『パンと僕のモモちゃん』の“あげたまロール”を再現!
- Fri
- 16:16
- 再現料理
見た目がきれいなだけではなく、ラップやシートなど側面がきっちりガードされている為、野菜たっぷり入れやすかったり、思い切ってかぶりついてもボトボト落ちる心配がないのが嬉しいサンドイッチだと思います。
しかし、某店に置かれていたある「萌え断」サンドは、具を大量に入れすぎてもはや丸形のシルエットとなっており、流行がピークに達するとどうしてもマリー・アントワネットの髪型の如くデカ盛りに進化してしまいがちなのかな…と感じました。
どうも、生卵を乗せて焼くトーストやピザは半熟だと黄身がどうしてもダバーっとこぼれてもったいない為、やや固焼きにするしかないと断腸の思いで結論を出した当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『パンと僕のモモちゃん』にて主人公・シロ君が滋養たっぷりの朝食として作っていた“あげたまロール”です!
『パンと僕のモモちゃん』とは、母子家庭で7歳の時に母を突然登山中の遭難事故で亡くし、身寄りがない事から施設に入れられかけたものの伯母に引き取られて5年経過した12歳の少年・松野白(通称:シロ)君が、人間嫌いかつ猫好きで一見クールに見えるものの実は温かな心の持ち主である34歳の伯母・松野百恵さん(通称:モモちゃん)へパン料理を作る日々を描いた、異色のパングルメ漫画です。
サザエさんの一族で例えるなら、ワカメちゃんがタラちゃんを引き取って養育するような感じですね(←正確にはワカメちゃんはサザエさんの妹ですので、伯母ではなく叔母になりますが)。
シロ君にとっては母、モモちゃんにとっては妹を同時に亡くし、それ以来お互いの心の空白や傷を共同生活をし支え合う事で少しずつ癒している様子が、切なくも微笑ましい作品です。
これだけだとごく普通の成り行きに見えますが、何故異色かといいますと、それはシロ君がモモちゃんにほのかな恋心を抱いていること。
正直、年上の異性への憧れや、亡き母に対する思慕を共有する縁である事や、多感な時期に身近な異性を意識する心理など、様々な要素が入り組んでいる為純粋な恋心とは違っているのかもしれませんが、シロ君は真剣に「モモちゃんとずっと一緒にいるにはどうすればいいか」と思うあまり不器用なアピールに走る事も多々あり、その結果モモちゃんから「至らない伯母のせいでシロがおかしくなってしまったのではないですよね…??」と悩んでいました;。
中でも、母との最後の会話が「大好きだよ」で終わってしまって以来、また失ってしまうのが怖いというトラウマもあり素直にモモちゃんへ好きと言えないストレスが暴発し、モモちゃんはかわいい猫が好き→猫ならずっと一緒にいられるという発想に至り、ある朝猫の尻尾のアクセサリーを腰につけて「ペットにしてよ」とシロくんがお願いしたエピソードは、もし自分がやっていたら数年後に上級黒歴史として悶え苦しみそうな案件です(
お互いとことん真面目な性格だと、ツッコミもなしにどこまでも思考が暴走機関車になって大変なことになるな~と苦笑したものです…。
今作のレシピは、まだ小学生のシロ君が主人公ということもあり、包丁も火も使わず誰でも安全かつ簡単に作れるのが最大の特徴で、朝食として食べることが多いです(←包丁も火も使わないレシピ限定の料理漫画って、実はなかなかないので貴重です)。
「料理は危ないから私がします」と頑なに言うモモちゃんを説得させるよう、朝食は健康の為にもしっかり食べる必要があると言って上記のような安心調理法を編み出したらしく、シロ君を引き取って以来いつもに無理して頑張っているモモちゃんへのお礼と「共存のたしなみ」として行っていると書かれていました。
何故パンばかりかと言うと、その昔、母を亡くしたばかりで何も食べたくないと元気を失っていたシロ君にモモちゃんが「パンに豊富に含まれている糖質は即エネルギーになる元気の源です。ですからパンを食べれば元気になります」「何があっても、どんな時も私たちは食べて生きていかなければなりません。食べて生きなさい」と言い、モモちゃん自身ボロ泣きしながらパンを頬張っていた思い出が印象強かったからの模様(←なんとなく、『千と千尋の神隠し』でハクから貰ったおにぎりにかぶりつきながら千尋が号泣していたシーンを思い出しました)。
それ以来シロ君は「パンは僕に生きる元気をくれる」「パンは…愛だから」という理由で好物になったとのことでした。
ただ、パン料理をやめたくないばかりに「…もう34歳。脳のことも考えないと、老後のために…」と冷静に言うところは、モモちゃんと同年代の身として切ないものがあるので、なるべくやめてあげて欲しいなと思います;(←ただ、どういう理由にしろモモちゃんの身を案じる気持ちは本当で、毎回食材の栄養素や効能について詳しく伝えてくれるのが優しいな~と感じました)。
今回ご紹介するのは、8話にてモモちゃんが不治の病と勘違いして栄養をつけたいと切実に考えたシロ君が、愛猫・クーちゃんがくわえて持ってきたバターロールの袋をみて思いついた、“あげたまロール”!
作り方はとても簡単で、市販の味付きお揚げを袋状に広げて二重に重ね、そこへうずらの卵の水煮・ちぎったチーズ・スライスしたきゅうりを詰め込み、切れ目を入れたバターロールに挟んでマヨネーズをかけたらもう出来上がりです。
ポイントは、お揚げを袋状にしたり重ねる時は破れないようそっと作業すること、バターロールの切れ目にはバターを薄く塗ることの二点で、こうすると丸いうずらの卵でもちゃんと収まりお揚げの煮汁でパンがびちゃびちゃにならないとの事でした。
うずらの卵には鉄分とビタミン類、油揚げにはタンパク質・ミネラル類・食物繊維が豊富な高栄養食品で、この時過労で退院したてだったモモちゃんに手っ取り早く力をつけてほしかったのが伝わる一品です。
油揚げを使ったトーストなどは少数ながらみたことはありますが、味付きお揚げと組み合わせるレシピは前代未聞ですので、初見時は結構衝撃を受けたのを覚えています。
けれども、味付きお揚げは甘辛い味の割にそこまで癖は強くなくどちらかといえば淡白ですし、これまでにも焼きそばパンやナポリタンパンやお好み焼きパンなど、奇想天外に見えて実は合う組み合わせは登場している為、むしろ全然ありなのでは…と読み進める内に感じたものです。
手抜きで簡単な稲荷寿司を作ろうとして市販のお揚げを購入する際、ふとこちらのパンが頭に思い浮かび、無性に試したくなった為再現することにしました。
作中では絵入りの調理工程が描かれていた為、早速その通りに作ってみようと思います。
ということで、レッツ再現調理!
まずは、具材の準備。
市販の味付きお揚げを袋状に広げ、破れないようにそっと二重に重ねます。
その中へ、うずらの卵の水煮と一口大にちぎったチーズを交互に入れ、残りのスペースを埋めるようにしてスライスしたきゅうりを入れます。
その間、バターロールはパン切りナイフで上部に半分だけ切れ目を入れ、室温に置いて柔らかくしたバターを薄く塗りつけておきます。
バターロールの切れ目に先ほどの具入りお揚げを挟み、マヨネーズをいつでもかけられるようスタンバイしたら“あげたまロール”の完成です!
お揚げの中にうずらの卵を入れる作業が地味に器用さを求められてそこそこ大変でしたが、慣れると意外にスイスイ詰めることが出来ました。
パット見だとピタパンを挟んだロールパンっぽいので違和感はないですが、果たして味の方はどうなのか…とても気になります!
※本当は、マヨネーズをかけるのが正しいレシピなのですが、かけてないVerもなんだかおいしそうだったので、邪道ですが今回は二種類扱いで食べました。
それでは、マヨネーズをかけた物も、かけてない物も一緒にいざ実食!
いただきまーす!
さて、感想ですが…「お揚げとパンって合うんだ…!」という謎の感動とファースト・インパクトがでかい美味しさ!ソフト系のパンになら何でも合いそうな組み合わせです!
洋のバターロールに和のお揚げを乗せたら味がバラバラ過ぎて反発しないか心配だったのですが、こってりした甘さのお揚げはかえってほのかに甘いバターロールと相性が良かったらしく、むしろ一体感がありました。
ふんわり柔らかくて癖のないバターロールが、噛む瞬間から既に香ばしい煮汁が滴るジューシーなお揚げをしっかり受け止め、バターの香り高い風味と調和するのがたまりません。
きゅうりの爽やかなシャキシャキ食感と、チーズの強いコクがいいアクセントで、口の中でマヨネーズと共に合わさると、「あっさりめでチーズ風味の甘辛たまごサンド」と例えたくなるような味わいになっていきます(←マヨネーズなしでも、「精進風ミックス照り焼き風サンド」的仕上がりになってさっぱり美味で、個人的にはこっちの方が好みかもしれないです)。
醤油と砂糖とお出汁で濃厚に煮上がったお揚げは意外にも肉っぽくてなかなか食べ応えがあり、肉なしでボリューム感のあるサンドイッチを作りたい時はお揚げを具にしようと思ったくらいでした。
バターのおかげでビチャビチャにならず程よく煮汁が染みたパンも、肉餡の汁気が染みた肉まんの饅頭部分的旨さがあり、良かったです。
お揚げとバターもびっくりする程合っており、何でだろうと不思議でしたが、大人しめのバター醤油味と考えたら合点がいきました。
難点を言うなら、お揚げが破れて崩壊すると、ツルツルしたうずらの卵が勢いよく転げ落ちそうになる為、慎重に食べ進める必要があります(←平行に食べるのではなく、なるべく傾けて食べたほうがいいかもです)。
ご飯にあうものはパンにも合うというのは、グルメ漫画を読んでいて重々理解していたはずですが、まさかお揚げまでそうとは…と食の奥深さに改めて感心した再現でした。
P.S.
無記名さん、無記名さん、匿名係さん、竈門さん、コメント下さりありがとうございます!
無記名さん、半魚人と聞き『ウルトラマン』に登場したラゴンを思い出しました…もしそうなったら、夫といえど「ムー」へ投稿すべきでしょうか。『理想のヒモ生活』は、あんなに活躍して働き者なら壮大なタイトル詐欺のような気がしますw。嬉しいお言葉を下さり、感謝です。
無記名さん、10年ぶりにお越しいただきありがとうございます。色々あり、記事数的にも一つの区切りが見えかけておりますが、亀仙人の「もうちっとだけ続くんじゃ」の如く続きそうです。多くの方の応援がなくてはここまで続かなかったと思いますので、感謝の一言につきます。
匿名係さん、マロニーちゃんはこれまで思いつきませんでした!材料は違うものの、確かに春雨の一種ですね。実は以前、マロニーちゃんと同じじゃがいも澱粉が原料の春雨で試したのですが、そちらも同じくぼそぼそになっちゃいました…マロニーちゃんはどうなんでしょう。
竈門さん、マルコメの大豆ミートでも代用可能だと思います。むしろ、この時の再現のように一から大豆の皮を剥いてつぶして使用するより、食感や食べ応え的には断然お肉に近い味わいになりそうです。ベジタリアンの方にとって、便利な世の中になったな~と感じます。
●出典)『パンと僕のモモちゃん』 うさとさや/コアミックス
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
Comment
2023.04.15 Sat 20:26 | No title
はじめてコメント致します
「パンと僕のモモちゃん」、はじめて読んだときはちょっとびっくりな設定とパン料理が出てきましたが…実際おいしそうなパンですね!
ところで「吉原プラトニック」は読まれていらっしゃいますか?こちらもなかなかおいしそうな料理で再現のしがいがあるので是非読んでいただきたいです
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- URL
2023.07.10 Mon 13:27 | あんこさんへ
はじめまして。このブログを読み始めて10年ほど…初コメントです。
今、福岡地方の大雨警報の報道を見ておりまして、あんこさんやご主人、猫ちゃん、ご両親の心配を勝手ながらしておりました。
どうかご無事で、被害がありませんように。
- #hgCCATgQ
- 尾張のはっぱふみふみ
- URL
- Edit
2023.10.15 Sun 02:26 | No title
はじめまして。
から揚げの紹興酒の記事がすごく印象深くて、ふいに思い出してここに辿り着きました。
まだ更新されてるみたいでとても嬉しかったです。
これからも応援してますので更新楽しみにしております!
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- うなぎー
- URL
2024.01.01 Mon 23:58 | あけました。
あんこさん、お久しぶりです。
如何お過ごしですか?
お忙しく過ごしてらっしゃるのでしょうか。
あんこさんの気が向いたら、またブログを書いてくださいね。
それでは。
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- 銀猫
- URL
2024.03.31 Sun 07:13 | No title
こんにちは、コメントは数年振りです。
定期的に読みに来ております。
最終更新から1年たちました。
またあんこさんのペースで新しいお料理を紹介していただけると嬉しいです。
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- 陽子
- URL
2024.04.01 Mon 19:55 |
お久しぶりです
年が明けて、年度末の怒濤の職場の忙しさ(働き方改革出てこい)と、勝手に「あんこさんもそうそう更新できてなかろ」という不埒な思い込みでアクセスが減ってました。
ボチボチのペースでまた更新して下さいね。
新米姉妹の二人ごはん、夜凪さんのよなよな餃子
にも期待してます!
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