『めんつゆひとり飯』の“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”を再現!
- Sat
- 23:50
- 再現料理
陶器の瓶に入れられた高級品として売られていた為、ごく一部の富裕層の手にしかわたっていなかったみたいですが、その中でも大いに気に入っていたというのが何とあのルイ十四世で、ヴェルサイユの宮廷料理人たちが肉料理の隠し味に使っていたというのには驚きを通り越して感動しました。
現代の照り焼きソースやすき焼きをルイ十四世が食べていたらどんな反応だったのだろうと思わずにはいられません。
どうも、軽い気持ちで購入していた幕末のソイソースの味が好みドンピシャで、最近は何にでもかけて食べている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『めんつゆひとり飯』にて主人公・面堂露さんがある日の夕食に作った“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”です!
『めんつゆひとり飯』とは、筋金入りのめんどくさがり屋で「全力でラクに済ませたい」がモットーの26歳OL・面堂露さんが、美味しく健康的で手間いらずな自炊を追求して辿り着いためんつゆ料理で日々楽しく過ごす様子を描いた、前代未聞のめんつゆ専門四コマ料理漫画です!
これまで、肉・魚・野菜・カレー・スープ・味噌汁・お好み焼き・ハンバーガー・チャーハン・キャンプ飯・燻製・コンビニ食・精進料理・おかゆ・駄菓子・雑食系など、強力な題材限定のグルメ漫画が登場しましたが、今作は調味料縛り、それもめんつゆ一種類が主役という異色の料理漫画で、度肝を抜かされました;。
数年前、「料理にめんつゆを使う女とは付き合えない」というツイートが話題になり、色んな意見が飛び交っていたことがありますが、裏を返せばめんつゆで料理するということはそれ程ありふれていることなのだと思います。
自炊をする人間にとって、最初から醤油・砂糖・みりん・お出汁が黄金比率で組み合わされているめんつゆは頼もしい相棒、そして時短調理界の神ですので、同じ混合調味料なのになぜか料理に使っても邪道扱いされないポン酢と同じくらい市民権を得てほしいものです(←
めんつゆだからといって和食メニューだけではなく、他の調味料との組み合わせによって洋食・イタリアン・中華・エスニックなど作中では無限大の広がりを見せていましたので、自分の作る自分の味に飽きた、けれども外食する程ではなく凝った料理に挑む気力もない時に、非常に参考になる作品です。
露さんのめんどくさがりは生まれつきの資質だったそうで、幼少期から学校への最短の道のりを探す為けもの道を歩いたり、廊下の雑巾がけを両手両足計四枚使って一気に終わらせようとしたりなどやりたい放題で、超がつくレベルの横着っぷりで苦笑しました(←現代だったらルンバを学校に持ち込みそうです)。
しかし、意外にも露さんは入社当時から要領がよく機転がきき、同期全員と一番最初に打ち解ける程コミュ強かつ器用なタイプで、露さんとは反対に何でも手作りする真面目で料理上手な人妻社長秘書・十越いりこさんから一目置かれています。
発言や行動はやる気がなさそうに見えるもののやるべき事はちゃんとする、「面倒なことをできるだけ早く終わらすために作戦を練るのがうまい」と評された『NARUTO』の奈良シカマルに近い物がある主人公だと感じたものです。
なお、料理はほとんどめんつゆしか使わないと豪語する露さんですので、常備しているめんつゆにはさぞかしこだわりがあるのではと初見時は予想していましたが、基本めんつゆはどれでもいい派で、その理由を「クオリティ安定がめんつゆの良さだし、種類とか使い分けとかこだわるタイプならめんつゆで料理してない」という至極当然な発言をしており、妙に納得しました。
今回再現するのは、記念すべき第一話目で紹介された“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”!
作り方は簡単で、バターを溶かしたフライパンで牛コマ肉・にんじん・玉ねぎ・いんげんを炒め、結びしらたき・めんつゆ・お水を加えて煮込み、途中ナチュラルカットタイプの冷凍フライドポテトを投入してひと煮立ちさせたらもう出来上がりです。
ポイントは、冷凍フライドポテトは凍った状態のまま使うことで、下手に解凍するより直接入れた方がグズグズにならずおいしく煮えるようです。
冷凍ポテトを煮物に!?と始めは衝撃的でしたが、ネットで調べてみると、冷凍ポテトは味がついていない上ある程度熱が通っている為アレンジしやすいそうで、煮物だけではなく炒め物やグラタンなど様々なアレンジ料理が見つかりました。
露さん曰く、「前に居酒屋で食べたんだー素揚げしたジャガの煮物。試しに冷凍ポテトで作ったら出来たの」とのことで、一見ズボラそうに見えてこの発想力と応用力、本当はかなりデキる女性なのでは…と思ったものです。
煮物を久々に食べたいと思いつつも億劫に感じていた時、こちらの料理を思い出して再現することにしました。
作中では大体のレシピが記載されていましたので、その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、炒め作業。
お鍋か底の深いフライパンへバターを入れて中火にかけ、牛コマ肉を入れてざっと炒めます。
牛コマ肉にバターが染みて焼き色がついてきたら、それぞれ食べやすい大きさにカットしておいたにんじん、玉ねぎ、いんげんを投入し、炒め合わせます。
次は、煮込み作業。
にんじんにやや火が通ってきたら結びしらたき、めんつゆ、お水を加え、弱火~中火でコトコト煮ます(←めんつゆによって濃縮率は異なりますので、各々の裏面に記載されている比率でめんつゆとお水の量を決めます。ちなみに、当管理人は今回こちらを使用しました)。
ひと煮立ちしたら、ナチュラルカットタイプの冷凍フライドポテトを凍ったまま投入し、さらに煮込みます(←前回に引き続き回し者かと思われそうですが、Heinzの青袋がおすすめです)。
※この段階で落し蓋をしたり、一回火を消してから時間を置き再度火にかけると、煮汁が浸透しやすくなります。
時間が経って全体に火が通り、煮汁が染みたのを確認したら火からおろし、器へ盛り付ければ“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”の完成です!
パット見だと手抜き要素はなく、香りも含めてめんつゆだけのずぼら調理とは思えない正統派な感じで、強いて言うならじゃがいもの切り方が変わっているかな?と思うくらいです。
普段、肉じゃがは牛肉・じゃがいも・玉ねぎ・糸コンのみのシンプルレシピを採用しているので茶色い見た目になるのですが、こちらはにんじんやいんげんが入っている分色鮮やかで、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
めんつゆだけの思い切りがいい肉じゃがはどんな味がするのか、ドキドキします。
それでは、熱い内にいざ実食!
いただきまーす!
さて、味の感想は…味付けがほぼめんつゆだけとは思えない程よく出来た一品!まさに「ちゃんとは作ってないけど、ちゃんとおいしい」煮物です!
基本上品系のあっさりした甘辛い出汁醤油味ですが、バターでこってりしたコクと風味がついている為、後味は意外と洋風でそこそこガッツリしているのが特徴的。
肉を煮物にするとパサパサになりがちですが、こちらはバターがしっかり浸透して濃厚な旨味があり、ご飯が進みました。
プロが作るお店の煮物みたいに甘い辛いが際立ったメリハリのある旨さではありませんが、家庭の味が名物のお惣菜屋さん系の優しいおいしさで、癒やされます。
フライドポテト使用なので油っこくないかと心配しましたが、冷凍前はあくまで軽く揚げただけのせいか、ほぼほぼ気になりません。
短時間調理でも長時間煮込んだようなホコホコ感と味の染み込み具合で、口当たりがホロリと柔らかかったです(←ナチュラルカットで皮付きの為、素揚げした新じゃがの煮物に近い気がしました)。
糸こんではなく結びしらたきなのも一口で食べやすく、煮汁をたっぷり絡めているのが気に入りました。
にんじんのほっくりした甘さやいんげんのシャッキリした食感もいいアクセントになっており、こういう具沢山な肉じゃがもいいなと思ったものです。
また、個人的に濃いめの味が好きなのでどうしても料理の塩気が強くなりがちなのですが、こちらはめんつゆだけと決めて作ったせいか塩分控えめで、最終的にちょうどいい塩加減になるのがよかったです。
途中、何度も醤油やら日本酒やら砂糖やらを足したくなりムズムズしましたが、余計な味足しなどせずとも十分美味でほっとしました(←ただ、めんつゆの品質によって仕上がりにかなりの差がありそうなので、激安系のめんつゆはよした方がよさげです)。
夫にも試食してもらったところ、味付けがめんつゆだけとは気づかず、種明かしをすると感心していました。
一晩経って味がよりなじんだ肉じゃがもおいしかったので、少し多めに作ってもいいかもしれません。
P.S.
とくらこさん、ほーりーさん、無記名さん、コメントをして下さりありがとうございます。
とくらこさん、私も当初無料お試しを読んだのですが、ナポリタンの魅力的な描写や「もっと続きを読みたい!」というフック力が強く、迷わず単行本を購入しました!おっしゃる通り、画像の量では物足りず、すぐおかわりをしました;。一度他のケチャップで試したりもしましたが、オランダ製のHeinzを使って作るのがやはり一番おいしかったです。
ほーりーさん、私もあのシリーズを読んだ方が身近にいらっしゃってすごく驚きました!周囲に聞いても誰も知らず、Amazonで見るとすごくプレミアがついて度肝を抜かれましたので、小ネタをわかっていただけて大変嬉しかったです(←アイスクリームはかせも悪魔のスパゲティも持っています!)。あれから時間が経ち、おにぎり恐怖症もとけてきたので、おにぎりだけでなく他の料理も再現してみたいです。
無記名さん、だいぶ昔の記事にコメントして頂き恐縮です。卵黄を味噌に漬けて放置するだけなのに、本当に宝石みたいな輝きになるんですよね…再現した時は感動しました。見た目の美しさだけではなく、味も(美食俱楽部の本物には及ばないとわかっていますが)未だに思い出せるくらいおいしいので、たまに無性に食べたくなります。
●出典)『めんつゆひとり飯』 瀬戸口みづき/竹書房
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。