『どんぶり委員長』の“モーニング・ザ・洋朝食丼”を再現!
- Fri
- 23:39
- 再現料理
何十種類もの料理がテーブルいっぱいに並んでいるのを、「どれにしようかな…腹具合と食材のバランスと味の濃淡を計算しつつとらねば…ああ、でもあの料理は早めにとらないと人気過ぎてなくなりそうだから、そんな悠長な事言っていられない…」と、表面上は素知らぬ顔で冷静を装いつつ、水面下では自分の理性と戦いながら食のハンティングをするのは、きっちり自分の分だと割り振られた食事にはない高揚感があり、大好きでした。
最近は、やっと少しずついろんな対策が取られたビュッフェが復活しつつありますが、それでもコロナ前のビュッフェのようなおおらかさはどことなく姿を消しており、何かいい方法はないものだろうか…と思い悩む今日この頃です。
どうも、その昔北海道の某ホテルの朝食ビュッフェで頂いた山盛りのいくら丼や、びっくりする程美味しかった乳製品が忘れられない当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて吉田君が朝早くに起きて委員長の為に用意してくれた“モーニング・ザ・洋朝食丼”です!
ある日曜日の早朝、委員長は朝のウォーキングを習慣づけようと気合を入れ、ジャージ姿で近所中を歩き回ります。
以前、委員長は学校のマラソン大会に向けて毎日特訓をしたものの、当日はみんなより二周遅れで完走するという筋金入りの運動音痴っぷりを発揮していましたが、自分のペースでゆっくり取り組めるウォーキングは性に合っていたのか楽しそうでした。
けれども、健康の為に運動している割には「この後の朝ごはんも美味しく食べれそう!!」という、まるで「この一杯の為に生きている!」とサウナ上がりのビールを楽しみに長風呂をするおじさま方のような発想をしており、苦笑しました。
考えてみれば、朝食タイムは睡眠(=強制的な長時間の断食)を経て最初に口にすることができる、「空腹は最大の調味料」を地で行く最高の食事ができる時間帯…その上、適度な運動で食欲は否応なしに増しますので、食いしん坊万歳な委員長でなくても朝食のことばかりで頭が埋め尽くされても不思議じゃないかもしれません。
真面目で何事も形から入る委員長のことですから、体力作りにハマるあまり映画『ロッキー』みたいに生卵一気飲みの朝食ももしかしたらあり得るかも…とちらりと考えましたが、流石にそこまでガチにストイックなトレーニングではなかったみたいです;。
その後、委員長はコンビニから出てきたばかりの吉田君と偶然鉢合わせるのですが、「何だジャージ着て?今から釣りか?」とトンチンカンな事を言われて「ウォーキングよっ!!」と突っ込んでいました。
正直、ジャージ=釣りという発想がなかったので、地味に少し気になったシーンです(←『釣りバカ日誌』のハマちゃんみたいなフィッシングベスト姿や、『釣りキチ三平』の三平君みたいな白&赤のシャツにジーンズ姿ならわからないでもないですが…)。
吉田君の家はお母さんが早くに亡くなった父子家庭で、食事はほとんど吉田君が用意しており、この日の買い物も朝食の材料だったのですが、「まずはソーセージとベーコンをカリカリに焼き、卵は目玉焼きかスクランブルエッグにして、そして買い置きしておいたサラダにフレンチドレッシング」「それらと一緒にバターをたっぷり塗ったトーストをガブッと…」といつも作っている朝食メニューを臨場感たっぷりに説明していました。
しかし、委員長はパン派ではなく根っからのご飯党…もとい丼党な為、「それらと一緒にごはんをがっつりかっ込みたいっ!!」と好奇心と食欲がピークに達し、「明日の朝アタシのためにザ・洋朝食メニューでどんぶりを作ってくれる?」と依頼していました(←いつもは正面から言っているのですが、今回はなぜか吉田君に背中を向けて逃げながら依頼しています;。まるで、ガジェット警部へ読んだ後証拠隠滅のため自動的に爆発する指令書を渡してすぐすたこらさっさと退散するクインビー署長のような素早い行動だと思いました。毎回言いくるめるのに成功する委員長と違い、クインビー署長は天然なガジェット警部に指令書を毎度突き返されては爆風を浴びる悲運の人ですが…
委員長としては、「朝ラーメンがあるのだから朝どんぶりもあってもいい!」という理屈があるそうで、確かに言われてみれば吉野家さんでも“朝牛セット”、すき家さんでも“鮭のっけ朝食(丼)”というメニューがプッシュされていることですし、そんなに違和感はないのかもしれません。
こうして翌日、朝七時に家庭科室へやってきた吉田君が寝ぼけまなこで委員長の為に作ってあげたのが、この“モーニング・ザ・洋朝食丼”です!
作り方は簡単で、フライパンでベーコンとソーセージを焼き、その油で目玉焼きやスクランブルエッグを作って炊き立てご飯の上へ盛り付け、仕上げに野菜サラダ・フレンチドレッシング・ケチャップをトッピングしたらもう出来上がりです。
ポイントは、スクランブルエッグを作る際はバターを追加してから溶き卵を炒めることで、こうすると同じ卵料理でも目玉焼きとは全く違った味が楽しめて二度おいしいと作中で説明されていました。
また、変わった特徴としては飲み物はホットコーヒーを用意することで、これが意外と油でこってりした口の中がさっぱりしていい感じになると語られていました。
正直、初見時は混ぜたら危険なのでは…とイマイチ信用できませんでしたが、考えてみれば濃厚な焼き肉を食べた後のビール、脂が乗った魚のお寿司を食べた後の緑茶など、油のキレをよくするのに苦い飲み物の存在は欠かせない為、案外本当にイケる組み合わせなのかも…と最近少し考えを改めつつあります。
近頃我が家は定番の和食ばかりで、洋食系のおかずに飢えていたのもあり、これもいい機会だと捉え再現することにしました。
単行本には分量付きの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、具材の準備。
フライパンへ油をひいて熱し、ウインナーとベーコンを入れて両面をこんがり焼きます。
ウインナーとベーコンにいい焼き目がついたら別皿へ取り出し、フライパンに残った油で目玉焼きを作ります(←フタをせず弱火でじっくり熱を通すと、白身を焦がさず黄身がきれいなオレンジ色に仕上がります)。
目玉焼きが焼きあがったらまた別皿へ取り出し、今度はバターを加えて溶かし、よく溶いた卵液を入れてかき混ぜ、スクランブルエッグを作ります。
この時、完全に火が通りきる前に手早く火からおろし、くるくるかき混ぜて余熱で最後の仕上げをすると、半熟でふわふわのスクランブルエッグに仕上がります。
具がそろったら、いよいよ盛り付け作業。
丼容器へ炊き立てご飯をよそい、その上へコーン・人参・レタス・キャベツの千切り入りの市販の野菜サラダを片隅へ乗せ、その上から白のフレンチドレッシングをかけます。
続けて、その横にスクランブルエッグをふんわり乗せ、ベーコンとソーセージを飾り付けます。
※白のフレンチドレッシングは、マヨネーズ・塩・胡椒・オリーブ油・お酢・砂糖を泡だて器で混ぜ合わせて手作りしました。
丼の中央へ目玉焼きを乗せ、最後にケチャップを全体にシャシャッと斜めに絞れば“モーニング・ザ・洋朝食丼”の完成です!
ウインナーやスクランブルエッグをご飯のおかずにするのはそう珍しくはないですが、醤油などの味付けを一切使わず、ケチャップだけで味を決めるのがすごいです。
サラダの緑、目玉焼きのオレンジ、ケチャップの赤、スクランブルエッグの黄色といったカラフルな色の取り合わせが美しく、ごはんのおかずというよりはやはりトーストのお供っぽいな~と感じました。
それでは、目玉焼きの黄身を崩していざ実食!
いただきまーすっ!
さて、感想ですが…確かに「モーニング」としか表現できない面白い丼!一見バラバラに見え、実は調和しているのが摩訶不思議です!
ソーセージやベーコンの脂を吸収し、噛むごとに染みでるコクがたまらない目玉焼きの白身と、トロトロの黄身がねっとり濃く甘やかに絡む目玉焼きの黄身は、当然ながら白ご飯にぴったりです。
スクランブルエッグはバターのみで塩コショウなしの為、薄味にならないか心配でしたが、有塩バターのシンプルな塩味がかえって卵の甘味を引き出しており、リッチな後味に仕上がっていました。
ケチャップのみの味付けですが、意外と塩気がキリッと決まっており、トマトの強い出汁の旨味がご飯と洋風の具の双方を結びつけるいい橋渡し役になっています。
バターの香り高い風味が漂う半熟スクランブルエッグとケチャップご飯が合わさると「即席あっさりオムライス」、ベーコンやソーセージとケチャップご飯が合わさると「即席肉々ケチャップライス」というイメージの美味しさになり、食べる部分によりコロコロ味変するのが楽しかったです。
白フレンチドレッシングはマヨネーズベースで、見た目よりも酸味が効いているクリーミーな味が生野菜を引き立てており、ご飯とそこまで反発してなかったです(←例えるなら、洒落た味わいのフランス風?マヨネーズご飯)。
そこそこ油分の多いおかずのいい箸休めになっており、全体に爽やかさをプラスするのに成功しています。
作中で委員長がしていたように、ベーコンでサラダやスクランブルエッグと共にご飯をくるんで食べるとかなり濃厚かつゴージャスな味わいで、まるで肉の比率が大きい小型の洋風肉巻きおにぎりっぽい旨さでハマりました。
この後、半信半疑でコーヒーをご飯の合間に恐る恐る飲んだのですが、これが衝撃の相性の良さで、ソーセージやベーコンの油分をすっきり断ち切り、後にそこまで残らない為ご飯の邪魔にならないのがよかったです(←口の中に何もない状態で、 飲んだり食べたりするのがコツです)。
ベーコンの代わりにハムを使ったり、フレンチドレッシングの代わりにサウザンドレッシングをかけたり、全体へチーズをとろけさせて乗せても合いそうで、色々アレンジできそうなレシピだと思いました。
P.S.
無記名さん、べくさん、コメントを下さりありがとうございます。
色々なご意見を頂くたび、うれしい気持ちになりますので感謝です。
●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。