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『ミスター味っ子』の“阿倍一郎特製フライ定食”を再現!

 小さい頃、布団から手足を出して寝ていたらお化けに食いちぎられて持っていかれる(←『耳なし芳一』『地獄先生ぬ~べ~』のテケテケが原因?)という謎の恐怖心があり、必ず手足を布団にしまうか布団に潜るかして寝る癖がありました。
 成人してからはすっかり忘れ、普通に布団から手足を出して寝ていたのですが、今から約二年前、まだ子猫だったオス猫が布団から出た手足を噛むわかじるわ抱きついて蹴るわして流血沙汰にする惨事がほぼ毎夜繰り返された為、十数年ぶりに手足を引っ込めて寝る癖が戻りました(←今は大人しく添い寝しますが)。
 よく「生きている人間の方が怖い」と言いますが、当管理人はそこに「生きている動物も怖い」と付け足したいです。

 どうも、子ども時代に自分の体を布団でぐるぐる巻きにして「巻き寿司!」というギャグをした事がある方とはいいお友達になれそうな気がしている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君に勝負を挑んだ阿倍一郎さんが持てる技術の全てをつぎ込んで作った“阿倍一郎特製フライ定食”です!
阿倍一郎特製フライ定食図
 ハンバーグ勝負を終えてしばらく経った後、陽一君は思いがけない相手と対峙します。
 その人物とは、味将軍の懐刀と言われている実力者・阿倍一郎!
 阿倍二郎さんの兄にあたるのですが、陽一君に敗れた責任をとらされて上層部から見習いへと格下げになった弟の敵を討つ為、そして「阿倍一族は代々続いた料理人の家系。その血筋の者が大衆食堂の、しかも子供に負けたとは家名の汚れだ!!」という誇りの為、陽一君に俺と勝負しろと迫っていました(←家系まで話に持ち出すって事は、味皇様みたいにご先祖様が天皇家の料理番だったとかでしょうか?悪人顔ですが、家名を守る為に頑張ってる弟思いの真面目なお兄さんだと思うと、妙に憎めないですね;)。
 陽一君をまぐれ勝ちだとみなして油断していたのもありますが、わざわざ食堂のフライヤーの油はすぐに汚れてギトギトになると弱点を教えてあげたり、部下に対しては厳しくも頼もしい上司でいたりと、仕事中にホールで騒ぎを起こすわ厨房で勝手に煙草休憩をして周囲から唖然とされるわな二郎さんに比べると大分まともな感じで、「もしや、因縁がなければ意外と悪くない人だった?」と思わされる人物です。

 余談ですが、二郎さんの敗北以来「あの小僧を徹底的にたたきのめす」という目的に燃える味将軍はフォローできないような悪行を色々やらかしており、この時は調査員を<日之出食堂>に派遣してお店の内部に監視カメラを設置させ、本社ビルのモニターへ映し出させるという恐ろしい事を部下にやらせていました(゜д゜;)。
 ある意味、「従業員が働きやすい充実したバックアップ体制」「最新機器導入で徹底サポート」といえなくもないですが…実際にされたらドン引き&即退社ですねorz。
 職場環境が漆黒に近いブラックである事といい、巨大組織ゆえにお金に物を言わせる戦術を取る所といい、犯罪スレスレの行為をする事といい、まるで帝愛グループみたいな会社だな~と苦笑いしたものです(←本当はホワイト企業なフリーザ軍を見習って欲しいものです)。
阿倍二郎さんの兄・一郎さんが味っ子にリベンジマッチを叩きつけます!
 そんなおっかない上司から「味将軍様からのメッセージを伝える。‘勝て’―だ」と伝言されつつも、「いう方は気楽でいいぜ」(←地味にかっこよくて汎用性の高そうな言葉だと思います。会社で使ったらクビになりそうですが)と軽く受け流した一郎さんは、部下の屋久島さんをサポート役にして試作をします。
 勝負のお題は「フライ定食」で、ヒラメフライとトンカツの二種類がメイン。
 監視カメラから送られてきた情報で、陽一君が既に五色のヒラメフライを考え付いている事を知った一郎さんは、「オレも外見である程度インパクトを持たせんとな」と思い、その言葉通り奇想天外なヒラメフライを作って屋久島さんを驚かせます。
 通常、ヒラメフライは平べったい状態のまま衣をつけて揚げるケースが多いのですが、一郎さんは何と中央に刻んだハムとクルミを入れてぐるぐる巻きにしてから揚げるという大胆なアイディアを実行しており、一見まるで大きな肉団子みたいなフライになっていました;。
 しかし、一口食べてみると甘辛く香ばしい味がまろやかな白身にぴったりのようで、さらに衣の外側へ山椒塩をまぶす事によって絶妙なアクセントをプラスしたと語られていました。
 鰯や鯵などの青魚系で梅肉やチーズを巻いてフライにするのはよく見ますが、ここまで大きいサイズの白身魚を、それも中にハムやクルミを入れるなんて昔も今も見た事がない為、未だにこのフライは見るたび脱帽します;。
何と、胡桃とハムをヒラメでぐるぐる巻きにしてあげちゃってました!そんなヒラメに合わせるのは、ピリッと辛い山椒塩!これは確かに合いそう
 トンカツの方はそこまで奇抜な見た目ではありませんでしたが、「揚げ物の命はなんたって衣の味わいに尽きる。パリッと軽いサクサクとしたふわふわの味わいがフライの味を大きく左右するんだ」というこだわりで、究極にカラッと揚げる事に細心の注意を払っている感じでした(←ふと、『美味しんぼ』で酢飯がおいしくなければ極上の大トロでもかえってまずく感じるようになるという話があったのを思い出しました。如何に具材がよくても、土台にそれを受け止める力がなかったら調和せず台無しですので、そこに目をつけたのはさすがプロだと思います。残念ながら、陽一君は特に気にしていませんでした;)。
 一郎さん曰く、フライの秘伝のコツは「やわらかさを出すために卵黄を溶き入れる」「ここで一番注意すべき点がある。それは衣の下地を溶く時の水の温度だ。氷をかち入れて徹底的に冷やした冷水でなければ衣のふんわりとした感じが出てこない」との事で、これさえ守ればカラリと揚がったトンカツになると断言していました。
 そして肝心な味付けの方は、先程の山椒塩を使った日本人好みのヒラメフライとはがらりと違い、何と洋風のピリ辛マスタードソース!
 卵黄の下地にあらかじめマスタードソースを混ぜ込み、衣にも豚肉にもしっかり下味をつけて食べやすくするというアイディアで、トンカツに芥子という組み合わせは鉄板なので見るからにおいしそうだと初見時はワクワクしたのを覚えています。
 マスタードを衣に加えてそのまま揚げる手法は少し前からぽつぽつと出始めていますが、トンカツで応用しているレシピは広大なネットでも見つからなかった為、改めて独創的だな~としみじみ思います。
氷水で卵液を溶くのがコツ!それにしても、料理している時の阿倍さんってたのしそうですね絶妙にブレンドされたマスタードソースを下地に加えてカツに味付け!
 結局、作中では審査員役の社員さんから「確かにあんたの料理はうまかった。でも思いおこすと、あんたの料理は少し刺激が強すぎた」「全体を通して味わってみると、辛すぎて一時も舌が休まる暇がなかったんだ」と評価されて僅差で負けてしまってましたが、本当の所はどうなのか知りたかったので再現してみることにしました。
 作中には大体のレシピがざっくりと記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、「フライに一番ぴったりくる」と一郎さんが定食につけていた豚汁作り。
 ごま油を入れて熱したお鍋へ泥を落とした後にスライスしたゴボウを入れて炒め、香りが出てきたら食べやすくカットした豚バラ肉の薄切りを投入してざっと炒めます。
 豚肉に焦げ目がついてきたらイチョウ切りにしたにんじん、一口大に切ったじゃがいも、千切って塩でもんだ後に下茹でしておいたこんにゃくを加えて混ぜ合わせ、油が回った所でだし汁を注いで半量の合わせ味噌を溶いて煮込みます。
 野菜に火が通ったら火からおろし、残りの合わせ味噌を溶けば準備OKです。
※材料と大まかな手順は単行本通りですが、細かい所は想像で補いました。
阿倍一郎特製フライ定食1
阿倍一郎特製フライ定食2
 次は、フライの下ごしらえ。
 ボウルへマスタード(←辛さと酸味のバランスがよくなるよう二種類ブレンドしました)、白ワイン、塩、こしょう、少量の醤油を入れ、しっかり混ぜます。
 そこへ、筋切りをしたトンカツ用の厚切り豚ロース肉を浸けて軽く揉み込み、そのまま冷蔵庫で一~二時間程寝かせます。
※残念ながら、阿倍さんのマスタードソースの配合は秘密のまま終わってしまいましたので、僭越ながら当管理人があれこれ想像したマスタードソースを使わせて頂きますm(_ _;)m。
阿倍一郎特製フライ定食3
阿倍一郎特製フライ定食4
 その間、別のボウルへざっくり刻んだクルミとハムを混ぜ合わせておき、軽く薄力粉をまぶしたヒラメ(←舌平目を使用)の上に乗せ、くるくると丸く巻いておきます。
阿倍一郎特製フライ定食5
阿倍一郎特製フライ定食6
阿倍一郎特製フライ定食7
 ここまできたら、いよいよ揚げ作業。
 卵黄に氷水を投入して泡立て器でよくかき混ぜ、氷を取り除いてからふるいにかけた小麦粉を何回かに分けて加え、菜箸でさっくり混ぜ合わせます(←天ぷら粉を使うと簡単です)。
 この下地液に先程のヒラメロールをくぐらせて全面にまんべんなくつけ、パン粉をしっかりまぶします。
阿倍一郎特製フライ定食8
阿倍一郎特製フライ定食9
阿倍一郎特製フライ定食10
 ヒラメロールの用意が終わったら、下地液へマスタードソースをゆるくなり過ぎない程度に少々入れ、マスタードも新たに付け足して混ぜてから豚ロース肉に絡め、パン粉をしっかりつけます。
 全てのネタに衣をつけたら高温の揚げ油でカリッとキツネ色になるまで揚げ、揚がったらキッチンペーパー等に引き上げて余分な油分をきっておきます。
 この時、ヒラメロールの方だけ山椒と塩をすり合わせた山椒塩をまぶして味付けします。 
阿倍一郎特製フライ定食11
阿倍一郎特製フライ定食12
阿倍一郎特製フライ定食14
 それぞれのフライを千切りキャベツとトマトを飾り付けたお皿へ盛り付け、最後に炊きたて白ご飯と豚汁を添えれば“阿倍一郎特製フライ定食”の完成です!
阿倍一郎特製フライ定食15
 阿倍さんが教えてくれたフライの秘伝通りに揚げたら本当にカリッと色よく揚がっており、改めて凄腕のシェフなんだな~と感動しました(←正直、フライ料理は不得意な方なので尚更思います)。
 よく嗅いでみると、マスタードと山椒の香りが両方ともさり気なくふんわり漂ってくるのが食欲をそそる感じで、これは味の方にも期待が持てます!
阿倍一郎特製フライ定食16
 それでは、それぞれのフライを切り分けていざ実食!
 いっただっきま~すっ!
阿倍一郎特製フライ定食17


 さて、味の感想は…個性豊かで印象が全く異なる和洋折衷フライで美味し!辛すぎる事は全然ない…というかほとんど辛くないです(笑)!
 卵黄と氷のパワーなのか、両方時間がたってもまるで専門店のカツみたいにザクザクカリカリのクリスピーかつエッジの効いた衣で、中の肉汁や旨味エキスを逃がさず内側へしっかり吸収していました。
 これなら確かにソースなしでも食べられる、というよりむしろ衣だけでも美味しく頂けます。
阿倍一郎特製フライ定食18
 トンカツはマスタードの酸味を帯びたスパイシーな風味が効いたアメリカンチックな味わいで、何故かホットドッグや悪魔風ソテーを連想しました(←二つとも、パンとマスタードと肉という組み合わせだから?)。
 醤油の隠し味のおかげでピンと引き締まった熟成された塩気がついており、ご飯との相性もぴったりです。
 調理前は辛味があったのですが熱を通した影響か消し飛んでおり、独特のこっくりした味が残って油っぽさをまろやかに包み込んでいました。
 マスタードソースを直接混ぜたせいか、衣自体が肉に負けないくらい味がしっかりついててそれだけでもおかずになる感じで、噛むごとにジューシーな豚肉と衣が混然となってどんどん味わい深くなり、旨さが倍増します。
 そのせいか、味付けは違うんですがケ◯タッキーのチキンの衣を思い出しました。
阿倍一郎特製フライ定食20
 ヒラメフライはぐるぐる巻きにして厚みをつけているので、鶏ハムならぬヒラメハム状態で結構ボリューム満点。
 ですが、あっさり上品な身なので不思議と軽く入る感じで、どこを食べてもふっくら柔らかで口の中でホロホロッと簡単にほどけていくのがいいです。
 クルミの香ばしいサクサク感と、ハムのコクのある塩気が淡白でほんのり甘いヒラメの味わいを引き立てており、癖になりそうでした。
 内側は圧倒的に「洋」ですが、外側は山椒塩の爽やかな香気を帯びた塩気が完全に「和」で、相反しつつも絶妙に調和しているのに感心です。
 時折ピリッと山椒が舌に清涼な刺激を与えますが、それがフライにはあるまじきさっぱり感をプラスして後口すっきりにしている為、かえって有り難かったです(←パン粉つきなのに、まるで天ぷらを食べているような気分になりました)。
阿倍一郎特製フライ定食19


 じゃがいも入りの豚汁も阿倍さんが言っていた通り適度な油分とほっこり感がフライとぴったりで、白いご飯が進んでしょうがなく、過不足なしの素晴らしい定食でした!
 強いて言うなら山椒塩はかけ過ぎると少しピリピリしますが、トンカツと豚汁とご飯を食べればすぐ忘れるレベルで、少なくとも舌が休まらないなんてレベルにはならなかったです。
 さすが代々続いた料理人家系・阿倍一族!!
 夫にも食べてもらった所、思ったよりも辛くなくてどれもおいしいと言っており、特にマスタードソースのトンカツが気に入ったみたいでした(←当管理人も両方好きですが、どちらかと言えばヒラメフライ派)。


 P.S.
  キンメさん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ”を再現!

 先日、色々用事があってロー○ンへ行ったのですが、そこで早くも「おでん70円均一セール」ののぼりが掲げられているのを発見し、「連日記録的猛暑なのに、思い切ったな…!」と驚きました。
 中へ入ってみると、本当におでんがスタンバイしており、乾燥ネギ・辛子・ゆず胡椒・一味唐辛子・味噌ダレという強力な薬味たちも控えていて、外が灼熱地獄だというのも忘れて思わず買いそうになりました。
 コタツでアイスという背徳感と甘美さが混在する定番の組み合わせのように、冷房をガンガンにきかせた中で食べるおでんには根強い人気があるのかもしれません。

 どうも、今頃になって「うちの実家はゆず味噌ダレをかけたおでんだった」と山口県出身の母からカミングアウトされた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて守君が荒岩主任と一緒に考えた新しい創作料理“ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ”です!
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ図
 荒岩主任達と作った“いなかパイ”がきっかけで料理人を志した守君は、その後料理学校へ通い(その頃のエピソードはこちらこちら)、無事最終試験に合格して卒業し、<松二屋>という小料理屋兼居酒屋さんに就職します。
 そこで守君は、即戦力として早くから厨房に入ってサポート役として活躍するのですが、ある日大将の様子がおかしいのに気付いて心配し、それとなく話しかけます。
 すると、その理由は「お店自慢の新メニューが全く思いつかない!」という事が判明。
 大将曰く、「このごろスランプなんじゃよっ!!」「この店は、楽しくておいしいおもしろ新メニューというのが売りやけんね。ちょっとまいっとるバイ」だそうで、お客さんからも「前はさ、2~3ヶ月おきくらいに新作メニューを出してたじゃん」と催促されているのがプレッシャーになっているようでした(←この時、大将は「忙しくて時間だけがどんどん過ぎて、頭がち~っとも働かんっ!!」とも言っているのですが、社会人あるある過ぎてすごく共感しました…。歳を取ると、そして忙しいと、倍速で時間が早送りされている感覚に陥りますよね…orz)。

 このシーンを見ると、『魔女の宅急便』のウルスラさんが「そういう時はジタバタするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる」とスランプについて語っていた事を思い出します。
 それでも駄目だった時は、「描くのをやめる。散歩したり、景色を見たり…昼寝したり、何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」と話しているのですが、この意見は当管理人もそうだった事を考えるとすごく含蓄のある言葉で、共感したものです(←RPG系ゲームや漫画でも、時々「どうにもならなくて逃げる」という展開がありますが、皮肉なものでそれまで打ち込んできた大事な物から人はそう易々とは逃れられず、大抵は戻っていきます。どうしても無理なら諦め時ですが、本当に大切で必要な事なら、芯にあるそれまでの積み重ねが本人を離さずにはいられないのでしょうね)。
 しかし、大将のような飲食系接客業だとお客さんは待ってはくれませんのでどうしても目の前の仕事を優先せざるを得ませんし、かといって気が済むまでお店を休ませる訳にはいきませんので、難しいな~と思わず唸ってしまいました;。
慌しく時間だけは過ぎていくものの、アイディアさっぱり…共感しすぎてつらいです
 それを聞いて何とか力になりたいと思った守君は、その日の夜から大将には内緒で帰宅後に色々試作し、新メニュー作りに勤しみます(←数十年後、「あの頃は若かった~!毎日眠くてクタクタだったけど、何とかなった」と懐かしく思い返しそうなエピソードです)。
 そして数日後、やっと納得のいく新作の肉詰めイカ料理を作った守君は、料理で困った時いつも力になってくれる荒岩主任の所へ行き、試食をお願いします。
 幸い味はよく、荒岩主任と虹子さんはいい表情で「いけるじゃないかっ」「おいしいわよーっ」と褒めた為、ほっとした守君は「まだ名前もつけてないんですが、新メニューとして店で出しておかしくないでしょうか」とお二人に聞きます。

 実を言いますと、荒岩主任としては引っかかる点があったようで「う~むお店でね…」と言いよどんだのですが、虹子さんがノリノリで「ねえねえこの料理さ、まもるくんもすっかりプロになってこんなおいしい料理作って<ニクイニクイッ>ってんで“ニクイカ”って名前にしたらっ?」「それに野菜も入れちゃったりして“ヤサイカーッ”とか」「馬の肉入れて“ウマイカー”とか、タマゴとノリとシイタケ入れて“タノシイカーッ”とか、“ウレシイカーッ”とか、“オモシロイカーッ”とか」とシュールなジョークを飛ばした為、一瞬ぽか~んとした間が流れます。
 何となく、“明日パラダイス炒め”とか、“モロ平和カレー”とか、“長芋のブータレ炒め”とか、“バカのアホ炒め”といったユニークなネーミングセンスをお持ちの平野レミ先生を思い出しました(←当管理人はこういう語呂合わせ好きですが;)。
 初期の虹子さんは料理が苦手で知識もあまりなく、それゆえに今回みたいなとんでもないアイディアを出す事もしばしばあったのですが、料理の常識を知るがゆえに既存の概念に縛られがちなプロにはない自由な発想力と斬新な応用力があり、それを武器にオリジナリティ溢れる料理をいくつも思いついていましたので、本当は『クッキングパパ』でも指折りの料理センスの持ち主なのでは…と考えています(←好例を挙げるなら、干し椎茸ごとパスタを茹でて風味づけをした“だしスパ”、素麺を巻き寿司風にアレンジした“いそぎんちゃん”、時間がたっても瑞々しいサラダにしたくて考えた“クリスタル・ボール”)。
この虹子さんの冗談みたいなアイディアがきっかけで、思いがけぬ料理が!
 実際、虹子さんの言葉を聞いた守君は「そっそれおもしろいですねー」とヒントになったみたいですし、荒岩主任もやる気になって新メニュー作りを手伝っていましたので、結果オーライだと思いました(←ちなみにその際、荒岩主任は「よしっ、今すぐやってみたらどうだ。このニクイカだけじゃちょっとものたりないし、飽きがくるような気もするし」とドサクサに紛れて結構な辛口コメントを残しています;。普段は温厚ですが、料理に関しては大谷日堂ばりに嘘をつけないんだな~と苦笑いしました)。
 こうして、荒岩主任の手助けを受けつつ守君が<松二家>の新メニューとして完成させたのが、“ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ”です!
 作り方はそこそこ手間がかかり、合い挽き肉・玉ねぎ・卵・牛乳・パン粉・塩・こしょう・ナツメグを混ぜた物、山芋・マグロ・卵・醤油・練りワサビを混ぜた物、ゲソ・ゴボウ・白身魚の味つきすり身・ミックスベジタブル・塩を混ぜた物を、内臓を取った後キレイに洗っておいたイカの胴にそれぞれ詰めて爪楊枝で封をし、バターで焼いて塩・こしょう・白ワイン・コンソメスープで煮込んだら出来上がりです。
 
 ポイントは、中の具に味付けしてあるのでスープの塩気は控えめにすることと、ゲソはあらかじめ塩とお酒をかけて臭み消しの下ごしらえをしておくことの二点で、そうすると味の調和が取れてバランスがよくなるとの事でした。
 初見時は、イカにお米以外を詰めるなんて思いもよらなかったのでインパクトが強く、真っ先に覚えた料理の内の一つなのですが、今ネットで調べてみると里芋、豆腐、キャベツ、ゆで卵、パン粉、マリネ、チーズと酢漬け唐辛子など個性豊かな具が勢ぞろいで、意外とイカって何を詰めても合うのかも…と思いました(←どうやら、イカを見ると何か詰めたくなるのは万国共通の心情らしいです^^;)。
 この愉快な新メニューは「おやっさん今度の料理いいねっ」「ヒットだよ、大ヒット!!」とお客さん達にも大好評で、大将は守君をサポート役ではなく相棒として認めるに至っていました。
お肉だったり、魚だったり、野菜だったり、中身盛りだくさん!
 旬の新鮮なヤリイカが安売りされていたのを発見し、再現してみることにしました。
 作中には詳細なレシピが大体の分量つきで記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、イカの下処理。
 ヤリイカから内臓とゲソを取り除いたら中を流水でキレイに洗い流し、エンペラごと取ってしまわないよう気をつけながら皮をむきます(←水気をキッチンペーパー等でしっかり取っておいた方がいいです)。
 ゲソは細かく刻んだ後にお酒と塩を振りかけて混ぜ、よく馴染ませておきます。
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ1
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ2
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ7
 次は、三種類の具の用意。
 ボウルへ合い挽き肉、刻んだ玉ねぎ、卵、牛乳に浸して軽く汁気をきったパン粉、塩、こしょう、ナツメグを投入し、粘りが出るまでしっかり練り合わせます。
 これが、ニクイカの具です。
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ3
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ4
 別のボウルへ、皮を取ってからすりおろした山芋、角切りにしたマグロ、卵、醤油、練りワサビをいれ、しっかり混ぜ合わせます(←ワサビは混ざりにくいので、スプーンの背などで押しつぶすようにして合わせた方が良いです)。
 これが、トロイカの具です。
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ5
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ6
 別のボウルへ、最初に下処理しておいたゲソ、泥を洗い流した後に細い笹がきにして水にさらしておいたゴボウ、白身魚の味つきすり身、ミックスベジタブル、塩を加え、よく練り合わせます。
 これが、ヤサイカの具です。
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ8
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ9
 ここまできたら、いよいよ焼き作業。
 先程用意した三種類の具をイカの胴体に詰め、下の方に爪楊枝をぬい合わせるように刺して封をします(←もち米と違って極端に膨れたりしませんので、八~九割くらい入れちゃっても大丈夫です)。
 この具入りのイカを、バターを溶かしたフライパンに並べて両面を焼き、こんがりと焼き色がついたら塩、こしょう、白ワインをふりかけ、味付けをします。
 そこへコンソメスープを注ぎ、約十分程かけて弱火くらいでじっくり火を通します。
※コンソメスープにも中の具にも塩分がありますので、全体的なバランスを考えて塩を加えたほうが良いです。
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ10
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ11
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ12
 イカの中の具に火が通ったのを確認したら爪楊枝を抜いてお皿へ並べ、漉したスープをそっとかけ、最後に傍らへパセリを添えれば“ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ”の完成です!
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ13
 これまで再現料理でイカには色々詰めてきましたが、合い挽き肉とかとろろを詰めるのはさすがに初めてな為、ドキドキとワクワクが止まりません;。
 見た目はバターの香り漂う印籠詰めという感じですが、果たして味はどうなのか…非常に気になります!
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ14
 それでは、それぞれ食べやすく切り分けていざ実食!
 いっただっきまーす!
ニクイカ・トロイカ・ヤサイカ15


 さて、味の感想は…プリンプリンのイカをそのまま活かした洋風点心みたいになってておいしい!中身によって受ける印象が全然違ってて面白いです!
 柔らかく上品に煮上がったイカをさっくり噛み破った途端、中から様々な具とおつゆがジュッと飛び出るのが新鮮な感じで、例えるとするなら贅沢な洋風イカシュウマイを食べている気分になります。
 他のイカに比べるとやや薄いものの、このしなやかで艶やかな舌触りはヤリイカだからこそ出せる味わいで、ヤリイカも詰めて料理するのに向いているんだな~と感心しました。
 イカの旨味がギュッと濃縮された、芳しいバター風味のコクあるスープがまた格別で、濃いようでさっぱりした後味なので意外と飲んだ後の締めに食べるのもありかもと思いました。

 ニクイカは一番ジューシーでこってりしており、肉の旨味が濃厚なもののスープハンバーグみたいなあっさり味でもあるのがたまりません。
 ナツメグのスパイシーな風味が後押しているせいかイカにも負けない主役感があり、挽き肉にはイカの、イカには挽き肉のエキスが染み、見た目よりもパワフルな一品です。
 下から上にかけて食べ進めると、封じ込められた肉汁がジュワッと溢れるのが美味で、リッチなイカ小籠包だなーと思いました。

 トロイカはその名通りトロットロの優しい舌触りで、軽くスルッと胃に収まる癒し系の旨さ。
 卵が入ってまろやかになり、火が通って独特の癖が薄まったおかげで淡雪蒸しにしたみたいに仕上がっており、一番和風でした。
 蒸した鶏胸肉のようになったマグロが肉っぽい旨味を足し、淡くなりすぎないようバランスを整えているのがナイスです。

 ヤサイカはゴボウのザクザク、ゲソのプリプリ、ミックスベジタブルのプチプチ、すり身のふわふわが混ざって食感がとても賑やかで、噛むごとにゴボウのワイルドな風味と色んな甘味が深まるのが乙でした。
 ゲソから染み出るイカの風味が強いせいかイカのはんぺんのようで、それでいて淡白なさつま揚げのようで、かまぼこよりも圧倒的に柔らかいのが印象的です。


 どれも食べたことがないようなあるような不思議な味わいで、ワインやビールにぴったりなので居酒屋向けとは思いつつ、洒落てる感じなのでレストランでも通用するんじゃないかなーと思いました。
 この分だと、虹子さんの言っていた“ウマイカ”、“タノシイカ”、“ウレシイカ”、“オモシロイカ”も案外いけるんじゃないかな?と感じた再現でした。


P.S.
 レクレさん、たまさん、無記名さん、AKHさん、コメントを下さりありがとうございます。
 AKHさんからのご返信、承りました。仮に同じコメントだったとしても、一方的に消すことはしたくないので大変助かりました。わざわざ教えてくださり、感謝致します。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ”を再現!

 先日、熊本県の山鹿灯籠まつりの花火大会を見に行ってきました。
 最初は雲一つないキレイな夜空で花火もよく映え、夫共々夢見心地になって歓声を上げていたのですが、無風だったせいか途中から煙で花火が見えにくくなるという事態になり、非常にもったいなく感じました;。
 長年色んな花火大会を見ていますが、周囲からあれ程悲嘆と苦笑いとどよめきの声が上がる花火大会は初めてです。
 後半の花火は基本そんな感じでしたが、よりによって「状態がよかったら、圧巻の美しさだったろうな…!」と容易に想像できる大きくて派手で構成のいい花火ほど嫌がらせなくらい煙が邪魔し、単なる色付きの点滅雲になっていた時は思わず悲鳴を上げたくなりました。
 これ程もどかしい光景はそうそうない為、つい心の中で「頑張れー!」と花火師さんを応援し、風乞いの祈りを天に捧げたものです(←当管理人は穢れなき乙女でも霊験あらたかな巫女でもなかったので、全く通じませんでしたが…)。

 どうも、順調に進む旅よりも思いがけないトラブルを乗り越えて楽しんだ旅の方が不思議と記憶に残るという事に気付いた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君がある老舗洋食店さんのピンチを救う為に考え出した“味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ”です!
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ図
 ステーキ勝負が終わってしばらく経った頃、陽一君は常連の一人である老舗洋食店<トロイメライ>の若旦那から、大手ファミレス<ジェネシス>にお店を売らなかった報復として目の前に凄腕のシェフのハンバーグが売りのレストランを開店されてお客を取られ、お店を潰されそうになっていると相談を受けます。
 そのハンバーグが絶品だと聞いて興味を抱いた陽一君は若旦那と一緒に<ジェネシス>へ偵察に行くのですが、そこで味将軍グループの中核に位置する料理人・阿倍二郎と出会って早々「確かにおいしかった。でもオレだったらもっと工夫するけどね!このハンバーグには大きな欠点があるよ!!」「おもしろい…ならオレもちっとは本気を出させてもらうか」とお店のど真ん中で煽りあい、一週間後にお互いの店でハンバーグフェアを開いて勝負することになっていました。
 味皇様曰く、味将軍グループは味皇グループと料理界を二分する勢力、日本全国の料理店を支配下におくのが目的で金で物をいわせる手段を選ばない集団だそうで、陽一君はこれ以後も味将軍につけ狙われることになります(←下記の如何にもな絵面のせいか、ヤ○ザ同士の抗争みたいでちょっと怖かったです。味将軍グループ…要は料理界版イ○ンみたいなものでしょうか?)。

 ちなみにこの時、陽一君は大勢のお客さんが阿倍さんのハンバーグを楽しんでいる中、「煮こむことで確かに中までやわらかくはなるけどさ、結果として外側がべとつきすぎて焼きあがった時の肉の香ばしさがない!!」「表面のべたつきといい、見た目の悪さといい、本来のハンバーグの味わいを大きく失っているってことさ!!」と大声で言った上に親指を下げるという、まるで「この豚バラ煮込みはできそこないだ、食べられないよ」とわざわざ店員を呼んで言い放った『美味しんぼ』初期の山岡さん並にえげつない行為をしていました(『孤独のグルメ』の五郎さんがこの場にいたら、「人の食べてる前であんなに怒鳴らなくたっていいでしょう」「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで…」と諭してくれていたかもしれません。つくづく、五郎ちゃんは殺伐としがちなグルメ漫画界の良心だと思います…)。
 正直、一応は法を守っている<ジェネシス>に比べて<トロイメライ>の方が悪質な営業妨害をしているように見えなくもなかったので、お店の人に通報されずに済んでほっと胸を撫で下ろしたものです(^^;)。 
なんだか、ヤクザ同士の抗争みたいなきな臭い匂いのする料理勝負です…
 こうして陽一君は<ジェネシス>に打ち勝てるようなオリジナルハンバーグ作りに励み、最終的に七輪で炭火焼きにしたふっくらハンバーグを勝負の日に出す事にします。
 途中、七輪で焼くと中央にまで火が通らない・肉汁が落ちてパサパサになってしまう・三個もハンバーグがあるとボリュームがありすぎて飽きそうなど色んな問題が出てきていましたが、試行錯誤の結果、金串を使って中までしっかり熱を通す・パンを巻いて肉汁を全部吸わせる・挽肉の配合を少しずつずらして微妙に味を変えるなど、有限実行で様々な工夫をしており、口先だけではなく理想のハンバーグをちゃんと形作っていってました←だからこそ『ミスター味っ子』は面白いし、陽一君も憎めないキャラになっているのだと思います)。
 ハンバーグのソースも陽一君らしい独創性で、一般的なソースだと肉汁たっぷりのハンバーグの良さが活きてこないのに苦戦していた中、若旦那が差し入れしてきたアイスクリームのトッピングを見て、何と粒胡椒を挽かずにそのままハンバーグにまぶすというとんでもない解決策を閃いていました。
 破天荒なアイディアにも思えますが、試食した若旦那が言うには「噛んだ瞬間口の中でぱちっとはじける辛味、その刺激が鮮やかなだけそのあとの肉汁の旨味は倍増する!」「水っ気のない粒こしょうをそのまま使ってるから、ソース味がぼけることなく肉の本来の旨味がとろけるように伝わってくるんだ!」との事で、大絶賛していました(←発想としては、粉ドレッシングに近いものがあります。あちらも水分がない分材料にまんべんなく絡らんで味がつき、食感の変化をもプラス出来るという事でヒットしていますので、陽一君の考えはまさに時代の先をいっていたのだと思います)。
※…実を言いますと、粒胡椒はそのままかじると悶絶するほど辛く、舌触りもゴロっとしてとても食べられたものじゃないという事が分かっていますので、リアルでお店に出してしまったら大負け必至なのですが…orz。一応、『ミスター味っ子』ワールドではおいしかったという事で話を進めますね;。
水っ気のない粒黒胡椒だからこそ、肉汁の味がはっきり分かるようになるとの事
 そして一週間後、陽一君が<トロイメライ>で万全を期してお客さん達に振舞ったのが、この“味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ”です!
 作り方は意外とお手軽で、よく練ったハンバーグのタネにチーズを埋め込んで俵型に成型した物を三つ用意し、それぞれ粒胡椒をまぶして耳を取った食パンに包んで玉ねぎと一緒に金串で刺し、こんがり焼いたら出来上がりです。
 ポイントは、第一のパテは牛肉6:豚肉4(肉汁が多いこってり系)、第二のパテは牛肉7:豚肉3(旨味と肉汁のバランスがいい)、第三のパテは牛肉8:豚肉2(品のいいさっぱり系)になるよう挽き肉の配合を微妙に変える事で、こうすればしつこく感じることなく最後までおいしく食べられるハンバーグになると陽一君は語っていました。
 どんなにおいしい料理でも、食べ続けているとおいしく感じなくなってしまう…というのは今となっては有名な話ですが、『ミスター味っ子』を読み始めた頃は初耳だったので、感心したものです(←しかし以前、この話を逆手にとって「好きなお菓子を飽きるまで食べる=嫌いになって食べなくなる=ダイエット促進!」と毎日お菓子を食べた事があったのですが、一向に嫌いにならず体重も増えました。世の中ままなりませんね)。
 あと、チーズとハンバーグの組み合わせですが、これはいわゆるイノシン酸+グルタミン酸という旨味を相乗効果で倍増させる最強の組み合わせでもありますので、かなり有効な作戦だと感じました(←鰹節と昆布の組み合わせが有名ですね)。
 おかげで、<ジェネシス>のハンバーグを食べた後でも楽々食べられると評判を得た<トロイメライ>は無事お客さんを取り戻し、味将軍グループを撃退するのでした。
挽肉の配合を三段階に分かることによって味を徐々に変え、飽きを防ぎます中からチーズがとろけだすハンバーグって、本当に魅力的ですよね…
 長年気になってはいたものの、既に色んな方がおいしくアレンジして再現されていたので、当管理人がしても今更感が強いだろうな…と思い、ずっと放置していました。
 しかし最近、粒生こしょうという驚きの新調味料を発見し、これなら原作通りの見た目に作れて尚且つおいしいのではないか…と考え、一念奮起して再現することにしました。
 作中には大体のレシピが図解で記されていますので、早速ルネッサンス情熱を抱きつつその通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、パテの準備。
 ボウルへ牛挽き肉と豚挽き肉をそれぞれの配合で入れて塩と胡椒をふり、白い糸が引いて粘りが出るまでしっかりと力をこめてよく練ります。
※小さいボウルには牛肉6:豚肉4(一番目に食べるパテ)、中間のボウルには牛肉7:豚肉3(二番目に食べるパテ)、大きいボウルには牛肉8:豚肉2(三番目に食べるパテ)の割合で挽き肉を配合して練り合わせましたが、練る手触りも練り終えた見た目もほとんど変わらず拍子抜けしました;。きっと味に変化があるものと信じてます!
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ1
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ2
 挽き肉を練り終えたら、バターで炒めた後冷ましておいた飴色玉ねぎ、牛乳に浸しておいたパン、溶き卵をそれぞれのボウルへ投入してさらに混ぜ合わせます。
※つなぎの分量の違いで味がばらつかないよう、それぞれの挽き肉に対して同じ割合になるよう計量しながら混ぜました。この作業は地味に時間がかかって大変でしたので、他の方はされなくても大丈夫ですorz。
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ3
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ4
 パテが出来上がったら、真ん中にチーズを埋め込んで俵型に成型し、粒生こしょう(収穫したての胡椒の実を岩塩に漬け込んで保存した生タイプの黒胡椒。ない場合は粗挽き黒胡椒で代用して下さい)を全面に程よくまぶします。
今回の再現は、この粒生こしょうが何よりも重要!乾燥タイプの粒胡椒はそのまま使うとゴロゴロした硬さと猛烈な辛さが食材の味を殺してしまう為味わうどころではないですが、こちらは生というだけ合ってプチプチと皮が柔らかく、辛さよりも香りや旨味がダイレクトに舌に響く為、そのまま噛み締めても全然平気です(全く辛くないわけではないので、辛いのが苦手な方は無理かもしれませんが…)!当管理人は今回、こしょう本舗様の商品を使用しました。
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ5
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ6
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ7
 このパテを耳を切り取って少し伸ばした食パンで包み、くし形切りにした玉ねぎと一緒に焼き串に刺し、ホイルなどを敷いた天板に並べて高温のオーブンでじっくり焼きあげます(←パンの部分が焦げかけてきたら、ホイルを上に被せて下さい)。
※原作通り七輪で焼こうかどうか迷ったのですが、偉大なるミスター味っ子再現の先駆者・mayuさん(現在はサイトを閉鎖なさっていますが、当管理人が再現料理を作るようになったのは紛れもなくこの方のおかげです!)はホイルをしてもパンが焦げて中まで火が通らないというアクシデントに見舞われ、最終的には電子レンジにかけて焼かれていた為、怖気ついた当管理人は文庫版のレシピ通りオーブン使用にしてお茶を濁しました…。忠実再現でなくてすみません!
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ8
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ9
 その間、付け合わせであるグリーンピースのマッシュ作り。
 塩茹でしたグリーンピースを漉し器にかけて丁寧に裏漉しし、ペースト状になったらアイスクリームみたいに丸く形作って小さいお皿に盛り付けておきます。
※そのままだと味が薄かったら、塩などで味を調節して下さい。
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ10
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ11
 パテの中まで火が通ったのを確認したらオーブンから取り出してお皿へ移し、グリーンピースのマッシュを添えれば“味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ”の完成です!
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ12
 焼きたてのハンバーグとこんがりトースト特有の香ばしい匂いがダブルとなって辺りを漂い、嗅ぐ者の心をとろかします(´д`*)。
 再現するまでは「奇をてらいすぎなんじゃ…」と色物扱いをしていましたが、実際に見てみると「これはこれでありだな」という説得力がある感じで、味が楽しみすぎてドキドキしました。
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ13
 それでは、ナイフとフォークで食べやすく切っていざ実食!
 いっただっきま~すっ!!
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ14


 さて、味の感想は…かなりクオリティーの高い美味しさで絶句。黒胡椒の力によって肉汁がバシッとストレートに映えるのが素晴らしいです。
 肉のエキスを吸って香り高くカリッと焼き上がったパンを噛み破ると、柔らかくジューシーなパテからこってりとろけるチーズが肉汁と共にジュワジュワと溢れ出し、口の中で色んなコクが混然となって膨らんでいくのがたまらず、後引く味わいになっています(←内側のパンが肉汁を吸ってほんのりふやけ、中華まんや皮が分厚い餃子の内側みたいになっているのが美味でした)。
 この濃厚な旨味を持つパテに、塩漬けにされた粒生胡椒のプチっと柔らかく弾ける瑞々しい辛さ、フルーティーで華やかな風味が肉の旨さをよりくっきりとシャープに浮き上がらせるのがナイスで、鮮烈な刺激が肉汁のコクをぼやけさずキリッと引き締めています。
 辛いのは辛いですが、『鉄鍋のジャン』の“飲めるラー油”のように複雑な旨味と香りの方が辛味よりも先に来て圧倒的に広がる為、辛すぎるという事はありませんでした。
 例えるとするなら「両面をグリルしたスパイシーチーズバーガー」ですが、ハンバーガーよりもパテとパンとチーズの一体感がすごく、パテの比率も大きくジャンクっぽさがないので本格派な肉料理を食べている満足感があります。
 肉の配合ははっきり違いが分かる訳ではなく言われれば気づく感じですが、最後のパテだけは牛肉の奥深いコクが効いた比較的あっさり上品なパテで個性が際立っており、やっぱり多少は変化するんだなーと感心しました。
 意外にも大活躍したのはグリーンピースのマッシュで、爽やかなのに舌に絡み付くくらいねっとり甘い後味が黒胡椒の辛味を和らげてすっきりリフレッシュさせ、次の一口を新しい気持ちで楽しめるようにしているのがよかったです。


 付け合せの蒸し焼きっぽくなった串焼き玉ねぎも、香ばしい甘さで絶妙な箸休めになっており、地味ながらいい仕事をしていたのが印象強かったです。
 正直、ライバル側のハンバーグも絶品だったのでおいしさは甲乙つけがたいのですが、斬新さという点ではこちらの方が確かに上で、さすがミスター味っ子の面目躍如たる出来栄えでした。
原作みたいに七輪焼きにするのもふっくらしていいかもしれませんが、オーブン焼きにして表面と裏面を違った焼き加減にするのも食感の変化があって面白くてよかったので、これはこれでありだと思います。
 きっと、陽一君は勝負の時にこの粒生こしょうを使ったんだ、そうに違いない!!…と自分に強く言い聞かせた再現でした。


◎おまけ
 下記画像は、焼き目がつかなかった表側の串焼きハンバーグです。
 焼き目がつく裏側の串焼きハンバーグも迫力満点で、ダイレクトに食欲をそそりますが、こちらにすると一気にレストランっぽさが増すのでおもてなし用によさげです。
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ15
味吉陽一特製パン包み串焼きハンバーグ16


P.S.
 キンメさん、コメントを下さりありがとうございます。
※AKHさんのコメントはもう一つありましたが、内容が全く同じで二重投稿かな?と思いましたので、後の方だけ承認せずにそのままにしています。もし何かございましたら、ご指摘おねがいしますm(_ _)m。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『夜廻り猫』の“サンマの蒲焼き缶詰丼”を再現!

 先日、実家のお墓参りをする為に両親と夫共々遠出したのですが、高速道路を走る途中寄ったサービスエリアで「ご当地名物 博多ラーメンまん」という商品を発見し、思わず足を止めました。
 何でも、博多ラーメンをそのまま肉まんに包み込んでしまった名物肉まんとの事でしたが、一応ご当地住民であるはずの当管理人や家族は初耳で、困惑。
 一度、怖いもの見たさに試してみようかどうか迷ったのですが、結局暑さで食欲がないのもあってさつま揚げ串を買い食いし、帰宅しました。
 後々気になって画像を調べたところ、どうやらラーメン風の味付けというお茶を濁した商品ではなく、本物の麺やスープが皮に包まれていたガチの商品だったようで、「本物の博多ラーメンに対抗できる逸材かどうか、確認しとけばよかった…」と少し後悔しました。

 どうも、大河ドラマ「西郷どん」の影響でお土産コーナーがあの有名な肖像画だらけになっているのを見て壮観だな~と感じた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『夜廻り猫』にて遠藤さんがスーパーで困っていたある女性に作り方を教えていた“サンマの蒲焼き缶詰丼”です!
サンマの蒲焼缶詰丼図
 前回、『夜廻り猫』は料理がうまい猫が多いと書きましたが、主人公の遠藤さんは困っている人にレシピを教えて作ってもらういわば講師タイプの料理上手で、実は直接作ったことは一度もありません;(←実践的なレシピが多いので、本当は自分でも作れるはず!)。
 ただ、夜廻り見習いのワカル君は自分で作って困っている人に振舞う出張料理人タイプの料理上手で、おっちょこちょいでたまに失敗はするのものの、作るご飯はみんなおいしそうで手先が器用なんだな~と感心します。
 とはいえ、どこのご家庭も都合よく材料が揃っている訳ではなく、ある時は缶詰と青じそだけ、またある時はキャベツと卵だけ、またまたある時は霜のついた冷凍ハンバーグだけなど、一体何を作ればいいのか途方に暮れるラインナップの時も多々あります(←どんな場所でも依頼人の気に入るように料理出来る『ミスター味っ子』の出張専門料理人・久島健男さんなら、何とか出来るんでしょうか…)。
 それでも、ワカル君は買い足しに行く事もなく悩みごとを聞きながら手際よく料理し、青じそで巻いたツナマヨおにぎり、めんつゆで味付けして卵でとじたキャベツ丼(七味唐辛子を添えて)、小さく切ってチューブにんにくと醤油で炒めた冷凍ハンバーグをご飯に合わせた混ぜご飯など、聞いただけでもおいしそうだな~と食欲をそそる料理をちゃちゃっと用意しちゃうんですから、恐れ入ります。
 ワカル君の口癖はその名通り「わかります~」「そぉですよね~」で、一見適当なのでみんな最初は半信半疑で受け入れるのですが、のんびりした口調で「それでそれで~?」と話を聞いてもらい、ビールをぷしゅりつつ温かいご飯を食べていく内に段々気分がほぐれていく過程は、読んでいてまさに「わかります~」な感じで、こちらも癒されます(←身に覚えのある相槌と雰囲気だな~と思いましたが、学生時代電話で相談に乗ってもらっていた女友達のノリだとすぐに分かりました;。今では夫、又は母や妹と飲みながらこんな感じで憂さ晴らししている感じで、歳を取っても似たような愚痴り合いや励まし合いをしているのに我ながら苦笑です)。
実は、実際に料理の腕がうまくて自作したりするにはワカルくん;
 今回ご紹介するのは、ある秋の日に遠藤さんが出会った若い女性のお話。
 恐らく付き合いだしてまだ日が浅い彼氏さんの家で、秋といえば焼きサンマと自然に連想した女性はサンマを焼いて夕食に出すのですが、彼氏さんは「魚焼いたの!?」「家で焼いた魚って初めて、うまい!」と喜んでサンマを食べます(←旬の物を食べるって、今この瞬間を大事にしているって感じでいいですよね)。
 女性曰く、彼氏さんのお母さんは働くシングルマザーで、小さい頃は余裕がなかったと以前聞いていたようなのですが、彼女はごく普通の家庭出身でその言葉の意味がよく分かっておらず、焼きたてのサンマに驚く彼氏さんを見て「余裕がないってそういうことだったのか…」と思い至っていました。
 普通に過ごすだけならあまり家庭環境の違いってそんなに表に出てこないものですが、食べ物や行事系は日常に色濃く直結している為、ふとした時に表面化しては驚いたり驚かれたりする事がこれまで多かったな~と、このシーンを見るたび懐かしく思い出します。
 ちなみに、当管理人は小さい頃友達とスーパーへアイスを買いに行った時、「あ、これうちでよく食べるやつだー」とビエネッタ(希望小売価格550円、北海道マスカルポーネ入りバニラアイスとチョコが何層にも重なったケーキ風アイス)を指差された時、初めて家庭の格差を意識した記憶があります。
何気ない会話で家庭環境が浮き彫りになる瞬間って、結構あります
 そして、「これからは飽きる程焼いたげる!」と燃えた女性は後日スーパーへ買い出しに行くのですが、残念ながらサンマはもう時期が過ぎていて店頭からは消えており、がっかりします(お隣の国の方々がサンマの美味しさに気付いてしまって漁獲量が激減して以来、値段も価値もウナギ上りになっていますから、そういう意味でも気楽に手に入れられなくなってますorz)。
 しかし、その様子を見ていた遠藤さんは「大丈夫、料理は気持ちだ」と励まし、代わりにサンマの蒲焼きの缶詰を買うことを勧めます。
 その後、遠藤さんが女性の傍でレシピを教えて作ってもらったのが、この“サンマの蒲焼き缶詰丼”です!
 作り方はとても簡単で、サンマの蒲焼きの缶詰を汁ごとフライパンにあけて火を通し、そこへ醤油をじゃっとかけて味付けしてから汁ごと丼ご飯の上へ乗せ、七味唐辛子・刻みネギ・卵黄をトッピングしたら出来上がりです!

 ポイントは、蒲焼きのタレは焦げやすいので強火ではなく中火以下の火力にすること、ネギは長ネギではなく青ネギを使うことの二つで、あまった卵白は味噌汁にしたらいいとちゃんとフォローしているのが作る側としては助かりました(←当管理人は大雑把な為、何か炒めた後のフライパンで卵白をスクランブルエッグ状に炒めて食べてました。そこそこ美味なものの見た目が悪いのがネックでしたが、味噌汁なら見た目もよく栄養がさらにプラスされるのがいいですね!)。
 サンマの蒲焼き丼のレシピはこれまで色々見てきましたが、生の卵黄を落とし、山椒ではなくあえて七味唐辛子を使うレシピは初めてだったので味の想像がつかず、「これは食べてみたい!」と思ったものです。
一昔前は安く買えましたが、何故か高くなりましたよね…サンマの缶詰
 最近は缶詰でもあまり見かけなくなりましたが、少し前にセールで安く手に入れたサンマの蒲焼き缶があったので、いい機会だと思い再現することにしました。
 作中には大体のレシピが記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、焼き作業。
 油をひいて熱したフライパンへ、サンマの蒲焼きの缶詰を汁ごとあけて火にかけ、表裏をひっくり返しながらじっくり熱を通していきます(←強火で一気にすると焦げやすいですので、ちょっと強めの弱火くらいにして中にもゆっくりと熱を通した方がいいです)。
サンマ蒲焼き缶詰丼1
サンマ蒲焼き缶詰丼2
 サンマに火が通ってふっくら柔らかくなってきたら、醤油を鍋肌に沿わせるようにして入れて軽く混ぜ、汁と醤油が一体化させつつ少し煮詰めます。
 汁にとろみがついたらすぐに火を止め、炊き立てご飯をよそっておいた丼へ汁ごとサンマを乗せます。
サンマ蒲焼き缶詰丼3
サンマ蒲焼き缶詰丼4
 そこへ小口切りにした青ねぎと七味唐辛子を好きなだけ散らし、最後に卵黄をサンマの中央に落とせば“サンマの蒲焼き缶詰丼”の完成です!
サンマ蒲焼き缶詰丼5
 焦がし醤油とサンマの匂いが組み合わさった湯気が胃袋をゆさぶり、すぐにでも食したい衝動に襲われます…(←サンマの塩焼きもいいですが、こちらはより強烈な感じです)。
 サンマの缶詰だけだと見た目的にちょっとさびしいのを、青ネギの緑と卵黄の黄色が美しく彩っているのがよく、味の方はどんな感じなのか気になります。
サンマ蒲焼き缶詰丼6
 それでは。お箸で卵黄を突き崩していざ実食!
 いっただっきまーすっ!
サンマ蒲焼き缶詰丼7


 さて、味の感想は…何にも手間をかけていないのに、それに見合わない程美味し!缶詰特有の癖があまり感じられない素敵な丼です!
 ふっくら柔らかくて脂の旨味が濃いサンマの蒲焼きと白いご飯の組み合わせはまさにゴールデンコンビで、箸が進みます。
 醤油のちょい足しで風味が少し蘇り、姿は見えずとも大量のサンマの存在を感じさせるエキスが効いた深い甘辛醤油味がご飯にねっとり絡み、味がどこまでも広がりそうなのを七味唐辛子の香り高い辛さがピリッと引き締めてくれるのがたまりません。
 ともすればくどくなりがちな蒲焼きダレを、黄身がまったりマイルドに緩和してくれるのがナイスで、パクパクいけました。
 新鮮なシャキシャキねぎのアクセントも、飽きを防ぐのに最適です。
 以前作った“オイルサーディン丼”と似た味わいですが、あちらは元々いわしに醤油味がついていない上にレモンで風味付けしている分、ペペロンチーノを思わせるさらっとした洋風タレで後味もすっきり爽やかなのですが、こちらはサンマや缶汁自体に香ばしい醤油の下味がしっかりついている分よりこってり感が強調された味付けになっており、焼き鳥ダレを思わせるねっとりしたとろみで甘味が強い和風ダレがドシンとくる食べ応えにしているのが特徴的でした。
 生のサンマで一から作った蒲焼きと違い、缶詰はホロホロになった骨ごとおいしく頂けて食感に変化があり、味も出来立てにはない練れた感じがあるのがよかったです。


 蒲焼きダレがこってりしている分、七味唐辛子は割りと多めにかけた方がちょうどいい感じで、途中本物の蒲焼風に追い山椒をしてみてもおいしかったです。
 作中でおすすめされた卵白味噌汁も淡白ながらもいい箸休めになってましたし、生サンマの代用品どころかこれはこれで十分魅力的ななんじゃないかな?と思った再現でした。


P.S.
 ともちさん、無記名さん、こうたさん、AKHさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)『夜廻り猫』 深谷かほる/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ”を再現!

 先日スーパーへ行った時、前の方とぶつかりそうになって慌てて左によけたんですがその方も左によけ、次に右によけようとしたらまたその方も右によけ、またまた左によけ…最終的に立ち止まってお互い黙り、「どうぞ」の手を差し出すタイミングまで同じになるという奇跡に遭遇し、思わずお互い笑いました;。
 こういうよくある日常でも、あまりにもタイミングが同じだと一種のダンスみたいになるんだな~と妙に感心しました。

 どうも、昔缶コーヒーのRootsのCMであった「運命の人が男と女だとは限らない」というフレーズを何となく思い出した当ブログの管理人・あんこです(※相手の方は年上の奥様でした)。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君と丸井さんが初めて対戦した時に作った“味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ”です!
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ図丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ図
 第一話で味皇様にその才能を見出された陽一君は、今度の定休日にでも遊びに来て欲しいという誘いを受け、数日後に味皇ビルへ足を運びます。
 この時、偶然迷い込んだイタリア料理セミナーで味皇料理会イタリア料理主任・丸井善男さんと初めて出会うのですが、後々大の仲良しになるとは思えない程お互いの第一印象は最悪で、何とスパゲティの茹で方がきっかけで大喧嘩しそうになってました。
 要約すると、「時間さえきっちり計って茹でれば誰でも簡単にアルデンテは作れる、経験や勘なんていらない」という至極当然の事を陽一君は指摘しただけなのですが、丸井さんが真剣に講義している最中にあくびをしたり、他の人が素直に丸井さんの教え通り作ってるのを見てクスッと笑ったり、「待ってなっ、もうちょいでばっちりのメンを作ってやっから!」「なんなら証拠見してやっかあ?」と指示をガン無視で正しいやり方をタメ口でレクチャーしたりなど、煽り耐性がないとちょっときつい場面がありましたので、初対面でこれだったら確かにカチンときても仕方ないかもしれない…と苦笑したのを覚えています;。
 味皇様としては陽一君をゆくゆくは一部門の主任にしたいと思っていたのですが、丸井さんは自身が二十年かけて得た地位をぽっと出の僅か14歳の少年があっさり手に入れるのが納得できず(←常識的に考えたら、もっともな主張ですよね…)、「この子供と…私に勝負をさせていただきたい!!」「勝負は一週間後!!私のもっとも得意とするミートソーススパゲティでだ!!」と勝負を挑んでいました。

 イタリア料理の素人に、この道三十年のプロが自分の得意料理で戦う…と聞くとかなり大人げなく思えますが、考えてみれば『ミスター味っ子』に出てくる大人はそんな大人気ないキャラばかりな事に今気が付きました(←もっと言うなら、そもそもバトル漫画業界自体そんな大人が多い気が…例えば露伴先生とか。勿論、例外もたくさんいます!)。
 むしろ、圧倒的な資金力を武器に陽一君をストーカーして潰そうとする味将軍グループの面々とか、町内での権力を維持する為だけにトロや海苔を買い占めてコンテストでごり押し優勝しようとするお寿司屋さんとか、確実に勝つ為に根回しして審査員を自分の味方で固めたお好み焼き屋さんとかに比べれば、一応小細工なしに勝負しようとしている分、まだ丸井さんは優しい方なのかもしれない…と感じたものです。
自分の得意料理で勝負って、考えてみれば大人気ないです;
 こうして丸井さんとなりゆきで勝負することになったものの、それまで炒めスパゲティしか作った事がなく圧倒的に経験不足だった陽一君は、母・法子さんに買ってきてもらった丸井さんの本「野菜ソースで作る本格的スパゲティ」のレシピを参考に、“丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ”を作ります(←ちなみにこちらのスパゲティ、本作の中で唯一全手順が絵入りで具体的に書かれており、すごく分かりやすいです。毎回こういう『クッキングパパ』方式だったら再現はすごく楽だったのにな…と少しぼやいてみたり;)。
 丸井さん曰く、「タマネギ、シイタケ、シャンピニオン、セロリ、ニンジン、ニンニク、ローリエ、パセリ、ズッキーニ、タイム…さまざまの野菜をふんだんに刻みこみ、ソースベースを作る!」「それがっコクのある旨味をもった最高のソースの秘密なのだ!!」だそうで、そこに隠し味としてクルミをいれるのが独自の工夫みたいでした。
 地味かもしれませんが、実際に試食した陽一君が言うには「一見小さなこの一粒一粒が、ミートソースに香ばしい香りと歯応えを与えているんだ…!」だそうで、さすが威張るだけの事はあると唸っていました。
 調べた所、ナッツ系の中でもクルミは一番お肉と違和感なく合わさるようで、何とベジタリアンの間では肉代わりに使われている程だとか…さすが味皇料理会イタリア部主任、知識が幅広いです!
 
 あと、現在ミートソースは日本オリジナルの料理でイタリアには存在せず、モデルとなった料理はボロネーゼではないかという情報は広く知れ渡っていますが、丸井さんのレシピは何だかんだで本場のレシピに近い感じで驚きました(←失礼;)。
 本場ではボロネーゼに合わせるのはきし麺状のタリアテッレで、トマトより赤ワインの方を味付けのベースにする為ちょっとは違いますが、そこは日本人に好まれるよう多少アレンジしたと言われれば頷けるレベルですし、それまで「シーフードは専門外とか、本当にイタリアで修行したのかな…」と疑ったことを心から反省しましたm(_ _;)m。
丸井さんのミートソースの特徴は、刻んだクルミの香ばしさと歯ざわり!
 こんな優秀な見本を見せ付けられた陽一君は、おかげですごく苦労することになるのですが、多くの試作でナスと肉がとても相性がいい事を発見し、やっとあの完璧なクルミのミートソースに対抗できると安心します(←これは、今では常識なくらい定番の組み合わせですね。肉の油を吸ったナスがトマトに凄まじく合うと思うのは海外の方も同じで、ムサカという伝統料理もあるくらいですし)。
 しかし、今度はナスが多すぎたら水っぽくなる・少なすぎたら存在感がない・多く入れて強火で水分を飛ばしたら風味が消えるなど、肝心のナスの旨さを最大限に引き出す方法が見つからず、また振り出しに戻ります。
 けれどもその日の夜、法子さんがベーコンで巻いたロールキャベツを夕食に出したことから陽一君は全てが解決するアイディアを思いつき、勝負の日に自信を持って出します。
 それが、この“味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ”です!
 作り方はお手軽で、にんにく・玉ねぎ・にんじん・セロリ・牛豚合い挽き肉・塩・こしょう・トマトソース・ブイヨン・赤ワインを煮こんで作ったミートソースをお皿へ敷き、その上へ半分に折って茹でた後ソテーしたナスで包んだスパゲティを飾り付ければ出来上がりです。

 ポイントは、ナスはなるべく大きいものを使ってスパゲティをしっかり包むようにすること、牛豚合い挽き肉は牛:豚=3:7の割合にすること、ナスでスパゲティを包む時は目にも止まらぬスピードですることの三つで、こうするとスパゲティは肉汁が最大に出る配合で作られたミートソースにも力負けすることなく調和し、食べる時にのびのびにならずに済むと作中で語られていました(←『マトリックス』のエージェント・スミスやEXILEの「Choo Choo TRAIN」を彷彿とさせる分身術は必見!)。
 ミートソースに入れて味が損なわれるなら別に添えたらいい、そしてどうせならなかなか巻きつかずに食べにくいスパゲティを一口で食べられるよう半分に切り、ナスでまとめてしまえばいいという斬新な発想で作られたこの創作スパゲティは、味皇様を始めとする審査員の各主任達にも大好評で、丸井さんも衝撃を受けつつ絶賛していました。
パスタを真っ二つにしたり、なすで巻いたり、色んな仕掛けが目白押し!
 当管理人はものすごくトロいため、ちゃんとスピーディーに作れるか心配でずっと躊躇していたのですが、陽一君のミートソースも丸井さんのミートソースもずーっと食べてみたくてしょうがなかったので、最近の勢いに乗って再現することにしました!
 作中には大体のレシピが記載されていますので、早速ルネッサンス情熱を抱いて作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、二種類のミートソースのベースとなる野菜炒め。
 油をひいたフライパンへにんにくのみじん切りを入れて弱火で火を通し、いい香りがしてきたらみじん切りにした玉ねぎ、にんじん、セロリを投入し、しっかり炒めます。
 全体がしんなりして少しカサが減り、玉ねぎがほんのりキツネ色になってきたら、ベースの野菜は用意OKです(←二種類分ですので半分こにしますが、丸井さんの方は後々野菜をプラスする事を考慮し、陽一君の方がやや多めになるよう分けておきました)。
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ1
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ2
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ3
 次は、陽一君のミートソース作り。
 先程のベース野菜が入ったフライパンへ牛豚合い挽き肉を加えて中火で炒め、塩と胡椒で味付けします(←挽肉に火が通ってから入れた方が、お肉の内部に肉汁が残ります)。
※牛:豚=3:7の割合になるようブレンドされてある物を使用したほうが良いです。
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ4
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ5
 ここにトマトソース、ブイヨン、赤ワインを加えて弱火~中火の火加減でじっくり煮込み、全体がとろりとして煮詰まってきたら陽一君のミートソースは出来上がりです。
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ6
味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ7
 今度は、丸井さんのミートソース作り。
 先程のベース野菜が入ったフライパンへ、みじん切りにした椎茸、シャンピニオン(=マッシュルーム。今回はブラウンマッシュルームを使用しました)、パセリ、ズッキーニ、枝から指でしごいて葉だけにしたタイム、ホールのローリエを入れ、中火で炒めます。
 全体がしんなりしてきたら牛豚合い挽き肉を加えて炒め、塩と胡椒で味付けして混ぜ合わせておきます。
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 ここにトマトソース、ブイヨン、赤ワインを加えて弱火~中火の火加減でじっくり煮込みます。
 全体がとろりとして煮詰まってきたらローリエを取り出して火を止め、細かく刻んでおいたクルミを投入してざっと混ぜ合わせたら丸井さんのミートソースは出来上がりです。
※クルミは軽く炒り、薄皮を出来るだけ取り除くとさらに香りが増します。
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 ここまできたら、いよいよスパゲティとナスの準備。
 厚さ数ミリにスライスしたナスを薄い塩水に浸けてアクを抜き、キッチンペーパー等で水気をよく拭いたら、油をしいて熱したフライパンで両面をこんがりと焼いておきます。
 その間、塩を入れて沸騰させた大鍋にスパゲティを入れて規定時間より一分短く茹で、ザルで湯きりしたら半分はそのままお皿へ盛り付け、半分はオリーブ油をまぶしておきます。
 オリーブ油をまぶしたスパゲティは長さが大体揃うようまな板に並べ、両端を少し切ってからさらに半分に切り、それぞれさっきソテーしたナスをきゅっと巻きつけます(←切り落としたスパゲティはあまったミートソースに絡めて食べました。クスクスっぽくて美味です!)。

※有名な包丁でスパゲティをズダーン!!のシーンも再現しようとしたんですが、茹でる前のパスタの硬さは本当に岩のようで、そんな事はないと思いつつ包丁の刃が痛みそうで怖かった為断念しましたorz。ズダーンできた方、いらっしゃいましたらコツの伝授をお願いします…。
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 お皿に盛ったスパゲティの方へ丸井さんのミートソースをたっぷりかけ、別皿へ陽一君のミートソースを平たく盛ってその上にナス巻きスパゲティを乗せれば、“味吉陽一特製ナス巻きミートソーススパゲティ&丸井善男特製クルミ入りミートソーススパゲティ”の完成です!
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 思ったよりも手間どったので少し冷めてしまいましたが、『ミスター味っ子』好きの当管理人はこのビジュアルを間近で見れただけでもう感激、大満足でした(つд`)。
 陽一君のミートソースもいい香りでしたが、丸井さんのミートソースはお店っぽい感じで「おお!」と感心する薫り高さで、これは両方とも味に期待が持てます!
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 それでは、これ以上冷めない内に急いで実食!
 いただきま~すっ!
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 さて、料理の感想は…両方ともいい勝負でおいしい!陽一君のは王道的で間違いのない日本人好みの味、丸井さんのはオリジナリティー溢れる本場風の味という感じです!
  陽一君のミートソースは「老舗洋食屋さんの不動の看板メニュー」というイメージのどこか安心する味わいで、野菜が少ないせいかかえって肉のジューシーな旨味とトマトの甘さが際立っている所がよく、舌へダイレクトに伝わる昔懐かしい甘酸っぱさにほっと癒されます。
 別添えにしたナスには煮込んだナスほどの一体感はありませんが、その分ソテーして油を吸ったナス特有のぐっと濃縮したとろけるような甘味と、じゅんわりシャグシャグした瑞々しい食感が活きており、ナスも肉も主役!って感じの濃厚な旨さになってました。
 一口あたりのナスの量が多い為どことなくリッチな仕上がりで、満足感がすごいです。
 あと、整然と並んで短いパスタは一気にブツブツッ!と噛み切れるのが爽快で、スパゲティというよりは新しいショートパスタみたいな口当たりになっており、古いようで新しい味になってるのが面白いです。
 一方、丸井さんのミートソースはたっぷり入れた野菜の甘やかな風味と、口の中で溢れ返りそうな程の濃いエキスがガツンときいたフルーティーな味わいで、よりボロネーゼに似た本格的な出来映えになっています。
 マッシュルームと椎茸の深い出汁、タイムやローリエなどハーブ系の華やかな香気、ズッキーニのナスに近い甘味があわさっているおかげでさらに複雑な美味さになっており、国は違いますがプロバンス風っぽいなと思いました。
 意外だったのは刻まれたクルミの存在感の強さで、噛むごとに香ばしいコクとカリカリサクッとした歯触りが弾け、単調になりがちなミートソースの後味を一気にリフレッシュさせるのがナイスです(←陽一君のミートソースは、その役目をナスが担ってました)。
 クルミの油分が合い挽き肉とよく馴染み、普通のミートソースとは一味違うプロっぽい味になっているのが印象深かったです。


 ナスはちょっと煮込むとすぐドロドロに溶けて存在が希薄になりますが、陽一君方式だとナスのおいしさがしっかり残りつつミートソースの味をグレードアップしてくれるので、一石二鳥です。
 また、クルミとミートソースも予想を上回る相性のよさで、これは他に何か応用したいな~と考えました(←市販のミートソースにかけて頂くだけでもその威力は分かって頂けると思います)。
 嬉しい誤算で、冷めてもイタリア製パスタの底力なのかコシはそこそこ保たれており、そこまでのびていなかったのがありがたかったです(←バリラは時間がたってもコシがあり、時間にシビアではないので大変助かります)。
 ちなみに、試食してもらった夫はどちらも好きでおいしいと言っていましたが、美味しさの持続力という点で陽一君の方が僅かに勝っていたと評価していました。


P.S.
 波多野鵡鯨さん、ミトナリさん、HALさん、あめふらしさん、おもちさん、kawajunさん、Sullaさん、けんたっきーさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
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・特に意欲的に再現中の漫画:
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 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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