『裏の家の魔女先生』の“レモンとしらす干しのパスタ”を再現!
- Tue
- 18:41
- 再現料理
当初は「魔法使い=ローブ着用・白魔法・男、魔女=黒い服着用・黒魔法・女」で区別しているのかな?と考えていたのですが、魔法が出てくるゲームや漫画を見ていたら必ずしもそうとは言えない感じで余計混乱した為、そのままうやむやにして最近まですっかり忘れていました。
しかし先日、あるサイトで「魔法使いは自分で習得した技術、知識、道具を使って後天的に魔法を使えるようになった人間」なのに対し、「魔女は代々一族の間で受け継がれてきた<魔女の血>で先天的かつ世襲制的に魔法を使える力を持つ、半人半妖の存在」だと説明されており、「なるほど!」と納得しました。
『魔女の宅急便』でも「魔女は血で飛ぶんだって」というセリフがありますし、だからこそ魔女は幻想的なイメージがつきまとうのかなと思いました。
どうも、黒魔術を使う悪の女幹部ってどうしてあんなに露出が激しいんだろうと常々疑問に感じている当ブログの管理人・あんこです(←善悪関係なく平等に露出している『ラングリッサー』シリーズは例外)。
本日再現する漫画料理は、『裏の家の魔女先生』にてある美しき魔女(?)が晩御飯として作っていた“レモンとしらす干しのパスタ”です!
『裏の家の魔女先生』とは、読書とミニ四駆が好きなごく普通の高校生・石垣蛍太君が、自宅裏のお化け屋敷へ引っ越してきたミステリアスで料理上手な小説家・雨夜沙希子さんと関わっていく内に、ちょっとずつ奇妙な出来事に巻き込まれていく日常を描いた、少し怪異奇譚チックな個性派グルメ漫画。
登場人物のほぼ全員が眼鏡っ子・唐突に差し込まれるマニアックなオカルト話・癖のある元ネタのパロディ・フェチズムを絡めたエロスなど、西川魯介先生イズムが遺憾なく発揮された作品ですが、ちゃんと一般受けするよう読みやすく調理されているのに熟練の職人技を感じます。
派手なアクションシーンや分かりやすいファンタジー要素はないのですが、ふと気が付くと悪魔や妖怪といった異質の存在がぬるりと生活の中へ紛れ込んでおり、いつのまにか違和感なく馴染んでいるというほんのり摩訶不思議な世界観で、強いて言うなら『百鬼夜行抄』が一番近い雰囲気かもしれません。
魔女疑惑のある謎めいた美女が、初心な少年を徐々に餌付けしていく様子が描かれている…と書くとどことなく色っぽいシチュエーションに見えますが、絵面は健全そのものです;(←魔女の作る料理というと、『ダンジョン飯』に出てくるような
『まかない君』同様、実用的でオリジナリティに満ちた創作料理がたくさん登場しますが、前作よりも料理漫画要素は薄味になってます(←「料理」は話の主役というより、色んな話が詰め込まれてバラバラになりそうなのを一つにまとめる名脇役的な存在といった感じですね)。
小腹のすいた時や夜食時にご一緒するというシチュエーションが多い為、副菜&がっつり系おかずレシピはほぼ登場しなくなりましたが、その代わりに簡単おやつ&オシャレな軽食レシピが充実していますので、いつでも気軽に試しやすそうなのがいいです。
初登場時、沙希子さんは初対面であるかのように振舞っていましたが、蛍太君は小さい頃、自転車から転げ落ちて怪我をしている所を不思議な力で治癒して助けてくれたお姉さんと同一人物ではないかと疑っており、「どうも何らかの力を持ってるような…」と薄々勘付いています。
加えて、沙希子さんは物腰穏やかで落ち着いた優しい性格、年齢不詳で知的な美貌、強い魔力、『鉄鍋のジャン!』に出てくる女の子キャラばりに爆乳という、まさにキング・オブ・大人のお姉さんともいうべき魅力的な女性でもある為、蛍太君は異性としても気になって仕方がない様子(←例えるなら、露出度が低くて清楚系の『アウターゾーン』のミザリィというイメージ)。
実は蛍太君には、ツインテールでツンデレな美少女の幼馴染・深冬さんという、これ以上ないくらい鉄板テンプレのヒロインがいるのですが、どうやら沙希子さんの方が初恋の女性みたいで、知らず知らずの内にちょっぴり妬かれているのが微笑ましいです。
ちなみに、深冬さんの性格は『まかない君』に出てくる弥生ちゃんそっくりで、ガサツな小学生男子っぽいボーイッシュな振る舞いがかわいいです(
今作は十六歳の男子高校生が主人公だからか、魔女という妖しい題材をモチーフにしているからか、女性キャラの艶っぽさやアダルト表現が全開となっているのが特徴なので、色んな意味で目が離せません(←個人的に魔女と聞くと、『魔女の宅急便』の思春期真っ盛りな少女・キキ、『奥様は魔女』のおっちょこちょいな主婦・サマンサ、『魔女は三百路から』のこじらせお一人様OL・御影さんを連想するのですが、何というか沙希子さんの方が見た目も性格も神秘的でより魔女っぽいな~と思います)。
今回ご紹介するのは、沙希子さんが蛍太君を初めて家に招いた日の夜、ありあわせの食材で手際よく作ってご馳走した“レモンとしらす干しのパスタ”。
作り方は簡単で、フライパンへオリーブ油・バター・赤唐辛子・みじん切りにしたブラックオリーブ・しらす干し・すったレモンの皮を入れて炒め合わせ、しめじと一緒に茹でたパスタを投入してざっと混ぜ、最後にレモン汁・塩・こしょうで味つけしたら出来上がりです。
ポイントは、赤唐辛子は種を取って真っ二つに千切ってから使うこと、しらす干しと赤唐辛子は多めの油でジピジピいわせながら火入れすること、パスタはよく水気をきってから入れることで、こうすると具材の旨味がよく絡んだパスタになるとのこと。
通常、オイル系パスタといえば必ずにんにくを入れて風味付けするものだと思っていたので、初見時は「ぺペロンチーノ風にしないんだ…」と驚きましたが、ネットで調べると何とイタリア人はそこまでにんにくを食べない、むしろ北イタリアではほとんど使わないのだそうで、目からウロコだったのを覚えています。
レモン汁だけではなく皮も削って使うというのも意外でしたが、イタリアのアマルフィ地方ではレモンの皮を入れたレモンパスタが名物で、定番の味なのだとか。
一つ一つの材料はありふれているのに、調理法や組み合わせ方が大胆で今までに見たことがない斬新なレシピになっており、感心したものです。
初めて見た時からずっと気になっていたので、ある店先でいいレモンが売られているのを見て再現する事にしました。
作中には大体の作り方が絵付きで詳しく記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、炒め作業。
フライパンへオリーブ油とバターを入れて火にかけ、ちぎって種を取った赤唐辛子、みじん切りにしたブラックオリーブ、しらす干しを加えてさっと炒めます。
材料が段々熱されてジュージューしてきたら、よく洗ってからすりおろしたレモンの皮を入れ、炒め合わせます。
※外国産レモンは発ガン性物質の含まれたワックスや農薬のついた物が多いので、ノーワックスで無農薬の国産レモンを使用される事をおすすめします。
その間、塩を入れて沸騰させたお湯でパスタとしめじを茹でておきます。
茹で上がったらザルにあけてしっかり湯きりし、先程のフライパンへ投入して手早く混ぜ合わせ、レモン汁、塩、こしょうをふりかけてさらに混ぜます。
パスタ全体にソースと具が行き渡ったらすぐに火からおろし、お皿へ盛り付ければ“レモンとしらす干しのパスタ”の完成です!
レモンの皮も入っているせいか、すっきりした柑橘系の湯気が鼻腔を強くくすぐる仕上がりで、香りだけでもうっとりしました。
パッと見はぺペロンチーノそっくりですが、にんにくの匂いは一切しないのが不思議な感じで、少し頭が混乱しました;。
一体どんな味がするのか、楽しみです。
それでは、麺がのびない内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、味の感想は…一口目から「ふぁ~…爽やか!」と思わず溜め息が出るほど香りがよくて美味し!にんにくなしでもオイルソースは充分おいしくなるんだとびっくりしました。
レモンの皮の鮮烈かつ爽快な香気と、嫌みのないほろ苦さが効いたパスタはシンプルながらも奥行きがすごく、塩レモン味のピリ辛海鮮パスタというイメージ。
レモンの清々しい甘酸っぱい果汁が後口をキリッと引き締めているのもいいですが、個人的にレモンの皮にしかない微量の雑味が全体に何とも言えない複雑な味わいをプラスしているように思え、感心しました。
ブラックオリーブのオリーブ油を何十倍にも凝縮したような深みのあるコクと、しらす干しの潮を帯びた淡白な魚肉の旨味が噛むごとに味をじわじわと膨らませていくのが乙で、大人好みのしみじみと品のいい味付けになっています。
時折、しめじのシコシコプニプニした食感が入り込むのがいい箸休めになり、癒されます。
にんにくのガツンとくる匂いがない分、しらす干しの磯の香りと、しめじの素朴な風味がパスタに染み込み、それぞれの具の味がはっきり分かる繊細な仕上がりになっているのがよかったです。
うどんで例えるなら、ペペロンチーノは生醤油でしっかり味付けした釜玉、こちらは澄んだ出汁のかけうどんみたいな感じですが、かといって薄味な訳ではなく、旨味は強いので病み付きになります。
不思議な事に、レモンのキュ~ッとくるフレッシュな酸味と、バターのこってり濃い脂分が組合わさると、少し粉チーズっぽい味になるのが面白く、見た目以上に食べ応えがありました。
普段、レモンやシンプル系パスタに興味がない夫ですが、「うまい!これならボウル一杯大盛りでも食べられる!」とかなり気に入っており、また食べたいと絶賛していました。
少ない材料で簡単に作れるのに、見た目以上に凝った味わいになりますので、料理初心者から上級者まで色んな方にお勧めしたいです。
P.S.
00092さん、無記名さん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『裏の家の魔女先生』 西川魯介/秋田書店
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。