『紺田照の合法レシピ』の“数の子のタラモサラダ”を再現!
- Sun
- 23:55
- 再現料理
マラソンで限界まで走った後、強い鼓動になるのも「死にそう!きつい!早く楽にしてくれー」と心臓が叫んでいるようだといえなくもない為、運動会の時などは「今日の心臓音は、ドアを蹴破る勢いだなー」と妄想していたものです。
どうも、最近はドキドキすると年齢的に動悸や不整脈を疑う、夢もドラマもない当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、 『紺田照の合法レシピ』にて紺田君が同級生たちにヒントを得て作った“数の子のタラモサラダ”です!
成人男性顔負けの貫録を持つ為、読者はすぐ忘れがちですが、紺田君はれっきとしたティーンエイジャーの高校生ですので、当然の如くクラスメイトが複数存在します(←『巨悪学園』の異様に老けた高校生達に比べるとかなり若く見えますが、悲しいことに紺田君がいるのはごく一般的な学校の為、周囲からシリカゲルの如く浮いています)。
今回ご紹介する女子高生・奈津恵さんもその一人。
奈津さんは自信のなさからすぐオドオドしてしまう内気な女子ですが、将来の夢は歌手で、歌が大好きなものの周囲から「なれる訳ないっしょ!」といじられていく内に、「聴くだけで十分」と諦めてしまっていました。
けれども、カラオケボックスでのバイト中、「ネエちゃん何か歌ってくれよ」とからまれて困っている時に紺田君が代わりに歌い、そのジャイアン級の音痴を周囲から大爆笑されるという出来事があったのですが、その際紺田君から「見ての通りだ。批判や嘲笑の銃弾など、いくら浴びたところで死ぬことは無い」と男前なセリフを言われて勇気づけられ、後にオーディションへ応募してTVデビューを果たしていました。
紺田君自身は何も意識しておらず、自然に行動しているだけなのですが、中身がイケメンすぎなせいで女性キャラをすぐ「トゥンク…」状態にさせてしまう為、罪作りな高校生だと思います。
そんな意外と度胸のある奈津さんですが、ある日、欲しいギターを手に入れる為怪しいバイトに手を出してしまい、ちょっとロリコン気味な自称音楽家の男性に監禁されてしまいます(←関係ないですが、自称音楽家というフレーズを聞くとどうしてもゴーストライターで有名になった某作曲家を思い出し、ノスタルジックな気持ちになります)。
一時は「これで歌って踊れば君は世界一のアイドル歌手になるんだ」と言われてスクール水着とタンバリンを着るように迫られ、絶体絶命のピンチに陥っていましたが、そこへすかさず駆けつけてきた真希さんが自称音楽家に『喧嘩商売』・山本陸顔負けの煉獄を叩き込んでくれたおかげで、阻止できていました。
「タンバリン」「水着」「世界一」という単語から察するに、もしかしたらタンバリンマスター・ゴンゾーさんのように奈津さんを育てようとしていた可能性も微粒子レベルでありますが、女子高生を強引に監禁して「君は一生ここで暮らすんだから」とゲス顔をしている時点でレッドカード確定の通報案件ですので、捕まっても文句は言えないと思います。
ちなみに、自称音楽家は一度「君達も家で飼ってあげよう!」という命知らずな発言をして真希さんに襲い掛かり、紺田君から「よすんだ」と止められていたのですが、案の定あっけなく真希さんにフルボッコされて「だから…よせと言ったのに」と独白されるという、まるで『名探偵コナン』のような一幕がありました。
えげつない戦闘力を砂糖菓子のような外見の下に隠し持っている真希さんを見るたび、人間離れした強さのヒロイン・蘭ねーちゃんのようだと思います。
この後、一騒動を終えて帰宅した紺田君は、自称音楽家がボコボコにされた現場をヒントに、正月に残った数の子を大量消費するレシピを閃きます。
それが、この“数の子のタラモサラダ”です!
作り方は簡単で、ふかしてマッシュしたじゃがいもにバター・塩・こしょう・ヨーグルト・マヨネーズを入れて味付けし、塩抜きしてちぎった数の子・スライスしたブラックオリーブ・フライドオニオンを加えて混ぜ、サラダ菜と一緒にお皿へ盛り付けたら出来上がりです(←現場に散らばったタンバリン=ブラックオリーブ、花瓶の破片=フライドオニオンを着想したそうで、相変わらず柔軟な発想力です)。
ポイントは、じゃがいもは皮ごと電子レンジにかけてふかすこと、ヨーグルトとマヨネーズはじゃがいもが冷めてから合わせることの二点で、こうすると調味料が分離せずホクホクに仕上がるとの事でした。
本場ギリシャならコイやボラの卵、日本ならたらこや明太子が使われるタラモサラダですが、実は「タラモ」は「魚卵」という意味を持つ単語の為、数の子を使ってもタラモサラダという名称で正解と巻末に書かれていました。
家族そろって大好物の数の子が余るという僥倖体験がない為、これまで数の子はそのままかじるのが最高という野蛮なヴァイキングのような発想しかなかったのですが、魚卵とじゃがいもの相性の良さを考えると、むしろなぜ今まで作らなかったのかというレベルで合いそうだったので、初見時はかなり気になったのを覚えています。
今年の正月もやはり数の子は余らなかった為、どうしたものかと考えていたのですが、近所のスーパーでお手頃価格の物を見つけた為、再現することにしました。
作中には大体の作り方が明記されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、じゃがいもの下ごしらえ。
泥を洗い流した後ラップできっちり包んだじゃがいもを電子レンジに入れて加熱し、熱い内に皮をはぎ取ります(←包丁で皮の部分だけうっすらと切れ目を入れてから電子レンジにかけると、皮がズルっと剥きやすくなります)。
皮を取り終えたらボウルに入れてマッシャー(又はフォークやすりこ木など)でボコボコに潰し、バターと塩コショウを加えてざっくり混ぜ合わせます。
次は、味付け。
粗熱が取れたら無糖ヨーグルトとマヨネーズを入れてしっかり混ぜ合わせ、塩抜きして水気をきっておいた数の子をちぎりながら加えます。
そこへ続けて、輪切りにしたブラックオリーブとフライドオニオンを投入し、さっと混ぜます。
具がじゃがいも全域に行き渡ったらサラダ菜と一緒にお皿へ盛り付け、トーストも準備して同じテーブルへ運べば“数の子のタラモサラダ”の完成です!
真っ白いマッシュ状のじゃがいもに、サラダ菜の緑やブラックオリーブの黒が映えており、きれいです。
大抵の魚卵はじゃがいもに合うとはいえ、数の子はさすがにまだ試したことがない為、どういう味がするのか楽しみです。
それでは、スプーンですくっていざ実食!
いただきまーすっ!
さて、味の感想は…ものすごく品のいい、洒落た味のポテサラ!マヨネーズ控えめなのにしっかりした味付けで、確かにこれはサラダ神話になり得る一品です!
ヨーグルトが馴染んでしっとりしたじゃがいもは、ホコホコしつつもサラッとした口溶けの非常に滑らかな舌触り。
マヨネーズのみだと、どうしても多少の粘性や強い酸味が出てしまうのですがこちらはマッシュポテトみたいにフワッとした口当たりで、酸味も控えめなのが印象的でした。
バターの香り高い風味がほのかに漂うせいか、どことなくリッチな後口です。
見た目はあっさり系ですが、フライドオニオンの香ばしくてギュッと濃縮されたコクと甘み、ブラックオリーブのジューシーで濃密な酸味があるせいか、意外と食べ応えのあるややこってりした味わいで、ボリューム満点でした。
数の子のプチプチパリパリと強く弾ける食感と、魚卵特有の旨味を帯びた塩気がいいアクセントになっており、たらこ使用のタラモサラダとは違った魅力があります。
たらこだと、最初からじゃがいもと完璧に一体化していて一口目からガツンとくる感じですが、数の子は噛むことで徐々に口の中で完成していき、淡白だったのが段々奥深くなっていくのが最大の違いで、その都度具のバランスによって微妙に味が違ってくるのがよかったです。
この個性的なポテサラを、ソフトなシャキシャキ感を持つサラダ菜に包んで食べると途端に爽やかな食べ口になり、相性ぴったりです。
作った当日はフライドオニオンはまだサクサクしている為クリスピーな感じですが、翌日になると水分がなじんで飴色玉ねぎっぽい食感になるのが面白かったです。
パンに乗せるのもありですが、生野菜と組み合わせるとよく合うので、他の野菜と一緒にサンドイッチにするとより合いそうだと思いました。
P.S.
Sullaさん、通りすがりさん、コメントを下さりありがとうございます。
お気遣いのお言葉までいただき、感謝です。
『クッキングパパ』の“イタリアン鍋”は、トマトを入れるのが本来のレシピだったんですね…かなり初期の本しかもっていない為、気づきませんでした。
いつか新しい単行本を確認して再現し、訂正記事をアップしたいです。
●出典)『紺田照の合法レシピ』5巻 馬田イスケ/講談社
『紺田照の合法レシピ』7巻 馬田イスケ/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。