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まじいなぁ~  ・・・ No14
- 2017/12/17(Sun) -
Chrome で書いています。



 禁煙のハズの部屋で、デュポンで火をつけたメンソールを吹かしていると、テーブルの上に置いていた携帯が歌い出した。
 ♩~
 木下さんからだった。 壁掛け時計に目をやると2時を少し前だった。

「新宿駅に着きました?」 バカラの灰皿に煙草を押しつけながら尋ねた
「ええ、今、南口に出ました」
「南口ですか・・・会社は西口なんですが、近いですからTAXIで都庁の向かい側の中央公園までと、伝えて下さい。 そこで待っていますから」 
「都庁の向かいの中央公園ですね、分かりました。 ではTAXIを拾って行きます」
「公園の入り口で立っていますから、直ぐに分かると思いますから」
「宜しくお願いします、では」
「お待ちしてます」

 多分10分もかからないだろう。 背広を着込み、部屋がタバコ臭い!と、いつもサチに言われるので、ミミに灰皿を渡して早足で部屋を出た。 1階のロビーフロアーで受け付け係を無視して外へ向かう。 出口のコンビニでタバコを一箱買い込み、火をつけて公園へ歩き出した。 目の前の赤信号を横目で、こちらへ向かうTAXIを探したみたが、見当たらない。 くわえ煙草でデニーズを通り過ぎ、ハイヤットリージェンシーと平行に公園の入り口を目指す。 陸橋の下を通り抜け、公園入り口のガードルに腰をかけてタバコを足元でもみ消した。

 ここならTAXIもUターンが出来る信号機がある。 彼が乗ったTAXIを見逃すこともないだろう。 正面にハイヤット、右手前が都庁なので、公園入り口までTAXIで来ると、ここの信号で必ず一時停止をする交差点だった。 空を眺めていると低い雲の間に数カ所の青空が見え隠れしていた。

 二本目のタバコに火をつけようと、うつむき加減で左手を右手のデュポンに被せると、いきなり大型の観光バスが目の前で停まった。 回送待ちの観光バスが停まりやがった。 このままでは彼の乗ったTAXIを探せないので、渋々と立ち上がって交差点が見渡せる場所まで移動した。 二本目のタバコを吸い終わり、公園入り口の信号機が青色に変わった時、オレンジ色のTAXIが交差点でUターンをしようとしていた。 客は男1人、彼だろうと、直感した。

 青信号でUターンをして観光バズの後ろで停まった。 TAXIの中で料金を支払い、軽い会釈をした彼が俺の方へと歩いてきた。

「めめさん・・ですか」 手土産の紙袋をぶらさげた長身で細身な彼がゆっくりと話しかけた
「ええ、めめです」
「わざわざ申し訳ありませんです」
「取りあえず、少し話しましょう。 会社が直ぐそこなんで行きましょう」
「有り難う御座います」

 長身で細身なおっさんだが、100%のカタギには見えなかった。 大工の棟梁(とうりょう)や現場監督の様な、仕切りや的な雰囲気が感じられた。 まぁ~、やんちゃなオヤジとでも言おうか、通常のサラリーマンあがりには感じられなかった。
 知り合いでもある拘留中のタエちゃんからの頼みで1度、在留ビザの書き換えの手続きをしてやったのだが、合うのは初めてだった。 勿論、彼は俺がビザの更新手続きをしてやった事など知らないだろうし、気にもとめないタイプの人間に見えた。

「今回の件は、警察から何も連絡が無かったんですか?」 歩きながら尋ねてみた
「全く、何も知らされてないんですよ」
「不思議ですね・・・。 普通なら真っ先に旦那さんの所へ連絡が入るハズなんですけどね」
「ええ、事件の事はめめさんから電話をもらうまで、全然知りませんでした」
「ですか・・・」
「ニュースでも新聞でも書かれれば、誰かからでも連絡でもあると思うんですがね・・金沢ではニュースにならなかったんですかね」
「ですね・・・。 ただ、東京のTVのニュースでは随分と流れてましたよ、昨日から」
「そうなんですか。 金沢では全く気が付きませんでした」

 5分ほど歩いて会社へ着いた。 早足なら2分で到着する距離だが、ワザとゆっくりと歩きながら会話をして、彼からの情報を聞いてみたのだった。

「会社って、ここですか?」
「ええ」
「外車屋さんですか?」 BMW(べー エム べー)のショールームを覗き込んだ
「いえ、1階は外車のショールームとファミリーレストランが入ってますが、会社は上の階です」
「へえ~」 緑色のビルをしげしげと見渡していた

「取りあえず、上に行きましょう」
「はい」 何屋だここは?と言う表情でビルをまだ見上げていた

会社のロビーへ入ると左側奥の受付嬢が2人、立ち上がって頭をさげた。 だから・・・恥ずかしいから止めろと、社長へは何度も伝えていた。 彼の細い目が丸くなって驚いた。 右手を軽くあげて「とっとと会釈は止めろ」と2人の受付嬢へ合図をした。

「ここ会社って、めめさん、社長さんじゃないですよね」 身をよじって聞いてきた
「あ~違いますよ。 たまたま受付の娘の友達なんで、挨拶してくれたんですよ」
「そ~ですか・・・」

 立って会釈をしたままの受付を無視してエレベーターホールへ向かった。 エレベーターを待つ間も彼は、ロビーを珍しそうにあちらこちら見ていた。 エレベーターが到着して4~5人ほど降りてきたが、運良く、内の会社の社員ではなかった。
 
 26階を押す。 ロビーフロアーのエレベーターは低層階用に4機、高層階用に4機、非常用に1機と数だけでもかなり多い。 エレベーターホールを中央に、左右のフロアーに分かれていて、片側のフロアーは約155坪、510㎡ほどある広さだ。 まぁ~金沢から出てきたおっさんなら、驚く広さなのかも知れないが・・・。 

 26階でエレベーターが開いた。 途中2度ほど途中階に駐まったが、挨拶をされた社員には悪いが無視をして、考え事をしているふりをしていた。 背広だらけのオフィスで、彼だけが気楽な服装で、かなり浮いていたのは確かだった。

 真っ直ぐに奥の海外事業部へ向かう。 すれ違う社員も、挨拶をしてくる社員も、全員無視して事業部へ向かった。 一番奥の海外事業部へたどり着き、ドアを開けようとしたその時、背中から大声で叫ばれた。

「専務!どこ行ってたのよ!もぉ~」 イズだった

 会議をぶん投げて、イズに丸投げをして外出していたので、イズから大声を出されるのもしょうがない事だが、俺は慣れっこでも、金沢からのオヤジは場慣れしていない事もあり、かなりビビッて硬直してしまった。 タイミングが悪すぎた。

「いやぁ~ごめんごめん、急用があったんでつい美人なイズに任せきりになってしまったかなぁ~」
「専務!ごめんじゃ済まされないんだからね!大変だったんだから、もう!」
「あ!取りあえず、コーヒー頼むわ2つ。 俺はブラックで、お客さんへは黒砂糖とミルクで」
「え?キャ~ お客様?」
「うん、こちらが金沢からのお客様なんよ」
「木下です」 ペコリと頭を下げた

「イヤ~、専務 もう~ 恥ずかしい」 イズの顔が真っ赤になった 可愛い
「じゃ、頼むわ コーヒー2個ね」
「ハ、ハイ・・・」

「どうぞ、騒がしい所ですけど」 笑
「はい 失礼します あ! これ 手土産のつもりで持って来ましたんで どうぞ」 イズへ手渡した
「わざわざご丁寧に、有り難う御座います。 直ぐにコーヒーをお持ち致しますので」 さっきとは態度が違いすぎだろ~お前w

「どぞどそ、こちらへ。 3匹ほど喧しいのがいますが・・・奥で話しましょう」
「あ・・有り難う御座います」 

 3匹の顔をしげしげと見渡しながら、長身の彼が小さくなって部屋へ入っていった。 右サイドにはサチ、左さいどはミミがいた。 運悪く、3匹とも揃っていた。

 奥の自室のソファーへ促して、ドアを閉めてから、G.アルマーニの上着をハンガーへ掛けた。
 内線でサチを呼び出し、「駐車場へ連絡して、3時には車を使う予定だから、宜しく言っておいてくれ」と指示をした。 併せて、「サチ、例のニュース見たいから、タブレットをこっちへ持って来てくれ」とも言い重ねた。

 身内の逮捕映像を見る事になるとは、相当ショックだろうが、事実は事実として受け止めなくては先に進めないし、対策も取れないと思い、サチにタブレットを届けさせたのだ。

 イズがコーヒーと彼が手土産に持って来た黄色の箱菓子、博多通りもん饅頭をテーブルへ持って来た。 実は偶然にもこの手土産の博多通りもんと信玄餅は俺の大好物なのだった^^。


「なんか・・・凄い処ですね、めめさんの会社・・・。 美人な女性ばかりで・・・」
「あ~確かに、よく言われますよ、皆さんから」 笑
「でも、あの三匹は秘書なんですよ、3匹とも」 笑
「え?秘書ってなんですか?」

「いや~俺1人だと仕事が出来ないんで、3匹に助けてもらってる訳です」
「へ~」
「かっこ悪い話です」 笑

「専務さんとか さっき 呼ばれてましたけど・・・」
「え?そ~でしたか? 自分で肩書きは良く分からないんで 気にしないで下さい」
「で・・でも、専務の次は社長か常務ですよね・・・」
「あ~社長の器じゃないんで、来年、早めに退職するつもりでいます ヨ」 
「え? 退職?」
「そです」
「・・・もったいない、と言うか、東京の事は良く分かりませんね・・・」
「人に使われるのが嫌なんで、もう、そろそろ隠居ですわぁ~」 笑
「凄いですね・・・」
「それよりも、金沢から来たのに、なんで博多饅頭を?」
「たまたま東京駅でイベントしてましたので目につきまして・・・」
「ですかぁ~。誰かに俺の好物、聞いたのかと思いましたよ」 笑

「どうぞ、イズが美味しいコーヒーを入れてくれたんで、冷めないうちにどうぞ」
「いただきます。有り難う御座います」

 相手が何者であっても今回は彼を助けるのでは無く、知人のタエちゃんを助ける気構えでいた。 目の前のおっさんを助けるのでは無く、あくまでもミッションはタエちゃんの救出なのだ。






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