まじいなぁ~ ・・・ No31 完結
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- 2018/04/08(Sun) -
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ものの2~3分で若い刑事がフォンへグラスに入った水と俺にはプラスティク容器に入ったアイスコーヒーを持って来た。 ついでに昔懐かしいステンレスの灰皿を置いていった。 つい先日書かれたフォンの供述調書を取りに行った刑事はまだ戻って来ない。 わざとらしくタバコに火をつけた。 フォンが目を丸くして驚いている。 端から見たらかなり大胆な行為かも知れないが、個室でタバコくらい俺にはなんてことはない。 ただ、窓も換気口もないのでタバコの煙がそのまま部屋に充満してしまった。 ま、いいかぁ。 ブラックのアイスコーヒーを啜りながら一本目のタバコを丁度消した時、刑事が部屋へ戻ってきた。 煙に嫌そうな顔をしてドアを目いっぱい開いて俺を睨んだ。 いくら睨まれても、ここで俺が悪たれをついても逮捕される訳では無いので好き勝手にやり放題だった。 「この調書には持っていた鞄を取られて、中の財布から現金2万円を抜き取られたと、書いてあるが・・・」 「だから、その辺はフォンの勘違いなんですよ。 ね、フォンさん」 「・・・・・」 「勘違いでも奪われたとある以上は」 「思い間違いだったんですよ」 「おたくね、こっちも仕事できちんと取り調べをしているわけだから、いい加減な事はここに書けない事くらいは分かるでしょうが」 「分かります。 良く分かりますが、以前の内容と、最近落ち着いてから思い出した事柄とに色々と違いがでまして、ね」 「2日にわたって同じ内容のことをそこのラッサミさんが言った事になってますがね」 「勘違いです」 「おたくね、勘違いでしたじゃ、済まないんだよ」 いらだってきている 「良く聞いてくださいよ・・・」 「本人が当時、動揺してどんな自供をしたかは知りませんが、その本人がここにいて、勘違いだと言っているんですよ」 「動揺していた当時と、今、こうして落ち着いている時と比べて、どちらに信憑性がありますか?」 「・・・・・」 「わかりますよね」 「あんた、弁護士じゃないんだろう」 「ええ、ただの知り合いで通訳です。 ですが、正しく通訳も翻訳も出来ますよ」 「今日、ここへ来たのは言った、言わないとか、やった、やらないとかの話じゃなくって、告訴を全面的に取り下げに来たんですよ」 「取り下げと言っても簡単ではないんだよ、あんた」 「簡単じゃない事は良くわかりますが、取り下げの事実は変わりません」 「そっちの人、えと、ラッサミさん・・・、この人の言う通り本当に取り下げに来たんですか?」 「・・・・はい」 「困ったなぁ」 「困ってるのはこっちです」 「自供の聴取ではあなたが殴られて、千葉の市川のアパートで鞄を奪われ、現金を抜き取られた事に間違い無いと供述してサインをしてるじゃありませんか?」 「・・・・・」 「刑事さん、サインをもらう前に本人へ読み聞かせて、確認してサインをもらってると思いますが、日本語が不自由な事と、当時は相手の事を憎んでいたでしょうから死刑にでもしてやりたいと思うのは分かりますよ。 でも、冷静になって考えてみるとかなり事実と供述が違うことに気が付いたわけですよ、フォンさんが、だから、こうして来ている訳ですよね」 「じゃ、供述書は全部間違いだとでも言いたいのかい」 「いえ、そう言ってる訳ではありません」 「いいか、この調書は2日も3日もかけて同じ内容を何度も確認しながら担当の刑事が書き上げて、内容に間違いが無ければサインして下さいと、サインをもらってるものなんだよな」 「ええ、でしょうね」 「間違いが無いからサインが有るわけだろうが」 「だから、その辺は勘違いでしたと、言っているんですよ」 「おたく、いい加減にしてもらえないかな・・・関係者でもない第3者が何を言ってるのか分かってるのか」 「刑事さん、そちらこそ何か勘違いしていませんか? 俺が話してることはここにいるフォンから聞いて、フォンに代わって通訳をしているわけだから、本人そのものでしょうか・・俺が」 「・・・・・」 「それに、あまり言いたくないですけどね、このまま裁判になって、証人喚問の時にフォンが「全て私の勘違いでした」と、言い出したらどうしますか? 検事さんも大恥をかきますよ、裁判官の前で」 「・・・・・」 「当然、検事さんから調べ直せと警察へ連絡が来たら、2度手間、3度手間を取るのはそちらのほうじゃないんですかね」 「・・・・・」 刑事が何も言葉を返してこなくなったこのチャンスに、言いたい事を言う事にした。 「刑事さん、今日は言い争いに来たんじゃないんですよ。 彼女が事実と違う供述をした様で、物事がかなり大きくなっているので、本当の事を伝えに来ただけですから。 それでも、フォンの調書を100%信用して裁判をすると言うのでしたら、彼女は裁判所で証言をひっくり返す事になりまよ」 「実は・・・もう逮捕されてる容疑者の家族とも会って来ていて、示談書も慰謝料も受け取っているんですよ」 「え?」 「示談成立済みで、慰謝料も受け取っていると言ったんですよ」 ざまあみろ^^ 「示談成立? 証拠はどこにある?」 「ここにありますよ、ほら」 鞄から1枚、書類を取りだして机の上に置いた 「え? なんだって?」 あわてて刑事が手に書類を取った 「こ・・これは」 「そうです、示談書です」 ^^ 「示談書と言っても・・・」 「ですよね。 受け取れませんか?」 「・・・・・」 「警察に示談書を持ち込んでも余り意味の無い事くらいは知ってますよ俺でも」 「・・・・」 「直接、担当検事へ送った方が早いですよね」 「そうすると無駄な仕事をひと月もさせてしまう訳ですから、検事へ送る前に誠意でここに今日来たんですよ」 「今回の事件はここにあります様に示談が成立していて、慰謝料も今、彼女が手にしてます」 「同じ書類が2部有りますので、1部は告訴の取り下げ請求としておいていきます」 「もう1枚のこちらは今日、これから私の知人の弁護士を通して検事局へ行ってもらい、提出させてもらいますので」 「まいったなあ・・・」 「刑事さんの顔を潰したらいけないと思ったんで先に知らせに来たんです」 「そこのフォンさん・・だっけ、本当に取り下げするの?」 「・・・・・はい」 「そうですか・・・、じゃ、1枚はこちらで預からしてもらいます」 「宜しく御願いします」 「まいったなぁ・・・あんた、仕事、何してる人なんだ?」 「まじめに納税をしてるただの会社員です」 ^^ 「なんだそりゃ?」 「いや、何でもありませんw ただの会社員ですがタイ語が話せるので外国人の相談役を引き受けただけです」 「タイ語?話せるのか?うちでボランティアの通訳しないか?」 「いやです!」 「え?なんでよ?」 「以前、新宿署でボランティアをして安い時給で24時間、寝てる時間も無く起こされた経験もありますので」 「え?そうなの?」 「そうです」 「いや~ まいったなぁ」 「こっちは先に検事局にいかないで、担当のポンジョ(本所警察署)へ顔を立てるつもりで来たんですけどね」 「そっかぁ~」 「取りあえず、1枚受け取ってください。 と、受け取り書、下さい」 「だなぁ~」 「もう1枚は、今日、これから新宿の弁護士に会ってこの事件の検事局を探してもらって持って行ってもらいますから」 「これで、間違い無く今回の事件の告訴の取り下げが出来ますよね」 「だなぁ~」 「では受け取りを下さい」 「ちょっとまって、ちょっとまって。 今、書類をもって来るから」 「御願いします」 「はいはい」 思いっきり困った顔をして刑事が出て行った。 フォンは横で震えていた。 怖かったのかな? 逮捕されると48時間以内に検察官(検事)のもとへ事件が移されるので、事件自体は検事扱いになる。 刑事は検事のお手伝い程度に供述調書を造り、それを元に検事が起訴(裁判)か、不起訴かを決める訳なので、最終的な判断は検事にある。 しかし、通常、示談が成立していればほぼ100%不起訴になる。 または、罰金刑になっても実刑は免れるのである。 今日、フォンからもらった1枚を錦糸町警察署へ提出する必要は本当の意味では無いのだが、提出しないよりもは早い釈放を狙ったのだった。 不起訴が分かっていながら、今後は供述書を作る事(取り調べ)はなくなる訳である。 ステンレスの灰皿を机の脚の脇にかくして置いたのだが、腕を伸ばして取りだし、机の上に置いてタバコに火をつけた。 最高にうまいいっぷくだった。 ブラックのアイスコーヒーもぬるくなっていた。 時計に目を落とすと午後3時を回っていた。 10分後、刑事が戻って来た。 書類を2枚机の上に置いた。 1枚は示談書の預かり書で、もう1枚は告訴の取り下げ状だった。 喜びでタバコを消す手が震えた。 「じゃ、そちらのフォンさんだっけ? ラッサミさんだっけ、ここに今日の日付とサインをして下さい。 ハンコは持ってませんよね」 「はい・・・ハンコは持って来ていません」 「じゃ、まず、日付と名前、登録証の名前ね。 ここに書いて」 「はい」 「こっちの書類にも日付と名前を」 「はい」 「あとは2枚との拇印をもらいます。 右手の人差し指でお願いします」 「はい」 「あ~、少し黒くなるけど、そこのティッシュで指を拭いて下さい」 「はい」 「はい、有り難うございます」 「では、この紙が示談書の預かり書で、こっちが告訴の取り下げ状です」 「はい」 「刑事さん、この2枚とも関係者が不起訴になったらもう必要ないですよね?」 「と、思いますが、取りあえずは2~3年は保管をしていて下さい」 「ですかぁ。 分かりました」 「では、随分とお時間を取らせましたけど、有り難うございました」 「あと、事件の事で、何かありますか?」 「いいえ、書類の提出に来ただけですから」 「そうですか」 「ええ」 「あんた見たいな人、始めてみたなあ」 「え?」 「警察を手玉にとる人だよ」 「いや? 何の事やら」 w 「では、これはこれで預かっておきますから」 「宜しくお願いします」 「・・・・・」 フォンは無口だったが、指に付いた黒いインクが気になっている様だった 「さて、フォンさん 帰ろうか」 「はい」 「失礼します」 「そこのエレベーターまで一緒に行きますから」 「有り難うございます」 閉まったエレベーターの中で両手の甲をみて見た。 指先が少しだけ震えていた。 興奮していた。 懲役5年を不起訴に出来そうなのだから当然のことかも知れないと自分で納得した。 エレベーターを降りて受付の脇を通り、正面玄関へ出た。 「ごめん、フォンさん、ちょっと待ってて」 と、警察署の中へ引き返した。 刑事からもらった書類のコピーをしたかったのだ 受付で「済みません、上で書類をもらったんですが、1部ずつコピーをお願いしたいんですが」と、下手にでてみた。 「え~コピーですか? 奥の交通課の隣に行ってください」 「有り難うございます」 交通課の隣の総務らしい部署にコピー機が見えた。 「済みません、上で戴いた書類のコピーをお願いしたいのですが」 ここでも下手にでるw 「あ? いいですよ。 用紙を下さい」 「2枚有りますので、1枚ずつお願いします」 「分かりました」 と、受け取った用紙を見てギョッとしている・・・だよね 無事に2枚コピーしてもらい正面玄関のフォンの元へ近づいた。 「はい、フォンさん。 コピー渡すね。 オリジナルは俺が持っておくから」 「ありがとうございます」 「もう二人でやることはないから、これでおしまいだね」 「そうですか」 「ま、いろいろ心境は複雑かも知れないけど、これでお互い幸せになれるさ」 「ですね・・・」 「取りあえず、有り難う。 君の借金は俺が責任をもってチャラにするから。 それと、今日、受け取った100万円は返せとは言わないから安心していいよ。 俺が約束するよ」 「はい・・・」 「もし、なにか心配事や相談事があるなら俺に連絡してくれ」 「はい」 「090-9312-9797 めめ、て言うから 俺の名前」 鞄からモンブランで用紙の裏にメモった 「? めめ ?」 「ああ、新宿のめめだよ」 「え? 本当のめめさん?」 「ああ、本物だよ」 「・・・・・・・知らなかった」 「ケース バイ ケースで鬼にも仏にもなるさぁ」 「名前は聞いたことがあります・・・」 「今回は鬼だったけど・・・フォンさんには」 「・・・・・」 「今度は力になれる事があれば遠慮しないで連絡してくれ。 出来る事ならするから」 「はい」 「ん?」 「めめさん・・・ごめんなさい」 「ん?」 「ゲオチャイのママさんが笑いながらお金を渡してくれたの・・・私に」 「よかったじゃん」 「だって・・・・」 「気にすることはないさ。 お互いに幸せになれるんだからさ」 「今回のことは・・・・ごめんなさい。 友達が直ぐに警察に行けばきっと借金は払わなくても良くなるって言われて・・・・」 「おおかた、そんな」事だろうと思ってたさ。 でも、もう終わったから」 「はい」 「もう止めよう、この事件の話は。 もう全てがチャラだからさ ね」 「はい」 「どこか送ろうか・・・と言っても、いずらいよね一緒は」 「はい・・・駅、そこですから歩きます」 「だね。 じゃ、またなにかあったら・・・・」 「はい。 さようなら」 「じゃね」 「はい」 ワイ(タイ式の両手を胸の前で合わせる動作)をしてフォンは駅へ足を進めた。 俺も駐車場のS500へもどりサンルーフと全ての窓を全開にしてタバコに火をつけた。 逮捕から20日後、 4人の内3人は不起訴。 勿論、タエちゃんも帰って来て、金沢へ向かった。 主犯格のゲオチャイのママの娘リカは罰金50万円の略式裁判判決だった。 1%でも可能性があれば俺は動くさ・・・・ 完結。 |
まじいなぁ~ ・・・ No30
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- 2018/04/08(Sun) -
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この更新をしている今日は4月の8日(日)。 朝早くから熱海の初島に来ている。 世話になった以前の会社から、毎年恒例の花見会へ誘いをうけたからだ。 社員の家族参加で慰労会をかねたイベントだ。 年末にも行われ、1室1泊5,000円で泊まれる。 勿論、差額は会社持ちだが、会員制クラブなので全国各地の施設を利用出来る。 体調不良を理由に退職した会社なので、顔を出すのもバツが悪いのだが社長から直々にオファーがあったので参加している。 久々に昔の部下達の姿をみると立派に成長していた。 きっと元の上司がいろんな意味で有能だった証だ。 ←キッパリ! 芸能人の熱海での隠れ宿に良く利用されるのだが、メンバー費用も250万~と手頃で使い勝手が良いリゾートクラブだ。 マッタリしながら広い部屋に引きこもりブログの更新をしている自分が悲しい・・・・・。 「 オフ会 告知 」 4月の21日(土) 新宿の西口、新宿郵便局のすぐ近くの居酒屋 鳥元 https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13006736/ で午後18時~ 安東家、蒼龍総本山のオフ会が KGBさんの主催で執り行われる事となりました。 遊びに来たい読者さん、めめの素顔を垣間見たい人はお気軽に飲み会に参加して下さいませ~ (^_-) 参加費5,000円だそうです。 ***** 通されたのは2階の刑事課のある一番奥の小さな部屋だった。 3畳ほどの広さで窓が無い。 昼なのに薄暗くヒンヤリとした空気がよどんで漂っている。 部屋の真ん中に事務用のスティール机だけがあり、折りたたみ椅子がドアの脇に立てかけられていた。 俺とフォンにパイプ椅子を組み立て、机に寄せた。 「どうぞ」と、若い刑事が俺とフォンを促して、座らせてから部屋を出て行った。 ここへ案内したのは若手の刑事だが、部屋にフォンと二人で居ると入れ替わりで年齢が50を超えた風格の、気むずかしそうな刑事が部屋へ入って来た。 目だけがギラついているいかにも刑事の目だ。 「おまえら、とんでもない事をしでかしに来てくれたなあ」と、でも言いたそうな顔だった。 こんな刑事など俺にとっては朝飯前だった。 ただフォンが雰囲気に飲まれ萎縮してしまい下を向いたままだった。 「で、どんな件でしたっけ?」 刑事が目で圧力をかけてくる 「俺はこのフォンさんの知人で通訳ですが、彼女がかかわった事件の取り下げに来ました」 キッパリ伝える 「事件の取り下げ?」 「ええ、そうです。 告訴の取り下げです」 「告訴の取り下げって、調べが進んでるんですよ」 「ええ、面倒なことは良く分かっていますが、何分にも彼女に思い違いや、勘違いがかなり有りましたので」 面倒くさそうな顔で刑事が俺の目を覗き込んだ。 「取りあえず、おたくの何か身分証を見せてもらえますかね」 「免許証しかありませんが、いいですか」 「ええ、結構です。そちらの方も外国人登録証を見せてもらえますか・・」 フォンの鞄を見ながら尋ねた 財布から免許証を取り出し正面に座っている刑事に渡した。 フォンも鞄から財布を取り出し、登録証を机の上に置いた。 「じゃ、これ、コピー取りますから・・・良いですかね?」 「どうぞ。 その前に、1階の受付で渡したこの事件の刑事さんの名刺を返してもらえますか?」 「名刺?」 「ええ。先ほどの若い刑事さんが受付で受け取って持っていますから」 「じゃ、先ほど案内した彼に聞いてみますから、待ってて下さい」 「お願いします。 担当の刑事さんが誰か分からなくなると、面倒くさくなりますから」 「・・・・」 黙ったまま俺の免許証とフォンの登録証を持って部屋をでた。 出入り口のドアは開いたままだ 俺の免許証をコピーして、ついでに犯歴の照会をする事だろう。 あまり良い気分では無い。 前科は無いが前歴は残っているハズなのだ。 前科とは逮捕、起訴されて裁判にまで行けば、無罪でも有罪でも前科1犯となる。 裁判で罰金刑でも有罪の扱いとなるので前科1犯である。 前歴とは逮捕されて起訴まで行かないで釈放された回数が前歴となる。 逮捕され1日でも警察に泊められたことがあれば前科は0でも前歴1となる。 つまり、警察のお世話に何回なっているのかが照会で分かってしまうのだ。 痛くもない傷口を探られる気分だった。 10分ほどでさっきの50過ぎの刑事が戻って来た。 右手にフォンの登録証と俺の免許証と白い名刺が見えた。 ゆっくりと俺の顔を見ながら椅子に腰を下ろして、机の上に登録証と免許証を置いた。 「コピー取らさせてもらいました。 どうそ」 俺とフォンの前に手で押し出した 「それと、これですね担当刑事の名刺は・・・」 俺に渡した 「ええ、そうです。 有り難うございました」 「これは私の名刺です。 吉田と言います」 名刺を渡された 目を通すと1課1係の係長の名刺だった。 かなり位の高い刑事だ。 「そちらさんは警察は怖いですか? そんなに堅くならなくてもいいのに」 フォンを見ながら刑事が笑った 「・・・はい」 フォンの声がかすれていた 「ですか、はははは」 低い声で笑った 「で、こちらさんは余んまり警察が怖くないようですね・・・」 俺を、見てうすら笑いをした 「まぁ、新宿に永いこと住んでいれば、大概(たいがい)の物事には動じなくなりますからね」 「ですか・・・」 ニヤリと笑った もうこちらの前歴は割れている顔だった 「では、詳しくお話を聞きましょうか」 刑事が姿勢を正して椅子に座り直した 「今日、突然でしたけどお伺いしたのは、こちらのフォンさんの事件の事でです」 「フォンさん?」 「フォンと言うのは通称名ですが、IDにはラッサミ・トン・ブン・マーと言う正式名が載っているはずです」 「・・・・ん」 登録証に目を落としながら確認をした 「TVのニュースや新聞等でもかなり書かれてましたけど、ここ、錦糸町でこちらのフォンさんが借金の返済トラブルから殴られ、拉致されて暴行や鞄から現金を取られた、強盗されたと言う事件です」 「確かに、内の係で捜査してるんだが・・・」 「その件なのですが、調書を取る際にかなり動揺をしていた事と、日本語のニュアンスが良く分からなかったので受け答えでハイ、ハイと、答えていたらしいのですが、最近、落ち着いてから詳しくフォンさんに聞いてみると、殴られたのは確かなのですが、バックからお金を取られたと言うもの勘違いで、鞄から財布を取り出し、テーブルの上に置いて「お金はそれだけしか今は無いから」と言ったらしいのです」 「・・・・・で」 「机の上の財布から現金3千円だけを抜き取って、相手からは財布を彼女へ手渡してもらったと」 「・・・・・」 「分かりますよね、言いたい事は」 「・・・・・」 黙ったままこちらの目を見ている 「彼女から鞄を取り上げて、嫌がる彼女から無理矢理に財布を奪って現金を抜き取ったのでは無いと、言う事です」 「・・・・・」 「それに」 「ちょっと待ってもらえますかね。 調書を見てみますから」 「是非、確認して下さい」 「供述書を取って来ますから、このままで」 「ええ、どうぞ」 顔をしかめながら部屋を出て行った。 事件の大きなポイントの強盗と、テーブルの上に自分から財布を置いて「中身を確認させた」では、全く事件にはならないのだ。 たとえ、その確認をした財布から3千円を抜き取っても、本人の目の前で同意を得て抜き取ったのなら犯罪では無い。 ここが1番の突っ込み処なのだ! しかし、報道では、アパートの部屋内で彼女から財布の入った鞄を奪い=強盗、現金を抜き取り、その際に抵抗する彼女、フォンに乱暴(暴行、怪我をさせた=致傷)をしたと、言う事になっていた。 俺がその場で見たわけでは無いが、事件後にタエちゃんが同じ同僚に話した内容では、間違いなくフォンがテーブルの上に置いた鞄の中から、フォンに言われて財布の中身を確認して財布から3千円を抜いたと、聞いていた。 今となれば横にチョコンと座っているフォン自身から話を聞き出せば事実は分かるだろうが、そんな事は今更になっては無意味でしか無かった。 やった、やらないなど、本人の記憶でも曖昧なものなのだ。 調書を作る刑事次第で天と地ほどの調書(物語)が出来上がる。 要は警察側をいかに納得させる事が出来る話であるかどうか?だけが重要な事なのだ。 「なにか 飲みますか?」 先ほどの若い刑事が部屋の入り口で聞いてきた。 「フォンさん、何飲む?」 小さくなってる彼女に尋ねた 「私、お水でいいです」 蚊の鳴くような声だった 「じゃ、お水と俺にはアイスコーヒーをお願いします。 ブラックで」 ^^ 「え?・・・そちらがお水とアイスコーヒーですか・・・」 「ええ、お願いします。 気持ちを落ち着かせたいんで灰皿もお願いします」 ^^ 「・・・わかりました。 少々お待ちください」 取り調べ室でタバコなど、滅多にない事だし、俺にも久々の経験だった・・・。 笑 まじいなぁ~ ・・・ No31へ |
まじいなぁ~ ・・・ No29
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- 2018/04/07(Sat) -
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錦糸町警察署はJR錦糸町駅から直ぐ北側、錦糸公園沿いの四つ目通りから、スカイツリーへ向かう中間点に位置する。 昔から本所警察署と呼ばれていて、錦糸町警察署とは呼ばれていない。 地元では本所(ほんじょ)が訛って、「ポンジョ警察」と呼ばれ、駅からゆっくり歩いても10分もかからない。 正面入り口の左側へ会社から乗ってきたS500を駐車場へ駐め、時計に目を落とす12時15分をまわっていた。 車から降り、示談書の入った鞄を持ち、正面玄関へ向かいながらフォンの姿を探す。 40過ぎのタイ人女性なら、ひと目でフォンと気づくはずだ。 あたりを注意深く見渡したが姿は見えない。 警察署の正面玄関から中を覗くと受付の警官から用件を尋ねられたが、友人と待ち合わせだと、軽くあしらって駐車場へ戻った。 フォンの姿が見えるまで車の中で待つ事にした。 車に戻り禁煙車のサンルーフを全開にする。 運転席と助手席の窓ガラスも一番下まで下げる。 タバコに火をつけながら昨日のフォントの会話を思い出していた。 「こわい・・・」と確かに口にした彼女の言葉が耳に残っていた。 実家へ飛ばした取り立て屋の奇襲が効をそうした。 タイ国の実家をも巻き込んで、どうしても混乱の内にフォンから示談と告訴取り下げを取り付ける必要があった。 関係者が逮捕後、20日以内にもみ消さなくては実刑は確定なのだから・・・。 気が付くと12時を40分ほど回っていた。 ここまで待たされると流石にこっちが不安になる。 本当に来るのか心配になり始めた。 そんな時だった。 警察署の正面に1台のTAXIが停まった。 運転手へ代金を支払い、TAXIから降りて正門前で直立不動のままで今来たばかりの駅の方を向いている女の後ろ姿を見ながら、車内で吸っていたタバコを半ドアにして車外へ落とし、投げ出した足で踏み消した。 サンルーフと窓を閉めながら彼女の動きを目でおって、ゆっくりと車から降りてドアをロックした。 駐車場からゆっくりと彼女の方へと近寄って行く。 と、警察署の正面で振り返った彼女と目と目が合った。 40歳台には見えないほど若作りをしている女だった。 一瞬後退りをしたがその場を動かなかった。 彼女の目の前まで行って声をかけた。 「フォンさん かい?」 「ええ」 「昨日、電話をした者だけど、ゲオチャイへ行って来たのかい?」 「今、行って来ました・・・けど」 「じゃ、お金は受け取ってるね」 「ママさんから受け取りました」 「OK, じゃ約束通りだよね」 「待って、本当にもうタイの実家には取り立ては行かないわよね・・・」 「ああ、約束通り、もう行かない予定だけど」 「予定ってなに?」 「あなたが、フォンさんが約束を守ってくれれば心配は無いハズ」 「・・・・・分かりました」 「約束通り、この前の事件の件での、告訴を取り下げてもらえればそれで良い事だからさ」 「・・・・」 「難しくないから、任せてくれ」 「はい」 「まずは俺が持って来ている書類へサインをしてもらいたいんだけど、警察署の中で書こう」 「ええ」 2人で正面玄関から署内の左奥にある免許証書き換えセンターのテーブルに向かおうとすると、受付の警察から声をかけられた。 「どういった用件ですか?」 「済みません、今、書類を書き終えてから伺いますので。 そこの机、お借りします」 「どうぞ」 怪訝そうな顔で俺とフォンの2人の顔を2度見、3度見している。 受付の2人の警官を無視して奥の机に向かった。 後ろからフォンがついてくる。 カウンター式の机に鞄を置いて中から書類を2枚を取りだして、1枚をフォンへ手渡した。 同じ中身の書類だ。 手渡された書類を見ているが、中身は日本語なので分からないと、言うジェスチャーをした。 「フォンさん、あんた本当に俺を怒らせてしまったんだよ、今回は・・・」 「・・・・・」 「だから借金を返せなければ、実家も親戚の子供達の通っている学校まで火をつけてやろうかと思ったさぁ」 「・・・・」 「言っておくけど、俺はあんたのおかげで最後に逮捕されたタエちゃんの友達なんでね」 「彼女の友達から今回の事を聞いたけど、随分と話が違う気がするんだよ」 「で、友達までが逮捕されてしまったんで、あんたの実家まで巻き込んだ訳さ」 「・・・・・」 「でも、昨日、あんたと約束をした通り、借金は無しにして、プラス100万円で事件を取り下げると言う事で、あんたも約束を守るなら俺の方も約束を守るからさぁ」 「それで、いいよね」 「・・・ええ」 「もし、いやだと、言われたら火事を起こして、火をつけた犯人達の全員をラオスへ逃がす予定だったのさ」 「・・・・」 「まぁ、約束を守ると言う事なんで、話を進めるけどさぁ」 「この書類の内容は、今回の事件に付いて勘違いや、事実と異なる供述を間違ってしてしまったので、当事者の家族との示談を納得して受け入れ、告訴を全面的に取り下げます。 また、慰謝料名目で現金100万円を受け取りました。 と、言う内容が日本語で書かれているから、あなた、フォンさんは書類のここへサインをして」 彼女の持っている書類の一番下の右端にサインをせがんだ。 フォンは何も考えずに簡単にサインをした。 続けて、2枚目の控えにもサインをさせた。 簡単だが、示談書の完成だ。 1枚はここの警察署へ提出して、同じ物のもう1枚は担当の検事へ知り合いの弁護士を通じて送りつけるのである。 2枚の書類にフォンからサインをもらい、1枚は提出しなくてはならないので、もう1度、2人で受付へ向かった。 「すみませんが、刑事事件の告訴の取り下げをしたいのですが」 受付でわざと大声で話した 「え? どう言う事ですか?」 「告訴の取り下げをしたいんです」 「取り下げ?」 「はい」 「どんな事件ですか? 担当の刑事は分かりますか?」 「フォンさん、担当の刑事さんの名刺でも持ってないかな?」 振り返ってフォンに尋ねた 「え~と、名前は忘れたけど、名刺はこれです」 しめた 「担当は刑事1課の橋本さんです」 名刺を読みながら受付に手渡した。 「少々、お待ち下さい。 お二人のお名前をここへ書いて下さい」 受付票を渡された フォンはローマ字で書き終え、受付票を俺に手渡した。 俺も名前を書いて2枚を受付に渡した。 「上から人(刑事)が来るまで、そちらのソファーでお待ち下さい」 受付が目の前の長椅子を指さした 「おまちします。 フォンさんも座って」 彼女から座らせた いきなり受付が慌ただしくなった。 担当が誰だとか、事件の告訴を取り下げに来ているとか、パニクっている。 多分、上の刑事1課でも同じ事が起きていることだろう。 何よりもフォンが刑事の名刺を財布の中に入れて有ったことが幸いだった。 面倒な手間が省ける。 フォンは腹を決めた様に見えた。 この事件の件は俺から言われるように取り下げて、借金はチャラで+100万円を手にした方が利口な事くらいは気が付いているんだろう。 あとは俺と刑事との勝負だ。 告訴の取り下げなど、刑事にとってこれ以上の最悪で屈辱的な事はない。 フォンは他人ごとの様に成り行きに身を委ねていた。 「1課の橋本が取り調べ中なので、別の者が来ますから」 受付から若い警官が伝言で来た 「分かりました。 お待ちします」 誰が来ようとも示談書と取り下げは受理させる気でいる腹でいた 5分ほどすると奥のエレベーターから若い刑事が降りてきた。 「え~と、めめさんとフォンさんですか?」 「ええ、そうです」 「では、お話を聞きますので、2階の部屋の方で・・・」 「わかりました」 他人ごとの様な顔をしているフォンを促して3人でエレベーターで2階の刑事課へ向かった。 相談室、と言うよりもは・・・広めの取り調べ室へ案内された。 フォンの顔がこわばってきていた。 「私の方で話をお聞きしますので・・・・」 若い刑事とベテラン刑事が入れ替わった 拗(こじ)れさせると面倒になるので、要点、要点に注意をして伝える事にした。 まじいなぁ~ ・・・ No30 |
まじいなぁ~ ・・・ No28
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- 2018/03/28(Wed) -
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娘がバンコクで呼んでいるw 事件の概要 *** 金を取り立てようと女性に暴行を加えて現金を奪い、マンションに監禁するなどしたとして、タイ国籍の女ら4人が警視庁に逮捕された。 逮捕されたのは東京都墨田区錦糸のA容疑者(45)ら男女4人。 A容疑者らは先月下旬、墨田区内でタイ国籍の女性B(45)に対し、頭や胸を殴るなどの暴行を加えて重傷を負わせ、現金が入ったバッグを奪ったうえ、千葉県のマンションの一室に連れ込んで監禁した疑いが持たれている。 A容疑者らは女性に金を貸していて、期限前に返済を迫り、トラブルになったという。 取り調べに対し、A容疑者らは「暴行してマンションに連れて行ったが、金は取っていない」と容疑を否認している。 * この事件の裏側に めめ がいたなど、誰も知らないわなぁ~ このAと言うのがゲオチャイのママの娘で、リカで、 このBと言うのがフォンという事になるわけなのだが・・・・ ****** フォンとの電話を終え、腕時計に目を落とすと午後1時をまわっていた。 かれこれ小1時間近くも話していたことになる。 さすがに耳が熱かった。 予想以上にフォンの実家への奇襲攻撃が効いていたようで、フォン自身ももかなり動揺をしていた事が窺(うかが)えた。 自分の借金の事で、まさかのタイの実家にまで、それも兄弟の家まで借金取りが行くとは思いもよらなかった事態だったろう。 俺の狙い道理だった。 警察に駆け込んだことで自分の借金もがチャラになったと思い込んでいたところへ、事件は事件、借金は借金と、まさか取り立てに来るとは夢にも思わなかった事だろう。 それも実家に火をつけるなどと脅かされたら、流石に動揺は隠せないし、パニックに落ちいるだろう。 その最中、追い込みをかけた張本人から電話で「借金はチャラ、実家へは手を出さない、加えて100万円も明日現金で受け渡す」と、なれば断る理由はない。 100万円は一般的な慰謝料なので、検事や裁判官の心証を悪くしない程度の和解金のつもりだった。 無駄に弁護士に300万円も500万円もボッタクられるくらいなら安いモノだと思う。 フォント話している時には彼女の声色を伺っていた。 少しでも実家への奇襲が効いている素振りが見えたなら、その隙にこちらの条件を投げ込むチャンスを探っていたのだ。 案の定、フォンが 「こわい」 と、もらした言葉を俺は聞き逃さなかったのだ。 途中で通話を切られ、二度と繋がらなく事が俺にとっては最悪のシナリオとなる。 しかし、かけ始めた時に1度切られてから、また直ぐにフォンが電話にでたことで確実に実家からフォンへ連絡が行っていることを確信していた。 あの時点でもう勝負は決まっていたのだ。 少し高揚しながらも携帯のSIMを入れ替え、錦糸町のゲオチャイのママへ連絡を入れた。 店に直接電話をした。 ♩~ 「はい、ゲオチャイです」 「新宿のめめですが、ママさんをお願いします」 「少し、お待ち下さい」 ♩~♩~ 「はい、もしもし」 「めめです」 「あ、めめさんですか」 「今、フォント話をして」 「で、何って言ってました?」 言葉をさえぎられたw 「実家へ火をつける!という捨て台詞がかなり効いていた様で、彼女、俺からの話を全部 OK しましたよ」 「え~~~!どう言う事ですか?」 声がでかいわw 「まず」 「はい」 「明日、お昼ちょうどにフォンがそちらのお店へ行きますから、この前、話した100万円をフォンへ渡してください」 「ええ、わかりました」 「その時に、彼女の借用書も一緒に渡して下さい。 彼女への借金はチャラです」 「はい。で、彼女、何と言ってました?」 「明日、お店から出たら錦糸町の警察署へ行って事件の事を取り下げてくれるそうです」 「え・・・・・本当ですか・・・・めめさん・・・・」 「ハイ!本当です。 念のために明日、警察署の前で待ち合わせをして、一緒に俺も警察署へ行きますから安心してください」 「・・・・めめさん」 「はい?」 「ほんとうに、本当ですか?」 「ハイ!本当に本当です」 「どうして弁護士さんも出来ない事をめめさんが出来るんですか?」 「ん~~~俺にも良く分かりませんけどねw」 「本当なんですね?」 「ええ。 ママのおかげでタイの実家では借金取りの事で大騒ぎになってる様です」 「はぁ~」 「で、フォンも訳が分からなくて困ってましたよ」 「はぁ~」 「で、フォンはこの事件で自分の借金が無くなると思ってたんですが、事件と借金は別なんで、俺が実家へフォンの借金を取りに人を飛ばすと、言ったら電話口で困っていたんで、じゃ~、借金をチャラにして+100万円やるから、今回の事件の事は取り下げてくれと、言ったら素直に応じてくれましたよ」 「そうですか」 「ええ」 「まだ信じられない様な気がして・・・」 「まぁ、もう少し、最後まで俺にまかせてみて下さい」 「ええ、全部、お任せしますから・・・夢みたいですよ、めめさん」 「取りあえず、明日、フォンがそちらのお店に行くと思いますから、なにも言わずに・・・何も言わずに借用書と100万円を渡してくださいね。 文句も言いたいこともあると思いますが、まずは我慢してください」 「はい。 めめさんの言いたい事は分かりますから、我慢します」 「ええ、お願いします」 「え~~~まだ信じられない気分です」 「まぁ~普通にやってたら確実に刑務所ですからね・・・」 「諦めて、泣いてましたよ毎日・・・」 「明日までに俺が 示談書 を作って警察署へ持って行きますから、そこでフォンからハンコでもサインでももらえば大丈夫です」 「有り難うございます」 「いえいえ、示談書と100万円は慰謝料と言う事にしておきますから、明日が終わればリカさんの実刑はなくなると思います」 「そうなんですか・・・有りがたいです」 「2ヶ月くらいは絞られると思いますが、これで4人とも実刑の刑務所行きはなくなりましたから」 「うれしいわ、本当に」 「じゃ、100万円とフォンの借用書、なにも言わずに・・・渡して下さいね。 明日」 「分かりました」 「じゃ、また明日にでも連絡しますから」 「めめさん、有り難うございました」 「いえいえ、俺も友達のタエちゃんを取り戻すことが出来ましたので、ママさんに感謝してますから。 では、明日、また」 「めめさん、有りがたいです・・・明日また・・・」 「ハイ」 本心では筋書き通り行きすぎて、少し拍子抜けしている自分がいるのだが、まぁ、無難に事が運んで一安心しているのは俺自身だった。 さてと、帰って明日の為に 示談書 でも作るかなぁ~。 まず、確実に刑事はいい顔をしない事は目に見えたいる事だが、示談書を提出して、告訴をも取り消してしまえば起訴猶予か罰金しか検事側も手がない事は100も承知の沙汰なのだった。 示談書だけだと裁判まで行くが、示談書+告訴取り下げならば裁判にはならないのだ。 20日ほど泊められて釈放されることは経験済みだった。 い・・・いや、俺の経験上での話ではなく、新宿に住み着いてからの色々なケースを見てきた結果からの経験上・・・と、言う意味なのだが・・・w。 まじいなぁ~ ・・・ No29へ [広告] VPS 蒼母衣衆の設立時からもう5年を共にしている 「 かな 」姫が、酔っ払うと田舎の一軒家で大声で唄っているらしいw サビの部分が耳に残って何故か俺までハマってしまったわぁ |
まじいなぁ~ ・・・ No27
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- 2018/03/28(Wed) -
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昼少し前、タワーマンションを出てその足で新宿3丁目へ向かった。 家電ストアに入り、自動販売機から使いきりタイプのプリペイドSIMを1個購入する。 外国人観光客用に売られている期限付きの使い捨てSIMだ。 1週間使えるタイプで2,200円。 このSIMと自分の携帯のSIMを入れ替える。 これで俺の携帯電話No9797が出ない。 9797の俺の携帯から直に電話しても良いのだが、SIMを入れ替えてフォンへ電話する事を朝目覚めてから決めていた。 別に深い意味は無いのだが、ただ気分の問題だった。 フォンの携帯にはタイ本国の家族や兄弟、親戚からも借金の取り立てが実家まで来た驚きと、怒りの電話が相当数入っている事だろう。 そのドサクサに紛れて俺もフォンへ警告の電話をすることにしていた。 フォンは千葉県市川市の自宅アパートへ事件後に戻っている事は知っている。 電話がいいのか、直接アパートを訪ねた方がいいのか少し考えたあげく、まずは電話をすることにした。 昼、フォンへ電話をしてみた。 (ここからのやり取りは全てタイ語なのだ) ♩~♩♩~ ♩~♩♩~ 「だれ?」 すぐにフォンがでて、こちらが一瞬とまどった 「もしもし、ラッサミ・トン・ブン・マアーさんですか?」 ワザと フォン とは言わずに彼女の本名を名乗った 「・・・あなた、だれ?」 少し間をおいてから、こちらをうかがっている 「ラッサミ・トン・ブン・マアーさん、フォンさんですよね」 「・・・・・」 「あなたに話したいことが少しだけあります。 あなたのタイ国の実家の事です」 「・・・・・」 プチッ ツ~~~ 電話を切られた。 もう1度リダイアルする。 ♩~♩♩~ ♩~♩♩~ 「なんなの?」 またすぐでた 「明日、あなたの実家のあるピッサヌローク県に借金取りがまた行きます」 「え?」 「あなたが借りている100万円の借金の取り立てに行きます」 「え?どういう事?」 「タイにいる私の知り合いが、あなたの実家と、弟さんと、妹の家へ、あなたの借金の事でまた相談に行く予定です」 「なんで私の実家にいくのよ?」 「借金があるからでしょう、あなたに」 「だれなの?」 「一昨日も昨日も私の実家に借金取りが来たって聞いたけど、どうして? 私の借金なのに、どうしてタイの実家に?」 「フォンさんが100万円を返さないと、タイの実家や妹の家、弟の家を 火事 にすると言ってませんでしたか・・・・」 「それ、本当の話なの? ねぇ~、本当なの?」 熱くなってきている 「本当だから、今、あなたに電話をしているんです」 「意味がわからない・・・」 「あなたは100万円を借金して、まだ支払いが終わってないですよね」 「・・・・・」 「で、テレビのニュースにもなりましたよね、この前の事件」 「・・・・・」 「だから、4人みんなが警察に捕まったんで、代わりにバンコクのヤクザがあなたの家へ借金を取りに行く事になったんですよ」 「家族、関係ないでしょう!」 「あなたが払わないから、タイの実家へもらいに行くだけですよ」 「・・・・・」 「あなたの名前はラッサミ・トン・ブン・マアーさんで、実家がピッサヌローク」 「そして、妹さんが、ウドンタニーで2人の子供さんがいますね」 「弟さんは3人で、3人ともコンケーンにいますよね」 「全部分かっています」 「・・・・・」 「違いますか?」 「・・・・・」 「それと、昨日、タイ人の借金の取り立て屋が行きましたよね・・兄弟の家にまで」 「なんでなの?」 「だから、あなたが借金を払わずに、事件を起こして終わりだと思ってるからです」 「え?」 「あなたはゲオチャのリカさんから100万円を借りましたよね。 でも、支払いが遅れたり、払ったり、払わなかったりしていたので、リカさんが怒ってアパートまで行きましたよね。 それで、殴られたとか、バックからお金を取られたとかで警察へ行って4人が捕まりましたけど、あの100万円はリカさんのお金じゃなくて、リカさんがヤクザから借りてあなたへ渡したお金なんですよ」 「・・・・・」 「だから、4人が捕まっても100万円の借金はヤクザが取り立てに行く訳ですよ」 「フォンさんのIDのコピーも借用書も全て持ってますからね」 「・・・・・」 「ゲオチャイのリカさんはヤクザにあなたを紹介しただけですから、元々はヤクザがあなたへ100万円を貸した訳なんですよ」 「だから、あなたが借金を返さないなら、タイの実家や兄弟の家を燃やす・・と、火事にしてでも保険で取ると言ってましたよ」 「・・・・・」 「タイには保険に入って3日目から保険の下りる火災保険がありますよね。だから・・・」 「なんでタイの実家なのよ!」 大声でどなりちらした 「簡単に保険金が入るからですよ。 簡単にね」 「むこうの家族は関係ないじゃない・・・」 声をつまらせる 「あなたも家族も関係ないんですよ。 ただ、金さえもらえれば何でもしますからね」 「・・・・・」 「だから、今回の錦糸町の事件と、これからタイの実家で起きる火事とは関係がないんですよ。 あなたが借金の残額を払わなければ、どんな事をしてもバンコクのヤクザは借金を返してもらいますよ。 それが、今回は火事ということで・・・」 「もう~ 意味が分からない!」 「・・・・・」 タイの実家が火事になると言う事と、俺が話す火事の件が一致して真実味をまして、混乱している様だった 「あなた、だれなの?」 「そんな事よりも、どうしますか?」 「え?」 「あなたが借金を支払わないと、タイの実家や兄弟の家が燃えますよ・・・火事で」 「だって・・・」 「家だけじゃなくて、妹さんの2人の娘さんが行っている学校や、弟さんが通っている田舎のお寺まで・・・みんな知ってますよ」 「え? え? どして?」 「あなたの事はもう全て調べましたからね」 「こ・・・・」 「え? 何かいいました?」 「こわい・・・」 「先日は取り立て屋を実家に行かせましたけど、今度は、本物のヤクザが明日、明後日には実家へ行くハズです」 「なんで! どうして?」 落ち着かない様子だ 「・・・・・借金をすぐにでも返さなければ、実家は燃えますよ。 きっと・・・」 意味ありげに話した 「ね、ね、どうすればいいの? 私、どうすれば・・・」 「とにかく、借りた100万円を返して下さい。 そうすれば終わります。 もう月々の分割は無しです」 「だって・・・・」 「明日、明後日まで返さないと本当に大変な事になると思いますよ」 「・・・・・」 「あなたの借金のせいで実家やお寺、学校まで間違って 火事 になったら・・・村にはもう住めないでしょうね、皆さん」 「・・・・・」 「良く聞いてくださいね。 いいですか?」 「・・・・・」 「今、直ぐにでもタイに電話をして実家に取り立て屋を飛ばしてもいいんですよ」 「え?」 「火事を起こさせて、そいつらをミャンマーにでも逃がせば簡単な事です」 「え?」 「1人に1万円も渡せば、よろこんでフォンさんの実家や兄弟の家にガソリンをまくでしょうよ」 「実は、俺が・・あなたの、フォンさんの実家に借金の取り立て屋を送った本人ですから」 「え? う・・うそでしょう?」 「うそじゃないんですよ」 「・・・・・」 「俺はこの前、錦糸町で逮捕されたタエちゃんの友達です。 1番最後に逮捕された女ですよ。」 「分かりませんか? あなたが乗った車の中で待っていた女の友達なんですよ俺は」 「ええ?」 「あなたのおかげで関係のない俺の友達までが逮捕されたわけですよ」 「だから、今度は、あなたに関係のある家族、全員の家を燃やします」 「借金を今、直ぐに返せないのなら、直ぐにでもタイへ電話して人を飛ばしますよ。 で、家族の家を・・・」 「フォンさん、あんたは俺を本気で怒らせてしまったんですよ」 「・・・・・」 「ついでに言っておきますが、ゲオチャイも俺の友達ですから」 「・・・・・」 「殴られたり、嫌な思いもしたでしょうが、嘘まで言って警察に駆け込んだのは間違いでしたね」 「それなりのガム、タイ語でのガム、報い を受けてもらいますからね」 「今から、市川のアパートまで行ってもいいんですけれども、また、警察に泣き込まれたら面倒なのでこの電話をしている訳です」 「どうせ、借金は払えないと思いますから、実家が本当に火事になるかどうか・・・試してみましょうか?」 「・・・・・」 「家族同然の俺の友達が、あなたのオーバーな嘘で逮捕されて、このままでは刑務所へ行くことになるわけです」 「フォンさん、俺は今、あなたの実家と兄弟、妹の家を全て焼いても気が収まらない気分なんですよ」 「嘘だと思うなら、わざわざ実家まで取り立て屋を行かせて、家の場所を確認までさせないでしょう」 「本気だからあなたの家族の全員の家を確かめに行かせたんですよ」 「・・・・・」 「まぁ~フォンさんの家が燃えてもゲオチャイのリカやタエは4~5年は刑務所で戻りませんけど、少しはあなたとあなたの家族にも嫌な思いをしてもらいたくてね・・・」 「・・・・・」 「もう嫌な話を聞きたくないなら、この電話を切って下さい」 「・・・・・」 「でも・・・・もしもですけど・・・・少しでも 謝る 気持ちがあるなら、もう少し俺の話をこのまま聞いていてください」 「どうですか、身内が嫌な思いをするという事は、自分が辛い思いをする以上に気持ちが落ち込みますよね」 「どうにかしてやりたくても、どうしてやる事もできない、時間がない、距離がある、間に合わない・・・」 「自分はどんなことにでも耐えられても、家族を助けることが出来ないと、いうこの状況は俺もフォンさん、あなたも同じハズです」 「そこで、どうですか・・・お互いに楽になりませんか? いや、楽になりたくないですか? フォンさん」 「え~?」 「ここで約束しましょう。 俺と一つ約束をしてくれたら、フォンさんの家族へ手を出すことを止めましょう」 「簡単な約束です」 「どうですか?」 「どんな・・・約束ですか・・・」 「約束というよりも、お願いです」 「・・・・・」 「その前に、俺がフォンさんへ約束しますから」 「まずは・・・」 「1、フォンさんの借金は全額チャラに・・・全額請求しない。 つまり100万円の借金は返さなくてもいい」 「2、フォンさんの実家へは借金取りをもう2度と行かせない」 「どうですか? この約束は?」 「・・・・・」 「最後に、フォンさんもここ数日、嫌な思いをしたり、怖い思いをしたと思うんで、俺からのお詫びで100万円をあげます」 「え?」 「借金をなくして、その上で100万円を上げます。 どうですか?」 「わたしは・・・なにを?」 「明日、お昼ちょうどに錦糸町のゲオチャイへ行って100万円をママからもらって下さい」 「え~?」 「もう一つ、その足で、錦糸町の警察署へ行って、今回の事件の告訴を取り下げて下さい。 それだけです」 「え? どうやってですか?」 「警察署の刑事さんへ 示談をしましたから 告訴を取り下げます! とだけ言って下さい」 「多分、取り下げさせない様に色々と言われると思いますが、ひと言、告訴をやめます!と、言ってください」 「それだけですか?」 「ええ、そして書類に ハンコ か 拇印 をおして帰って下さい」 「どうですか? 出来ますか? 俺との約束?」 「・・・・はい」 「1、ゲオチャイへお昼に行って100万円をママから受け取る」 「2、錦糸町の警察署で 示談しましたから、告訴を取り下げます!と伝えて書類にハンコを押す」 「わかりました・・・」 「もう、たった今から、フォンさんとは敵ではないので、明日、警察署で俺が付き添ってあげるから、心配しないで」 「はい・・・」 「OK! じゃ、今の約束を守ってくれれば、俺も必ずまもるから」 「はい」 「じゃ、明日、お昼過ぎに俺は錦糸町の警察署の前で待ってるからね」 「はい」 「お金を受け取ったら、タクシーで警察まで来ると良いと思うよ」 「はい」 「じゃ、明日、お昼過ぎ、約束だよ」 「はい。 必ず行きます」 やり ^^ 「じゃあ もうタイの家族へ心配は要らないと教えてやっていいよ」 「はい。 そうします」 「じゃ、明日、お昼に警察署で」 「いきます」 ポチッ やり~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 起訴前に 示談、成立するかも。 明日が楽しみになった。 早々にゲオチャイのママに教えてやらなくては。 まじいなぁ~ ・・・ No28へ |
まじいなぁ~ ・・・ No25
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- 2018/03/27(Tue) -
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この話を書き始めたのが 2016/06/11 永っげぇ~なぁ~ ><
***** ゲオチャイ、タイレストランを出て、JR錦糸町駅へ足を進めた。 タバコに火をつけ、大きく息をはいた。 ここ錦糸町も俺には懐かしい街だ。 俺が錦糸町へ出入りをしていた時にはスカイツリーのスの字も無い頃だ。 駅の周りには数多くのキャバクラと風俗店、高速道路下の公園にはコリアンとロシアンの立ちんぼが大勢たむろっていた。 地元の友達と夜な夜な盛り上がり、へべれけでホテル イースト21へタクシーで戻るとフロントではいつも嫌な顔をされた。高級ホテルのつもりなのだろうが、高級ホテルほど俺の様な酔っ払いを上手くあしらってくれる。 イースト21のフロントの中身は1泊5,000円のビジネスホテルとさほどかわりはなかった。 その後、駅の北側に東武ホテル レバント東京ができ、イースト21とはおさらばをした。 錦糸町はロシアンが多い街だった。 あちこちに金髪や黒髪を銀色に染めた娘達が溢れていた。 もう15年も前の話だった。 吸い殻をリーガルの靴底で踏みつけ、錦糸町の職安前から駅に繋がる路地へ入った。 今では場外馬券売り場とコリアンのデリヘルでどうにかしのいでいる街に落ちぶれた。 昔のような華やかさは無くなっている。 たとえるなら埼玉の西川口のような街だ。 この度のタエちゃん件はまさに緊急事態だった。 たまたま一緒に捕まったリカという女がここ錦糸町ではある意味で有名な店の関係者だった事が幸いして少しばかりの希望の光が見えている。 もし、何らかの形でもゲオチャイが絡んでいなければ万事休すだ。 みんなで仲良く最低でも懲役5年は確定してしまうのだから。 俺が嫌いなモノに弁護士も入る。 ろくに仕事も出来ないくせに背広のバッジだけであくどい商売をしている。 東京の弁護士は東京弁護士会と東京第一弁護士会、若手が加入する東京第二弁護士会と三種類の所属会がある。8割が民事を担当し、2割が刑事事件を担当している。 弁護士というとテレビドラマの様な想像をするが、実のところ、仕事がなくてあぶれている連中が多い。 弁護士の名刺を見るだけで嫌気がさす。 唯一、検事を経験して弁護士に転向した弁護士だけが信頼できる存在なのだ。 弁護士が足りないなどと報道されているが、大きな間違いで、アホな弁護士が多すぎて依頼が少ないだけなのだ。 特にやる気の無い弁護士に刑事事件を任せるなど、三途の川を浮き輪も無しで、向こう岸まで泳ぎきるくらい無謀な話なのだw。 ゲオチャイのママ、逮捕されたリカの姉の元に現れた弁護士も最悪としか思えなかった。 一日も早く弁護依頼を取り下げてもらいたかった。 仕事も出来ないくせに着手金や弁護費用だけを伝えに来るような弁護士など必要ないのだ。 時間との勝負なのだから・・・。 ゲオチャイのママから連絡が入ったのは二日後だった。 「もしもし、めめさんですか?」 「めめですが」 「この前の相手の事ですけど・・・」 「分かりましたか?」 「はい、妹から借金をしてた女、本名が ラッサミ・トン・ブン・マアー と言います。 みんなは フォン と呼んでますけど」 「フォン?・・・かぁ」 フォンとは 雨 の意味だった。 「で、出身とか親戚は?」 「はい、そのフォンはピッサヌローク県に実家があります」 「北側の田舎の県だね」 「はい」 「親戚は?」 「彼女は長女で、3人の弟がと1人の妹がいます」 「みんなピッサヌローク県?」 「いいえ、妹が隣の県、ウドンタニー県で、弟は3人ともコンケーン県です」 「みんな近くの田舎の県だね」 「そうみたいです。 妹に2人の娘がいます」 「で?」 「弟3人も結婚をしててコンケーンで田んぼをしています」 「3人とも?」 「はい、3人とも同じ家に住んでいるみたいです」 「それは都合がいいなぁ~」 「え?」 「いやぁ、こっちの話です」 「妹の娘は村にある小学校に行っています」 「弟の息子や娘も村のお寺にある小学校と中学校に行ってます」 「いや~、有り難うございます。 よく分かりましたねここ1日、2日で」 「すぐにバンコクの友達に連絡をして、探してもらいました」 「そうですか」 「はい。 タイのIDのコピーがありますから簡単でhした」 「じゃあ、もう一つ、お願いしてもいいですか?」 「はい、何ですか?」 「妹の実家と、弟の実家へそれぞれ誰かを行かせて下さい」 「え?実家へですか」 「実家へ行かせて 姉 フォン の借金を支払え!と少し悪たれをついてもらいたいんですよ」 「え?」 「日本でフォンが借金を払わないから実家に取り立てに来た!と、いう意味です。 出来ますか?」 「ええ、向こうにはそういう友達もいますから・・・」 いいにくそうだった 「取り立てを実家に本当に行かせて欲しいんですよ」 「できますけど・・・・」 「で、フォンの借金を払わないと実家に火をつける!と脅かして下さい」 「え?」 「簡単でしょ。 実家にフォンの借金の催促に行って、払えないなら火をつけると脅かすだけですから」 「ええ・・・できますが・・・」 「じゃ、さっそく現地の取り立て屋に実家のあるピッサヌローク県と妹の実家のウドンタニー県、弟3人の実家コンケーン県で少し脅かしをかけて欲しいんです」 「・・・・」 「出来るだけ早くお願いしたいんですが、出来ます?」 「分かりました。 そぐに連絡をして行かせます」 「心配しないで、任せて下さい」 「はい。めめさんの事は色々と聞いていますから・・・お任せしますけど」 「このやり方しか妹さん、リサさんを警察から取り戻す方法は無いんですから、是非ともお願いします」 「分かりました」 「フォン本人の実家と、妹、弟の実家で少し嫌がらせをさせてください。 来週までフォンの借金を払えないなら家が火事になっても知らないぞ!くらいに脅かしておいて下さい」 「分かりました」 「じゃ、3カ所の実家へ行った後、また俺に連絡をしてください」 「めめさん、大丈夫でしょうか・・・そんな事をして」 「フォン本人へプレッシャーをかけても本人は警察へ駆け込むでしょうから、実家にプレッシャーをかける方が良いんですよ、こんな時は」 「分かりました。 すぐに行かせます」 「ママさんや妹さん、リカさんへは問題ないようにしますから、俺の事、信じてやってみて下さい」 「はい。 では・・実家へ行かせたら、また連絡します」 「面倒かもしれませんが、お願いします」 ゲオチャイからの連絡を待つことにした。 タイでは長女が家族全員の面倒をみる。 日本の長男と同じ様にかなりの責任や重荷を負う事もある。 その長女が日本で借金をして、取り立てが実家まで来たとなれば本人も、家族も気が気では無くなるハズ。 そこが狙い目だ。 いや、そこしか狙い目が無いのが現実だ。 そして、実家へ人を飛ばしたのがゲオチャだと分かるとフォンも今以上に態度を硬化させるだろうし、敵視も強くなる。 絶対に示談などしないだろう。 しかし、ゲオチャイ以外の第3者の誰かがタイの実家にまで手を回したとなれば話は別だ。 態度を硬化させる前に驚きと恐怖が生まれる。 予想では取り立て屋達が実家へ行った途端に家族中で大騒ぎになるハズだ。 1件ではなく3件の実家へ奇襲をかけるのだから、タイの実家から連絡を受けたフォンの心理状態など簡単に予想はつく。 後は、うまく 飴と鞭 を使い分ける作戦なのだ。 まじいなぁ~ ・・・ No26へ |
まじいなぁ~ ・・・ No22
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- 2017/12/30(Sat) -
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香港にモデルをしている3人のマブダチがいる その1人のメナちゃんが、1年半ほど前からモデル業を止めて、イベントやクラブでのDJを始めて大ブレーク中 今では DJ Mena と言えばアジアのクラブではかなり知られた名前になった つい最近 「あなたのために作った」 と、これを公開してくれた。 ウソだと分かっていても、本人から言われると嬉しいわなぁ 不醉不歸 Don't Let Me Down がっかりさせないでね! と言う題名・・・ 意味深・・・ [広告] VPS サチと2人、気まずい雰囲気でエレベーターの中で無言で過ごす。 途中のフロアーで何回か扉が開いて社員が出入りをしながら挨拶をしてくれたが、お構い無しに無言で通した。 エレベーターからサチが先に降りると、紙袋を抱えたまま海外事業部へ足早のまま、部屋のドアの脇のIDチェックに首から提げたカードを押し当て、ドアを右膝で大きく開いて中へ消えていった。 多分、荷物の袋を机の上に置き、俺の入室を腕を組んで正面で待っている事だろう。 そのまま部屋の前を通り過ぎて、非常階段へ向かった。 おもむろに非常階段のドアを開いて、内ポケットからタバコを取りだし、火を付けた。 喫煙禁止場所だが、俺には関係なかった。 喫煙室まで行くほど人間が出来ていない俺を、自分が一番よく知っている。 ものの数分で1本のタバコを吸い終わり、2本目に火を付けようとしたが、思いとどまり、足元の吸い殻を非常階段に蹴飛ばして部屋に戻ることにした。 きっとサチの目は三角になっている事だろう・・・。 イズにも会議を抜け出して、丸投げした引け目もあった。 ドアの前で深呼吸をして、部屋のドアを開いた途端、目を疑った。 机の上にジャージや下着、ブラジャー、ヒートテックのインナーが散乱していて、サチと、イズとミミで取り合いになっていたw。 大阪のおばちゃんのバーゲン会場に迷い込んだ様だった。w サチはさっきは「あたし、いらないから・・」と、ほざいておきながら、イズとミミと争奪戦を繰り広げていた。 「あたし、これとこれ!」 サチ 「え~、それ私が先に取ったのに・・・」 イズ 「このジャージ可愛いですから、ミミ、もらいます」 ユニクロには目を向けないミミまでが、机上バーゲンセールに参加していた 「あのなぁ・・・おまえら・・・」 まぁ、いいかぁ サチに趣味が悪いとか、地味だとか言われ、当たり前だろう~差し入れ品だものと、胸の中で答えていたが、そのサチが1番手に取っていた。w 「喧嘩しないで、適当に分けて、もって行っていいからな」 3匹の耳に聞こえたかは不明だが、とっとと、自室へ入って内側からドアをロックして、事務室側と俺の部屋を仕切るハメ殺しのガラス窓のブラインドも下ろした。 もう1度、頭の中で整理をしたかったのだった。 錦糸町と言う土地柄、ゲオ チャイが絡んでいる事は否めなかった。 それと、弁護士の件。 錦糸町へ探りを入れる必要があった。 だれから情報収集をするべきか・・・。 俺が直接タイ料理レストランのゲオ チャイへ出向いても良いが、本当の事は教えてはくれないだろう。 そこで、錦糸町で看板を出さずに、マンションの1室をかりて、携帯電話だけでタイ式マッサージのデリへをしているある店の娘に接近して、話を聞き出す事にした。 錦糸町と言う土地柄、「当店は風俗行為は一切御座いません」と、言う宣伝広告を出している店ほど、風俗斡旋をしている事は歌舞伎町と同じだ。 そこで、歌舞伎町から五反田、錦糸町へと流れた ノイ と言う知り合いの娘に連絡をしてみることにした。 ノイは二十歳過ぎの細身で可愛い娘だった。 元々はタイ本国のパッポン通りにあるポールダンスバーで客を取って、田舎に家を建てることを夢見ていた。 2週間の観光ビザで入国して、錦糸町で働き、1度、帰国してから、またひと月後に錦糸町へ戻ってくる出稼ぎ娘の1人だが、俺が錦糸町へ足を伸ばす度にゲオ チャイで良く食事をしていた仲である。 俺の顔がゲオ チャに割れている以上、探りを入れると警戒される恐れがある。 その点、ノイはいつもゲオ チャイで飯を食っているので多少の事情は彼女の耳にも入っていると踏んだのだ。 さっそくノイに携帯してみる。 ♫~♩ 「あ~ めめさん、お久しぶりで~す♡」 いきなり♡を投げつけられたw 「あのさぁ ノイちゃん 今晩 、錦糸町へ行くから 飯 どう?」 「え~と・・・今日の夜? 何時?」 「夜7時頃でどお? 誰か、予約、入ってる?」 「7時ならいいわよ。 9時から指名が入ってるから」 「OK じゃ、7時にいつもの ゲオ チャイ で待ってるから」 「は~い♡ 7時にご飯、いきま~す♡」 「じゃね」 「ばいばい」 別にノイとは深い関係では無い。 タイのパッポン通りで働いていたので、日本語も英語も堪能で話しやすいのだった。 タイから着たばかりの娘は日本語が話せないので余り指名が入らないが、彼女は流ちょうな日本語を話すので、指名客も多い。 勿論、観光ビザで来ているので2週間だけだが、働いている事もが、違法行為である事も知っている。 だから、なじみの客しか取らないのである。 余談だが、タイ本国のタニヤ通りや、パッポン通りでポールダンスをしながら客を取る売春では、2時間で3,000円にしかならない。 その点、日本なら2時間2万円~が相場だ。 ただし、日本に来る為にはブローカーを介して、30万円の借金を負わされる。 旅費往復10万+衣食住2週間=30万円。 それ以上の金額を2週間で簡単に彼女達は稼ぎ出す。 稼ぎは1回50%が手取りとなる。 受け入れの店も、無店舗風俗業などの資格を持たないまま、勝手に口コミでやっている所が殆どだ。 最近も小岩の娘から泣きつかれた。 30万円が返せないと言うのだった。 景気の良い街とそうでは無い街では格差が生じる。 しかし、ブローカーへの30万は借金をしてでも支払わなくては帰国出来ない。 オーバーステーになれば5年は日本サイドへ再入国が出来なくなる。 近く、小岩でボロもうけをしている店を叩き潰すつもりだが、その前に、この錦糸町のミッションを何とかしなくてはならない。 情報収集が今後の動きの全てを左右する、重要な手がかりだった。 今晩、ノイちゃんと錦糸町のゲオ チャイで食事をしながら、少しでも多くの情報収集をするつもりだ。 それも敵のふところの中でのことだった。 時計を見ると午後6時を少し過ぎていた。 事務所を出てその足でTAXIを拾い錦糸町へ向かった。 まじいなぁ~ ・・・ No23へ |
まじいなぁ~ ・・・ No20
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- 2017/12/23(Sat) -
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エレベーターで1階へ降りると、同じ門番がいた。 おや?早いですね、とでも言いたそうな顔だったが、2階での対応を思い起こしていたので、門番など相手にもしたくなかった。 来た時は先頭だったが、帰りは2人の後ろに一緒に付いて来た。 アルミの出入り口を開けてもらい、「有り難う御座いました」と軽く会釈した。 「ご苦労様でした」と声だけが閉まった扉からかえって来た。 留置所をやっと見つけ出し、私撰弁護士を付けて情報を集めようとしたら、私撰弁護士が付いていた。 あげくの果てに、面会にまで来てみると、タエちゃんから「知らない人」だと言われる。 訳が分からない事件だ。 おまけに女性物の下着やジャージが山ほど余ってしまった。 笑えない結果だった。 出口近くの鉄格子近くで車を呼んで、タバコに火をつけた。 空が悲しいほど青い。 煙を手の届きそうな青空へ吹きかけていると、彼が深々と頭を下げた。 「色々と、本当に有り難う御座いました。 差し入れまで買って来てもらって・・・済みませんでした。 気が動転してて、自分では差し入れの事なんが、全く気が付きませんでした」 「いやいや、留置所へ放り込まれたら、下着と金ですからね」 笑 「さっきの5万円、必ずお返ししますから、少し時間を下さい」 「いや、タエちゃんに、とっととここの留置所から出てきてもらって、彼女から受け取りますよ^^」 「ほんと、助かります」 「まぁ~当面の間、必要な物があれば、中からでも買ってもらえますからね」 「そうですね」 「男なら、入らない物の方が少ないハズなのに、ここは厳しいですね・・・さすが女子専用の差し入れは」 「ですよね」 「まぁ、ここにいる事も分かったし、今日は運がよかったんでしょうよ。取り調べが午前中で終わったのか、丸々1日、空きの日だったのか、時間的にも夕食5時ですから、早めに戻って来ていたのかも知れませんねがね」 「居場所がわかって、また、弁護士が付いていた事もわかって、なんか、安心って事じゃないけど、落ち着きました」 「そりゃ~良かったですよね。本当に」 「ええ」 「面会に来ても知らないと、言い張るんだから、ご主人の所へも連絡が行かなかった訳ですね・・・」 「そうでしょうね」 「タエちゃんらしいじゃないですか」 「え?」 「旦那さんや友達に迷惑をかけたくない思いなんでしょうよ、きっと」 「そうでしょうかねぇ」 「きっと、そうですよ。 会いたくないハズなんてないですよ。 俺なら喜んで面会しますけどね^^」 「・・・」 「我慢したんでしょうね・・・彼女なりに」 「ですかね」 「強いですね。 旦那さんに知られたくない、迷惑をかけたくない一心でしょうね」 「・・・」 「でも、俺にまで強がらなくても良いのにさぁ~」 「すみません」 「いや、あなたが謝る事じゃないですよ」 「・・・」 「俺はただ、タエちゃんが強いなって、感心してるだけなんでね」 「・・・」 「警察も弁護士も、その気になれば金沢の住所くらい分かるハズですから、きっとタエちゃんが弁護士へ、金沢へは連絡しないで欲しいと伝えたんでしょうよ」 「ですかね」 「後の事はもう少し調べて、俺からまた連絡しますから、金沢で、何か動きがありましたら教えて下さい」 「わかりました。 何かありましたら直ぐに連絡します」 「俺の方も気になる事があるんで、2~3日したらまた連絡しますから 「おねがいします」 「連絡は夜の方が良いですよね」 「ええ、出来れば夜だと、必ず家にいますから」 「分かりました」 「どうも 錦糸町 と言う街が気になるんですよ」 「・・・」 「まぁ~2~3日、待ってて下さい。 弁護士も付いている事だし、大きな心配は無いと思いますので」 「はい、安心しました。 今日は本当に有り難う御座いました」 「で、」 「?」 「車が来た様ですから、上野駅で良いですか、東京駅がいいですか?」 「え~いえいえ、その辺の駅で」 「水くさいこと言わないで下さいよ。 じゃ、上野駅まで行きましょう」 「すんません」 右側から歩道橋の下を抜けて、S500が滑り込んで来た。 「乗りましょう」 「はい」 運転手がハザードを付けて、降りてこようとしたところを止めて、トランクを開けさせた。 ユニクロの袋をトランクに投げ込み、そのまま2人で後ろの座席へ乗り込んだ。 「専務、どちらまでですか?」 「金沢の駅まで頼むわ」 「え?かなざわ・・・」 「冗談だよ、冗談。 上野駅まで頼むわぁ」 「畏まりました」 笑 タエちゃんは面会に行った俺と旦那を知らないと、言い張った。 旦那のことを思って、知らないと言い張ったのだろう。 会いたくないハズなど無い。 絶対、会いたいハズだ。 ・・・なのに。 タエちゃんは旦那へ迷惑が及ぶことを恐れて、知らないと言ったのだ。 強い心の持ち主だと痛感させられてしまった。 俺よりも心の強い女性だった。 まじいなぁ~ ・・・ No21へ |
まじいなぁ~ ・・・ No16
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- 2017/12/21(Thu) -
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「はい、池袋、東京弁護士会です」 ハッキリとした透き通る様な声だった 「初めてのご相談で電話をしたのですが」 「はい、どの様なご用件でしょうか?」 「実は、2~3日前、友人の女性が逮捕されまして、弁護士先生をお願いしたいのですが」 「もう逮捕されてる訳ですね」 「ええ、そうです」 「そうですか、実は、こちらの弁護士会では逮捕後の推薦や選任はやっていないんですよね」 優しかった 「では、どうしたらいいんでしょうか?」 「宜しければ、その様な場合は 当番 弁護士のいる上野、弁護士会館へご連絡をしてみては如何でしょうか」 「当番弁護士先生ですか」 「そうですね。 逮捕後ですとそちらの方が宜しいと思いますが」 「では、上野ですか?」 「はい、上野の弁護士会館がここからでしたら近いですね」 「連絡先の電話番号をお知らせ戴けませんか?」 「はい、宜しいですか?」 「どうぞ」 「03-3580-00**です」 「03の3580、00**ですね」 「そうです。 そちらへご相談下さいませ」 「有り難うございました」 「いいえ、どういたしまして」 カチャ 受話器をフックに置いた。 俺の知る限り、当番弁護士と言うのは定年のない弁護士業界で、爺たちが暇つぶしで、順番で事件を待っているイメージがあり、余りいい印象がない。 勿論、現役バリバリの弁護士ならどこかの事務所に所属しているのが当たり前だった。 この 当番 弁護士にお願いをして希望通りに事が進んだ事も聞いたことが無い。 肩書きだけのロートル爺の弁護士が多い。 弁護士を依頼するタイミングは逮捕前が最適だ。 事情を話して、もし逮捕されたら弁護してもらう。 ここで言う「弁護」とは法廷ではなく、機動力を生かして、捜査中の警察署へ出向いて、現在までの捜査資料や状況を把握して、予想される逮捕後の容疑に備える事だ。 一般的には、危なくなると、まずは知人、友人を通して紹介してもらった弁護士事務所を訪ねる。 そこで担当してもらう弁護士と相談する。 30分ほどで2万円位が相場だ。 その際に、その弁護士が引き受けてくれるとなると、おおよその総額を提示してくれる。 「ん~今回は30~50万円位かかりますよ」と教えてくれる。 で、次回の相談時に、着手金として10万円でも20万円でも支払う。 これで弁護してくれる事になる。 途中の経費や中間金なんてものは殆どの場合は必要としない。 残りは釈放されてから、再度、事務所を訪れてお礼と残金を支払う。 これが一般的だ。 よって、弁護士もこの残金を取り損ねたり、分割にされるケースも多々あるのだ。 この、自分から逮捕前に、逮捕されそうなのでお願いしますと、言うのが「私撰(しせん)弁護士」と呼ばれる。 警察側が一番嫌がるパターンだ。 もう一つ、国選(こくせん)弁護士がある。 これがいわゆる、当番弁護士=国選弁護しとなり、負担費用は無料で、国が弁護士へ支払う。 よって、最低限度の収入しか入らないので、弁護側のやる気が感じられない。 1件あたり国選は2~5万円の報酬なのだ。 だから、国選(当番)弁護士と言っても数件の事件を同時に裁いて稼ぎにしていく。 何のアドバイスや対抗もせずに、裁判の時にだけ顔を初めてだして、型取りの弁護で実刑を食らっても、1件終了で2~5万円を受け取れるからだ。 1番のベストは逮捕前に「なんか、逮捕されそうなんですが・・・」と紹介してもらった弁護士へ連絡を取る事で、次の2番目は・・・・無い。 国選弁護士で無事、不起訴になったり、簡易裁判で有罪だが、罰金刑で釈放された、などとは俺は聞いたことが無い。 奥の手として、最悪、捕まってしまったら、1度、速攻でこの当番弁護士を警察での取り調べの最中に呼び込む。 相手の弁護士を見て、やる気があるか、信じてお願いできるかを見極める。 弁護士からのアドバイスで行けそうならば、その当番(国選)弁護士を「私撰」に変更するやり方もある。 当然、私撰に変更する訳なので金額は全額自分負担となるが、弁護士の動き方が多少は変わるので猶予の希望も湧いてくるのだ。 当番(国選)と早めに面会して、ダメな爺弁護士なら、弁護を止めてもらう。 1度の話だけなら無料だし、時間も制限が無く弁護士とは相談ができる。 今回のタエちゃんの場合は、逮捕済みである。 選択は、①当番弁護士に依頼して、1度切りの面談で、後の弁護はしてもらわない。 ②当番弁護士に依頼して、国選待遇扱いから、実費覚悟での私撰待遇扱いに変更して、終始弁護を依頼する。 ③裁判まで国選弁護士を付けないで取り調べを進める。 俺の選択は、①だ。 知り合いにも弁護士はいる。 最悪、会社の顧問弁護士のネットワークで最高の弁護士を付ける腹もあるからだ。 今、一番必要なことは「タエちゃんの置かれている状況」が知りたいのだ。 その状況が分かれば、対処は出来る。 だたし、罪名が大げさな罪名なので、本腰なら300万円~の覚悟もいる。 まずは、タエちゃんと当番(国選)弁護士とを面会させて、タエちゃんが今、何を困っているのか?、何を心配しているのか?、罪名が適切なのか?が知りたいのだ。 逮捕後に罪名がころころ変わるケールも多々あるからだ。 気は進まないが、取りあえず、上野にある弁護士会館へ電話してみる事にした。 「取りあえず、当番弁護士に連絡を入れて、タエちゃんの状況を見てきてもらいましょう」 彼に話しかけた 「ええ、宜しくお願いします」 もう言葉がでない 「ん~と、上野の弁護士会館は 03-3580-00** だよなっと」 メモをみながらプッシュボタンを押す 「はい、弁護士会館です」 おばちゃんの声だったw 「済みません、初めての電話で、ご相談なんですが、逮捕された友達に弁護士先生をお願いしたいのですが」 「はい、分かりました。 当番弁護士の先生がおりますので、ご連絡をこちらから取らせて戴きますね」 「はい、お願い致します」 「では、まず 逮捕された人のお名前を教えて下さいませんか」 「はい、ラッタナポーン・シープラジャン 、または、木下 ラッタナポーン と言うタイ人の女性です」 「そちら様はどなたでしょうか?」 「夫の代理人で、知人です」 「では、今、お電話をいただいています方の、お名前と、お電話番号をお知らせ下さいませ」 「はい、めめと言います。 連絡先電話番号は携帯で090-9312-9797です」 「めめ様ですね。 お電話は090-9312-9797ですね」 「はい、今、ここに逮捕されました奥さんの旦那さんもおりますが・・・」 「いえ、結構です。 タイ人の女性で いつ頃、逮捕されましたか?」 「一昨日か昨日だと思います。 昨日のTVのニュースで知りましたので」 「そうですか。 分かりました」 「どこで逮捕されたか、分かりますか? 「定かではありませんが、新宿のアパートで、錦糸町の本所警察が来たと聞いています」 「そうですか。 その女性の生年月日は分かりますか?」 「分かります。 1996年11月1日生まれで25歳です」 以前のビザ更新用紙を見ながら答えた 「繰り返しますね、ラッタナポーン・シープラジャン または、木下 ラッタナポーンさんで、1996年11月1日生、タイ人の女性。 逮捕は一昨日か昨日ですね。 新宿のアパートで錦糸町の本所警察署が逮捕したんですね」 「その様です」 「では、こちらから当番弁護士先生へご連絡をしてみてから、めめ様の携帯電話へご連絡しますので、1度、切ってこちらからの連絡をお待ち下さいませ」 「あ!言い忘れましたが、現在は錦糸町管轄の本所警察署では無く、女性拘留所の北区、西が丘分所にいる事までは分かっています」 「そうですか。 では出来るだけ早くご連絡を致しますので、少々、お待ち下さいませ」 「宜しく、お願い致します」 カチャ まぁ~上野と北区だとそんなに遠くも無いので、ハズレを引いての爺弁護士でも、行って帰って来る事くらいはできるだろう~と心の隅で思いながら、弁護士会館からの折り返しの連絡を待った。 タエちゃんの旦那(木下)さんは完全に硬直状態でソファに座っていた。 イズが入れてくれたコーヒーに、一口も手をつけていないまま冷えてしまっている。 メモ用にアメリカ製の黄色いレポートパットを取り、机からソファーへ座り直した。 ガラス越しにサチが聞き耳を立てている影が見えたので 「サチ~、コーヒーおかわり!」 と、大声で叫んでやった。 目の前の木下さんが、その声でようやく冷凍解凍された明太子の様にゆっくりと動き出した。 まじいなぁ~ ・・・ No17へ |
まじいなぁ~ ・・・ No7
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- 2016/10/03(Mon) -
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最近気になるジュエルちゃん へへ^^ [広告] VPS ***** 更新、がんばるぞぉ~ って、ひと月 放置 >< No6から 俺が通い始めた10年前からここ風林会館の濃いめのコーヒーは味が変わっていない。 ゆっくりとミルクを浮かべながら今後の事を考えてみたが、いくら考えてみてもこちらが有利になる要素などひとつも見当たらない。 逮捕後23日以内になんとかしなければ確実に実刑は免れない。 逮捕後48時間以内に検察に送致され、その後24時間以内に裁判官に勾留請求がなされてから本格的な取り調べが始まる。 簡単に言えば、逮捕されると、速攻で警察署で検察へ送る調書が作られる。 その調書と一緒に検事局へ行き、検事から事件内容を確認される。 この時の検事が自分の事件を担当する「担当検事」となる。 確認を求められた事件内容を認めようが否認しようが自由だ。 しかし、検事が取り調べの必要があると思えば「今回の事件に付いて取り調べを進めます」と言われ、その足(24時間以内)で今度は近場の裁判所へ連れて行かれ、個室で裁判官より住所、氏名、年齢、職業を簡単に聞かれ、ウムもなく「これから取り調べの為、拘置します」とだけ言われ、ものの3分で拘留が確定するのだ。 警察が逮捕し、検事が事件を吟味し、裁判官が判決を申し与える。 よって、逮捕した警察の調書が適当だと検事からクレームを言われるわけで、誰が見てもスジを通した適当な調書(物語)が作られるのである。 調書を2度、3度と書き直すのを警察は極度に嫌がる。 調書の信頼性も元より、取り調べの刑事の能力が問われる訳で、何よりも刑事も書き直すのが面倒なだけなので、取り調べを始めるまえからストーリーは出来ているのが通常なのだ。 そのストーリーに合わせた取り調べでの供述を要求してくるのが普通なのである。 取り調べ室は3畳ほどの超~狭い個室だ。 TVドラマの様なあんな広い部屋など存在しない。 容疑者が暴れたら取り調べ中の刑事もひとたまりも無いし、怖いのが本音だ。 拘留されているブタ箱も3畳半ほどに2~3人が同居する。 1人部屋などほとんど無い。 よって2~3人で同室するので見栄を張って話が膨らむものである。 部屋の隅に中が透けて見えるトイレがあるだけで、使用の際は小か大かを拘置室の職員へ告げて、水を流してもらう。 自分では使用後の水も流せない仕組みになっている。 勿論、水が飲みたいときも担当職員へ大声でお願いしてコップに水をもらうしかない。 時間つぶしに雑誌を1~2冊入れてもらえるが、日中は取り調べで読む暇などない。 勿論、刑事からの取り調べに対してどの様にウソぶいてやろうか頭の中はいっぱいで、雑誌など見ていても上の空なのだ。 ペンや便せん、ノートの使用の際なども、その都度、お願いをして中へいれてもらい、使用後は返す。 朝、7時頃に起床し、布団をたたみ、奥の部屋から順番で施錠が開くので布団のしまわれている部屋へ各自、自分の布団一式を抱きかかえて持って行って積みこむ。 洗面後、食事をしてマッタリしていると「運動時間」と俗に言われる一服タイムがある。 運動場と称される兎小屋の様なベランダへ移動し、そこで各自のタバコを渡され、一服したり、乾電池式のシェイバーで髭をそるかツメを切る時間が15分ほど毎日ある。 終了後はまた狭いブタ小屋(部屋)で自分の取り調べが始まるのを待つだけだ。 8時過ぎ、順番に自分の番号、名前では無く、拘置後は番号で呼ばれる訳だが(他の部屋に知人が居た際や、他人に名前を覚えられない様)取り調べ者の番号が呼ばれ、ブタ箱からでて全身検査後(簡単なボディーチェック)に手錠を緩(ゆる)くされ、拘置室から出て取り調べ室へ向かう。 取り調べ室のドアは開いていて、狭い部屋を横になって中央の机の向こう側のイスの脇に立ち、取り調べの刑事が手錠をハズしてくれる。 手錠は腰縄と繋がっていて、手錠はハズされても腰縄はイスに結ばれる。 これで逃走するとイスが狭い部屋で邪魔になる訳である。 取り調べ中は殆ど部屋の入り口のドアは半開きか開いたままだ。 閉めてしまえば密室だし、何よりも刑事が容疑者と2人きりになるのが怖いのだ。 ただし、取り調べで相手の気心が分かってくると刑事がコーヒーの差し入れやタバコを差し出してくれる。 刑事が調書をPCに打ち込んでいる間、適当に一服して気を紛らすのだ。 勿論、いくらなんでもカツ丼の差し入れや食事は取り調べ室では出来ないw。 狭い取調室ではコップ1個、灰皿さえ取り調べ官への凶器になるのだ。 く・・・詳しすぎるかぁw。 今の時点で、こちらの欲しいのは警察側の情報だ。 正式に何という罪名でタエちゃんが逮捕されたのかが一番の興味なのだが、警察の情報など簡単に分かるはずも無い。 せめて新宿警察なら知り合いもいるが、錦糸町では手が届かない。 やることは一つ、弁護士に依頼してこれまでに作られた調書の内容を知ることだ。 腕の良い検事あがりの弁護士が一番心強いのだが、高額をボラれそうで気が進まない。 安くあげるならヒマな弁護士に動いてもらうしか無い訳だが、依頼の際は家族の方が都合が良い。 明日、タエちゃんの旦那、と言っても、ほとんど偽装結婚なので動いてくれるかが心配だが金沢に連絡をしてみることにしよう。 以前、タエちゃんからの在留ビザの申請で旦那の住所や連絡先はクラウドへ保管していてどこからでもリンクして連絡は出来る。 ヒョッとすると彼はまだ気が付いていない可能性の方が大きいのでは・・。 逮捕、拘留される時に警察から「連絡先があれば連絡を取る」と一言だけ言われるが、タエちゃんが否認、黙秘で何も話さなければ警察から金沢の旦那へ連絡することも殆ど無い。 捜査や調書が進んで一段落すると家族へ連絡を取ることもあるが、通常では警察側から家族に何か聞きたい事がある場合か、逮捕された本人がお願いしない限り警察から動くことはまれだ。 特に、初動捜査で面倒が生じることを警察は極度に恐れる。 逮捕直後にお抱え弁護士への連絡は警察でも最も恐れる事態で、よく容疑者が「弁護士を呼んでくれ!」と警察に話すと、「知っている弁護士はいるのか?」と聞き返す。 顧問弁護士や知り合いの弁護士がいないと分かると決まって警察は嘘をつく。 「いあ~弁護士は裁判の時に必ず付くから、今はまだ裁判じゃ無いから必要はない。 裁判が近くなってからでいいよ」と、決まり切った嘘を言うのだ。 これは許せない事なのだが、極度に弁護士を嫌がるのだ。 逮捕されたらまずは黙秘で弁護士を呼ぶのが一番の得策だ。 明日、金沢へ連絡をとってみてから今後の動きを決める事にして、目の前の10年以上も味の変わらないコーヒーを一気に飲み干して店を出た。 2階の駐車場から赤馬に乗り込み帰宅することにした。 これ以上考えてもラチがあかない。 ナンやカンや考えても現状が動かなくては手が打てない。 悪い妄想には絶対勝てない。 酔いも醒め、赤馬は明治通りを機嫌良く走り出した。 ネオン街を走りながらさっきリベルタのマスターがもらした「昨日、弁護士からこの度の件からは降りさせてもらいます・・と言われました」と言う言葉がひっかかっていた。 弁護士が降りるような山(事件)を俺に振って来るんじゃねぇわぁ~。 たく・・・、今さら リサ の色香に迷わされてしまった自分に思わず悔やんでアクセルを強く踏んだ。 まじいなぁ~ ・・・ No8へ |
まじいなぁ~ ・・・ No3
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- 2016/08/31(Wed) -
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No2 追記、更新完了。 さて・・・・・ [広告] VPS こんなの↑↓が送られてくると仕事も人生も捨ててエイリィ~の所へ行きたくなるわなぁ ^^ 最近では娘も才能が開花され、 どんなコスメ(化粧品)でも美人娘が売れば売れないハズはない^^ さすがぁ娘 やる事まで似てきたなぁw エイリィ~ 頼むから パパァ~ って呼ぶなぁ ダ~リン♡ って呼んでくれぇ ・・・Orz ***** 部屋に戻りサチがくれた各紙の新聞紙コピーに目を通してみると、今日の朝タイ人の女が3人、日本人の男が1人逮捕されたと書かれていた。 逮捕理由は女3人と男1人の4人で千葉県市川市在住のタイ人女性のマンションの部屋へ行き、貸した金の取り立ての際に相手を殴り、怪我をさせ、部屋から拉致して日本人男性のマンションへ連れて行った。 その際に被害者の女性のハンドバックを奪い、中から現金をも抜き取ったという事件だった。 こんな事件で逮捕されたら助けられるハズも助かるハズもない。 強盗致傷なら執行猶予なしで6~7年は確定だ。 逮捕前に捜査されてるから何とかして欲しいと言うのならまだしも、逮捕されてしまった以上は俺が彼女たちに面会できるハズもないのだから・・・・。 腕のいい弁護士でも高額な弁護料をフッかけて、「頑張りましたが、やはり執行猶予はとれませんでした」で終わりで高額な弁護料に泣き寝入りしかない。 安くても首謀者100万~、その他各1人50万~は弁護士から請求されるのは見え見えだった。 目まいがする中、気を取り直してニュースの動画も見てみた。 ん?へ?はぁ?え~~~~? このTVニュースで報道された動画を見て飛び上がった。 パトカーの後ろ座席の真ん中で左右の刑事に挟まれ座っている女に見覚えがあった。 車の外からのフラッシュで車内が光り、女の顔がハッキリ映り出されて画像が一時停止したのだ。 見覚えがあるどころか知人の「タエちゃん」だった。 ニース画面で初めて彼女の本名も知った。 タイ人達は本名は絶対に言わない。 どんなに親しくなっても彼女たちは本名は名乗らないのがタイ人だ。 よって、何年付き合っていてもニックネームしか知らなかった。 彼女のフラッシュで光る顔を見てますます胸が重くなった。 まいった・・・・。 知らなくても良いことを知ってしまった以上、このままでこの件を断ればきっと毎晩夢見が悪くなる事だろうw。 今晩、約束した歌舞伎町の店に出向いて行って難しそうなメンドい話ならキッパリ断るつもりでいたが、知り合いが絡んでいる以上は「無理~、むりだから~手を引くよ」とは言えなくなってしまった。 気が重い。 別に知り合いでも、知り合いじゃなくても、キリスト様でも、仏様からでも無理なことは無理なので諦めてもらうしかない。 強盗致傷で逮捕されてしまった以上は無理すぎる・・・そんな事は重々判りきっている事なのだが、それでも今夜、たった1%の可能性に賭けてみようとしている自分を、もう1人の自分が諦め気味の冷たいワニ目で見ていた・・・・。 (-.-)y-゜゜ 歌舞伎町の夜を歩き回るのが好きだ。 行き先も決めないで気ままに歩く。 数年前までは100mほど歩く度に黒服から声をかけられ押し問答の間を泳いで行くのが面白くてワザと店を探している素振りで歩き回っていた。 特にコマ劇場があった頃は目と鼻の先の小さな公園で休んでいると面白いほど声をかけられた事が懐かしかった。 残念なことに最近では黒服連中が白シャツに着替えて客引きをしている2丁目界隈を歩いていても誰も声をかけてくれなくなった。 近くまで近づいて声をかけようとして顔をしげしげ見られると作り笑いをしてUターンしてしまう。 別に俺の人相が悪い訳ではない。 少しばかり新宿に長居をし過ぎたせいだと勝手に思っている。 1人の客引きはたいがい自分の所属する事務所からの最低限の固定給は支給されるのだが、2~3件のキャバクラとも契約をしていて、連れ込んだ客の20~30%をバックしてもらえるのが普通た。 しかし今では私服警察に声をかけてしまうリスクから客引きも減って1人で5~6件の店を担当している。 中には事務所に所属せずに完全にフリーランスで数店と直接契約をしてバックマージン無しで月20万円以上の契約料(x数店)を稼ぐ輩(やから)もいる。 そんな高給取りのフリーランスほど危ない連中だ。 奴らが外から客を釣って連れてくると高額なボックス席へまっすぐ案内する訳だが、席からの戻り際、カウンターで1人で飲んでいる俺と目と目が合う回数が増えたせいで、バッチリと顔を覚えられてしまっている。 まぁ~あちこちの店に顔を出してもビールの1本も飲まないでハシゴして歩く変な客だと覚えられている様なんだがw。 お陰でこの街で名前が売れている箱(店)の名前と店内のレイアウトは直ぐに思い出すことが出来る特技を身につけられた。 ・・・・なんだそれ? いつもは風林会館から北側のバッティングデンター界隈をふらついているのだが、今は歌舞伎町の東側の外れ、花園神社から2丁目へ足をすすめている。 チープな薄汚い長屋の店舗を横目にネオン街をめざす。 もともと2丁目はあまり好きではない。 と言うか、お釜はだ~~~~~い嫌いだ。 なんで金を払ってまでお釜と飲むのか今だに理解がつかない。 どうせ金を払うのなら男よりも女に決まっている。 歌舞伎町では飲むなら整形美人の韓国美人かロシアン♡、お持ち帰りは安い中国美人、まじめなマッサージならタイ古式マッサージと相場は決まっている。 まぁ~大久保通りでも韓国整形美人は大勢見かけたのたが、このところ多国籍の無法地帯に変貌(へんぼう)してしまい、リトル・コリアと呼ばれていたのは数年前までで、韓流ブームが去りイスラム系が増殖している。 そしてここ数年では駅の周辺にはJkのお散歩喫茶が乱立してしまった。 もちろん無許可店ばかりだが。 今日の朝、いきなり携帯にリベルテ(キャバクラ)のリサと言う女から相談を持ちかけられ、詳しい話は彼女の店で聞く約束をしてしまった。 気が乗らなかったが少し調べただけで俺の知り合いの娘が関わっていた事がわかり興味がわき、こうして約束先である彼女の店に向かっている。 時計は10時45分をまわっていた。 11時の約束だった。 風林会館から2ブロック先、昔の新宿コマ、今の東宝ビルへ向かう途中にリベルテ(フランス語で自由)が入っているテナントビルがある。 簡単に言えば叙々苑ビルの向かい側にある。 通り側の店を冷やかしながらプロウディアビルに到着した。 うw・・・・ビルの入り口正面のエレベーターの壁に等身大のヌード写真が5枚貼られていた。 いや、ヌードPicではなく肌の色と同じアンダーウェアを着た美女の等身大写真だった。 だよなぁ~、本物のヌード写真ならキャバクラではなくストリップと勘違いされるわなぁw。 エレベーター右側のネオン看板に店の名前を見つけた。 10時58分着。 エレベーターに乗り込みB1ボタンを押した。 まじいなぁ~ ・・・ No4へ 2015 Version 2016 Version |
まじいなぁ~ ・・・ No2
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- 2016/07/27(Wed) -
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最近TVから流れている HONDA フリード のCMソングに 思わず釘付け・・・ 懐かしい オリジナルはこれ 2年前のリリース曲 でも、やっぱ・・・これだよなぁ~ ^^ 2次元でいいやぁ~ もうw オリジナルは Taylor Swift - Shake It Off https://www.youtube.com/watch?v=nfWlot6h_JM 8月31日記 新宿が永いと色々な事を耳にする。 「今日ネ、プロ野球のあのチームがネ、試合が終わったらまた大勢で飲みに来るのよネ。 お店の入り口のシャッターを下ろして、内鍵するのよネ。 で、朝まで貸し切りなの」。 どうでも良い事から聞かなかった方が良かった内容まで勝手に飛び込んで来る。 「実はね、秘密なんだけど・・」 おいw、秘密なら言うなよと言いたいが、まあ1度誰かに話してしまえば秘密は守られる事はまず無い街である。 各国ごとにネットワークがあって新宿を一回りすると瞬(またた)く間に隣の街へ情報は流れる。 おもしろい事にどうでもいい話ほど尾びれ、背びれが付いて膨らむが、危ない内容や怖い内容は殆ど原型で隣街までたどり着く傾向がある。 歌舞伎町で何か噂されるとその日のうちに渋谷、六本木、池袋、錦糸町へ流れる。 そして次に日には埼玉、千葉、茨城へ飛び火して2日後には名古屋で中継され大阪、和歌山、そして終点の福岡で落ち着くのだ。 このルートは多分、以前は入管の動きを伝達するラインだったのだろう。 今ではオーバーステイなどは可愛い事柄であって話にも出てこない。 外人さん達の死活問題である高給が取れる仕事の情報が最優先で、併せて危ない情報が一緒に運ばれてくる。 ひとつ謎なのは東北へは東京の話は流れない事である。 新宿と仙台や札幌はリンクしていないのだ。 あえて言うなら、札幌から青森、仙台へロシアの情報は流れている。 内容のほとんどが日本人のハゲ(年齢は関係なく金持ちな独身者)を何処で探してどうやって結婚するかの情報だが・・。 サチに頼んだ情報収集など簡単に見つかるハズだ。 ましてや今回はTVで放映された事件なのだから・・・。 まずはハーゲンダッツだ。 w (-.-)y-゜゜ 「 あ、専務 ご苦労様です! 」 「 ホイッ 」 「 あ、専務 どちらの階ですか?」 「 ん? 1階おね 」 「 ハイ 1階ですね 」 「 あ、専務 お出かけですか? 」 「 え? ちゃうちゃう 買い物 」 「 買い物ですか 」 「 あ、専務 明日の会議ですけど・・」 「 へ? 明日の会議? 明日にしてくれ 」 「 ハイ 畏まりました 」 上層の役員フロアーから会社の入り口脇にあるコンビニまでサチ様の強い要望(=命令w)でハーゲンダッツを買いに行くだけで必ず4~5人と儀礼的な挨拶をするハメになる事が面倒くて、嫌で、普段から出社していてもあまり社内をうろつくことは無く、自分の部屋に引きこもるか仮眠室で寝てるか、会議室で海外とチャット会議か視聴覚室でドアをロックしてIXAをしてるくらいである。 声をかけてくれるのは嬉しいのだが「 お前 何課のだれ? 」とは聞けない辛さと、まじめに仕事に精を出している社員への引け目を感じる事が多々あるのだw。 外へ向かうロビーを早足で歩きながら受付の二人の顔をチラ見して俺に気が付いていないスキに出口へ向かう。 誰が取り決めたのかは知らないが、最近では役員を見つけると受付が立ち上がって会釈する様に指導されているのだ。 そんな取り決めのなされる決議があったのなら絶対に一人でも反対を押し切るのだが、俺がいない会議で・・・いや、会議中にIXAってて気が付かなかったのかもw・・・、い・・いや、そんなはずは無いと思うが、絶対に俺が不参加の会議で決まったらしい。 そのうちに議事録から探し出して事後で却下してやるつもりでいる。 たとえ決議を決めたのが社長だろうが、会長だろうが、そんな時の為に奴らの弱みを握っているのである。 ^^ コンビニへソロ凸して真っ先にアイスクリームのフりーザーBOXへ足を進める。 途中、コーナーに積み上がっている青色の買物カゴを左手で軽やかにすくい上げ、社員数名の視線を背中に感じながらも無視してひたすらアイスクリームを買い占めた。 ミニカップに腕を伸ばしてバニラ、ストロベリー、クッキー&クリーム、グリーンティー、チョコレートブラウニーと、片っ端から2~3個ずつ買い物カゴへぶっ込む。 ん?そかデカイのも持っていくかぁ~と、パイント(ホームパーティーサイズ)も4種カゴへ入れた。 思ったよりもかなり重くなったが平気な顔でレジカウンターへ並んだ。 「 次の方 どうぞぉ~ 」 隣のクローズしていたカウンターから可愛い声がかかった。 鼻先に一人並んでいた女の娘が半身で振り返って目と目が合うと一瞬驚いた顔をした。 「 せ、専務 お先にどうぞ 」。 会社の娘だった。 気を利かせてくれた。 「 ありがと ^^」と思いっきり男前の笑顔を作って隣へ移り、カウンターの上にアイスクリームだらけのカゴを置いた。 カゴを覗いてレジの娘が微笑んだ。 次々とレジスターにアイスクリームを通し、手際よくビニール袋に詰めてくれる指先の爪先に可愛い☆と蝶がいた。 へ?コンビニのバイトでネイルアートOKなのかよ?と斬新な指先に見とれていた。 「 5180円です 」 の声でハッとした。 パンツの後ろポケットにもジャケットの内ポケットにも財布の重さが感じられないw。 う、ヤっちマったかぁ~。 サチからハーゲンダッツと言われて条件反射的にオフィスを飛び出して来て財布を手にした記憶が無かった。 ま・・まずいw。 う~ん、どうするかなぁ・・・。 「 ごめん 急いで来て 財布 忘れて来たみたいなんで・・ 上へもどって財布 もって来るから・・ このまま取っておいてくれないかな? 」 「 え? 」 「 上の階の者なんだけど 会社のIDも忘れた様で・・・ 」 IDがあれば会社付けでも買えるのだが 「 あ、 いいですよ 」 驚いた顔が笑いに変わった 「 即 もどるからw よろしく 」 男前の笑顔を作ってごまかしたw 「 このまま 袋のままでアイスの冷蔵庫に入れておきますね 」 笑 「 ごめん 直ぐ戻るから 」 「 せんむ・・ あの~ 私が払いますね 」 「 ん? 」 背中の声に振り向くと隣のキャッシャーで支払いを済ませてもう一人の友達を待っていた社員の娘がいた 「 お財布 忘れたんですよね 」 笑 「 うんw 」 照れ笑いでごまかした 「 よかったら 先に 私がお支払いします けど・・ 」 「 うはぁ~ 助かったよ 」 「 あ じゃ お支払いしますね 」 チラリとレジスターの表示金額を確かめてセリーヌの財布から1万円札を渡してくれた 「 たすかった 」 >< 「 はい これで 」 レジの娘へ1万円札を渡した 社員の娘へ一瞬視線を移してから笑いをこらえて1万円札を受けとった。 「 こんなヤツ いる? 」 聞いてみたw 「 はい 1日にひとりはいますね 」 笑 「 そか じゃ 今日は 俺か・・ 」 「 ふふ・・・ はい レシートとおつりです 」 「 ありがと あ それと そのネイル 可愛いよ 」 「 え? あ ありがとうございます 」 サッと指先を隠したw 照れた口元が可愛かった でかいビニール袋をぶら下げて社員の娘二人と3人でコンビニを出た。 「 ありがとう ね 助かったわぁ 」 笑 「 いえ ・・・ 」 笑 「 社長にボーナス 増やすように頼んでおくから 」 笑 「 え~ やめて下さい >< 」 「 もし 増えてなかったら俺に教えて ^^ 社長とはマブダチだから 俺 ハハ 」 「 専務 本当に 言わないで下さいよ 」 「 専務 なんか 本当に いいそう~ 」 笑 「 あ お金 すぐもって行くから 何課? ん~と・・・ 」 「 営業の高橋です わたし 後から専務のお部屋へ伺いますから・・ 専務が営業部へ来たらみんな驚くとおもいます 」 「 そか 営業部 脅かしちゃ悪いな 」 「 はい ^^ 」 話しながらロビーへ戻ると受付の二人が椅子から立ち上がってそろって軽い会釈をした。 営業部の高橋ちゃんと連れの娘が驚いた。 だから・・・ いらねぇ~わぁ 俺にはそんなこと。 Orz 部屋へ戻るとサチが机にミニスカで腰掛けながら待っていた。 「 ほい ハーゲンダッツ 買い占めて来たぞ 」 「 専務 何してたの 下のコンビニで 」 「 え? アイス 買ってきただけだけど 」 ん? 「 知ってるわよ 」 「 へ? 」 「 コンビニの若いアルバイトの娘に ネイル可愛いねって ナンパしてたって? もう~ 何してんだかぁ 」 ・・・し 死んだ 俺w 「 はぁ? 」 「 お財布忘れたふりして ナンパしてたって・・ さっき あたいの友達がコンビニで専務 見たって 」 「 早ぇ~~~~なぁ お前のとこの情報網 w 」 間違っているけど 「 ったく 」 「 たく じゃねぇわぁ マジ財布忘れて営業の高橋ちゃんから助けてもらったぁさぁ 彼女から聞けよ 後で来るから 」 「 え? アルバイトの若い娘と社員までナンパしたの? 」 「 ちゃう ちゃう 」 w 「 もう なんでもいいから これ 冷蔵庫へいれろよ 」 「 専務のおかげで私たちの海外事業部が肩身の狭い思いしてるんだからね 」 ・・・・Orz 「 おい 情報 間違ってるって それ 」 「 まぁ いいかぁ~ アイス 食べる人~ 」 後ろに向かって叫んだw いや 吠えた? 「 は~い♡ 」 イズw 「 イエ~ス♡ 」 ミミw 「 後で その営業の高橋ちゃんとかきたら 良く話 聞くからね せんむ・・・ 」 「 すきにしろよ たく 」 「 でさぁ~ 専務 さっきの件だけど・・・ かなり面倒くさそうよ 」 「 ・・・・ そか 」 「 そなのよ 専務の机の上 コピー見て それと TVのURLアドレス メールしておいたからクリッて見て 」 「 Thx サチ おまえ できるなぁ~ 流石 」 「 サッちゃん やれば出来る娘だからぁ 」 「 そか で 今日はヒモパンか? 見えてるぞ パープル色 」 「 え? な なにが? ・・・ 専務のバカ! スケベ! 」 ^^ 見せてるお前が悪いさぁ~ 机の上から下りな~ 「 じゃなぁ 部屋でコピーとメールアド みて見るわぁ 」 「 もう~ 専務のドスケベぇ~ 見えてても言わないでぇ~ 言われると恥ずかしくなるんだからぁ~ 」 w? 机の上にあった数紙の新聞紙コピーに目を通した後、朝のTV放送された逮捕動画を見てチェッと舌打ちをした。 これは・・・ まじいなぁ~ ・・・ No3 へ |