assad-winning-the-war-for-syrians-hearts-and-minds/

===転載終わり(一部改変)

国民の大多数が支持を表明しているシリア政府とアサド大統領に攻撃を加え、国家転覆を目論む反体制武装勢力に支援を続ける海外勢力の厚顔無恥さに辟易とさせられます。
NATO報告書がNATOの行動根拠となるならば、正当な国家を支援するのが道理です。
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日本はエネルギー輸出国です、「OHMASA-GAS」世界... (ひかる)
2013-06-28 08:41:11
日本はエネルギー輸出国です、「OHMASA-GAS」世界特許、発明者大政龍晋工学博士、東京工大原子力所長有富正憲教授(特許論文)爆発しない1リットルから2万リットルの出力原料は「水」放射能放射線99、9%無害化実証済み、世界の難解物質は無害化可能です、日本には岡山大学「酸化鉄グリーンフェライト技術」、リンナイ「エンジン技術」、シャープ電池等数え切れない程のクリーン技術が存在しています!!
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