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『クッキングパパ』の“サバの酒蒸し”を再現!

『ドラえもん』の世界ではお餅がなくなっている事になっていますが、内心「いや、多分細々とお餅は生き延びるはずだ」と確信しています。何故なら、日本人はうどん・肉まん・タピオカ・ベーグルといったモチモチした歯触りの食べ物が大好きな民族だからです(嫌いな方がいたらすみません;)。日本人がモチモチした食感を愛し続ける限り、その最たる食べ物であるお餅もまた不滅であるはずだ…という事を、ポンデリングを食べながらコタツでぼんやり考えていました。←三十日にようやく仕事から解放されて茫然自失となった状態な為、頭がちょっとぼんやりしていますorz。
どうも、この冬に一番美味しいと確信したコンビニの中華まんは、「ミニストップ」の生地がウマーな手包み肉まんとチーズがつつーっと糸を引くピザまんだと思う管理人・あんこです。

今年最後に再現してみる漫画料理は、『クッキングパパ』にて上田守君がひとみちゃんとの同棲生活初日に作った“サバの酒蒸し”です!
サバの酒蒸し図
今となっては屋台・「丼のひとみ」を立派に運営して繁盛させている根っからの料理人の守君ですが、その昔はなんとなく惰性で予備校に通う浪人生で、毎日をつまらなそうな顔をして過ごすのが常の若者でした。しかし、浪人三年目になろうとしていたある日、同じアパートに住むおばあちゃんと荒岩主任から“いなかパイ”を教わる事によって料理の楽しさに目覚めた守君は、一念奮起して料理人になろうと決意して調理師学校に通うことにします。この辺りから、昔はいつもムスッと不機嫌そうな顔をしていた守君が打って変わって情熱的で明るい性格へと変貌していく為、人生の目標を定めた人間はこうまで変わるものかと微笑ましい気持ちになります(^^)。
そしてちょうどその頃、同じ予備校で守君を「自分の思うとおりにしなさいよ」と勇気付けていた女の子・ひとみちゃん(守君の未来の奥さんです)といい雰囲気になっていたのもあり、守君は夢の為に思い切って同棲する事になります。後に息がぴったり合ったおしどり夫婦となるお二人ですが、この頃は二人ともまだ二十歳そこそこな為、すごく初々しいです。何しろ、一緒にイチャイチャしている所を荒岩主任に見られただけで真っ赤になっているくらいですので、本当に付き合いたてだったんだな~とニヤけちゃいました(´∀` )。
後に生涯の伴侶となるお二人ですが、この頃は初々しいです
今回再現するのは、貧しいながらも寄り添うようにして新生活を始めようとしている守君とひとみちゃんを祝福した荒岩主任が、豪華な夕食を作ろうと借金を申し出た守君に「始めから借金でスタートしてどうするっ!金をかければご馳走が出来るわけじゃない、千円もあれば何でも出来る!」と言って教えた“サバの酒蒸し”です(それにしても、ここのセリフはいつ見ても感心させられます。私自身、何事も最初が肝心だと思うので、荒岩主任GJです!)。
作り方は結構お手軽で、三枚おろしにした後日本酒へ浸して蒸した塩サバの上に、シンプルなタルタルソースをたっぷりかけたら出来あがりです!荒岩主任曰く、「塩サバは安くてうまくて、たんぱく質・ビタミンが豊富という優れた食品だ」「ただの塩サバが上品なおもてなし料理に大変身するぞ!」だそうで、ポイントは日本酒を惜しげもなく注ぐ事なのだとか。これまで酒蒸しというと、少量のお酒を加えてすぐにフタをして作る「アサリの酒蒸し」スタイルのやり方しかやった事がなかったので、一体どんな感じになるのか好奇心が騒ぎます。
その後、お二人は守君が精一杯頑張って作った“サバの酒蒸し”を「おいしいねっ!」「うん、うまいな」「頑張ろうね」「うん」という甘酸っぱいやり取りをしながらニコニコ顔で食します。貧乏はいくつになってもトホホな気分にさせられるあまり有難くない物ですが;、それでもこうやって貧乏を笑い飛ばせあえる相手が傍にいてくれるのはお金に換算できない、とても幸せな事なんだろうな~と読んでて感じました。
二人で初めて囲む食卓
年末大セールで塩サバを破格のお値段で手に入れられましたので、早速再現してみようと思います!

という事で、レッツ再現調理!
まずは、蒸し作業。丸一尾の尾頭付き塩サバの頭を落として三枚におろし、小さい骨を丁寧に取り除きます。あらかた骨を取りきったら耐熱容器かバットへ塩サバの半身を横たえ、日本酒をひたひたになるまで注ぎます。その際、日本酒を焼酎や泡盛で代用してみるのも可です。
サバの酒蒸し1
この容器を、強火で蒸気モワモワ状態にした蒸し器の中へ慎重に入れ、フタをして約二十~三十分程度蒸します(あんまり火が通り過ぎると日本酒へ旨味が逃げきってしまうので、様子を見ながら蒸すのがベストです)。
サバの酒蒸し2
※下の画像は、およそ二十五分が経過した後の日本酒の様子です。作中で語られていた通り、塩サバの余分な脂っ気、塩気、臭みが溶け込んだ感じなので、「これはいい下ごしらえ法!」とすっかり脱帽しました。取り出した塩サバの身自体も柔らか~くなっていて崩さないようにするのに苦労する程でしたので、一度は試してみる価値アリです!
サバの酒蒸し3
その間に、簡易的なタルタルソース作り。ボウルへマヨネーズ、細かく刻んだゆで卵、みじん切りにして水にさらした後水気をよくきった玉ねぎを投入してよーくかき混ぜ、仕上げに絞りたての生レモン果汁を好きなだけ加えてさらに混ぜればタルタルソースの出来上がりです。
サバの酒蒸し4
サバの酒蒸し5
蒸し上がった塩サバをパセリが乗ったお皿へ取り出し、最後にタルタルソースをどっさり→輪切りレモンを一枚の順にトッピングを乗せれば“サバの酒蒸し”の完成です!
サバの酒蒸し6
レモンのすっきりした香りと日本酒の風雅な香りが合わさり、何とも食欲が湧く匂いになっています。正直、これはある意味日本酒が主役な一皿かもしれません。塩サバの群青色と白色、パセリの緑色、レモンの黄色の色合いもそこそこキレイで、五百円ちょっとの材料費で作れたとは思えない見た目が特徴的です。
サバの酒蒸し7
それでは、温かい内にたっぷりタルタルソースをつけていざ実食。いただきま~す!
サバの酒蒸し8

さて、味の感想ですが…サバの旨味がギュウ~~~ッと濃縮されていてかなり美味しっ!たった千円以下で作れたとはとても思えないような魚料理です!
間接的にじっくり蒸し煮にしたせいか単に蒸し焼きにしたサバとは一味違った独特の味わいになっており、さらにとろけるようなおいしさへと仕上がっています。たっぷりの日本酒を使って蒸したおかげでしっとりジューシーな舌触りになっており、塩サバとは信じられないくらいジュワッと柔らかい口当たりになっているのが感動的でした(特に、腹側の白い部分のトロみたいにプルプルした口溶け具合は思わずうっとりしてしまう程。ここに醤油やみりんを足したら「サバの角煮風」ってイメージの味になりそうです)。日本酒の力によって豊かな旨味成分が加わっている上余分な臭みや脂が抜けている為、重厚なコクを感じる割にはサラリと鮮やかな後味でいくらでも入ります。物が塩サバですのでどこを食べても絶妙な塩加減になっていて美味ですし、サバ好きには大満足な一品でした。
このさっぱり和風塩味なサバに、レモンの爽やかな酸味、玉ネギのシャリシャリと小気味良いアクセント、マヨネーズのまろやかさ、そして固茹で卵のプリプリした食感が程よく効いている洋風なタルタルソースがぴったり合っていて、ちょっとびっくりです。やや癖があって濃いめなサバをマヨネーズがうまく和らげて包み込んみながら旨さ倍増させている感じで、和洋折衷のいい好例だと思いました。鮭マヨの亜種の「サバマヨ」として広めたら、絶対受けそうです。上に乗っているレモンの風味が後口すっきりな印象にするのに役立っていますし、個人的にこれはヒットなレシピでした。
サバの酒蒸し9

塩サバをお箸でホジホジむしってみると、信じられないくらいジューシーな身が顔をのぞかせる為、ちょっと感動します。それまで塩サバといえば、スーパーのお弁当の隅っこで肩身を狭そうにしている身がバサッとした感じの物しか想像がつきませんでしたが、この酒蒸しはまさに次元が違うのでいい意味で驚かされます。塩サバは生サバよりも安価で一年中手に入りますので、多くの方にお勧めしたい料理です。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2011.01.01 Sat 00:06  |  

今回の料理とは関係ありませんけれど、今年最後の更新と言う事なので一言。面白く、美味しそうな記事を沢山ありがとうございました。来年も(あ、年が変わっているから今年も)ブログの更新を期待しております。

  • #-
  • oguogu
  • URL

2011.01.02 Sun 18:57  |  漫画版ドラ…

ドラえもんが のび太の時代に初めてきて食べたのは、どら焼き ではなく、何を隠そう「お餅」なんですよ(笑)
漫画内ではちょくちょく、お餅をめぐってケンカもしてます。秘密道具で餅米からお餅を作ったことも(笑)
クッキングパパで、サバとお酒というと、個人的には梅田君の初登場時のホイル焼き(サバ+ワイン)を思い出します。
昔はサバにアレルギーがあったので、その名残か…焼きサバかサバ味噌ぐらいしか食べることがないので、食べてみたいです。
守くん同様、守兄もとある話の時に、荒岩さんから「1000円あれば御馳走が作れる!」って言われてましたね(笑)

  • #-
  • ミトナリ
  • URL

2011.01.04 Tue 00:09  |  oguoguさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

いえいえ、私こそこんな何の変哲もないよくある駄ブログを
読んで頂けた上にコメントまで残して頂けて、とても嬉しかったです。

今年も色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.01.04 Tue 00:28  |  ミトナリさん、こんばんは。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

はい、実は近所のお弁当屋さんの待合室コーナーに飛び飛びになっている
ドラえもんの単行本全巻セット(!?)が置いてあったので、
相方・マサル君と一通りざっと確認いたしました;。
ただ、私はつい最近まで「ドラえもん=どら焼き」と考えていた為、
最初に食べたのがおもちだと知って「え~?!」とかなり驚きました。
秘密道具でおもちが造れるということは、未来でおもちが再ブームになる日
もそう遠い未来ではないのかもしれませんね(^^;)。

私も作っていて、以前再現した荒岩流サバのホイル焼きを思い出していました。
このホイル焼きの方もワインがポイントでしたので、サバをおいしく食べるには
お酒が不可欠なのかもしれないと感じました。とにかくトロトロしっとりして
ウマーになるので、おすすめです!確かに、「千円あれば大丈夫!」かもしれません。
それにしても、食べ物系のアレルギーはきついですよね…。
私の場合命に関わるようなアレルギーではないのでたいしたことはないのですが、
生エビを食べると手と口が猛烈かゆくなって唇が少し腫れるため、いまだに怖いです。
ただ、生エビは好物なので時々無性に食べたくなり、結果食べちゃう事もしばしばです;。

今年も色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2011.01.06 Thu 02:35  |  

初めまして、いつも楽しく見さしてもらっています
再現料理は自分ではやったことはありませんが、いつか値段が安くすみそなものがあったら試してみたいと考えています。

さて本題ですが、私もドラえもんは大好きで全巻持っているのですが
未来ではお餅がなくなっているとありますけれど
おそらくその根拠は一巻の「こんなにおいしいものははじめてたべた」的なセリフですよね?
そのセリフのことですが、おそらくそれはのび太がジャイ子が結婚した場合は借金まみれになり、家がとても貧乏なのでお餅を買うお金がなかったから「初めて見た」という理由ではないでしょうか?
お年玉5円でしたしw
ではブログをこれからも楽しみにしています。

  • #86CE.Nao
  • orobasu
  • URL
  • Edit

2011.01.08 Sat 21:34  |  orobasuさん、初めまして。

当ブログの管理人・あんこです。
コメントをして下さり、ありがとうございます。

いつも見ていただいているとのお言葉、大変嬉しかったです(^^)。
再現料理は材料費が高くて手間がかかる物もあれば、安くて全然
手間要らずな料理も数多いですので、よろしければ是非一度ご賞味して
下さるとありがたいです(“魯山人のご飯”は材料の質にこだわらなければ
安価でものすごく感動的な美味しさを堪能できるので、おすすめです!)。

『ドラえもん』のおもちの件について詳しい情報を教えてくださり、誠に
ありがとうございます!なるほど、そこは完全に見落としていましたorz。
確かにその状態ですと、新年にのんびりおもちを楽しむ気分的余裕は
なさそうですね;。場合によっては無料でお餅が食べられる田舎の餅つき会の
習慣が未来でもあったらよかったのに…とつい思っちゃいました。

これからも色々な漫画料理を再現していきますので、
お手隙の際に又読んで頂けますと幸いです。

  • #-
  • あんこ
  • URL

2012.05.01 Tue 08:57  |  初めまして

初めまして。
早おきしたので近所のローソン100円ショップで、冷凍真空パックの塩サバ半身(100円)を買ってきてチャレンジしました。
(尾頭付きとはさすがにいきませんでした)
タルタルソースも無しで、ポン酢でいただきましたがかなり美味しかったです。
でも、やはり漫画のとおりタルタルが合うと思いますね。
ポン酢では塩サバの風味にやや負けているように感じました。
次回はタルタルソースでチャレンジしたいと思います。
これからも楽しみにしております。

  • #-
  • まこと
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
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 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
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 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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