『じったんの時短レシピ』の“鶏のコーラ煮”を再現!
- Thu
- 23:30
- 再現料理
見た目はオーソドックスな執事なのに中身はド変態な黒川さん、今だったら間違いなく「残念なイケメン」枠の愛咲ルイ君、典型的なわがままお嬢様でありながら不器用で素直になれない所がかわいい成金薫子さん、FFのボスキャラとして登場しても違和感がない怪奇旅芸人・ピエール三教授など、どのページをめくっても面白いキャラが登場するのですが、そんな中でも飛びぬけて存在感があるのが、ゆり子ママ!
息子・森夜君を愛するあまりエキセントリックな行動を日常的にする上、嫉妬のあまり主人公の夢実ちゃんへ斬新かつホラーな嫌がらせをしてしまう為、当時小学生だった読者たちからはすこぶる評判が悪かったそうですが、岡田あ~みん先生の力量のせいか見ていて不快になることはない絶妙なさじ加減で、その人間離れしたギャグの数々は今も強烈に心に焼き付いています(←個人的に好きなのは、「ホホホ、な~んてかいた?(スパースパー)」、「ウウウウウ、ガンダー」)。
『お父さんは心配症』のパピィが防御に特化した変態なら、『ルナティック雑技団』のゆり子ママは攻撃に特化したモンスターだと思う今日この頃です。
どうも、夫は夢実ちゃんよりも薫子さん派で「行動爆発して噛みつくところが可愛い」と言っているのを聞き、相変わらず独特な好みだと感じた
本日再現する漫画料理は、『じったんの時短レシピ』にて珠里さんが水野さんの部屋へ初めて入った時にお昼ご飯として作った“鶏のコーラ煮”です!
前回、あまりに高スペックすぎる水野さんに気後れして避けてしまった珠里さんですが、親友たちの激励に勇気を出し、とうとう本人に「避けてるんじゃないです。目線も、敬語も、水野さんがステキだから…わたしじゃ…」と本音を打ち明けます。
すると、珠里さんの趣味が料理だと知っていた水野さんは、「オレも料理好きなんだ。今度一緒に作ろ?」と優しく受け入れ、とりあえず一歩前進していました(←まだ告白はなく、正式に付き合っている訳ではないのですが、何度かデートする仲に進展。海外で主流のデーティング期間に近い気がしました)。
そんなある日、珠里さんはお昼の時間に水野さんの家へ遊びに行くことになります。
珠里さんとしては、「もー男の子の部屋だなぁ」「いやぁ忙しくってー」と散らかった部屋を掃除するという、付き合いたてのカップルあるあるのやり取りでデキる彼女をアピールするつもりだったとのこと(←約×年後、そのやり取りは「もー掃除の邪魔、どいて」「いやぁ疲れててー」に進化するかと思うと、胸にこみ上げるものがあります…水野さんは大丈夫そうですが)。
しかし、いざ足を踏み入れると、そこはスタイリッシュなモデルルームっぽいお部屋で、珠里さんは内心別の意味でドキドキしていました。
まるで、一昔前の月9ドラマに出てきてもおかしくないようなトレンディなインテリアで、ここまで生活感のないオシャンティーなお部屋はドラマ『東京ラブストーリー』の三上さんのお部屋くらいだと思います(←2020年版ではなく、1991年版の方で)。
おかげで一瞬怖気づきそうになった珠里さんですが、お昼ご飯の話になって気を取り直し、「やっぱり料理よ!」とデキる彼女アピール作戦その2に移ろうとします。
しかし、キッチンはキッチンで料理番組のスタジオ並みに整理整頓されており、調理器具は最新式の物が一通り勢揃い、調味料もオーガニック系の最高品質の品ばかり。
食器は白と黒で統一されたそつのないデザインの物で統一と、何から何まで完璧で、珠里さんはつい「<疲れる>って言われたことない?」と聞いてしまい、思いっきり心当たりのありまくる水野さんを珍しく動揺させていました;。
これまで、珠里さんは「こんな完璧な男性がフリーで、尚且ついとも簡単に近づいてくるなんて…何かおかしい…!」と一種の警戒心すら抱いていた節がありますが、今回あらゆることに完璧を求めて息苦しさを感じさせる水野さんの性質が縁遠くさせ、結果フリー歴を長くさせていた可能性があると判明して納得したせいか、借りてきた猫のようだったのが敬語がぶっ飛び、一気に本性丸出しになったのがほほえましかったです(←「狩魔はカンペキをもってよしとする」と豪語して鞭をふるう『逆転裁判』の狩魔冥さんだったら逆にかわいい要素となるのに、水野さんだったら緊張して気が休まらない要素になる…これは何が原因なのでしょうか?)。
個人的には、スーパーでは有機野菜しか買わなかったり、食器の効率的な洗い方や並べ方を研究して実行したり、タオルをきっちり折りたたむ水野さんのライフスタイルは合理的でかえってありがたいのですが、何から何まで完璧基準だと疲れるのも確かに事実。
「料理人が多すぎると、スープがまずくなる」ということわざがある通り、既に料理に関して確固たる信念がある珠里さんにとって、あれこれ横から口を出される可能性があるというのは、不安になってもおかしくないよな~と思いました。
その後、水野さんの「何事もじっくりゆっくり完璧にやったほうがうまくいく」という価値観をぶっ壊す為、内心ヒートアップした珠里さんが作ったのが、この“鶏のコーラ煮”です!
作り方はとても簡単で、熱したフライパンで鶏手羽中に軽く焼き目をつけた後にコーラ・しょうが・醤油を入れ、アクを取りつつ煮込んだらもう出来上がりです!
ポイントは、鶏手羽中に焼き目をつけるのは表面だけで中まで火は通さないこと、アクは丹念に取り除くことの2点で、こうすると骨から肉がスルッと取れるややわらかで美味しい煮物になるとの事でした。
王道な料理法を好む水野さんにとって、ジュースを料理に使うのは邪道以外の何物でもなかったそうですが、コーラは炭酸で肉を柔らかくし、甘さも適度に含まれていて砂糖を入れずともきりッと味が決まり、独特な香辛料が素材の臭みを消すという、まさに一人三役の頼もしい調味料。
何でも、海上自衛隊の某艦ではコーラが隠し味だそうで、今やコーラを料理に使うのはポピュラーと言っても過言ではないのではと思います。
先日、鶏手羽中が安く手に入ったので再現することにしました。
作中には分量付きの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、焼き作業。
油をひかずに熱したフライパンへ鶏の手羽中(←鶏のスペアリブとも言うようです)を並べ、全面の色が変わるまでさっと軽く焼きます。
次は、煮込み作業。
手羽中に焼き色がついたらコーラをそそぎ、アクをこまめに取りながらコトコト煮ます(←コーラはダイエットコーラではなく、一番オーソドックスな物を使用しないと不味いので要注意です)。
この時、真っ黒でグロテスクなアクが次から次へと大量にボコボコ湧いて出てきますので、最後の最後まで丁寧に取り除くのがコツです!
色も相まって、まるで魔女の怪しい鍋みたいになりますが、ひるまず取りまくります!
アク取りを続けつつ、薄切りにしたしょうがと醤油を投入し、さらに煮込んでいきます。
諦めずコツコツとアクをすくい取っていけば、最終的にはほぼ湧かなくなって落ち着いた色合いの煮汁になりますので、それまで火を通し続けます。
煮汁にアクが出なくなり、手羽中が煮えてほんのりツヤが出てきたら火からおろし、お皿へしょうがや煮汁と一緒に盛り付ければ“鶏のコーラ煮”の完成です!
見た目は普通の甘辛煮みたいで、香りもほのかにスパイスっぽさはあるものの、よほど注意深く嗅がないとわからないくらいに落ち着いています。
コーラ料理は“コーラ入り魯肉飯”と“ヤング肉じゃが”で経験がありますが、調味料は醤油だけというレシピは意外にも初めてで、一体どういう味になっているのか楽しみです!
それでは、熱々の内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、感想ですが…何も言わなければコーラを使っているとはわからない、正当な美味しさ!ご飯のお供としても、ビールやハイボールのお供にもぴったりな万能選手です!
ねっちりとした濃厚な甘味と、コクのある塩気の余韻が入り交じった複雑な煮汁で、あんな簡単な手順と材料で作ったとは信じられません。
塩コショウであっさりに仕上げていた“ヤング肉じゃが”とは違い、醤油も足してしっかりと骨太な味付けになっているこちらはよりパンチの効いた旨さで、こってり系の甘辛煮物が大好きな方にはたまらない一皿ではと感じました(←調味料は“コーラ入り魯肉飯”の方がよほど色々使っているのに、こちらの方がコーラっぽさが抜けているという摩訶不思議さ)。
原料は砂糖のはずなのに、どちらかといえば蜂蜜を使ったような後を引く奥深い甘味で、カラメルやカフェインの風味がそうさせているのかな?と興味深かったです。
煮汁を飲んで、後口の最後らへんでほんのりシナモンっぽいスモーキーなスパイシーさが漂うのが唯一のコーラっぽさで、ここまで存在を消せるなんて逆にすごいと感心しました。
しょうがのすっきりした香りと僅かな辛味のせいか、濃い味の割には食後感はさっぱりしていつまでも舌に嫌らしく残らないのがよかったです。
作中で書かれていた通り、熱々の内に食べると骨から身がスルンと抵抗なく外れるくらい柔らかい弾力があり、食べやすかったです。
手羽中はこれまであまり食べた事はなかったのですが、プルプルしたゼラチン質の皮と、がっつりした赤身肉が両方楽しめるのがよく、手羽先と手羽元のちょうど中間な食べ味だと思いました。
時短にこだわらないのならば、手羽元や手羽先、もしくは豚バラ肉のブロックに置き換えてじっくり煮たり、茹で卵も一緒に煮てもいけそうだと思いました。
コーラ煮という響きに当初はピンときていない夫も、一つ食べると「黙ったまま食べたらコーラが入っているとは分からない」と驚いて次から次へと平らげていました(←骨付き肉は面倒だと言って普段あまり食べないので、結構すごいことです)。
全く手間いらずなのに、この味…しばらく定番おつまみになりそうです。
●出典)『じったんの時短レシピ』 岡村みのり/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。