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能登半島地震

2024年1月1日、石川県能登地方で最大震度7を観測する地震がありました。同地方では、23年5月に最大震度6強の地震が発生しています。

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石川県知事「関連死は抑えられている」 それでも浮かぶ懸念とは

ささえあいセンター穴水・相談員の滝川元治さん(左)と、仮設住宅に住む夫婦。年齢も近く、世間話に笑顔があふれた=石川県穴水町で2024年12月5日、大東祐紀撮影
ささえあいセンター穴水・相談員の滝川元治さん(左)と、仮設住宅に住む夫婦。年齢も近く、世間話に笑顔があふれた=石川県穴水町で2024年12月5日、大東祐紀撮影

 「熊本地震と比べても災害関連死を抑えられているということは、特筆すべきことだと思います」。石川県の馳浩知事は2024年12月、県議会後の報道陣の取材でこう述べた。能登半島地震の関連死は270人を超え、建物の倒壊などによる「直接死」(228人)を大幅に上回っている。果たして、関連死は抑えられているのか。

 今月で阪神大震災の発生から30年を迎えます。この間に被災地の支援のあり方がどう変わったのかを考えます。
 ・「県に当事者意識ない」
 ・災害ボランティアどう支援する?
 ・阪神大震災後に生まれた兆し
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 ・住宅再建で漂う不安
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石川県の関連死は昨年末で270人

 ほんのりと辺りが薄暗くなってきた12月5日夕。生活支援などをする「ささえあいセンター穴水」(石川県穴水町)で相談員を務める滝川元治さん(79)は、町内の仮設住宅の見回りを女性相談員と2人1組で始めた。

 ノックしてドアを開けると、70代の高齢夫婦が笑顔で迎えてくれた。6月に初めて会ったという。年が近く、今では冗談を言い合うほどだ。

 仮設の広さは寝室や台所など計12畳。「寒くないですか」。ソファに座った滝川さんが尋ねると、男性は「新聞紙をマットの下に敷いているから暖かいよ」。そう言って、滝川さんらに温かい茶と茶菓子を差し出した。

 たわいもない話も交えつつ、生活面や体調面で不安はないか聞いていく。この日は話が弾み、気付けば1時間ほどがたっていた。

 県内の被災した市町では2~3月から、県から委託されたNPOのスタッフらが戸別訪問をしてきた。状態の悪化が懸念される在宅の高齢者や障害者らを孤立させないためだ。6月ごろからは、仮設住宅を回る活動もしている。

 それでも石川県の関連死は、12月27日時点で計270人に上っている。

 これに対して、16年の熊本地震での関連死は、直接死(50人)の4倍以上の222人だった。避難所も被災し、スーパーの駐車場などで車中泊をした住民が多く、その影響で体調を崩した人がいた。

 人数だけを見たら、能登半島地震の関連死は熊本地震を大幅に上回っている。馳知事が「抑えられている」と発言した真意はどこにあるのか。

 県に尋ねたところ、県の担当者は「能登半島地震の関連死と直接死の倍数(約1・1倍)を比べ、抑えられているという意図だ」と説明した。

 ただ、専門家の見方は異なる。

 石川県などの被災市町は、遺族の同意を得た場合、関連死の概要を公表している。24年11月15日までに公表された1…

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