私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

パレスチナは自由になるだろう。Palestine will be free.

2024-03-10 16:12:46 | æ—¥è¨˜
以前から、私はインドのArundhati Roy ã®å¤§ãƒ•ã‚¡ãƒ³ã§ã™ã€‚ガザ紛争についての彼女の発言を翻訳します:


**********(翻訳始め)

西側世界で最も裕福で最も強力な国々、自らが現代世界の民主主義と人権への献身の炎の守護者だと信じている国々は、ガザでのイスラエルの大量虐殺に公然と資金を提供し、是認を表明している。ガザ地区は強制収容所と化してしまった。まだ殺されていない人々は餓死に瀕している。ガザのほぼ全人口が避難を余儀なくされている。彼らの家、病院、大学、博物館、あらゆる種類のインフラは瓦礫と化した。彼らの子供たちは殺害された。彼らの過去は蒸発してしまった。彼らの行末は見通し難い。

世界の最高の裁判所が、ほぼすべての指標が大量虐殺の法的定義を満たしていると考えているにもかかわらず、イスラエル国防軍兵士たちは、ほとんど悪魔の儀式のように見える行為を寿ぐ嘲笑的な「勝利ビデオ」を公開し続けている。彼らは、この世には自分たちの責任を問う権力は存在しないと信じている。しかし、彼らは間違っているのだ。彼らと彼らの子供たちは、自分たちがした悪行の亡霊に取り憑かれることになるだろう。彼らは、世界が彼らに対して感じている嫌悪感と憎悪感を抱えて生きなければならないだろう。そして、いつの日か、この紛争のどちらの側を問わず、戦争犯罪を犯した者が裁判にかけられ、罰せられることを願う。しかし、アパルトヘイトや占領に抵抗することで犯された犯罪と、アパルトヘイトや占領を強制するで犯された犯罪との間には同等性がないことを、絶えず、忘れないようにしよう。

言うまでもなく、人種差別はあらゆる虐殺行為の要の石である。かつてナチスがユダヤ人の人間性を剥奪したのと同様に、イスラエル国家の最高幹部らのレトリックは、イスラエルが建国されて以来、パレスチナ人の人間性を剥奪し、害獣や昆虫に喩えてきた。あたかも邪悪な血清は決して消えず、今はただ再循環されているかのようだ。「Never Again」という力強いスローガンから「Never」が取り除かれてしまった。そして私たちに残るのは「(Again)また」だけである。

Never AgainであるべきものがAgainになってしまった。

世界で最も裕福で最も強力な国の国家元首であるジョー・バイデン大統領は、米国の資金提供がなければイスラエルは存在し得ないだろうに、イスラエルの前では無力である。まるで扶養されている側が扶養する側を好き勝手に引き回しているようなものだ。見ていると確かにそうなっている。 ã‚¸ãƒ§ãƒ¼ãƒ»ãƒã‚¤ãƒ‡ãƒ³ã¯è€ã„ぼれた子供のようにカメラに映り、アイスクリーム・コーンをなめながら停戦についてもぐもぐ何やらつぶやいているが、イスラエル政府と軍当局者は公然と彼に盾付き、自分たちが始めたことを終わらせると誓っている。自分たちの名においてこの虐殺に反対する何百万ものアメリカの若者の票の流出を阻止するために、カマラ・ハリス米国副大統領は停戦を呼びかける任務を背負わされているが、その間にも、大量虐殺を可能にする億超の米ドルが注入され続けている。

そして我々インドの国はどうしているか?

我が国の首相がベンヤミン・ネタニヤフの親しい友人であることはよく知られており、彼の同情がどこにあるかに疑問の余地はない。インドはもはやパレスチナの友人ではない。爆撃が始まると、何千人ものモディ支持者が、民主党支持者として、ソーシャルメディア上にイスラエル国旗を掲げた。彼らはイスラエルとイスラエル国防軍に代わって最も卑劣な偽情報の拡散に協力した。インド政府は現在、より中立的な立場へと後退したが、我々の外交政策の見事な所は、我々が同時にどんな側に立つことをやってのける事であり、ジェノサイドに賛成したり、反対したりすることもやってのけるということだ。しかし、インド政府は、次のことを明確に示している、つまり、いかなる親パレスチナ抗議活動参加者に対しても断固として抑圧行動に出ることを明確にしている。

そして今、イスラエルの大量虐殺を支援するために、米国はそれが豊富な余剰を持っているもの、つまり、武器や資金を輸出する一方で、インドは我が国が豊富に余剰を持っているもの、つまり、イスラエル国内で労働許可を与えられなくなるパレスチナ人労働者に代わるものとして、失業中のインド貧困層を輸出している。それはどのような人々か。(その中にはイスラム教徒は居ないと私は推測する。)戦争地帯で生命の危険を曝すことをも厭わない人々。インド人に対するイスラエル人の剥き出しの人種差別も我慢しようと思うほど追い詰められている人々。こうした事は、その気があれば、SNSで見る事が出来る。米国の金とインドの貧困が組み合わさってイスラエルの大量虐殺戦争機構の潤滑油になっているのだ。何という恐ろしい、思考を絶した、恥辱であることか。

パレスチナ人は世界で最も強大な国々と対峙し、同盟国からも事実上孤立させられ、計り知れない苦しみを味わっている。しかし、彼らはこの戦争に勝利を収めているのだ。彼ら、ジャーナリスト、医師、救助チーム、詩人、学者、広報担当者、さらには子供たちさえも、世界の他の人々にインスピレーションを与える勇気と尊厳を持って行動してきた。西側世界の若い世代、特に米国の若いユダヤ人の新世代は、洗脳とプロパガンダを看破しており、アパルトヘイトと大量虐殺の真相を認識している。西側世界で最も強力な国の政府は、その尊厳を失い、彼らが持っていたかもしれない尊敬を、またしても、失った。一方、ヨーロッパとアメリカの路上に繰り出した何百万人もの抗議者たちは、世界の未来への希望である。

パレスチナは自由になるだろう。

**********(翻訳終わり)

アルンダティ・ロイさんはみなさんご存知でしょう。ブッカー賞を受賞した彼女の処女作『小さきものたちの神』を私も愛読しました。

ところで、最近、私は、もう一人、素晴らしい女性を“発見”しました。国際政治通の人々から笑われる事になりましょうが、私のような日本の一般の庶民には耳新しい名前でしょう。ナレディ・パンドール(Naledi Pandor),現職は南アフリカ共和国・国際関係・協力大臣、70歳です。ハーバード大学で学んだ経験もあるこの女性は、今、イスラエルによって暗殺される危険に曝されています。次の機会にお話しします。


藤永茂(2024年3月10日)