『まかない君』の“オイルサーディンとゆずこしょうとゆかりのパスタ ”を再現!
- Tue
- 23:50
- 再現料理
生まれて三十年以上経ちますが、お世辞抜きで心からキレイといわれたのは恐らくこの時が初めてだと思います、危うくときめきかけました(←※注:褒められたのは歯だけです)。
強いて言うなら歯茎が僅かに炎症を起こしていたり、歯石が少しついていたみたいですがそれ以外は良好のようで、強い歯の遺伝子をくれた親に感謝です。
どうも、「痛くなったら手を上げてください」と言われたものの口の中より開きっぱなしの顎の方が痛く、こういう場合はどうしたらいいのか迷った当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君の後輩・郷古ひとみさんが弥生ちゃんと一緒に作った“オイルサーディンとゆずこしょうとゆかりのパスタ ”です!
それは、ある秋の事。
あれ以来、ひとみさんと弥生ちゃんは不思議とウマがあって二人でちょくちょく会うようになり、この日もひとみさんの家へ弥生ちゃんが遊びに行きます。
一時は佳乃さんの「でもさ、いままではただの先輩後輩だとしても、再会をきっかけにこれからどうなるかはわからないよね」「この広い東京で再会するなんて、これは偶然じゃなくて必然じゃないのかな?」という意味深な言葉もあり、浩平君を入れた三角関係になるのかな?と思っていたのですが、どうやらひとみさんは浩平君が…というより男性そのものが得意ではないとの事で、この先付き合うことはないと断言していました(←浩平君も弥生ちゃんが好きでひとみさんに恋愛感情がない為めでたしめでたしなのですが、こうまではっきり言われてしまうと、逆にこちらがふられた気がして妙に切なくなりますね;)。
実を言いますと、ひとみさんは百合チックといいますか女の子の方が好きな傾向があるみたいで、弥生ちゃんと会って二回目くらいに「お姉様って読んでいいですか?」と聞いたり、急接近して顔が真っ赤になったりと、この上なく初々しい乙女な反応がこれでもか!とばかりに描写されており、何故か読んでいるこちらが赤面してしまいました;(←このお話の副題が「我が胸に姫百合は咲き」なのもズバリって感じです)。
同性愛とまではいかなくても、憧れの同性を恋にも似たときめきを持って密やかに慕う様子は、『ベルサイユのばら』のオスカル&ロザリーの組み合わせや、一昔前のお嬢様女子高小説(←コバルト文庫の『クララ白書』)や『マリア様がみてる』などが有名ですね)を彷彿とさせる感じで、懐かしいようなほろ甘いような気持ちを持って眺めたものです。
中でも、実際にありそうなシチュエーションで「これは男女問わず好きな人相手だとドキドキするだろうな~」と思ったのが、お互いの眼鏡を交換してかけあいこするシーン。
好きな人の私物を自分に合わせるだけでもより親しくなった気がして心躍りますが、自分が普段からよく身につけているものを相手がつけてくれるとにこにこ感がすごいので、ひとみさんの幸せそうな姿をさもありなんとほほえましく思いました(←「お風呂あがりに男物のシャツを借りて着て、だぼっとしているのを恥ずかしがる彼女にときめく主人公」という王道パターンにちょっと似ているかもしれません)。
それにしても、ひとみさんが弥生ちゃんに眼鏡をかけてあげようとした際に「…ん、そこじゃない」「もっと上…そこ」とかなりきわどい指示をした時はひとみさん同様、読者の当管理人までドギマギしました;。
こういう、人と場合によってはセクハラ扱いになること必至なやり取りって結構ありそうですので、知らない内にやらかさないよう気をつけなくては…と思わず姿勢を正したものです(←但し弥生ちゃんの場合、100%他意がないのが丸わかりですので、変な想像をする自分の方が不純なのだという辱めを受けた気分になるのが辛い所;)。
今回再現するのは、小腹がすいてお昼ご飯を食べようかとなった時にひとみさんが弥生ちゃんに色々教えながら作った“オイルサーディンとゆずこしょうとゆかりのパスタ ”。
作り方はお手軽で、にんにく・オリーブ油・オイルサーディンをちょうどいい加減になるまで炒めたところへ、ゆずこしょう・砂糖・白ワインを合わせた物を加えて混ぜ、仕上げに茹でたパスタとゆかりを和えたらもう出来上がりです。
ポイントは、ゆずこしょうを白ワインで溶く時に砂糖を少量くわえることで、こうするとゆずこしょうだけだと角が立った味になるのを丸くしてくれるのだとか。
ゆずこしょうとは古くからの付き合いでしたが、そういう繊細な技があるとは今まで露とも知らず、無骨に餃子やお鍋やマヨネーズに合わせるだけだった(一応は)九州人の当管理人…料理って本当、残酷なまでに人柄が表れますねorz。
パスタにさっぱりしたゆかりを合わせるのも女性らしい発想力で、何かといえばごっついクリーム系パスタを作ってばかりの当管理人は、目からうろこになったのを覚えています(←自分の発想ばかりで料理しているとすぐマンネリ状態に陥るため、目先を変えてくれる料理漫画はかなり助かります)。
中途半端にあまっていたゆずこしょうと、安売りで手に入れたオイルサーディンが家にあったので、ちょうどいい機会と思い再現することにしました。
作中には詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。
ボウルへゆずこしょうと砂糖を入れて白ワインを注ぎ、スプーン等でよく溶いてなじませます。
その間、フライパンにはオリーブ油とみじん切りにしたにんにくを入れて弱火にかけ、焦がさぬよう気をつけながらじっくり火を通します。
次は、炒め作業。
先ほどのフライパンからにんにくの香りが立ってきたらオイルサーディンを投入し、ちょうどいい加減に火が通ったら用意しておいたゆずこしょう入り白ワインを加えてしっかり混ぜます。
この時、油と白ワインがよくなじんでトロンと半白濁状のとろみになるまで混ぜると後々パスタに絡みやすいですし、おいしさもぐっとアップします。
そこへ、少し固めに茹でたパスタを入れてよ~く混ぜ合わせ、パスタにソースが絡みきったらゆかり(三島食品㈱の登録商標の製品です)をふりかけてざっと混ぜます。
ゆかりがパスタに混ざりきったら先にパスタの方をお皿へ盛り付け、最後にオイルサーディンを上へ飾り付ければ“オイルサーディンとゆずこしょうとゆかりのパスタ ”の完成です!
もっとゆかりの鮮やかな紅色が強く出るのではと予想していたのですが、そこまで自己主張せず、ぱっと見は「赤茶けたパセリ?」という感じでした。
ゆかりとゆずの香りがふんわり漂うのが品がよく、色もあいまって見るからに女子っぽいパスタです。
それでは、パスタが伸びない内にいざ実食!
いっただっきまーす!
さて、味の感想は…初めて食べるはずなのに、しっくり感が尋常じゃない組み合わせでびっくり!文句抜きで 定番にしたい美味さです!
にんにくのがっつり風味とオイルサーディンの濃厚な旨味エキスが溶け込んだコシのあるピリ辛パスタに、ゆかりのさっぱりした酸味と梅特有の優しい香りがふわっと効いていて、食が進みます。
梅干しを使ったパスタほど酸っぱさや存在感は大きくないのですが、それでもどことなく和風っぽい上品な仕上がりなのが特徴的でした。
ゆかりはあくまで補助的な役割でやんわり控えめに効いている感じで、主役はゆずこしょうとオイルサーディンの二つに抑えられており、全てがバランスよく調和しているのがよかったです。
基本的には「オイルサーディン入りペペロンチーノ」というイメージなんですが、唐辛子のピリッとしたのが続くドライな辛さと異なり、ゆずこしょうは最初はビリッとくるものの後口すっきりな爽快な辛さという辛味の質の違いが興味深く、斬新な味だなーと思いました(←砂糖のおかげか、そのまま使うよりも確かにちょっとだけ辛さに丸みがあり、まろやかになっていたのに感心)。
オイルソースはあっさり系が多い気がしますが、こちらはホロホロに柔らかくて青魚特有の重厚な脂分がたまらないオイルサーディンが全体にガツンとパンチをきかせている為、結構こってりした味わいです。
ゆかりは少ないと大人しすぎる味になりますので、結構多めにいれちゃって大丈夫です。
ご飯に合うものはやっぱりパスタと合うんだな~と再確認した再現でした。
P.S.
おビールさん、キンメさん、ラーマさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『華中華』の“三浦半島網元のしらすチャーハン”を再現!
- Wed
- 23:36
- 再現料理
家畜として飼われているところは何度か見たことがあるのですが、ペット感覚なのは初めてでしたので思わずスマホで検索したところ、手間と根気と覚悟はいるものの人懐っこくて甘えん坊でかわいいペットとして十分飼育できるらしく、こんな世界もあるんだな~と感心しました。
どうも、ヤギというと『アルプスの少女ハイジ』のユキちゃんと、
本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが満点大飯店のチャーハンに対抗できるよう考え出した“三浦半島網元のしらすチャーハン”です!
それは、ハナちゃんがロー・サンチク(その正体は、ハナちゃんの実の大叔父・竹三郎さん)と満点大飯店へ“夏の中華風ステーキ”を食べに行ってしばらく経った時のこと。
嫁ぎ先の近くにある三浦海岸は海水浴シーズンを迎え、満点大飯店が期間限定で出店するビーチハウスをはじめ、多くの海の家が軒を連ねます。
ハナちゃんがまだ満点大飯店にいた頃は、毎年この時期になるとビーチハウスのお手伝いに行き、忙しい合間を縫って様々なチャーハンを舞台裏で発明していたものでしたが、今年は既に退職していたのでいつもと変わらず上海亭へ出勤し続けていました。
ハナちゃんの作るチャーハンはいつも独創性に溢れていますが、それでも非日常な夏場の海が舞台になるとやはり想像力がより刺激されるのか、生み出されるチャーハンは一際華があってユニークなものが多い印象を受けていましたので、初見時は「上海亭も海の家を営業出来ればいいのに…」と勝手にやきもきしたのを覚えています(←ざっと挙げるだけでも、ゴーヤチャーハンをひき肉で巻いて揚げたスタミナ満点“真ん丸ゴーヤチャーハン”、スイカの皮で作る斬新な“西瓜チャーハン”、イカを丸ごと豪快に使った“イカチャーハン”、トマトジュースでご飯を炊く“イタリアンチャーハン”、熱々チャーハンに冷たい中華餡をかけちゃう“冷たい冬瓜チャーハン”など、本当に伸び伸びした発想力で面白くて、しかもおいしかったです)。
その為、ハナちゃんは最初海の家関連のお仕事をする気は全くなかったのですが、チャーハンの達人であるハナちゃんが周囲から放っておかれる訳がなく、夫・康彦さんの友人で大網元でもある漁師の明さんから、「満点大飯店が海の家で出している湘南しらすチャーハンに負けない、いや、もっと美味しいしらすのチャーハンを考えてください!」「三浦の網元は凄いんだ、横浜の店には負けてないんだって思われたくて…」と直訴され、レシピの考案だけお手伝いしますと約束していました。
楊貴妃さん曰く、「こういう形でまた島野と対決出来るのが、嬉しいんだね」だそうで、上海亭で生きていくと決めて別の道を歩んでいる今も、師である島野料理長やかつての修行場・満点大飯店は特別な存在なんだろうな~としみじみしました。
思いがけない形とタイミングで退職した今、対決とは言っても一種の料理指導みたいなもので、時間が足りなくて教わるのが間に合わなかった様々なことを勝負の場で学ぼうとしているのかも知れません(←以前、ハナちゃんは目立つことを好んでいなかったので、お店を辞めて以来積極的に対決している事に違和感を感じていましたが、それなら納得できます)。
その後、ハナちゃんが中華初心者の明さんたちでも作れるよう一晩かけて考え出したのが、この“三浦半島網元のしらすチャーハン”です!
作り方は簡単で、生姜とごま油で作った香味油で釜揚げしらすをカリカリになるまで揚げ、普通の釜揚げしらす・溶き卵・長ネギ・ご飯・塩・胡椒と一緒に炒めてチャーハンを作り、仕上げに普通の釜揚げしらすともみ海苔を飾り付けたら出来上がりです。
ポイントは、釜揚げしらすを揚げた後は必ずキッチンペーパー等で油分をしっかりきること、チャーハンを炒める時は強火で一気に仕上げることの二つで、確かにこれなら料理の腕前に自信がなくても気軽に作れそうだと感じました。
ハナちゃんが言うには、「下ごしらえさえ怠らなければ素人もプロに負けません!」だそうで、日頃から大雑把な素人の当管理人は頼もしいと思うと同時にギクッとしました;(←揚げ物をする時よく粉をはたいて薄くしなかったりとか、材料から浮き出た水分をふき取らなかったりとか、細かい部分で味って簡単に劣化するんですよね…orz)。
こうして、ハナちゃんの協力で“三浦半島網元のしらすチャーハン”のレシピを得ることが出来た明さんは、満点大飯店と対抗できる程売り上げを上げることが出来るようになったのですが…続きは、また次回ご紹介したいと思います。
しらす入りふわふわ卵、カリカリしらす入りチャーハン、釜揚げしらすのトッピングと、三種類のしらすを使ったら一体どんなチャーハンになるのだろうと興味がわき、再現することにしました。
作中には分量つきの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに再現してみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、材料の下ごしらえ。
中華鍋(またはフライパン)へごま油とスライスした生姜を入れ、生姜が狐色にくったりして香りが出るまで弱火~中火の間で火を通し、香味油を作っておきます。
この香味油で、釜揚げしらすの1/3の量をカリカリになるまで揚げ、揚がったらキッチンペーパーに引き上げて余分な油分をしっかりきっておきます。
次は、炒め作業。
香味油を多めに入れて熱した中華鍋に、1/3の量の釜揚げしらすと刻んだ長ネギを加えて混ぜておいた溶き卵を一気に流し込み、ふわっとさせます(←何度かやってみて思ったのですが、やはり卵をふわっと膨らませてご飯にも旨味をつけるのには、油はそれなりの量がないとだめだと感じました。チャーハンを作る時はヘルシー度外視した方がいいです)。
そこへすかさず白ご飯を投入して手早くパラパラになるよう炒め合わせ、何度かあおります。
続けて塩、胡椒、先ほど用意したカリカリしらす、刻みネギを加えてさっと混ぜ合わせ、チャーハン全体に具がいきわたっているのを確認したら火からおろします。
チャーハンをお皿へ盛り付け、最後に1/3の量の釜揚げしらす(←パックから出してそのままでも良いですが、使う直前にざるに入れて熱湯を軽く掛けて湯通しするとよりふっくらして匂いがよくなります)ともみ海苔を散らせば“三浦半島網元のしらすチャーハン”の完成です!
しらす特有の潮の香りが湯気となって立ち上り、見た目もあいまってまさに海のチャーハン!という感じに仕上がっています。
これまでしらすを具の一部としてチャーハンに使用したことは何度かありますが、主役として使うのは今回が初めてですので、どんな風な味になるのか楽しみです!
それでは、出来立て熱々の内にいざ実食!
いっただっきま~す。
さて、味の感想は…かみ締めた途端、口の中に潮風がぶわっと吹いてきたような気持ちに!シンプルなのに、しらすの美味さが癖になって食が進むチャーハンです!
ふんわりあっさりしたごま油風味の塩味卵に、しっとり柔らかなそのままタイプとさっくりパリパリした素揚げタイプの二種類のしらすの食感が複雑に入り交じり、噛むごとにホロホロッとしらすの淡白な旨味が口の中に広がっていきます。
醤油を使わず塩と胡椒だけのさっぱりした味付けにしている為、釜揚げしらすと海苔の組み合わせだからこそ出る強烈な磯の香りが消えずにコクだけがプラスされている状態で、うまい具合に調和しているなーと感じました。
当初は普通のごま油を使ったら臭いが強すぎるんじゃ…と不安でしたが、生姜のキリリとした香味が効いてマイルドかつ洗練された仕上がりの油になっていたせいかそんな事はなく、たったあれだけの手間でこんなに後口がスッキリするんだなーと感心です。
まるで干しエビ風にサクサク香ばしくなったしらすが全体に何とも言えない深みを出している感じで、ねぎのシャキシャキ感と合わせてちょうどいいアクセントになっていました。
正直、釜揚げしらすはあまり手を加えない方がよいのではと再現前は考えていたのですが、火を通した物と半々にして合わせると、微妙に違う味わいがしらす独特の塩気や旨さをよりくっきりと浮き上がらせる気がしたので、単純に見えて結構効果的な調理法だと思います。
ほんの一手間で味がここまで違ってくるんだな~と改めて勉強になった再現でした。
塩系チャーハンには珍しいことに冷めてもおいしいですし、濃い目なおかずの邪魔にもならないのでお弁当にもいいかも…と思いました。
P.S.
HALさん、コメントをしてくださりありがとうございます。
●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『どんぶり委員長』の“夏だぜ生ハム生タマゴ丼”を再現!
- Sat
- 22:35
- 再現料理
どうやら二歳年上の夫も同じ現象を実感していたようで、やっぱり若い内は力いっぱい遊んでおかないとだめだ!と改めて思ったものです。
どうも、とりあえず夏が目前だしプールで泳いで体力作りしようかな~と相変わらず行き当たりばったりな人生を歩んでいる当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて夏バテしている委員長のために吉田君が急遽作った“夏だぜ生ハム生タマゴ丼”です!
それは、ある夏休みの登校日のこと。
やっと授業がHRが終わって帰ろうとしていた委員長はすっかり夏バテ気味で、どんなにきつくても宿題・部活・塾は内申書に響くから休めないと思い、すっかり憂鬱な気持ちになります。
「休み」って割には休ませる気全くないだろ?!と心の中で叫んでいた大量の宿題…自由研究…夏期講習…ああ、懐かしいです(←長年、夏休みの宿題は初期に終わらせるのが得策だと考えていましたが、まさにそのタイプだった夫は「あれは楽だが、夏休みが終わった時には勉強をすっかり忘れて馬鹿になる。お勧めしない」と言われ、結局コツコツやる以外道はないのだと今更ながら実感しました)。
大人になってお盆休みや有給が発生するようになれば自由に時間を使えるようになるのかな~と当時は遠い目になったものでしたが、大人になったらなったで宿題以上に厳しい仕事と終わりなき家事と解決しない親戚付き合いが待ち構えていて休む暇など皆無だった為、真の夏休みは老後にしか存在しないものと諦めた今日この頃です。
そんな矢先、英語の補習で居残りをしていた吉田君と鉢合わせした委員長は、「14時までにプリント終わらせるの手伝って」とアイスをおごられつつお願いされるのですが、丁度お腹がすいていたこともあり、夏の食欲がない時でもおいしく食べられる丼を作るなら手伝ってもいいと承諾していました。
ちなみにこの時、時間は13時…たった一時間でレシピ考案・材料調達・調理・プリント解答・提出をしなくてはならなくなった吉田君は、気の毒にも炎天下の中お店へ駆け出して行きます(←先生の目に留まっていたら、確実に「え、逃亡!?」とびっくりしたことでしょう;)。
それにしても、一巻の時点では依頼を出されなければ委員長がどんな丼を食べたいのか分からなかった吉田君ですが、この話が載っている二巻の頃になるともはやシチュエーションから委員長の大体の希望が予測できるようになったみたいで、ただの同級生から専属料理人にチェンジしたような観があります;(←まあ、古来から「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」と言いますし、食いしん坊の委員長なら案外胃袋を落とすのが一番効果的なアタックなのかもしれません)。
三十分後、やっと買い物を終えて委員長の待つ家庭科室へ戻ってきた吉田君は、火もフライパンも使わず、何と約三分(!)という早業で丼を作り上げます。
それが、この“夏だぜ生ハム生タマゴ丼”です!
作り方はすごく簡単で、生ハム・きゅうり・醤油・お酢・砂糖・おろしにんにく・ごま油・コチュジャン・白ごま・水を混ぜ合わせたものを丼ご飯の上へ乗せ、最後に仕上げに生の卵黄を盛り付けたらもう出来上がりです。
ポイントは、具とタレを混ぜるときはボウルではなくビニール袋(薄いのを使うとすぐに破れてしまうので頑丈なものを使用!)に入れて混ぜるというよりはよく揉みこむことで、こうすることによって短時間でも味がきっちり染みやすいとの事でした。
吉田君としては、限られた時間で超手早く作りたい、暑い中火を使いたくないという一心でこんなレシピになったそうですが、それでもちゃんとおいしそうで独創性のあるレシピを考え付くのですからさすがです。
正直、生ハムと丼ご飯という組み合わせは意外すぎて味の予想が付かなかったのですが、考えてみれば数年前から徹底した品質管理で実現した牛トロフレーク(ご飯の熱で解凍しながら頂く生の牛肉のフレークで、ネギトロ丼感覚で美味なのだとか)も熱々ご飯にぴったりみたいですし、生ハムもありなのかも…とその可能性に考えさせられました。
その後、委員長は喜びのあまり「夏だに生ハミ生タマどん!?」とかみかみになりつつ丼をかっ込みますが(←当管理人も大好物を目の前にすると口がユルユルになるせいか、同じ状態になります;)、「ひと口食べた瞬間…夏なのに食欲全開っ!!!」とすぐに元気を取り戻していました。
委員長曰く、「このキュウリのシャキシャキの歯ごたえが清涼感を増して…暑い夏でもガンガン食べ進められるどんぶりになってるわ!」「やっぱり このコチュジャンの辛みが食欲を呼び起こすのね!!」と大満足な出来だったようで、おかげで吉田君のプリント提出を14時ジャストで間に合わせていました。
なお、委員長は問題を解く時、余程丼に集中していたみたいで何と丼片手にペンをスラスラ走らせており、こんな姿を「委員長=堅くて真面目な優等生」としてすっかり信じきっている先生や生徒に見られたらどうなることやらと冷や冷やしました(←もしかしたら、案外ギャップ萌えで打ち解けやすく思われて結果オーライになるかもですが…)。
『どんぶり委員長』はドラマ版『孤独のグルメ』並に食事中のモノローグが長く、読むだけでどんどんお腹がすいてくるのが特徴的ですが(←たまにメルヘンチックな表現が挟まるのも少し似てますし;)、さすがの五郎ちゃんもパソコン片手にご飯を食べているシーンはありませんでしたので、丼へのなりふり構わなさは料理漫画界でも一、二を争うのでは…と苦笑いしました。
最近九州は日に日に暑くなってきており、火を使わなくて済む上にさっと作れそうなこのレシピは魅力的で再現してみることにしました。
単行本には分量つきの詳細なレシピが記載されていることですし、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。
生ハムは自分にとって食べやすい一口大に切り、きゅうりは千切りにしておきます。
その間、ボウルへ醤油、お酢、砂糖、おろしにんにく、ごま油、コチュジャン、白ごま、水を入れて混ぜ合わせ、タレを作っておきます。
次は、味付け作業。
清潔で頑丈なビニール袋へ、先ほどの生ハム、きゅうり、タレを入れて袋の外からよく揉み合わせ、具に味をしっかりなじませておきます。
タレの量が生ハムやきゅうりに吸われて減り、見た目があめ色になってくったりしてきたら頃合です(←そんなに時間はかからないです)。
タレごと生ハムときゅうりを炊きたて丼ご飯の上へ盛り付け、最後に卵黄を真ん中へ落とせば“夏だぜ生ハム生タマゴ丼”の完成です!
色合いが薄いピンク色なせいか、ぱっと見はネギトロ丼チックな感じで、そこまで違和感はなかったです。
ほんのり漂うごま油の香りがいい感じですし、これなら確かに食欲がない時でも「じゃあ一口…」と思わず手が伸びそうな~と思いました。
それでは、卵黄をつぶして絡めていざ実食!
いっただきま~す!
さて、味はと言いますと…夏にぴったりな食欲増進100%な丼!生ハムがここまで完成度の高い丼の具になるとは驚きです!
程よい塩加減で食べやすい生ハムに、にんにく醤油の旨味とごま油の香ばしさが効いた甘辛酸っぱいコチュジャンダレが相性ぴったりで 、そこに卵黄のコクが絡まってまろやかさがプラスされるとパクパクいけちゃいます。
イメージ的に「焼肉屋でランチタイムに出てくるお得な丼」って感じで、まぐろユッケ丼のまぐろを生ハムに置き換えたような美味しさでした。
まぐろユッケの場合、材料が魚ですのでしっかりした味でもどことなくあっさりしていますが、こちらは生ハム使用なので豚肉の濃い旨さがガツンとくるこってりした味わいで、結構ボリュームがあるのが印象的です。
とはいえ、がっつり系の味付けでも酢のおかげで中華風ドレッシング風ともいえなくもない仕上がりのタレになっている為、後味はさっぱりキレがいいのが特徴的でした(←このタレが染みて少し酢飯風になったご飯と、生ハムが熟成する過程で生まれた何とも言えない深い塩気が意外に合っててびっくりしましたが、考えてみれば回転寿司でも前から定番の組み合わせですね)。
ナムルっぽくなったしんなりシャキシャキしたきゅうりと、ほんのり酢が染みて柔らかさのなかにシコシコ感が生まれて締めハム(?)状態になった生ハムがよく合ってて美味で、白ごまのプチプチ感がいいアクセントになってました。
気温が熱いときは台所に立つのも億劫な為、火も使わず時間もかからずおいしいこちらのレシピは本当に助かります。
ご飯の上に乗せるのはもちろん、軽くトーストしたパンやスライスしたフランスパンに乗せても合いましたので、夏場にはお世話になりそうです。
P.S.
銀猫さん、kawajunさん、そして今までブログ拍手欄にてコメントくださった皆様、ありがとうございます。
●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『ごほうびごはん』の“炊き込み鶏ビールご飯”を再現!
- Tue
- 21:27
- 再現料理
一応箱の裏にある説明通りに作ったので、これが標準的な辛さだとは思うのですが…当管理人一家が辛さに弱いだけなのか、それとも辛さに強いお国柄なのか、未だに謎となっています;。
この時、辛さを和らげるのにかなり有効だったのはプレーンヨーグルトで、火を通さずそのままお皿で混ぜて食べるとびっくりするほど辛味がマイルドになった為、今後未知のメニューを作る時は必ず用意しようと思いました。
どうも、あまりに辛すぎる物を食べた後は全力でマラソンをした後のようにぐったり疲れるという豆知識を得た当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ごほうびごはん』にて青柳主任が残ったビールを使って初めて作った“炊き込み鶏ビールご飯”です!
それは、主人公・咲子さんの上司であるクールビューティな青柳主任が、ある夜に一人で飲んでいたときのこと。
枝豆とビールという黄金の組み合わせで飲んでいたのですが、夜中で小腹がすいていたのもあり、他に何かおつまみ兼締めの一品的な物を作れないかどうか思案します。
いつもだったら青柳主任は、おつまみにしてもお酒にしても抜かりなく準備済なパターンが多かったので、こういう「何のプランもないけど、何作ろう?」的な話は珍しく、初見時は意外だったのを覚えています(←仕事がデキる方は日常からして既に手際がよく、一つの作業でいくつもの目的をスピーディーに達成してしまうのがお見事!)。
実はこの話より少し前、同じ秋田出身で昔からの付き合いである女友達・安藤さんから黒ビールの差し入れを受けていたのですが、その時にびっくりなレシピも教わっていたようで、いっそのことそれを作ってみようかどうか迷いだします。
ちなみに、お酒が強くて大好きな青柳主任ですが、意外にも黒ビールを飲んだことはほとんどなかったそうで、日頃博識な分これには驚きでした(←黒ビールは味わいが濃厚で独特な分、合うおつまみと合わないおつまみがくっきり分かれやすいのが敬遠していた理由なのかな?と予想。あと、刺身などのシンプル系和食や白ご飯との相性が悪いのも、とっつきにくく思われた原因の一つかもしれませんね)。
これまで全く親しみがなかった食材でも、友達や知り合いの「おいしいから試してみて!」という何気ない一言によって思いがけず開拓し、その後大好物になった経験は当管理人も何度もある為、やっぱり人の意見は一度は素直に聞いてみるべきものだなと改めて思います。
青柳主任は料理に関して比較的大胆な方なものの、日頃は試す勇気がなくずっとためらっていたそうなのですが、酔いも手伝い、とうとう安藤さんおすすめの黒ビール料理を作ることにします…!
それが、この“炊き込み鶏ビールご飯”です!
作り方はとても簡単で、炊飯器へ研いだお米・普通の生ビール・黒ビール・お塩・出汁の素・鶏もも肉・枝豆を入れ、そのままいつも通り炊いたらもう出来上がりです。
ポイントは、生ビールと黒ビールの配合を半々にし、どちらかの量が極端に多くならないよう気をつけることだそうで、ビールだけでご飯を炊くという大胆不敵さにドキドキしました;。
ビールでお肉を煮込むと、ビール酵母や炭酸の効用で臭みが抜ける上にやわらかくジューシーになるのは知っていましたが、まさかご飯を炊くときに入れてもおいしくなるとは知らず、読んでしばらくは青柳主任のように「大丈夫かしら…」と心配で、失礼ながらなかなか信じきることができませんでした。
しかし、大分前に『クッキングパパ』でもビールで炊いたご飯のお話(43巻の423話「カンビールライスで乾杯!!」というお話に出てきます。但し、こちらでは黒ビールは使わず生ビールのみで、ビーフジャーキーやポテトチップスが具になってます)があったことを思い出し、案外いけるのかも…と興味がわいてきたものです。
その後、青柳主任は「あああ…水分がビールしかないなんて、なんてキケンな…色すごいけど大丈夫かしら…」とハラハラして炊き上がりを待つのですが、実際に炊けてみると香ばしい湯気が漂い、なんだかいい予感(←個人的に、炊き込みご飯を炊いている時に炊飯器から立ち上る蒸気は、餃子を蒸し焼きにしている時に聞くパチパチ音並に破壊力があると思います…一種のアトラクションだと呼んでも差し支えないです。地味ですがorz)
一口食べてみると…一瞬、真夏の麦畑が脳裏に浮かぶほどのすごい麦の香りが!(←こんなに爽やかな絵なのに、よく見ると「ざわ…ざわ…」の字体が『カイジ』そっくりで吹いてしまいます;)
青柳主任曰く、「お醤油に似た香りがするわ」「ビールご飯の具が枝豆って、合わないわけないわよね」「これはリピートしちゃうわね!!」な旨さだったそうで、翌日会社へお弁当につめて持って行くほどお気に入りになったみたいでした。
けれども、こちらのご飯は何と冷めるとビール臭がより強くなるという特性があったそうで、会社で真っ昼間からビールをのんでいるような背徳感に冷や汗ダラダラ流していました(゜д゜;)。
アルコール分は完全に飛んでいるので気にすることはないと思うのですが、以前当管理人も職場で洋酒の香りがきつめのお菓子を差し入れで頂いて食べた時、思ったよりもブランデーの匂いがきつくて「飲酒してるも同然なんじゃ…!?」とハラハラしたことがあった為、確かにスリリングな気分になるよな~と苦笑しました。
いまいち味の想像がつかず、ずっーーと躊躇していましたが、いい加減悩むのにも疲れてきたので「失敗してもいい経験になる!」と思い再現することにしました。
作中には詳細な分量つきのレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、材料の準備。
枝豆は塩茹でした後さやから取り出しておき、鶏もも肉は余分な黄色い脂肪を切り取ってから小さめの一口大に切っておきます。
その間、お米は通常通り研いで水気をきります。
次は、炊き込み作業。
先ほどのお米が入っている炊飯器へ、普通の生ビールと黒ビールを注ぎ、お塩と出汁の素も加えてざっと混ぜます。
…分かってはいましたが、生米に生ビールの泡がシュワシュワ立っている様子は一見毒々しく異様な光景で、このドキドキ感はコーラを使った肉じゃが以来だな~と遠い目になりました;。
そこへ、下ごしらえしておいた枝豆と鶏もも肉を乗せていつも通りご飯を炊き(←炊き込みご飯モードを選択できるんでしたら、そちらがおすすめです)、炊けたらしゃもじでさっくり混ぜます。
再度ふたをして少し蒸らしたらご飯茶碗へよそい、そのままテーブルへ運べば“炊き込み鶏ビールご飯”の完成です!
思ったよりも麦っぽい香りは抑えられており、その代わりに醤油に似たようななんとも香ばしい匂いがたっています。
ずっと嗅いでいるとビールっぽいしっかりした麦の風味がするのですが、言われなければ気づかないかもしれないくらいの香りですので、抵抗感はあまり感じませんでした。
それでは、炊きたて熱々のうちにいざ実食!
いただきま~すっ!
さて、味の感想は…あの材料からは想像できない美味しさ!見た目は洋風ですが、びっくりする程和風に仕上がってます!
最初は「塩味系かな?」と予想していたのですが、実際は黒ビールの効果なのか鶏五目ご飯風の馴染みあるしっかりあっさりした出汁醤油系の味付けになっており、抵抗感なく頂けました。
それも、普通の醤油というよりはたまり醤油っぽいこっくりとした風味と奥深いコクが効いたご飯というイメージで、凝っているなーと感心しました(系統としてはザラメ系の複雑な味わいに近いですが甘ったるさは一切なく、あくまでもさりげなく効いているのがみそです)。
唯一ビールらしさを感じるのが後味で、最後に僅かなほろ苦さを残して奥行きを演出しつつも、飲み込む時にはサラッと消えているのが特徴的でした。
また、枝豆の優しい甘さとほのかな塩気、ホクホクした食感がいいアクセントになっており、癖になります。
鶏肉の方も、ビールのおかげでさっくりと噛みきれる柔らかさになり、臭みもさっぱり消えていた為、まるで予め煮込むなど一手間かけたような垢抜けた出来栄えになっていました。
旨味は濃いのですが決してくどくないので、他のおかずとも意外に合わせやすいです。
不思議なことに、ご飯は炊き込みご飯らしいもっちり感を持ちつつ、ピラフみたいなパラリとした口当たりでもあり、双方のいい所取りをしたような独特の食感になっているのが印象に残りました。
青柳主任の言う通り、冷めてからのほうがかえって麦の香りがぐっと強くなっており、お弁当にして持っていくには少々危険な感じになります;(←そこまできつく漂う訳ではなく、意識してにおわない限りは大丈夫そうですが…)。
冷めてもおいしいのでもったいないようですが、基本的には外では温め直してから頂いた方がよさげだと思いました。
P.S.
おもちさん、kawajunさん、西村順二さん、ゆゆさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『ごほうびごはん』 こもとも子/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』の“レモンミルクポテトサラダ”を再現!
- Thu
- 23:40
- 再現料理
ざっくり作り方を説明すると、フライの材料にマヨネーズをまぶした後パン粉をつけてオーブントースターでこんがり焼くというものなんですが、これでかにカマフライを作った所なかなか好評!
何でも、オーブントースターの熱でマヨネーズの油が分離する時に揚げ油の代わりとなって表面をフライ状にするのだそうで、初めて思いついた方は天才だな~と尊敬しました。
どうも、お弁当箱自体は小さいはずなのにおかずを詰める時はなぜあんなに果てしなく広く見えるんだろうと苦悩している当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』にて芝田先生がある番組をヒントに思いついた“レモンミルクポテトサラダ”です!
それは、2014年のある夏の日のこと。
某国営放送の某番組で、「冷凍したレモンをすりおろしてなんでもかけるとよい」という情報を知った芝田先生は、料理研究家としての勘が冴え渡り、冷凍レモンを使った新しいレシピを閃きます。
その番組名は作中には載っていなかったものの、個人的に気になって調べてみたのですが、残念ながら見つけることはできませんでした(
しかしさらに調べたところ、一番最初に冷凍レモンをそのまますりおろして料理に使うやり方を考案したのは愛知県豊橋市で無農薬レモンを栽培している河合さんという方で、それを大掛かりに取り上げたのがかの有名な番組・「ためしてガッテン」らしいことが判明しました(奇遇にも某国営放送の番組ですので、もしかしたらこの回の再放送だったのかも…)。
驚くべきことに、この調理法には「豊橋方式」という正式な名前がついており、レモン果汁の実に7000倍はあるシトラールという成分(リラックス効果と殺菌効果が有名。果汁と一緒に摂取する場合、何とビタミンCが5倍になるのだとか)を効率よく摂取できる優れた方法だそうで、今更ながら衝撃を受けました。
小さい頃から「皮には栄養があるから」と家族から言われ、それを信じて育ったものの、最近こんな事実やあんな事実を知って複雑な気持ちになったばかりだった為、せめてレモンだけでも皮に栄養があるのが事実でよかったな~と思ったものです(´∀`;)。
本家レシピによりますと、餃子、コロッケ、おにぎり、お汁粉などに使ってもおいしいとご紹介されていましたが、柴田先生が選んだ料理はなんとポテトサラダ!
レモンとじゃがいもの相性は比較的良さそうですし、イメージ的にもおいしそうなのですが、広田先生にとっても当管理人にとっても重大な問題点が…。
それは、作るのに意外と手間がかかるということ。
決してメインにはなれない副菜という立ち位置なのに、じゃがいもとにんじんの皮を剥いて、茹でて、つぶして、具を切って、具の水気をきって、調味料をあえて、冷ましてようやく出来上がりという「一体何形態まであるの?!」と叫びたくなるラスボス級の手強さで(←ドラクエ4のデスピサロかと突っ込みたくなります)、考えただけで面倒になること必至なお惣菜の代表格ですので、一瞬身構えてしまいます;。
かと言って市販のものにすると、妙にネチャつくかモソモソするか変に甘酸っぱいかなど、手作りのポテトサラダとは結構味が違っており、コロッケやカレーみたいによそで買ってもそれなりにおいしい料理ではありませんので、やっかいだな~と思います(←個人的に、あのなんとも安っぽくて白っぽい市販ポテサラも少し好きです。サンドイッチに合うんですこれが)。
この時、芝田先生が「大丈夫~今回はトップクラスのラクチンレシピだから」と明言して広田先生に教えられたのが、この“レモンミルクポテトサラダ”です!
作り方は本当に簡単で、電子レンジで蒸して皮を剥いたじゃがいもをしゃもじでつぶして牛乳・マヨネーズ・砂糖・すりおろした冷凍レモンの皮を入れて混ぜ、仕上げに上からまたすりおろしたレモンの皮を散らして冷蔵庫で冷やしたらもう出来上がりです。
ポイントは、レモンは必ず国産無農薬のものを用意して凍らせてから使うことくらいで、こんなにお手軽に凝ってそうなポテトサラダができるなんて…と初見時は感動したのを覚えています。
事実、冷凍レモンを使ったポテトサラダでここまでシンプルかつ洗練されたものは、ネットをざっと調べた限りでも存在せず、柴田先生のレシピはいつもながら独創的ですごいです。
広田先生が実際に作られた所、特に女の子たちに人気だったみたいで、味も見た目も女性向なレシピといえそうです(←当管理人には無理ですが、センスのある方ならインスタ映えする画像を撮れそうな雰囲気のポテトサラダだと思いました)。
つい最近、母から無農薬の国産レモンを分けてもらった時、真っ先にこちらのレシピを思い出し即・再現しようとおもいました。
作中には分量つきの詳細なレシピも載っていることですし、早速その通りに作ってみようと思います。
という事で、レッツ再現調理!
まずは、じゃがいもの下ごしらえ。
よく泥を洗い落としたじゃがいもを底の深い器へ入れてラップをふたをし、電子レンジにかけます。
中に火が通ったらすぐに取り出し、やけどをしないよう気をつけながら厚手の布巾で皮を手早くむき(火が通っていたら、結構すんなり皮ははがれてくれます)、先ほどのボウルへ戻してしゃもじなどでつぶします。
つぶす最中に牛乳を入れて全体にあわせ、じゃがいもになじんだらさらにマヨネーズと砂糖を加えてよく混ぜます(牛乳の量はじゃがいもの大きさにもよりますが、じゃがいもが水っぽくならずしっとりするくらいが目安です)。
じゃがいもに調味料が混ざりきって大体つぶれたら、しっかり洗った後冷凍した国産レモン(←必ず無農薬のものを使用してください)をすりおろし器にゴリゴリかけ、じゃがいもの上へ皮を削りおとしてさっくり混ぜます。
レモンの皮とじゃがいもが合わさったらベビーリーフなどを飾りつけたお皿へ丸く盛り付け、さらにその上へレモンの皮を軽くすりおろし、冷蔵庫にしまってある程度冷やせば“レモンミルクポテトサラダ”の完成です!
広田先生が仰っていたように、本当に「レモンミルク」って感じの美しい色合いで、香りはもちろん見た目も楽しむことができます。
持ち寄りの際に差し入れしたり、おもてなしの時にお出ししても立派に通用しそうな出来栄えで、味の方にも期待が高まります!
それでは、スプーンでレモン皮ごとポテサラをすくい取り、いざ実食!
いっただっきまーすっ!
さて味の感想は…ポテサラの概念を覆す傑作でびっくり!今までどのお店でも食べたことがない斬新な一皿で、スプーンが止まりません!
しっとり滑らかながらもホクホク感が残っている甘いじゃがいもに、レモンの皮の爽やかな風味がごく自然に溶け込んでおり、すごく上品な仕上がりになっています。
ベビーリーフの瑞々しいシャキシャキ感があるのでちゃんとサラダらしさは残っているのですが、単品だけだったらまるでフレンチで出てくるようなお洒落系創作スイートポテトのような味わいだと感じました。
広田先生は作中で「こってりがっつりのポテサラと違って、こちらはサラリしっとりのスイーツ感覚のポテサラ」と仰ってますが、まさにその通りです。
後口がじゃがいもとは思えぬ軽さで、ほんのり優しいミルク味とすっきりしたレモンの香りで他の料理の邪魔を一切しない為、肉料理の添え物にはもちろん何にでも合う汎用性の高い一品だと思いました。
当初は具が一切ないと物足りないんじゃ…と心配していたのですが、味付けがシンプルな分じゃがいもと牛乳とレモンがしっかり一体化してそれぞれの良さが際立った感じですので、満足度は非常に高かったです。
レモンの酸味がない分じゃがいもの素朴な旨味は消えておらず、それどころか独特の芋臭さがレモン皮の清々しい香気で覆い隠され、逆に純粋なじゃがいも本来の味わいを活かすのに成功していました。
冷まして作るくらいですので時間がたってもおいしく、お弁当の具としても最適です。
簡単な材料なのに非日常を味わえる、まさに魔法のレシピと呼ぶにふさわしい料理だと感動しました(ちなみに、冷凍レモンの果汁も皮ごと絞るようにしてハイボールに使ってみましたが、ものすごくおいしかったです!)。
P.S.
キンメさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』 作者:広田奈都美 監修:芝田里枝/秋田書店
(月刊フォアミセス 2014年9月号掲載分)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております