『丼なモンダイ!』の“国崇の特製バター牛丼”を再現!
- Sun
- 11:18
- 再現料理
こんにちは、腰が健康である事の大切さを痛感したあんこです。
今日再現する漫画料理は、『丼なモンダイ!』の第一話にて主人公・米野国崇さんがもう一人の主人公である女性・及川栞さんと初めて出会った時に作った“国崇の特製バター牛丼”です!
漫画『丼なモンダイ!』とは、農林水産省の落ちこぼれなものの実は料理の腕がプロ級な役人・米野国崇さん(29)と、実家が栃木の米農家である事から米余り問題を何とかしたいと考えて公務員になった新人女性・及川栞さんのお二人が、国が推し進める米消費向上対策の為に作られた政府直営の丼専門店・「丼ぶり一丁」でオリジナリティー溢れる丼を開発して作りまくり、日本に丼&米ブームを起こそうと奮闘するお役人系丼漫画です。
設定だけ聞くと「そんな無茶な…」とつい考えてしまいますし、実際米野さんも最初の方で「国民に米を食ってもらうのに丼店って…役人の発想はどんだけ安易なんだよ」と言ってあからさまな左遷だと嘆きます。まあ、肝心のお店が吉○家・す○や・ファミレスに取り囲まれている場所へポツンと建っているという飲食店が生き延びるには絶望的な立地条件なので、無理ないですね(^^;)。
しかし話が進むにつれ、米野さんは元はと言えば料理人になりたかったという過去を思い出して俄然やる気を出し、目新しくておいしそうな丼メニューを次々と打ち出していきます。普通、料理漫画と言えば奇抜な発想の料理が多数を占めがちですが(例:『ミスター味っ子』など)、この『丼なモンダイ!』では、定番すぎて手を加える事を躊躇する丼達を独自の工夫でさり気なく改良していく所がとても興味深く、地味ながらもスラスラ読み進めてしまう魅力があります。
あと、一巻の最後で少しだけ明らかになった情報によると、何と米野さんは「昭和の名庖」としてその名を轟かせた料理人の息子らしく、どうやら「丼ぶり一丁」が作られた理由も単なる思い付きではないような気配が漂っています。ともあれ、今後の進展が待ち遠しい良作です。
今回作るのは、そんな米野さんが落ち込む相方・栞さんに元気を出してもらおうとして久々に作ってふるまった“国崇の特製バター牛丼”!作り方自体は普通ですが、ポイントなのは甘口の赤ワインを使って牛肉を煮込む事。何でも、赤ワインに含まれるタンニンという成分は肉の臭み消しに有効な上に牛肉とよく合うらしく、おまけに甘口を使うことによって砂糖を控えめにする事が出来る為、大幅にくどさを抑えられるのだそうです。
ちなみに、バターは味付けとしてでなく直接丼の上に乗せてトッピングとして食べるのがベストで、米野さんが言うには相当に「最高」なのだとか。
作中の説明によると、大手牛丼チェーン店では白ワインの甘口を隠し味として使用している所がほとんどで、甘口赤ワインを使っているお店はほとんどないみたいです。一体どんな風に味が違うのか気になりましたので、早速単行本に書いてあるレシピ通り再現してみようと思います!
そういう事で、レッツ再現調理!
まずは、材料の準備。牛薄切り肉は食べやすい一口サイズに切り、玉ねぎは厚さ五ミリ前後の薄切りにしておきます。この際、用意する牛薄切り肉はサシが多めに入っているバラ肉っぽいお肉の方が、おいしい牛丼になりやすいです(もちろん、ない時は肩部分のお肉でも可です)。
その間、ボウルに水、砂糖、醤油、みりん、甘口の赤ワイン(なるべく、「甘口」ときっちり表記されている物がいいです)を入れてよく混ぜ、あらかじめ調味液を作っておきます。珍しい事に、出汁は一切使いません。
次は、炒め煮作業。脂をひいて熱したフライパンに牛薄切り肉を加えてざっと炒め、半分以上に火が通ったら玉ねぎを投入して炒め合わせます。
牛薄切り肉の表面が焼き固められ、玉ねぎにも若干熱が入ったら調味液を加え、アクを取りながらこまめに煮ます。
※私の場合、煮込みやすいという理由からこの時鍋に移しかえましたが、フライパンで煮続けても大丈夫です。
アクが出なくなってきたら、落し蓋か穴の開いたキッチンペーパーを上に置いてさらに煮ます。煮る時間は好みによって変えてもOKですが、個人的に最低でも三十~四十分は煮た方が味がまとまっていいと思います。
煮込みが終わったら、丼ご飯の上へ牛丼の具と丼つゆをたっぷりかけ、最後に紅しょうがとバターを乗せれば“国崇の特製バター牛丼”の完成です!
牛肉と玉ねぎの香ばしい匂いが漂い、いやがおうにも食欲がかき立てられます。赤ワインの効用か臭みは全くないので、味の方にも期待が持てます。
それでは、熱々な内にいざ実食!
まずは、バターを混ぜずにそのまま一口。いただきま~す!
さて、味はというと…本当に本格的な味がしてすっごくウマーーー(゜Д゜)!
しっかり煮えているのに柔らかくてジューシーな牛薄切り肉、トロントロンで溶けてしまいそうに甘い煮玉ねぎといった具が甘辛くて味わい深い丼つゆにぴったりで、これらをご飯に絡ませて食べるとまさに三位一体の完璧な味わいを楽しめます。牛丼屋さんに例えるなら「吉野家よりも濃く、すきやよりもさっぱり」って感じの非常にバランスがいい仕上がりで、全体的に上品で優しい甘味がきいているのが特徴的でした。牛肉特有の濃厚な旨味を十二分に引き出した、素晴らしい牛丼だと思います。
作中の記述通り、砂糖の代わりとして多量に入れた甘口赤ワインの自然な風味が牛丼にありがちなくどさを見事に打ち消しており、逆に鮮やかでキリリとした香気をプラスしていました。こってりとあっさりの中間に位置する味なのでバクバク食べれちゃいますし、何より必要最低限の調味料しか入っていない為すっきりした後口で、一般的な牛丼よりも比較的軽く食べられるのがよかったです。
今度は、いよいよバターを混ぜこんで実食。いっただっきまーす!
味の感想は…これもひと味違った感じで旨し~っ!牛丼の新たな一面発見です!
作中で米野さんは「まぁ試してみろ!醤油の甘ダレとバターの組み合わせは最高だから!」と言っていましたが、確かにこれはかなり合っていました。バターのまろやかなコクが牛肉や玉ねぎ、ご飯をまんべんなく包み込み、先程とは一転して洋風ならではのガッツリとした旨さへと変化させています。少なくとも、バター醤油かけご飯が好きな方には間違いなく大受けしそうな味でした。仮に途中で脂をきつく感じるようになっても、紅しょうがの酸味が舌をさっぱりリフレッシュしてくれるので、問題なしです。
他の調味料が混ざっているので、バター醤油みたいにはっきりした味わいではないのですが、その分癖が和らいでいる為すんなり食べられますし、より複雑な旨味を堪能出来ます。バターライスっぽくなったご飯と牛丼の具がこんなに相性がいいなんて、正直予想外でした。丼つゆにバターを溶かし込むだけだとしつこくなり過ぎてしまうので、必要な分だけトッピングするこの方式は素晴らしいです。
内心、「家庭でこれ程の牛丼が作れるなら、もう牛丼(並)は他所では食べないだろうな~」と思いました(^^;)。すきやのネギ玉牛丼みたいに特殊な丼はこれからも外で食べ続けると思いますが、普通の牛丼はこれで十分だと考えています。
◎おまけ
ちなみに白ワインと赤ワインの違いですが、後々某チェーン店に行って食べ比べてみた個人的な感想だと、白ワインより赤ワインの方が肉の臭みを消すのに役立っているように感じました。もちろん白ワインでも十分おいしいんですが、やはり香りが強い牛肉の旨味を最大限まで生かすのには、赤ワインの方がぴったりなようです。但し、これは好みで分かれる範疇だと思います(私の場合、牛丼は赤ワイン・豚丼は白ワインの隠し味が一番いいと思います)。
また、これは完全な蛇足ですが、『丼なモンダイ!』をよ~く観察するとどうやら栞さんは米野さんに淡い恋心を抱いているみたいなので、このままうまくいって『美味しんぼ』の山岡さんと栗田さんみたいな名カップルになってくれたらいいな~と密かに願っています(…と思っていると、アマゾンのレビューにも私と同じ考えの方がいらっしゃったのでほっとしました^^)。
●出典)『丼なモンダイ!』 原作:花形怜 作画:吉開寛二/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
『クッキングパパ』の“コブカルボ”を再現!
- Fri
- 11:30
- 再現料理
どうも、イングリッシュマフィンの外はサクサク、中はモチモチした食感が大好きなあんこです。
今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が夜遅くまで仕事をしている会社のみんなに作ったコブスパ二種の一つ“コブカルボ”です!
残業でクタクタになったみんなに、荒岩主任が夜食として“バジリコブ”(少し前に当ブログで再現しました)を作った際、気を利かしてもう一種類用意したのがこちらのスパゲティです。
作り方は“バジリコブ”とほとんど一緒で、バター・昆布茶・卵黄・生クリーム・塩・こしょうで作ったソースに茹でたスパゲティを入れて混ぜ、上にカリカリベーコンを乗せれば出来上がりです。普通、カルボナーラといえばチーズを入れるのが鉄則ですが、珍しい事にこの“コブカルボ”にはチーズは一切入っていません。どうやら昆布茶がチーズの代わりになるのだそうですが、一体どんな味になるのか想像もつきません…;。
ちなみに、下の画像は荒岩主任が手際よく二種類のコブスパを作っていた時のワンシーン。菜箸でバッバッと力強く混ぜる様子といい、ボウルの中でみるみるうちにソースが絡んでいく麺の描写といい、お腹がすいている時には非常に危険な一コマです。このシーンを見るたび、無性にスパゲティを食べたくなります(´Д`;)ハアハア。
あと、作中で田中君は「そりゃそりゃっ」とかけ声を出しながらフォークで大量のスパゲティを巻き取り、そのまま一気にほおばって食べるんですが、このシーンも個人的にすごく好きです。外だとなかなか出来ませんが、家だと口の中一杯にスパゲティをすすりこむ派ですので、見ていると「うん、やるやる!」と思わず頷いてしまいます。食事描写に定評がある『ルパン三世 カリオストロの城』という映画の中でも、これと似たシーンはありますので、もしかしたらこの食べ方は割と多くの方が自宅でこっそりやっている事なのかもしれません(うちの父の場合、レストランでも気にせずお箸で盛大な音を出してスパゲティをすすりますが^^;)。
生クリームがないレシピなら何度も見ましたが、チーズを全然入れないというカルボナーラのレシピは今までに見た事がなかったので、かなり好奇心が刺激されました。こうなったら、早速再現して味を確認してみようと思います!
という訳で、レッツ再現調理!
まずは、スパゲティソース作り。湯煎にかけたボウルの中へバターを入れて溶かし、そこに昆布茶を投入して泡だて器でガーッとよく混ぜます。
バターと昆布茶が完全に混ざったら、卵黄、生クリーム、塩、こしょうを加えてさらに混ぜ、段々トロンとした液体状になってきたらスパゲティソースの出来上がりです。この時点では、まだ荒挽き黒こしょうは入れません。
その間、油をひかずに熱したフライパンで短冊状に切ったベーコンを弱火でじっくり焼き、カリカリにさせて別皿に取り出しておきます。
次に、ちょうどいい硬さに茹で上げて水気をきったスパゲティをソースが入っているボウルへ投入し、菜箸で手早く混ぜ合わせます。その際、ゆっくり混ぜていると卵がポロポロに固まってしまいますので、卵を溶く要領でチャッチャッと円を描きながらスピーディーに混ぜる事をオススメします。
麺とソースがまんべんなく絡み合ったらお皿へ盛り付け、その上にカリカリベーコンを乗せて荒挽き黒こしょうを振りかければ“コブカルボ”の完成です!
麺の熱でわずかに火が通ってトロミがついたソースがおいしそうで、見た感じではチーズなしに見えません。ただ、香りのほうは卵の風味がやや強いので、鋭い方でしたら気づかれるかもしれません。
それでは、麺が伸びない内にいざ実食!いっただっきまーす!
さて、味はというと…軽めなのに不思議とコクがあって旨し!
最初は「チーズなしで、本当に大丈夫なのかな…?」と半信半疑だったのですが、食べてみてそのあまりのおいしさに驚愕しました。これはかなりいけます。シンプルスパなバジリコブとは違い、このコブカルボには卵黄や生クリームなどの個性が強い材料が入っているのでさすがにはっきりと昆布味が分かる訳ではないんですが、後々ガツンと独特の旨味成分がきいてくる為全然物足りなくありません。むしろ、濃厚なのに決してしつこ過ぎず爽やかに完食出来るという意味では、こちらの方が上手かもしれません。
チーズ入りカルボナーラに比べるとやや重厚感に欠けますが、軽くなり過ぎてしまうギリギリの所で生クリームや昆布茶がうまくカバーをしてくれています。トッピングとして乗せたカリカリベーコンの香ばしい塩っ気や、溶かしバターのふくよかな旨さもスパゲティとぴったりですし、何より胃にもたれる事なく食べられるのが個人的に嬉しかったです。卵黄と生クリームをたっぷり使ってトロリとなめらかに仕上げた洋風パスタソースと、日本を代表する和の調味料・昆布茶がこんなに相性がいいとは、新発見でした。意外な事に、チーズが入ってなくても結構カルボナーラっぽく食べられたので、「さっぱり日本風カルボナーラ」として定番化したいメニューです。
それにしても、こんな洒落たスパゲティを夜食にささっと作ってくれる上司がいるなんて、田中君たちは恵まれているな~と改めて思いました。こんな料理を食べられるなら、たとえ面倒でも「しょうがないな~」と言いつつ残業も頑張れそうです(もっとも私の場合、ミスの後処理をする側というよりはミスをする側である事が多いですが…orz)。
●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
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当管理人お気に入りのガンプラ3
- Thu
- 16:06
- ガンプラ、プラモ
MGの方は単なる素組みですが(恥ずかしながらエアブラシを持っていない為、購入後に塗装する予定)、HGUCの方は「同じ色だったらつまらないな~」とつい悪乗りし、女の子をイメージしたカラーに塗ってみました。ちなみに、モデルは『Z.O.E Dolores, i』のドロレスです。青系統の大きいギャンと、赤系統の小さいギャンを並べて置いてみるとまるで親子のようだったので、ポージングも調子に乗って「休日、娘ギャンと遊んであげているパパギャン」風にしてみました。相方マサル君共々、結構気に入ってます(^^*)。
『ダシマスター』の“豚ばら肉の出汁チャーハン”を再現!
- Wed
- 10:21
- 再現料理
こんにちは、他にも見落としがないか注意深く探しているあんこです。
今日再現する漫画料理は、『ダシマスター』にて依頼を受けたダシマスターがあり合わせの材料で作った“豚ばら肉の出汁チャーハン”です!
漫画『ダシマスター』とは、かつてヨーロッパ社交界を震撼させて「一度食べたらその人の心を掴んで離さない」と有名になった出汁のスペシャリストである出張料理人・ダシマスターことダイゴ・ヤタ(詳しい経歴と名前の漢字は未だ不明)と、初登場時は普通のOLだったもののダシマスターの作る料理の虜となってその助手に転職した高原承子さんのお二人が、多種多様な依頼人の元へ出向いて希望される通りの料理を作るという出張料理人グルメ漫画です。
この作品は何とも珍しい事に「出汁」をテーマにした料理漫画で、作中でも繰り返し「出汁こそ料理の命」である事が強調されています。ダシマスター曰く、いい出汁を取るのに重要なのは高価なブランド食材を使うことではなく、如何に手間と工夫を凝らして素材の持ち味を生かすかで、そうしないとせっかくの料理も台無しになってしまうのだとか。確かに、使う材料がどんなによくても出汁が変だと料理の味はガクンと落ちてしまうので、すごく説得力があると思います。これまで「出汁」はあまりに身近すぎて見過ごされてきた観があるので、これからどういう技法や活かし方が紹介されるのか非常に楽しみな作品です。もちろん、ストーリーや出てくる料理自体も独創的で面白いので要チェックです(個人的に、主人公・承子さんの不器用だけどあたたかな性格に萌えてます^^)!
今回再現するのは、第二話目でダシマスターが「彼はニセモノに違いない!」と疑ってかかる日本一のグルメ評論家・里村壮一郎先生の依頼に応じて作った“豚ばら肉の出汁チャーハン”。ダシマスターの事をしきりに胡散臭く思う里村先生は、化けの皮をはがそうとして唐突に冷蔵庫に入ってる材料のみでの調理を命じるのですが、それでもダシマスターは慌てずにあり合わせの豚ばら肉・冷ご飯・卵・ネギ・梅干しで見事な出汁入りチャーハンを作り上げ、里村先生を改心させる事に成功するのでした(本来ならもっと洒落た料理も作れたそうなのですが、その場にいる全員分の料理を作る為にあえてチャーハンにしたみたいです)。
家庭用キッチンなのに本格的なチャーハンを作れた秘密は、ダシマスターが即興で作った二種類の出汁にあります。一つ目は豚ばら肉だけを慎重に煮てとった豚の出汁、二つ目は梅干しを茹でてとった出汁で、豚の出汁はチャーハンの仕上げ、梅干しの出汁は醤油などを調合して味が抜けた豚ばら肉へ旨味をつけ足す漬け汁にする事によって、本場の味に近い味わいを作り出したとの事でした。
作中での描写がこれまたそそる感じで、絶対に再現したいと思っていました。詳細なレシピはありませんので手探りになりますが、『ダシマスター』の料理の中では比較的簡単な部類に入りますので、早速再現してみようと思います。
そういう事で、レッツ再現調理!
まずは、豚の出汁の用意。鍋に豚ばら肉の塊と水を入れて火にかけ、決して沸騰させすぎないように一時間以上弱火でじっくり煮ます。その内アクが多量に発生してきますので、アク取りで残さず丁寧にすくい取ります。この時、どれだけ根気強くアクを取るかによって出汁の味が決まる為、相当に神経を使いました(^^;)。
その間、同時進行で梅干しの漬け汁作り。別の小鍋に種を取ってほぐした梅干しと水を入れてアクを取りながらゆっくり煮立たせ、四十~五十分程経って梅の出汁がほぼ出切ったら醤油、お酒、みりんを加えてよく混ぜます。一口飲んで「結構酸っぱしょっぱいな~」というくらいの濃度にまで味付けし終えたら、梅干しの漬け汁の出来上がりです。
余談ですが、無着色の梅干しを使用してもお湯が桜色のような淡いピンクへ染まったのに少し感動しました;。自然が作り出す色って、本当に美しいです。
一方、豚肉入りの鍋の出汁が澄んできたら火を消し、鍋から柔らかく煮えた豚ばら肉を取り出してキッチンペーパーの上に乗せ、鍋に入っている出汁と共にそのまま自然に冷ましておきます。
豚ばら肉の熱が大体冷めたら先程の梅干しの漬け汁へそのまま投入し、約一時間漬け込みます。ちなみに途中、外側に漬け汁の色が染みこんでいるのを確認したら一旦取り出し、ダイス状に切って再度漬け汁の中へ戻し入れます(作中にはない勝手な手順ですが、こうすると中心までより漬け汁が浸かりやすくなるかな~と思ってしました)。
次は、チャーハン作り。熱したフライパンに油を入れてなじませ、そこへ溶き卵→冷ご飯の順に加えてあおりながらざっと混ぜ、塩、こしょうで調味します。味見していい塩加減になっていたら、漬け汁から引き上げた豚ばら肉、刻みネギを入れて混ぜ合わせ、最後に豚の出汁をベチャつかない程度にさっと回しかけます。
出汁とチャーハンがバランスよく混ざったら火を消し、すぐにお皿へ盛り付ければ“豚ばら肉の出汁チャーハン”の完成です!
見た目も香りも普通のチャーハンとそう変わりませんが、強いて言うなら豚肉のいい匂いが結構強めに漂っています。塊から切り分けた為、脂肪の部分・赤身の部分・両方が入り混じっている部分と様々な豚肉が入っているのが特徴的で、どこを食べても豚肉尽くしっぽいのでほほが緩みます。
それでは、いざ実食!いただきまーす!
さて、味ですが…かなり美味!さすがダシマスターの考え出したチャーハンです!
調味料は普通のチャーハンとほぼ同じなので基本的に似た味なのですが、豚の凝縮された旨味がふんだんに含まれている出汁を仕上げに加えている為、味の輪郭が一般的なチャーハンよりも数段くっきりしています。一粒一粒に豚の風味がしっかり染み込んでおり、ある意味チャーハンというよりは炊き込みご飯に近いのおいしさだと思いました。それくらい、ふっくらと奥深い仕上がりだったです。これは、出汁がご飯粒に適度な水分を与えているからこその味わいだと感じました。
また、合わせ調味料に漬け込んだ豚ばら肉の方も、噛み締めるとほのかな梅干しの酸味が肉汁と共にじわじわ~とにじみ出し思わずうっとりします。一回煮ている分、お肉が十分な弾力を残しつつ柔らかくなっていますし、その上余分な油分が抜けているのでちっとも脂っこくありません。個人的に、焼き豚よりもチャーハンに合うのではと感嘆しました。フワフワ卵とシャッキリした刻みネギが程よいアクセントとなって単調さを防いでいますし、チャーハンにしては珍しく食べ終わるまであっさりした後口のままだったのにびっくりさせられました。
たまたま試食してもらった油物が苦手な母からも「これはおいしい」と珍しくパクパク食べてもらえましたし、あまった出汁と漬け汁も一緒にあわせて塩加減を調節すればウマーなお吸い物&雑炊へとリサイクルに成功しましたので、また作ろうと思います。これに気をよくした為、今度は“肉なし野菜の出汁ハンバーグ”を再現したいと思います!
●出典)『ダシマスター』 原作:早川光 作画:松枝尚嗣/集英社
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『華中華』の“木の芽風味の豚味噌チャーハン”を再現!
- Mon
- 14:27
- 再現料理
こんにちは、コメント欄にて波多野鵡鯨さんからおすすめされ買ってきた『レモンハート』『酒の細道』『風流つまみ道場』を読み、再現する事を決めたあんこです。
今日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが「日本の味のチャーハンにしたい」と言って作った“木の芽風味の豚味噌チャーハン”です!
このチャーハンを作るキッカケとなったのは、とある梅雨の時期にハナちゃんが楊貴妃さんから聞かされた「私が成仏できない理由」にあります。何でも、昔から食べる事が大好きだった楊貴妃さんは千年以上も前から美食を求めて世界中を旅し、ありとあらゆるおいしい物を食べきってから成仏しようと考えていたそうです。しかしその結果、「この日本にこそ世界で一番美味しいものがあるんだな!」という結論に至り、その上ハナちゃんに出会って毎日新しくてウマーなチャーハンを食べさせてもらうようになってからはちっとも成仏する気になれないのだとか(^^;)。確かに、斬新でおいしい料理って年々すごい勢いで増幅している気がするので、千年かそこらでは食べきった気にはなれないだろうな~と思います。
そんな楊貴妃さんから「日本らしい味のチャーハンを食べたいな!」とリクエストされ、上海亭にたまたま作り置きされてあった木の芽味噌を見てハナちゃんがピンときて作ったのが今回再現する“木の芽風味の豚味噌チャーハン”です!作り方はと言うと、木の芽味噌と豚挽き肉を合わせて作る豚味噌に卵なしのチャーハンを混ぜて炒め、その上に砂糖で甘く味付けしたふわふわの炒り卵を乗せれば出来上がりで、まさに和の食材尽くしで構成されている日本らしいチャーハンです。
せっかく家に山椒の木が植えてある事ですし、早速レシピ通り再現してみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、チャーハンのミソとなる木の芽味噌作り。すり鉢によく洗って水気をきった木の芽(山椒の葉ともいいます)を入れて細かくすりつぶし、ペースト状になったら砂糖、みりん、清酒を加えてさらにすり混ぜます。
木の芽と調味料がなじんだら味噌を入れ、なめらかになるまですったら木の芽味噌の出来上がりです。
※使う味噌は何でもいいのですが、作中の色合いから察するに赤味噌っぽかったので、今回は八丁味噌を使用しました。ちなみに、木の芽味噌はチャーハン以外にも田楽やたけのこの味噌焼きにしたり、鶏肉につけて焼いてもおいしいです。
次は、豚味噌作り。熱したフライパン(又は中華鍋)に油をひいて豚挽き肉を投入し、ほぐしながら炒めてそぼろ状にします。ポロポロッとしてきたら木の芽味噌を加えて軽く煮詰め、全体的に味が染みたら豚味噌の出来上がりです。これは一旦、フライパンから小皿に移して粗熱を取ります。
その間、油をやや多めにひいた別のフライパンで砂糖の味付けをした溶き卵を流し入れてふわっとかき混ぜ、炒り卵を作っておきます。これも、別の容器で待機させます。
ここまできたら、急いでチャーハン作り。フライパン(又は中華鍋)に油と刻みネギを入れて弱火で熱し、いい香りがしてきたら火を中火~強火に切り替えて冷ご飯を投入してざっと混ぜます。
ご飯がパラッとしてきたら先程の豚味噌を加えて混ぜ合わせ、さらに炒めます。この時他に調味料を一切入れないのがポイントで、味付けは全て豚味噌にお任せし、塩気は豚味噌の量で調節するのがコツなのだそうです。
豚味噌とチャーハンが隅々まで混ざったらお皿に盛り付け、仕上げに上から甘い炒り卵をたっぷり乗せれば“木の芽風味の豚味噌チャーハン”の完成です!
炒り卵の目にまぶしい黄色加減といい、味噌ならではの焦げ茶色といい、チャーハンの所々に顔を覗かせる木の芽の美しい緑色といい、見るからにおいしそうです。香りの方も、熱が入る事によって活性化した味噌の香味が湯気と共にブワッと鼻腔に流れ込み、味噌好きにはたまらない出来上がりになっています。
それでは、炒り卵と一緒にチャーハンをすくいあげていざ実食!いただきます!
さて、味はというと…全くの新境地な味噌味チャーハンでウマママーーー!!
とにかく、自家製木の芽味噌がすごくいい仕事をしていました!爽やかな風味で気品溢れる香りがたまらない山椒の葉と、ジューシーなコクが出ている豚ひき肉、そして独特の力強い旨味を持つ赤味噌とがチャーハンによく合っており、類い稀な相性の良さを舌の上で見せつけてくれます。うまく言えませんが、まるで「味噌焼きおにぎり風チャーハン」といった感じの味わいで、それも表面にしか味噌が塗られていない普通の焼きおにぎりとは違い、こちらの方が一粒一粒にちょっと焦げて香ばしくなった味噌がまんべんなくまぶされている分、もっと美味だと思いました。和と中華が違和感なく両立しており、かなり至福の味わいです…。
また、ふくよかな甘味の炒り卵が塩気の濃いチャーハンと合わさると味に膨らみとメリハリがつき、同時に後味が単調になるのをビシッと防いでいました。山椒の葉のおかげかガツンとボリュームがある割には不思議とさっぱり感覚で食べられますし、本当に言う事なしなおいしさです!
木の芽味噌を食べるのは初めての経験だったのですが、これは色々な料理に応用できる優れものな調味料だと思いました。実家の庭にまだたくさんあるので、これからもいっぱい使おうと思います。
●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
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