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まじいなぁ~  ・・・ No25
- 2018/03/27(Tue) -
 この話を書き始めたのが   2016/06/11 永っげぇ~なぁ~ ><

*****

 ゲオチャイ、タイレストランを出て、JR錦糸町駅へ足を進めた。
 タバコに火をつけ、大きく息をはいた。

 ここ錦糸町も俺には懐かしい街だ。 俺が錦糸町へ出入りをしていた時にはスカイツリーのスの字も無い頃だ。 駅の周りには数多くのキャバクラと風俗店、高速道路下の公園にはコリアンとロシアンの立ちんぼが大勢たむろっていた。
 
 地元の友達と夜な夜な盛り上がり、へべれけでホテル イースト21へタクシーで戻るとフロントではいつも嫌な顔をされた。高級ホテルのつもりなのだろうが、高級ホテルほど俺の様な酔っ払いを上手くあしらってくれる。 イースト21のフロントの中身は1泊5,000円のビジネスホテルとさほどかわりはなかった。 その後、駅の北側に東武ホテル レバント東京ができ、イースト21とはおさらばをした。

 錦糸町はロシアンが多い街だった。 あちこちに金髪や黒髪を銀色に染めた娘達が溢れていた。 もう15年も前の話だった。

 吸い殻をリーガルの靴底で踏みつけ、錦糸町の職安前から駅に繋がる路地へ入った。 今では場外馬券売り場とコリアンのデリヘルでどうにかしのいでいる街に落ちぶれた。 昔のような華やかさは無くなっている。 たとえるなら埼玉の西川口のような街だ。

 
 この度のタエちゃん件はまさに緊急事態だった。 たまたま一緒に捕まったリカという女がここ錦糸町ではある意味で有名な店の関係者だった事が幸いして少しばかりの希望の光が見えている。 もし、何らかの形でもゲオチャイが絡んでいなければ万事休すだ。 みんなで仲良く最低でも懲役5年は確定してしまうのだから。

 俺が嫌いなモノに弁護士も入る。 ろくに仕事も出来ないくせに背広のバッジだけであくどい商売をしている。
 東京の弁護士は東京弁護士会と東京第一弁護士会、若手が加入する東京第二弁護士会と三種類の所属会がある。8割が民事を担当し、2割が刑事事件を担当している。 弁護士というとテレビドラマの様な想像をするが、実のところ、仕事がなくてあぶれている連中が多い。 

 弁護士の名刺を見るだけで嫌気がさす。 唯一、検事を経験して弁護士に転向した弁護士だけが信頼できる存在なのだ。 弁護士が足りないなどと報道されているが、大きな間違いで、アホな弁護士が多すぎて依頼が少ないだけなのだ。 特にやる気の無い弁護士に刑事事件を任せるなど、三途の川を浮き輪も無しで、向こう岸まで泳ぎきるくらい無謀な話なのだw。

 ゲオチャイのママ、逮捕されたリカの姉の元に現れた弁護士も最悪としか思えなかった。 一日も早く弁護依頼を取り下げてもらいたかった。 仕事も出来ないくせに着手金や弁護費用だけを伝えに来るような弁護士など必要ないのだ。

 時間との勝負なのだから・・・。


 ゲオチャイのママから連絡が入ったのは二日後だった。

「もしもし、めめさんですか?」
「めめですが」
「この前の相手の事ですけど・・・」
「分かりましたか?」
「はい、妹から借金をしてた女、本名が ラッサミ・トン・ブン・マアー と言います。 みんなは フォン と呼んでますけど」
「フォン?・・・かぁ」 フォンとは 雨 の意味だった。
「で、出身とか親戚は?」
「はい、そのフォンはピッサヌローク県に実家があります」
「北側の田舎の県だね」
「はい」
「親戚は?」
「彼女は長女で、3人の弟がと1人の妹がいます」
「みんなピッサヌローク県?」
「いいえ、妹が隣の県、ウドンタニー県で、弟は3人ともコンケーン県です」
「みんな近くの田舎の県だね」
「そうみたいです。 妹に2人の娘がいます」
「で?」
「弟3人も結婚をしててコンケーンで田んぼをしています」
「3人とも?」
「はい、3人とも同じ家に住んでいるみたいです」
「それは都合がいいなぁ~」
「え?」
「いやぁ、こっちの話です」
「妹の娘は村にある小学校に行っています」
「弟の息子や娘も村のお寺にある小学校と中学校に行ってます」

「いや~、有り難うございます。 よく分かりましたねここ1日、2日で」
「すぐにバンコクの友達に連絡をして、探してもらいました」
「そうですか」
「はい。 タイのIDのコピーがありますから簡単でhした」

「じゃあ、もう一つ、お願いしてもいいですか?」
「はい、何ですか?」

「妹の実家と、弟の実家へそれぞれ誰かを行かせて下さい」
「え?実家へですか」
「実家へ行かせて 姉 フォン の借金を支払え!と少し悪たれをついてもらいたいんですよ」
「え?」
「日本でフォンが借金を払わないから実家に取り立てに来た!と、いう意味です。 出来ますか?」
「ええ、向こうにはそういう友達もいますから・・・」 いいにくそうだった
「取り立てを実家に本当に行かせて欲しいんですよ」
「できますけど・・・・」
「で、フォンの借金を払わないと実家に火をつける!と脅かして下さい」
「え?」

「簡単でしょ。 実家にフォンの借金の催促に行って、払えないなら火をつけると脅かすだけですから」
「ええ・・・できますが・・・」
「じゃ、さっそく現地の取り立て屋に実家のあるピッサヌローク県と妹の実家のウドンタニー県、弟3人の実家コンケーン県で少し脅かしをかけて欲しいんです」
「・・・・」
「出来るだけ早くお願いしたいんですが、出来ます?」
「分かりました。 そぐに連絡をして行かせます」
「心配しないで、任せて下さい」
「はい。めめさんの事は色々と聞いていますから・・・お任せしますけど」
「このやり方しか妹さん、リサさんを警察から取り戻す方法は無いんですから、是非ともお願いします」
「分かりました」
「フォン本人の実家と、妹、弟の実家で少し嫌がらせをさせてください。 来週までフォンの借金を払えないなら家が火事になっても知らないぞ!くらいに脅かしておいて下さい」
「分かりました」

「じゃ、3カ所の実家へ行った後、また俺に連絡をしてください」
「めめさん、大丈夫でしょうか・・・そんな事をして」
「フォン本人へプレッシャーをかけても本人は警察へ駆け込むでしょうから、実家にプレッシャーをかける方が良いんですよ、こんな時は」
「分かりました。 すぐに行かせます」
「ママさんや妹さん、リカさんへは問題ないようにしますから、俺の事、信じてやってみて下さい」
「はい。 では・・実家へ行かせたら、また連絡します」
「面倒かもしれませんが、お願いします」


 ゲオチャイからの連絡を待つことにした。

 タイでは長女が家族全員の面倒をみる。 日本の長男と同じ様にかなりの責任や重荷を負う事もある。 その長女が日本で借金をして、取り立てが実家まで来たとなれば本人も、家族も気が気では無くなるハズ。 そこが狙い目だ。 いや、そこしか狙い目が無いのが現実だ。 

 そして、実家へ人を飛ばしたのがゲオチャだと分かるとフォンも今以上に態度を硬化させるだろうし、敵視も強くなる。 絶対に示談などしないだろう。 
 
 しかし、ゲオチャイ以外の第3者の誰かがタイの実家にまで手を回したとなれば話は別だ。 態度を硬化させる前に驚きと恐怖が生まれる。 予想では取り立て屋達が実家へ行った途端に家族中で大騒ぎになるハズだ。 1件ではなく3件の実家へ奇襲をかけるのだから、タイの実家から連絡を受けたフォンの心理状態など簡単に予想はつく。



 後は、うまく 飴と鞭 を使い分ける作戦なのだ。













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