『くーねるまるた』の“アジの開き炊き込みご飯”を再現!
- Tue
- 18:00
- 再現料理
使い勝手がよくホクホク顔になっていますが、今度は財布から漂う新しい物特有の匂いを「この匂いはどこかでかいだことがある…」と考え込む羽目になり、なかなか心静かに使うことが出来ません(←いつも物はギリギリまで使い倒す為、新しい物に慣れていない貧乏性ですorz)。
どうも、ついさっき「そうだ!この匂いは、おろし立てのランドセルの匂いだ!」と気付いた管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『くーねるまるた』にてマルタさんが思いがけず手に入ったアジの開きを使って作った“アジの開き炊き込みご飯”です!
それは、ある寒い冬の日の事。
何故か唐突に「お刺身が食べたい」という欲求に突き動かされたマルタさんは、新鮮で安いとご近所で評判な魚屋さんへ足を運びます。
こういう時、お財布に余裕があると「食べたいお刺身が売り切れたらいけないから、早く行こう!」という前向き思考で出来るだけ急いで買いに行くのが常だと思いますが、慢性的に金欠状態なマルタさんの場合はすぐに買いに行かず、さらに安くなるのを見越して閉店間際に行くと作中で語られており、思わず苦笑しました。
当管理人自身、給料日前は赤と黄で「○割引」とデカデカ書かれたシールを頼りに夕食用のお刺身を吟味するので、マルタさんの気持ちはよ~く分かります;。
ただ、閉店時間ギリギリに買いに行くのは実は結構リスキーで、場合によっては全く残り物がなかったり、あるいは割り引かれててもまだ微妙~に高い品しか余っていなかったり(例:刺身盛り合わせ4000円に半額シール→2000円)という諸刃の剣的な側面があるので、確実にお刺身を食べたい日にはあまりおすすめしない戦法ですorz。
残念ながら、今回マルタさんはタイミングが遅すぎたようで、「ありゃ~残念!今日の分の刺身売り切れちゃったよ。ごめんね」と魚屋さんから申し訳なさそうに謝られて落胆していた為、初めて読んだ時はこちらの方まで「お…遅すぎた…」とがっかりしたのを覚えています;。
しかし、そんなマルタさんを気の毒がった魚屋さんは「これならあるけど、どうする?50円でいいよ」と言ってある品を差し出します。
その品とは、日本人の定番干物・アジの開き!
何でもマルタさんの故郷であるポルトガルでは、アジは塩焼きにして食べる事はあるものの干物にして食べる事はほとんどないとの事で、マルタさん自身日本に来て初めて食べたそうなのですが、これは日本食の中でも割とすぐ気に入った食べ物だったようで、喜んで購入していました。
ちなみに、部屋に帰ったマルタさんはアジの干物を見つめながら「きみ(干物)もおいしいからよしとしよう…ふふふ」と微笑んでいるのですが、そのちょっと得意げな笑い顔がまた可愛くてほのぼの癒されます。
※その後、気になって調べてみたのですが、実はポルトガルのナザレという地域ではアジの開きに限りなく近い食材があるとの事(日本とは違い、二~三日程度しっかり干すので生でもいけます!)。なお、一番ポピュラーな料理はじゃがいもと一緒に茹でてオリーブオイル・レモン汁・にんにくのみじん切りをかけた物だそうで、これは日本製アジの開きで試してみてもいけるんじゃないかな?と感じました。
その後、気分が乗ってきたマルタさんが「さて…ここでただグリルで焼くのは素人…」(←つい数年前まで素人どころか初心者だったのに、そう言える程日本に馴染んだマルタさん萌え)「私はとーってもいい事を思いついてしまったのです…ふふふ」と目を光らせながら作ったのが、この“アジの開き炊き込みご飯”!
作り方は非常に簡単で、お米・水・醤油・日本酒・しょうがの千切り・お湯をかけて臭みを抜いたアジの開きを炊飯器に入れ、そのままスイッチを入れて普通に炊き上げたらもう出来上がりです。
ポイントは、炊き上がったらすぐ骨を取って身をほぐしてから混ぜ、青ジソと白ゴマを投入して混ぜ合わせる事で、こうすると「干物の旨味と風味がご飯全体に行き渡って、何とも言えない優しい美味しさに」仕上がると、マルタさんは幸せそうな顔で実感していました。
「もしかしたら、これをこうしたらもっとおいしくなる?」という勘が当たるととても嬉しくなるのは当管理人も同じな為、読み進めるうちについニヤニヤしちゃいました(^^)。
あと、中でも個人的に惹かれたのが、“アジの開き炊き込みご飯”を合計二杯(一杯目はそのまま・二杯目はほうじ茶をかけてお茶漬け風にアレンジ)を食べてもまだ満足出来なかったマルタさんが三杯目に食べた、バター乗せ炊き込みご飯!
“アジの開き炊き込みご飯”の上にバターをのっけ、ご飯の熱で溶かしながらかき混ぜて食べるだけの簡単アレンジなのですが、これが妙に美味しそうで、マルタさんの「アジとバターってこんなに合うの(゜Д゜;)!?」と興奮する姿とあいまってかなり印象に残っています;。
先日、安くて美味しそうなアジの干物を手に入れたので、これはいい機会だと思い再現しようと思い立ちました。
作中にある描写通り、早速作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、下準備。炊飯器の中へ研いで水気をきったお米、醤油、日本酒を入れたら分量に合うお水を加え、続けて皮をむいて千切りにしたしょうがを投入し、しばらくそのまま浸けます。
その間、アジの開きに沸騰した熱湯をまんべんなくかけ、臭みを消しておきます。
時間が経ったら、水気をキッチンペーパーで拭き取った先程のアジの開きをお米の上に乗せ、そのまま普通に炊きます(炊き込みご飯モードがある場合は、そちらに設定してから炊いた方がいいです)。
やがてご飯が炊き上がったら急いでアジの開きを取り出して頭・骨・ぜいごを取り除き、刻んだ青ジソや白ゴマと共にまた炊飯器の中へ戻し入れ、しゃもじでさっくり混ぜ合わせます。
※炊き上がった後、アジの開きは柔らかくなって身が崩れやすくなっていますので、落としてバラバラにしないようスピーディーかつ慎重に取り出すことを推奨します(←ボロボロ落としてしまうと、後々骨の取り出し作業が大変になります;)。
アジと青ジソと白ゴマがご飯に行き渡ったらお茶碗によそい、冷めない内にお箸と一緒に机へ運べば“アジの開き炊き込みご飯”の完成です!
一見普通の炊き込みご飯ですが、アジと青ジソのいい香りが湯気と共に立ち上る為、地味ながらも食欲をそそります。
思ったよりも薄味そうに仕上がりましたが、その方が他のおかずと組み合わせやすいのでちょうどいいのかもしれません。
一体どういうアジ…もとい、味がするのか楽しみです!
それでは、炊き立ての内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、味はと言いますと…余計な部分が何一つない、体にしっくりくる味わいで旨し!家庭的な一品で心に染み渡ります!
干物にする事によって深みが出た、アジの骨と身から出た旨味エキスを隅々まで吸い込んだご飯がしみじみ美味しく、疲れている時でも胃にすんなり収まってしまう魅力がありました。
しんなりザクザクした青ジソの清涼な風味と、プチプチと口の中を刺激する白ゴマの香ばしさがいいアクセントになっています。
アジの干物の皮と身の間にある、あっさりしつつもコクのある脂分が一粒一粒に程よく絡んでふっくらモチッとした食感になっている為、ピラフ的要素もある仕上がりだな~と思いました。
甘味も辛味も一切感じない、清々しいくらいさっぱりした薄口醤油味なのが返ってアジの旨さを引き立てており、感心です。
五目ご飯のように具が主張してこない為、どうしても地味で主役になれるとは言いがたい炊き込みご飯なんですが、しょうがの控え目ながらも噛むごとにすっきりする爽やかな香気と、じんわり体が温まってくる薬効によって体に優しい味になっており、癒されました。
あと、作中でおすすめされていたほうじ茶漬け&バター乗せを試してみたんですが、イチ押しなのはバター乗せ!
ほうじ茶漬けの方は、正直炊き込みご飯自体の味が淡泊なせいかぼんやりした味になってイマイチだったのですが、バターを乗せて食べると一気にこってりまろやかな洋風味に変貌するのがナイスで、例えるとするなら「アジの和洋折衷風醤油バターピラフ」という感じで美味しでした。
シンプルながらも色んな発見のある炊き込みご飯で、有意義な再現になりました。
今度は、先月発売された単行本に載っていた“豚肉の紅茶煮”“ソッパ・アレンテージャーナ”“パン耳生地のなんちゃってエッグタルト”を再現してみようと思います。
P.S.
先日、いい殻付きカキが手に入ったので、以前リクエストされた『美味しんぼ』20巻の“カキの清蒸風”を再現して記事のストックに入れました(ついでに、101巻の“和風ハンバーグステーキ”も作りました;)。
文章を書いてアップするのは来月になりますが、もう少しお待ちして下さると幸いです。
●出典)『くーねるまるた』 高尾じんぐ/小学館
(週刊ビッグコミックスピリッツ2月4日号掲載分)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
『クッキングパパ』の“モツじゃが”を再現!
- Sat
- 18:00
- 再現料理
「そんな馬鹿な」と思い、画像を検索してみたところ…確かに、もう少し鼻を縮めたら相方さんにそっくりで、思わず苦笑しました;。
どうも、最近顔がアンパンマンに似てきた管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が一樹君・ナナちゃん兄妹と一緒に作ってあげた“モツじゃが”です!
以前、妹のナナちゃんの為に料理を覚えたいとお願いをしに来た事があるみゆきちゃんの友達・一樹君が(詳しくはこちら)、ある日久々に荒岩家へ訪れます。
何でも、骨折が原因で入院していたお父さんが明日やっと退院出来るようになったとの事で、それを聞いた荒岩主任と虹子さんは「おめでとう!」「頑張ったもんねー、一樹君」と大喜びします。
その為、一樹君は今までのように背伸びする必要はなくなったはずなのですが、すっかり料理にはまった一樹君は出来る事ならお父さんの大好物で退院を祝いたいと考え、また荒岩主任に料理を教わりたいと思ってナナちゃんと共にお願いをしに来たと語っていました。
正直、一樹君はまだまだ外で遊ぶのが楽しくてしょうがないお年頃なので、「もういっか!」と料理しなくなる可能性は高そうだな~と勝手に予想していたのですが、荒岩主任によって伝えられた料理を楽しむ心が尚も一樹君の心の中に生き続けているかと知り、ちょっとほっとしたのを覚えています。
そのせいか、荒岩主任の顔もどことなく嬉しそうで、はしゃぐ一樹君とナナちゃんを温かい眼差しで眺めていたのがとてもほほえましかったです。
ちなみに、一樹君のお父さんは焼き肉屋でホルモン焼きを食べては「これとビールがあれば何もいらない」と言い切るほど大のモツ好きで、その姿が印象的だった一樹君は、荒岩主任に「モツ料理を教えて下さい!」と熱心にお願いします(←用意がいい事に、一樹君は既にビニール袋一杯のモツを持参してきており、みゆきちゃんをひっくり返るくらい驚かせていました;。もしお母さんが持たせたとするなら、なかなか豪胆な方ですね;)。
どうやら、お父さんは博多名物・モツ鍋も大好物な渋~い味覚との事で、それを聞いた荒岩主任はいいアイディアが閃いたらしく、「じゃあ、ちょっと面白い料理にしよう」と言います。
こうして、モツ好きなお父さんの為に一樹君とナナちゃんが荒岩主任に色々教わりながら作ったお祝いの料理が、この“モツじゃが”です!
作り方はそこそこ簡単で、徹底的に炒め煮して臭みを抜いた牛モツ・にんにく・唐辛子・玉ねぎ・じゃがいも・糸こんにゃくを出汁で煮込み、醤油・みりん・塩・味噌で味付けしたら出来上がりです。
荒岩主任が言うには、「隠し味の味噌が臭みを消し、旨味を足す」のがこの料理のミソで、下ごしらえの時点でモツから如何に臭みを取りきるかが最大のポイントだそうでした。
ビールだけでなく、熱燗や焼酎にもぴったりだとレシピ欄で語られていましたので、夕食時に晩酌を済ませてしまう当管理人のようなタイプにはうってつけなお惣菜料理です(^^;)。
そして翌日、一樹君とナナちゃんがワクワクして待つ中、遂にお父さんが帰ってきて出来たての“モツじゃが”を食べてくれるのですが、お父さんは感動のあまり「うまいっ!!」と大声で叫んで二人を抱きしめます。
余程嬉しかったのか、体育会系っぽいお父さんは「こんなうまいモツは初めてだ!」「ありがとう、ありがとう!」と一樹君達をえんえん抱き続け、そのせいかもう思春期に入り始めている一樹君は最初少し閉口していた様子でしたが(←難しい年頃ですよね;)、その内素直に「お帰り、とうちゃん」と心の中で甘えていました。
読むたび、「家族っていいなぁ…」と感じるエピソードです。
当管理人自身モツは大好きなので、前々から是非再現したいと考えていました。
先日、いい牛モツを扱うお店をようやく見つけたので、早速作ってみようと思います。
という事で、レッツ再現調理!
まずは、牛モツの下ごしらえ。何もひかずに熱したフライパンへ牛モツミックスを投入し、全体に火が通るまで混ぜ続けます。
この時、牛モツから恐ろしい量の脂や白い水がドバドバ出てきますが、これが臭みの元凶なので、ほとんど出てこなくなるまで根気強く加熱します。
牛モツに火が通りきったらザルに入れ、よく水洗いした後余分な水気を切っておきます。
次は、炒め煮作業。
油をひいて熱したお鍋に、芯を取ってスライスしたにんにくと種を除いた赤唐辛子を入れてじっくり火を通し、いい香りがしてきたらざっくりとくし形切りにした玉ねぎ、乱切りにしたにんじん、一口大に切って水にさらしたじゃがいもを加えて炒めます。
そこへモツを入れてさらに炒め、じゃがいもの表面がうっすら透明になってきたら昆布とカツオ節の合わせ出汁を注ぎ、アクを取りながらコトコト煮込みます。
※モツが入っている為、通常の肉じゃがよりもアクが出やすくなっています。
じゃがいもやにんじんといった硬い具が煮えてきたら糸こんにゃくを投入し、醤油とみりんで味付けしたらさらに約十分煮ます。
調味料と汁がなじんできたら塩で味の調節をし、最後に好みの味噌を溶き入れます。
※個人的に、合わせ味噌か麦味噌が特に相性がいいように感じました。
しばらく煮込んだら火を止め(冷めてから温めなおした方が、味がよく染みます)、器へ汁ごと盛り付ければ“モツじゃが”の完成です!
香りはもうまるっきりモツ鍋のそれで、モツ特有の胃袋を刺激するような濃厚な風味がふわっと漂ってくるのがたまりません。
ただ、香りが強烈な割には持つ料理にありがちな脂ギトギト感がほとんどなく、ほっとしました。
モツで肉じゃがを作るのは初めてなので、一体どういう味がするのか楽しみです!
それでは、熱々ホカホカの内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、味はと言いますと…モツがじゃがいもとばっちり合ってて旨し!ビールにもご飯にもぴったりな飲兵衛向けの一皿です!
ホクホクのじゃがいも、じんわり甘いにんじん、トロトロな玉ねぎ、ツルツルシコシコな糸コンニャクに、モツから出たこっくり濃厚な極上の旨味エキスが芯までしっとり染み透っており、普通の肉じゃがよりも若干濃いめな仕上がりになっています。
汁はモツ鍋のスープによく似た、ホッと落ち着くコク旨味噌味で、にんにくのガツンとくる風味がついている為食べれば食べる程食欲が沸いてくる感じでした(鷹の爪を入れた割には後から少しくる程度の控え目な辛味なので、辛い物が苦手な方にもお勧めです)。
一方モツは、歯をグイグイ押してくる力強い弾力、こってりした味わい、わずかに残ったとろけるように甘い脂分が美味で、噛むごとに味に深みが出て来るのが大人の味だな~と思いました。
モツのせいで一見しつこそうですが、ほとんど脂が抜けているのでむしろ後口はサラッとベタつかない印象で、例えるとするなら「ギリギリさっぱりさせたモツ煮込み」というイメージです。
最初は「独特の臭みがつかないかな…」と心配でしたが、下処理の時にモツをしっかり火入れしたおかげで匂いはほとんど残っておらず、逆に味噌のふくよかな香りがフワッと口の中へ広がっていくのがいいです。
モツ好きなら気に入る事間違いなしの、酒肴風創作肉じゃがです。
この他にも、『クッキングパパ』百巻にはモツを牛すじに代えて作る“スジじゃが”(こちらは打って変わってさっぱり風です)のレシピがありますので、ご興味をお持ちの方は是非ご確認をお願いします!
P.S.
ぽっきり様からご質問があったラー油の件ですが、あれは本当に初心者が一発勝負で作った物です;(その為、過分なお言葉に恐縮です)。
確かに、温度管理はそこそこ難しかったので簡単とは言い難かったですが、逆に言えばそれと火傷に気をつけてくださったら、ほとんどの初心者が製作可能だと思います。
未熟者ゆえ、あまり詳しいアドバイスが出来ず、申し訳ございませんm(_ _)m。
●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
『美味しんぼ』の“バナナのカクテル&抹茶のカクテル”を再現!
- Wed
- 18:00
- 再現料理
当初はバタートーストばかりでしたが、最近では各々がジャムに凝るようになった為急速に冷蔵庫のスペースが狭くなってきており、「早く使い切らねば」とジャムを厚塗りする毎日です;。
どうも、練乳ジャムといちごジャムを組み合わせていちごミルク味にして食べるのがここ数日間のお気に入りな管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて山岡さんが新しく考え出した創作カクテル二種・“バナナのカクテル&抹茶のカクテル”です!
それは、栗田さんの妊娠が分かって少し経った頃の事。
妊娠して以来、味覚や食の好みが激変した栗田さんに山岡さんは戸惑いがちで、一度大好物のクサヤを焼いている時栗田さんから「きゃあ、クサヤ!やめて、やめて!」「体が変わったのかしら、嫌いになったみたい。ごめんなさい」と拒否されて自由に食べられなくなったのをきっかけに、徐々に元気がなくなっていきます(←食いしん坊の山岡さんにとっては死活問題ですね;)。
しかし、どういう訳かブラックさん・中松警部・大石警部・団さんの四人とコソコソ集合して飲み会をするようになってからは妙に機嫌がよくなり、行動や言動に怪しい物が目立つようになります…。
そんな山岡さんの様子に不安を覚えた栗田さんは、相談相手である荒川さんや三谷さんのアドバイスに従い、ブラックさんの妻・テルエさん、中松警部の妻・歌子さん、大石警部の妻・みさ子さん、団さんの妻・ジュディさんとこっそり連絡を取り合い(すごい偶然ですが、皆様妊娠中です;)、集まって相談しあうのですが、浮気疑惑は収まるどころか返って真っ黒な状況証拠がわんさと出る羽目になり、奥様方は一時騒然となります;。
テルエさんは栗田さん同様元気がなかったブラックさんが急に浮き足立つようになったのを目撃、みさ子さんは大石警部の口から「男どもの欲求不満の解消だ」という言葉を立ち聞き、そして歌子さんに至っては旅館経営をしている中松警部の知り合いから唐突に電話が来たのを取っており、初見時は「確かに、これは限りなく怪しい…かもしれない!」とこちらまで冷や汗が流れました;。
※今回のお話は、時々山岡さん視点のシーンが混じる事もあるにはあるのですが、そこで山岡さん達は「はあ…結婚生活って難しいもんだなあ。俺だって、最近の栗田さんには参ってるからな~」「俺ッちも、歌子さんとの生活に不満が溜まってるんだ」「不満も限界を超えた!」「我々が取ろうとしている行動は、裏切りではない!止むに止まれぬ、自衛の為の行動だ!」などとかなり不穏な言葉ばかりなので、あながち栗田さん達の気のせいだとは言い切れないのが辛いところ;。
それでも、ほとんどの奥さんはまだ半信半疑だったんですが、ジュディさんの「みんな甘いわね。‘A guy is a guy’よ、男は男」(←相方さんが感心してました;)「亭主が浮気をするのは、妻が妊娠している時が一番多いのよ」というなかなかリアリティーのあるセリフにすっかり疑心暗鬼になり、お互い新しい情報が手に入ったらまた落ち合う事を約束し合ってました。
それにしても、普段は分かりにくいですが、こうやって五人集まるとそれぞれの奥様方の個性が浮かび上がる感じで、ハラハラしながらも興味深く感じたのを覚えています(←後々の行動を念頭に入れて見ると、総司令官=ジュディさん、参謀副長=歌子さん、諜報員=テルエさん、一等兵=栗田さん、新人二等兵=みさ子さんみたいな印象を受けました;)。
その夜、栗田さんは思い存分相談できて気が晴れたせいか、少し機嫌がよくなって帰宅するのですが、帰ってきて早々山岡さんから「知恵を貸してくれ!」「新しいカクテルを作ろうと思ってね。君が頼りなんだ」と言われ、カクテルの味見をする事になります。
その際、山岡さんが栗田さんの目の前で作って飲んでもらった創作カクテルが、この“バナナのカクテル&抹茶のカクテル”です!
作り方は二つとも簡単で、“バナナのカクテル”はミキサーにかけたバナナと牛乳にラム酒を合わせて上にバニラの種を散らすだけ、“抹茶のカクテル”は抹茶で溶いたジンに蜂蜜と炭酸水を合わせてレモンの薄切りを乗せるだけで出来上がりです。
山岡さん曰く、“バナナのカクテル”に入れるバナナは通常店で売られている長いバナナではなく、甘味・酸味・芳香のバランスが取れたモンキーバナナという短いバナナを絶対に使うべきだそうで、長いバナナの事を「あれはだめだ。酸味がないし、香りも甘みもない」と相変わらずの毒舌で否定していました(^^;)。
ともあれ、既に何百種類という膨大なレシピがあるカクテルがある中、こういう独創的なカクテルを考え付く山岡さんは、なんだかんだ言ってやっぱり凄いと思います。
味見中、栗田さんはどれも美味しいとさらに上機嫌になって的確な評価を下し、山岡さんもそれを聞いて安心するのですが、その直後山岡さんがポロッとこぼした「どうだい?こういうカクテルなら、若い女性にも好かれるだろう」というセリフによって、二人は一転して気まずいムードになります;(←余程仕事モードになっていたのか、栗田さんはすぐには気付かず「ええ、見た目にきれいだし、味も優しいし、そして上品だし……若い女性?」と、ワンテンポ遅れてから突っ込むという天然っぷりを見せていました;)。
けれども、タイミングがいいのか悪いのか、その直後にじテルエさんから緊急招集の電話を受けた栗田さんはアタフタする山岡さんを置いて家を飛び出し、集合先である歌子さんのアイスクリーム店で驚くべき真実を聞くこととなります。
実は大胆な事に、テルエさんは話し合い後すぐに歌子さんから聞いた旅館へ直接聞き込みをしに行ったそうなのですが(←すごい行動力!頼りになります)、そこで旅館の人から「土曜日に山岡さん達五人が集まる予約が入っている」「女性も同じ部屋に五人くるようになっている」という聞き捨てならない事実を確認したとの事で、これにはさすがに全員がざわ…ざわ…状態になります。
さらに、呆然とした栗田さんが「それでだったのね…山岡さん、若い女性に受けるカクテル作りを研究してたわ」と言ってからは一同はますますヒートアップし、疑惑が確信に変わったような雰囲気になっていました。
こうして、怒りで爆発寸前になった奥様方五人は(←但し、みさ子さんだけはずっと弱気でメソメソしていました;)、土曜日になったら現場へ踏み込み、直接バトルをする事を決めます。
果たして、山岡さん達は本当に浮気をするのか…栗田さん達はどのように噴火するのか…真実は一体、どこにあるのか…?
続きは、次回に持ち越したいと思います!
作中では山岡さんがボロを出すキッカケとなる因縁の飲み物扱いになっていますが、味自体はとてもおいしそうだったので再現を決意しました。
カクテル作りは初心者なのでなれませんが、早速レシピ通り作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、“バナナのカクテル”作り。山岡さんがおすすめした通りモンキーバナナを用意したら、皮をむいてミキサー(又はフードプロセッサー)に入れ、牛乳を流し込んだらスイッチを入れて滑らかにします。
※低脂肪牛乳ではなく、成分無調整の牛乳を使う方がぐっと美味しくなります。
モンキーバナナと牛乳が完全に一体化したら、冷やしておいたラム酒(当管理人は製菓用で作っちゃいましたが、勿論本物のラム酒でも可です;)を好みの割合になるよう加えてさらに混ぜ、ワイングラスの中へ注ぎます。
この上に、あらかじめ包丁でこそいでおいたバニラビーンズの種をパラリと散らしたら、“バナナのカクテル”はOKです。
次は、“抹茶のカクテル”作り!
茶漉しでサラサラになるまでふるっておいた抹茶に冷やしたジンを入れ、ダマが残らずトロットロになったのを確認するまで泡立て器でよーく溶きながら混ぜます。
そこへ蜂蜜をたらしたら念入りにもっと混ぜ合わせ、蜂蜜が抹茶に溶け込んだらさらに炭酸水で割り、氷入りの長いグラスへすぐに注ぎます。
なお、炭酸水を入れるとたちまちシュワーーッと泡が立ち上ってくるので、入れすぎるとこぼれる危険性がある為注意が必要です;。
※氷入りのグラスに蜂蜜入り抹茶を入れ、そこへ炭酸水を投入して長いスプーンで混ぜて作っても大丈夫です。
これらのカクテルを出来たての内にテーブルへいそいそと運べば、“バナナのカクテル&抹茶のカクテル”の完成です!
それでは、いざ実飲!
一番目は、“バナナのカクテル”。いただきまーす!
さて、味の感想ですが…バナナオレをぐっと香り高く、大人っぽくした印象の美味しさ!バナナのフルーティさが活きています!
バニラビーンズの官能的なまでに甘やかな香りと、モンキーバナナのフレッシュで濃密な甘さが混然となっている為、栗田さんが言った通り「とても濃厚な味のお菓子といった感じ」に仕上がってます。
モンキーバナナは単に甘いだけでなく、酸味が絶妙なバランスで組み合わさっている品種な為、よりカクテルに複雑な奥行きを与えていました。
どことなく焦がし砂糖を彷彿とさせる香ばしさが特徴なラムの香りが、いい仕事をしています。
やや強めのカクテルですが、牛乳のクリーミーさとバナナのとろみのおかげでシェイク風のなめらかな舌触りになっており、柔らかな口当たりになっているのがよかったです。
二番目は、“抹茶のカクテル”!いただきま~す。
さて、味の感想ですが…抹茶とレモンの爽快な後味が喉に嬉しいカクテル!程よい甘さが嬉しい一品です。
ジンは薬っぽい独特の癖があるので、どちらかというと苦手だったんですが、これは抹茶の渋くて上品な香りと蜂蜜のじんわり深くて濃い甘さが効いている為、まるで抹茶オレのようにスルッと軽く飲む事が出来ました。
レモンの持つ、柑橘類特有のスカッと爽やかな風味と瑞々しい酸味がいいアクセントになっており、おかげでジンのキレがいい喉越しの良さと相まってかなり飲みやすかったです。
より詳しく名前を変更するなら「抹茶味のハニー・ジントニック」というイメージで、和風とも洋風とも言えない不思議な後味が心に残りました。
炭酸のシュワシュワ感が喉を刺激してくる割には、結構落ち着いた印象のカクテルです。
二つとも「さすが山岡さん!伊達に究極のメニューの担当者をやってないですね!」と賞賛したくなる素晴らしいカクテルでした。
特に“抹茶のカクテル”は、ジンが苦手な方でも目からウロコな味でびっくりする事請け合いなので、お勧めです。
●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
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『華中華』の“牛肉包みチャーハン”を再現!
- Sat
- 18:00
- 再現料理
女心をちっとも理解しない鈍い少年・イワンと、そんなイワンを恋する暴走気味の少女が繰り広げる、ギャグ風青春ラブストーリー。
「イワンの馬鹿!」
…今日も少女は絶妙な勘違いをするイワンに振り回されて走り去り、後に取り残されたイワンは首を傾げる―。
…その場にいた同級生にすぐ話してしまわず、一旦図書館で調べてから話題にしようと考えて、つくづくよかったと思います(←子ども心に、「学校に置いてあるような本に恋愛が絡むだろうか?」と疑惑が芽生えたからでした)。
どうも、思春期に恋愛ストーリーを読み過ぎたせいか、今は逆に恋愛要素がある創作物が苦手になっている管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんの元師匠である陳料理長が東京ニューオリエントホテルで作った“牛包みチャーハン”です!
島野さんが料理長になってから満点大飯店はますます不況知らずの盛況っぷりで、厨房内の空気も活気付くのですが、そんな中ハナちゃんだけは再就職した前料理長・陳さんを未だ気がかりに思っており、年が明けてしばらくしてから、思い切って新しい勤め先である東京ニューオリエントホテルへ夫の康彦さんと一緒に訪ねに行きます(ちなみに、そこでも陳さんは料理長の座に就いています)。
ハナちゃんとしては、てっきり陳料理長は東京ニューオリエントホテルでもバンバン腕を振るっていると想像していたようなんですが、現実は残酷で、元々口下手で気が優しい陳料理長はプライドが高くて気の強い人間ぞろいの東京ニューオリエントホテルですっかり馬鹿にされきっており、今では一番下っ端の人間から「俺、休憩行っちゃうけどいいっすか?」と肩を叩かれるまで舐められた存在へなっているのに衝撃を受けます(´・ω・`)。
その辺の実情は、ハナちゃん視点と楊貴妃さん視点で嫌という程描かれているんですが、中でも「前の店でも、うちの店と同じように馬鹿にされてたのかもしれんなぁ」「きっとそうですよ、陳さん暗いし…」と影口を叩かれていたり、お客様に喜ばれるような調理の仕方をアドバイスされても「いいんすよ、これがニューオリエント流なんっすから!陳さんは俺らのやり方を黙ってみてればいいんすよ」と完全無視されているシーンは正視に堪えない感じで、当管理人自身ハナちゃんと同じくらいショックを受けました。
これだけでも十分陳料理長にとってきつかったはずなのに、自分がいなくても満点大飯店は斬新な料理ばかりで大盛況だという噂まで耳に入っていたらしいので、どれ程苦しかっただろうと考えるだけで鬱になります…(人間、必要とされたい場所で「自分が居なくても支障はない」という事実を見せ付けられる事ほど辛い事はないと思います)。
そんな現状を目の当たりにしたハナちゃんは、「料理長なのに…誰も陳料理長とは呼んでいませんでした。辛くて見ていられないんです…」とすっかり気が塞いでしまい、寮に帰った後も近づきがたい雰囲気のまま考え込んでしまいます。
そんな時、ハナちゃんについて行って概ねの事情を把握した楊貴妃さんから話を聞いた竹三郎さんは、「人生の苦難は、己の力で乗り越えなくてはいけないんですが…ちょっとだけ、背中を押してやらないとダメな場合もあります」と決意し(←深い言葉です)、翌日の昼、ある手土産を持って東京ニューオリエントホテルに足を運びます。
その手土産は、何と甘みのある肉質で知られている葉山牛の肩ロースのスライスで、竹三郎さんはひたすら萎縮して小さくなる陳料理長に対し、「君は料理人だ。だったら、料理で自己主張するんだ」「これとこのホテルの料理を使って、君なりの新たな料理を作るんだ」と静かに喝を入れ、ランチタイム中に実演調理できるようなオリジナルメニューを考え出すよう指示していました。
どうやら竹三郎さんは、朝の内にあらかじめ東京ニューオリエントホテルの総支配人へ「お互いが得する話」だとして、ランチタイムに陳料理長を主役としたパフォーマンスをする事の許可を取っていたようで、初見時は昨日の今日で思ったことを成し遂げる鮮やかな交渉術に感心したのを覚えています。
実を言いますと、竹三郎さんはもう少し様子見してから陳料理長に助け舟を出したかったそうなんですが、心優しいハナちゃんが早朝、関帝廟へ陳料理長の為にお参りしに行ったのを見て「ハナちゃんのためにも何とかしてやらねば…」と決意を固めたっぽかったので、初見時は「姪の可愛さはまた格別なんだな~(´∀`*)」とニヤニヤしました(←もっとも、当のハナちゃんは「楊貴妃さんに頼んでも何もしてくれないもん」と考えていたので、何にも期待していなかったのですが…orz。おかげで、楊貴妃さんは「そんな冷たい人間…いや、幽霊じゃないよ!」とちょっと拗ねてました;)。
この時、陳料理長が「どの料理も完成度が高い…その中で俺流にアレンジできるのはチャーハンだ!」「それに、新たな息吹を与える!」と決意し、ランチタイムに来ていたお客さん達の前で巧みに実演調理して作ったのが、“牛肉包みチャーハン”です!
作り方はそこそこ手が込んでおり、葉山牛の肩ローススライスを二枚重ねて塩こしょうをふった物の上に、基本チャーハン・トマト・刻みネギを乗せて四角形に包み、ピーナッツオイルでこんがり焼いてフランべしたらお皿へ移し、残った肉汁に醤油・オイスターソース・黒酢を足して作ったソースをかけたら出来上がりです。
とにかく脂の乗ったいい肩ロース肉を使う事(←他の薄切り肉を使用すると、ガチガチになって美味さが半減します)、ソースをたっぷりかける事がポイントみたいで、調味料もピーナッツオイルや黒酢を代用するのは控えた方がいいと語られていました。
その後、この“牛肉包みチャーハン”はお客さんの口コミで大評判となって陳料理長は一気に評価されるようになり、東京ニューオリエントホテルの人達も陳料理長を見直してちゃんと「料理長」として扱うようになり、一件落着していました(^^)。
しかし、後に“牛肉包みチャーハン”は中華街でも一大ブームとなるのですが、それが故にとんでもない人間からも目をつけられる事に…。
その当たりの詳しい説明は、次回に持ち越したいと思います!
不器用な当管理人に、陳料理長のような調理が可能かどうか甚だ疑わしいところなのですがorz、「どうしても食べたい!」と前々から考えていた為、再現を決意しました!
作中のレシピ通りに作れるよう、ヘタはヘタなりに頑張って作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、下準備。なるべく脂が乗っていて質のいい牛肩ロースの薄きり肉を用意し(残念ながら葉山牛は手に入らなかった為、手に入る範囲で一番高級だった佐賀牛の肩ロース肉を使いました)、ラップの上に縁一センチを重ねながら二~三枚乗せ、塩こしょうを軽くふります。
余談ですが、指の熱で簡単に脂がダラダラと溶けて出してしまうのに驚き、「高級なお肉はやっぱり違うな~」と緊張が走ったのを覚えています;。
この牛肩ロース肉の上に、あらかじめ作って冷ましておいたハナちゃん流基本チャーハン→ヘタを取ってスライスしたトマト→刻みネギの順に具を乗せていき、ラップを使って四角になるよう包みます。
※ラップを使って折りたたまないと、破れたり溶けたりでかなり苦戦しますので、最初に余裕を持ってラップを敷いておく事をおすすめします。
次は、焼き作業。
フライパン(又は中華鍋)にピーナッツオイルをひいて中火にかけたら先程の牛肉包みをそっと入れ、両面にこんがりした焼き目をつけます。
肉全体に火が通ってきたらすぐにブランデーをかけてフランべし、炎が消えたら急いでお皿の上へ盛り付けます。
ちなみに、ピーナッツオイルは「本当にピーナッツの匂いがする!」と興奮するほど濃いナッツ臭がするので、一度よく嗅いで見ると楽しいかもしれません。
肉汁が残っているフライパンを再度火にかけ、沸騰してきたら醤油とオイスターソースを加えてざっと混ぜ合わせて煮立たせ、最後に黒酢を回しかけてひと混ぜします。
調味料がしっかり混ざりきったのを味見で確認したら、ソースはOKです。
※チャーハンが冷めない内に仕上げないといけないので、スピーディーさが要求されます。
出来たてのソースをたっぷり牛包みの上にかけ、食べやすい大きさにカットしたクレソンを傍らに添えれば“牛肉包みチャーハン”の完成です!
クレソンと牛肉とソースのみの盛り付けなので、作る前はもっと殺風景な皿になるのではと案じていたのですが、どちらかというとシックで落ち着いた印象の皿に仕上がった為、安心しました。
デミグラスソースに近い、黒がかった深みのあるこげ茶色のソースがみるからに食欲をそそる感じで、お腹がすきます。
牛肉の脂から漂う甘やかな香りがたまらなく、これは味に期待が持てそうです!
それでは、熱々の内に切り分けていざ実食!
いっただっきまーすっ!
さて、味の感想ですが…一瞬、恍惚となる程美味。これはもはや中華というより、創作洋食です!
極薄なのに噛んだ途端ジュワッと肉汁が迸ってくる迫力満点な牛肩ロース、フルーティで甘酸っぱい果汁が溢れ出すトマト、そしてこれらのエキスを吸い込んでしっとり濃厚になったチャーハンを、まるでケチャップ風味のハンバーグソースを数倍上品かつリッチに仕立てたようなソースが一つにまとめあげており、完全に調和していました(オイスターソースのまったりしたコクがいい仕事をしてます)。
一番似た味を挙げるとするならバルサミコ酢ソースで、熟成されて酸味よりも甘味が際立つまろやかな旨さと、華やかな風味はそっくりなのですが、バルサミコ酢程癖がなくさっぱりサラッとしたキレのいい後味が特徴的でした。
霜降りならではの嫌味を感じない上質な甘い脂分と、弾力がありつつも十分柔らかい赤身を持つ佐賀牛のおかげで、かなりこってりしているにも関わらず胃にもたれにくい仕上がりになっています。
あと、フランベしたのが功を奏し、ブランデーの優雅な風味が全体に染みただけでなく、表面がカリッと香ばしくなっていた為、味も香りもよりハイグレードな感じになっているのに感動しました。
花に似た艶やかな香りでありながら、野草独特のピッとくる爽やかな辛みと苦みを持ったクレソンが、口の中をその都度リフレッシュしてくれるのがポイント高かったです。
正直、チャーハンはおまけになっている印象でしたので新作チャーハンとは呼びにくいですか;、創作料理としてなら間違いなく合格点が出せる味でした。
ナッツ類特有の香味やさらりとした後味が印象的なピーナッツオイルを使用したせいか、思ったよりも脂っぽくなくてほっとしました。
黒酢は酢にしては酸味がまろやかなので、酸っぱいのが苦手な方にもお勧めしたいです。
●出典)『華中華』11巻 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
『華中華』12巻 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
『おかわり飯蔵』の“薄切りりんごのチョコワイン鍋”を再現!
- Wed
- 18:00
- 再現料理
けれども、運がいい事に男の子のお母さんがいい人で、わざわざ近所の公園に呼び出され(遠くにお母さんが待っているのが見えました)、綺麗に包装された飴の缶入り詰め合わせを渡されました。
あの時の、形容しがたい温かな気持ちは未だに忘れられません。
どうも、相方さんの職場がバレンタインデー禁止になったと聞いて「時代は変わってきてるんだな~」と思った管理人・あんこです。
今回再現する漫画料理は、『おかわり飯蔵』にて飯蔵さんがさくらさんの同僚・ラブさんに教えた“薄切りりんごのチョコワイン鍋”です!
出版社を巻き込んでの激安料理対決に勝利し、何とか会社内での立場を守りきったさくらさんですが(詳しくはこちら)、今度は中途入社してきたある女性社員に頭を悩ませる事になります。
その女性の名は、下村愛子さんこと通称・ラブちゃんで、歳はさくらさんよりも二歳年上なんですが、何かというとトラブルばかり起こすため社内では白い目で見られる毎日。
遅刻・中抜け・早退・無断欠勤を繰り返し、おまけに仕事中はおかしを食べてはボーっとしてばかりで、そのせいか入社数日で新人のさくらさんの下についてお手伝いをするという立場にまで評価が落ち込んでいました。
大抵、こういう時は見て見ぬ振りをされる事が多いと思うのですが、元来面倒見が良くて優しいさくらさんはラブさんを放っておけず、「職場になじむまで話しかけよう」と何かと気にかけては庇い続けます。
実はこの時、さくらさんはラブさんに対してきつい福永先輩(“ホップレピザ”で初登場していた、帰国子女の濃い女性です;)に「みんな下村さんを悪く言いすぎですよ…。仕事が遅いのは、まだ仕事に慣れていないからです」「今のままの職場環境なら、誰でもやる気なくなります…」と勇気を出して言っているのですが、福永先輩はすかさず「シャラップ!私に文句を言うのは筋違いよ!ここは学校じゃないの、私達と仕事がしたいのなら、自分でコンタクトを取るべきよ!」「社会に出たら、結果が全てなんだから」と言い返しており、話し合いは平行線を辿ってしまっていました。
正直、どちらの意見も同じくらいもっともな節があるので何ともいえず、初見時は少し考えたのを覚えています;。
人によって、優しく誉めた方が伸びるタイプと、厳しく突き放した方が成長するタイプに分かれるのはもちろん、時と場合によって対応を変えたほうがいい場合もままある為、「やっぱり、人材を育てるって大変なんだな…」と改めてため息です。
しかし、結局ラブさんはさくらさんを振り回すだけ振り回して変わろうとせず、最終的にはさくらさんへの罪悪感のあまり一週間近く出社拒否をするという事態にまで発展します。
心配になったさくらさんは、飯蔵さんと一緒にラブさんの家へ行き、「今のままじゃ下村さん、認められないんです。ずっと馬鹿にされてていいんですか!?下村さんは見返そうとは思わないんですか!?」と悔しさの余り涙を流しつつも、根気強く説得の言葉をかけていました(←不器用な話し方なんですが、ラブさんへの思いやりの心が溢れていて胸が熱くなるシーンです)。
すると、ラブさんはさすがに心打たれたようでつられて泣いてしまい、ようやく何故今のような無気力社員になってしまったかを話してくれます。
約一年前、まだ前の会社に在籍していたラブさんは好きな男性に手作りのバレンタインチョコをプレゼントしたそうなんですが、あろう事かその人はチョコをゴミ箱に投げ捨てた後ラブレターを社内で回し読みさせたそうで、何と周囲の人間も「服も今時いない乙女チックさだもんね~」と大笑いしていたの事(「小学生か」と突っ込みたくなりますが、こういう信じられない職場は結構ありがちなので、リアリティーがあるなぁ…と暗い気持ちになりますorz)。
そして、その様子を物陰で目撃してしまったラブさんは会社を辞めたものの、それ以来誰にも心を開けず、会社が怖くて仕方がない人間になってしまったと語っていました。
はっきり言って、こんな倫理が疑われる職場に長々と居たらもっと神経が磨り減ったであろう事が予想できるので、早い内に見切りをつけたラブさんは英断だったと思います。
これで、さくらさんの職場で心機一転してやり直し、周囲に迷惑をかけなかったら言う事なしだったんですが…さすがに、そこまではうまくいかなったようですね;。
この時点でかなりテンションが低くなっていたラブさんは、「会社が変わればうまくやっていけると思ったけど、やっぱりダメね…」と冷凍庫に保存していたその時のチョコを見て落ち込んでいたのですが(←ゴミ箱から拾ったそうです…つД`)、さくらさんは「そんなヤツのせいで下村さんがダメになっていくのはよくないです!」と必死に力づけ、飯蔵さんは「ちょうど明日バレンタインデーじゃろ?このチョコで、バレンタインのリベンジじゃ!」とあるレシピを教えてくれます。
こうして、翌日勇気を出社したラブさんが、今まで休んでいたお詫びとバレンタインデーの贈り物を兼ねて会社のみんなに振る舞ったのが、“薄切りりんごのチョコワイン鍋”です!
作り方は簡単で、土鍋に薄く切ったりんご・赤ワイン・削ったチョコ・溶けるチーズを入れてフタをし、中火で沸騰するまで熱して後は弱火で一分加熱したら出来上がりです。
飯蔵さん曰く、ドイツで親しまれているホットワイン(-15度になる寒い日になると、路上で売られているとの事)をヒントに考え出した飲み物だそうで、本来は温めたワインに蜂蜜やメープルシロップを入れるところを、今回はバレンタインデーにちなんで代わりにチョコで甘みをつけたレシピにしたとの事でした。
調べてみると、ドイツやフランスでは寒い日だけではなくクリスマスにも欠かせない飲み物となっていて、各家庭によってオリジナルレシピがある程親しまれているそうです。
幸い、“薄切りりんごのチョコワイン鍋”は福永先輩を始めとする職場の人間に好評で、「今まで本当にすみませんでした」と謝るラブさんをみんなは「分からない事があったら、相談に乗るわ」「一緒に頑張ろう」と許してくれ、やっとラブさんは会社になじむ事が出来たのでした(^^)。
実を言いますと、最初は「チョコとワイン…合いそうだけど、何か嫌な予感がする」と後ろ向きだったのですが、『おかわり飯蔵』はこれまでハズレが一度もなかった為、再現を決意しました。
分量も時間も詳しく書いてありますので、早速その通り作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。土鍋に種とヘタを取って薄切りにしたりんごを入れ、そこへりんごがヒタヒタになるくたいの赤ワインを注ぎます。
その上に、丁寧に細かく砕いたチョコを振りかけておきます。
チョコをかけ終えたら、溶けるチーズ(ピザ用チーズでOKです)を周りにパラパラ散らし、フタをして中火にかけます。
土鍋のフタから蒸気がシューッと吹き出してきたら火力を弱火にし、一分待ちます。
時間がたったらフタを取り、軽く混ぜてから器へ赤ワインごとりんごを盛り付けてミントの葉を飾り付ければ“薄切りりんごのチョコワイン鍋”の完成です!
香りは、チョコよりも赤ワインの方が勝っており、湯気を嗅ぐだけで酔ってしまいそうでした;。
ただ、見た目はホットワインというよりはどちらかというとココアという感じです。
ホットワインにチョコの組みあわせは今まで試した事がない為、一体どういう味がするのか、とても楽しみです!
それでは、冷めない内にいざ実食!
いただきまーす。
パクッ。
シャグ、シャグ、シャグ…。
・・・・・・・。
…はっきり言って、美味しいとは言いがたいお味。数年ぶりに、夜神さんが光臨しました。
りんごの方は、ギリギリ普通と言えなくもないです。
甘酸っぱいりんごと、チョコの風味が加わってさらに大人の味になった赤ワインは相性がよく、例えるとするなら「チョコ味の酔っ払い煮りんご」というイメージでした(←噛むごとに赤ワインのアルコール分がにじみ出るので、お酒に弱い人はこれだけで酔いそうですが;)。
舌にじんわり染みる温かさと、柔らかく煮えてシャグシャグした歯触りになったりんごは冬のいいデザートという感じで、もうちょっと手を加えたらいくらでも変身しそうな味でした。
しかし、ホットワインの方はチョコの甘さが中途半端なせいか、赤ワインの酸味ばかりがトゲトゲしく喉に突き刺さる感じで、急に飲むとお酢を一気飲みしたような感覚に襲われて軽くむせます。
また、チョコの甘味が半端という事は、それを際立たせる役目を持っているチーズの塩気も逆効果にしかならないという事にも繋がり、その結果酸っぱいのか甘いのか、よく分からない奇妙な味になっていました。
当管理人自身、ホットワインをそこまで好きじゃないからこういう感想になったのかもしれませんが、それを抜いたとしても人にお勧めできる一皿ではなく、土鍋一杯をほぼ完食しきる頃には涙がボロボロ出てきたのを覚えています。
思うに、チョコの量をもっと増やしてドロドロにさせたら美味しくなっていたのかもしれませんが、それはもう飲み物ではないと思う為、もう一度再現する事はなさそうです…。
正直、「現実世界でこれを出したら、ますます相手を怒らせて職場で浮いてしまいそうだな…」と言いたくなる一品でした;(←『おかわり飯蔵』ワールドでは、同じレシピでも奇跡的に美味しくなると解釈;)。
もしかしたら、当管理人の作り方が悪いだけなのかもしれませんので、もしご興味をお持ちの方がいらっしゃったら試してみて下さい(ただ、恐れ入りますが自己責任でお願いします;)。
●出典)『おかわり飯蔵』 原作:魚柄仁之助 作画:大谷じろう/小学館
『DEATH NOTE』 原作:大場つぐみ 作画:小畑健/集英社
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