『大どろぼうはオムレツせんせい』の“バナナオムレツ”を再現!
- Thu
- 23:25
- 再現料理
何かにぶつかって後ずさりしたり、充電しにドックへ戻ろうとする際たまたま前がふさがっていたらオロオロしたり、暗い所に行ったらピカーッとライトで照らしながらせっせと掃除したり、自分なりに道順が決まっているせいか目の前にゴミがあっても通り過ぎることがあって「わざとか?!」と突っ込んだりと、なかなか楽しんでいます。
最近は某漫画に影響を受けて「ロボ子」と呼び、掃除が終わって戻る時は必ずお礼を言うようになっており、傍目からすれば不審者感マックスな中年になっている今日この頃です。
どうも、夫から「有料で声優ボイスを音声案内に組み込めたら、絶対課金するのになー。大塚明夫ボイスとか」と言われ、「確かに!微妙に違う弟者さんボイスもあったら即ダウンロードする!」などと平和な会話をしている当ブログの管理人・あんこです。
今回再現する料理は、 『大どろぼうはオムレツせんせい』にて主人公・ごそはちさんがその場にあった材料で器用に作った“バナナオムレツ”です!
山脇 恭先生の『大どろぼう』シリーズは、言うまでもなく主人公は皆泥棒ですが、実は年齢・性格・特技・料理スキルは結構バラバラで違いがあります。
例えば、『大どろぼうとあくまのスパゲティ』に出てくるのはわるぞうさんという、親御さんの精神状態が心配になる程ストレートな悪行向きの名前をした泥棒ですが、両津勘吉ばりにお金に目がないかなりの知恵者で、恐らくシリーズ一かしこい人物。
それに対して、『大どろぼうはハンバーグ大王』に登場するどたろうさんは、お人好しで困った人が見逃せないおせっかい人間で、何と逆に自分が別の泥棒を追い払ってしまうというなぜ泥棒になったのかわからないキャラ(←しかも、泥棒は一回も成功していないことが明かされた為、実は自称泥棒の食道楽おじさんの可能性すらあります…)。
また、『大どろぼうはアイスクリームはかせ』の主人公・こそたさんの場合、アイスクリーム作りの達人かつコミュ強すぎて泥棒に入った先の家主から「それほど悪い人には思えません」と言われ、最終的にはくろぼし巡査すらその腕前で骨抜きにして見逃してもらうという、豊臣秀吉ばりの人たらしの術を発揮するなど、この作品に出てくる泥棒達はかなり個性的でした(←この自分が納得する味を出したら罪を不問にする展開、『美味しんぼ』の中松警部がある無許可屋台のそばつゆの味を認め、営業許可証を諸々すっ飛ばして渡した話に通じるものがあるな~と思いました;。昭和から平成にかけての世界は、おおらかでいいですね!)。
なお、『大どろぼうはオムレツせんせい』の主人公であるごそはちさんは、単純にいい人とも悪い人とも言いにくいイタズラを連発した泥棒さんで、一言で評価することが難しい人物。
というのも、たまたまある小学校に夜中入り込んでしまい、懐かしい気持ちも相まって色んな教室を歩き回るのですが、校長室で歴代校長の写真を見つけ、泥棒になった自分を怒られている気がして「ごめんなさい」と思わず頭を下げてしまうというお茶目なシーンはあったものの、その後がかなり問題行動のオンパレードだった為。
図工室に飾ってあった子供たちの作品である家族画に、黒いクレヨンでほっかむり・サングラス・覆面を書き足し、窓の絵には鉄格子を書き入れたり(←その昔、スペインで起きた「史上最悪の修復キリスト画」事件を思い出しました…あのおばあさん息災でしょうか?)。
2年3組に放置されていた未採点のテスト用紙を発見し、間違っている答えをわざわざ正しい答えに書き換え、全員を100点として赤ペンで書き入れたり(←これは微妙に嬉しい…かな?)。
とどめに、その日たまたま学校でのお泊り会に参加していた子供たちの為に用意されていた卵やバナナなどの食材を調理室で発見し、夜食がてらオムレツ作りに励んだりと、なかなかにやらかしていました。
不法侵入罪、器物損壊罪、侵入窃盗罪など、罪状がジェンガの如くどんどん積み重なっていますが、この町にいるのは『金田一少年の事件簿』に出てくるポンのコツな日本警察並に犯人を取り逃がしがちなくろぼし巡査のみなので、ごそはちさんが罪に問われる可能性は限りなく低いものと思われます…。
この時、調理室が騒がしくて起きてきたお泊り会の小学生達や担任の先生に、ごそはちさんがとっさに「朝食を作りに来た給食係の調理師です!」と名乗って作っていたのが、この“バナナオムレツ”です!
作り方は非常に簡単で、バターを溶かして熱したフライパンへ、卵・砂糖・牛乳をかき混ぜて作った卵液を流し込んで半熟になるように焼き、真ん中へバター・砂糖・バナナを炒めた物を乗せ、クルクル折りたためばもう出来上がりです。
ポイントは、卵はコシが切れるまでしっかりかき混ぜること、フライパンに卵を入れたら固まりすぎないよう手早く仕上げることの二点で、ごそはちさんはそこまで料理上手ではないものの短時間で作れるようになったと書かれていました。
バナナオムレツケーキは有名な「まるごとバナナ」を始めよく聞きますが、単純にオムレツに入れてしまうだけのレシピはネット上すら未だ見当たらず、海外すらサントメプリンシペという中央アフリカの国で青いバナナを使ったオムレツしか紹介されていない状態で、ありそうでない新しい料理だと感じました。
最近オムレツ作りに凝っているのですが、考えてみればデザート系は全くと言っていい程作っていないことに気づき再現することにしました。
作中の描写はもちろん、その後出版されていたレシピ本にも分量付きの詳細なレシピが記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、バナナの下準備。
バナナは皮を剥いて均等に輪切りにし、バターを入れて熱したフライパンへ砂糖と一緒に投入し、全体がなじむまで弱火で炒めます。
バナナがとろりとして砂糖がなじんできたら火を止め、別皿に移します。
次は、オムレツ作り。
バターを入れて中火に熱したフライパンへ、牛乳と砂糖を入れて泡だて器でよく混ぜ合わせた卵液を流し入れ、全体が半熟状になるまでクルクルとかき混ぜます。
卵のふちが固まってきてトロトロしてきたら、先ほど取っておいた炒めバナナを真ん中に乗せ、破れたりこぼれたりしないよう気をつけながらトントンと折りたたんでいきます。
卵の形が整ってきたらお皿へそっと盛り付け、そのままテーブルへ運べば“バナナオムレツ”の完成です!
残念ながら、当管理人の腕前ではごそはちさんみたいにうまくいかず、下半分がうまく包めずグチャッと潰れた残念オムレツになってしまいました…すみませんorz(←必死にラップなどで成形し直してごまかしました)。
ただ、見た目はがっかりなものの、熱したバナナの甘~い香りは十分に食欲をそそったため、味には期待が持てそうです。
それでは、熱々の内にフォークで割っていざ実食!
いただきまーすっ!
さて、味の感想ですが…予想以上にしっくりくるデザートオムレツで美味し!熱々トロトロのバナナと卵だけのシンプルな組み合わせなのに、深みすら感じます!
当初は「バナナパンケーキに近い味かな?」と想像していましたが、どちらかと言えば粉っ気と重さがまるでないバナナオムレットというイメージで、どんなバナナ系デザートよりふんわりと軽く食べられます。
もしくは、スフレ風とも呼びたくなる程ぶくぶくシュワシュワとした淡雪のように優雅な口溶けで、給食室で即興で作った料理というよりは、恐れ多くも星付きレストランにありそうな非日常的味わいが印象的でした。
半分溶けてジャムっぽく仕上がった、まるで蜂蜜みたいにねっとりとした滋味のある、それでいてしつこくない強い焼きバナナの甘みを、バター風味のリッチなプレーンオムレツが優しく包み込んで引き立てているのが良かったです。
両方ともバターと砂糖をそこそこ使ったので結構ガツンとくるのでは…とやや及び腰でしたが、意外とあっさりした上品な後口が特徴的でした。
材料がプリンそっくりなせいか、どことなく焼きプリンっぽいほのかに香ばしい風味が噛むごとに漂うのもよく、素朴なのに奥深い不思議なオムレツです。
夫はこういう変化球(←おかず系クレープとかパイナップル入り酢豚とか)があまり好きではないタイプなのですが、このオムレツは美味しいと言っていました。
そのまま食べてもおいしいバナナですが、他の食材と組み合わせたり熱したりすると途端に印象がガラッと変わって面白い食材ですので、今度は密かに合いそうだと考えているお餅とのドッキングを試してみたいと思います。
P.S.
無記名さん、コメントをしていただきありがとうございます!
そうなんです、実に数年ぶりの引っ越しを致しました…荷物をまとめるのに疲労がすごく、それなりに歳をとったのだと痛感しました;。前回ご紹介した冷やしタイプのマルタイラーメンはとても簡単なのに見合わないくらい美味しいので、これからの季節にぴったりだと思います!
●出典)『大どろぼうはオムレツせんせい』 作:山脇 恭 絵:草間 俊行/偕成社
『大どろぼうのおもしろおやつ』 作:山脇 恭 絵:草間 俊行 料理監修:峯村 裕子/偕成社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。