『どんぶり委員長』の“よくばり具材のはなまるう丼”を再現!
- Sat
- 21:00
- 再現料理
こちらにも肉まんがおいしいお店は一応あるのですが、やはり肉汁たっぷりで豚の旨味がギュッと詰まった餡においてこちらの右に出る所はなく、遠い九州の地では滅多に食べられない為、残り二個は特別な日用として冷凍庫で保存しています。
あと、何気に便利なのが蓬莱551のオリジナル保冷バッグで、分厚い本を入れても結構な強度で全然破れない為、書類や雑誌を持ち運びするのに重宝しています。
どうも、その昔どこかのお店で食べた春雨入り肉まんも、なんちゃってフカヒレ風でおいしかったな~とふと懐かしく思い返した当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて立ち食いうどんに憧れる委員長の為に吉田君が考案して作った“よくばり具材のはなまるう丼”です!
連載当初は『アルプスの少女ハイジ』に出てくるロッテンマイヤーさんの如く礼儀作法に厳しく、丼なんて下品で男の食べ物!と頑なだった委員長ですが、吉田君の丼によって順調に
何でもご飯に乗せたがるあまり行き過ぎた発想力を発揮しては、「もち丼」「洋朝食丼」「杏仁豆腐とごま団子丼」など、新しさを追求しすぎてカオスになった現代アートのような組み合わせを提案し、丼の暗黒面に落ちそうになることもしばしば;。
しかし、真面目過ぎて周囲を若干遠ざけていた感じが徐々になくなっていったのは事実で、食べ物と料理人の力は偉大だな~と思います。
けれども、そんな委員長でも無理だと躊躇しているのが、立ち食い店!
学校の近くにある立ち食いうどん屋さんの前で、いいお出汁の香りを嗅ぐたび好奇心をくすぐられていたようなのですが、「とっても食欲をそそられるんだけど…」「手早く食事を済ませたい男の人達だけの聖域ってイメージ…」と一種の壁を感じており、興味深げにウロウロしていました。
確かに、あのソーシャルディスタンスの真逆を行く狭いカウンターといい、ほぼほぼ成人男性の客層といい、奥まで見えにくい入口の扉といい、昔の映画にでてきた西部劇の酒場っぽい硬派なイメージで、おひとり様女子にはちょっと敷居が高いかもしれません(←女子を通り越して婦人の当管理人ですら、夫と一緒じゃないと未だに入りづらいです)。
別にテンガロンハットをかぶった荒くれ者に「ピューゥイ!」と口笛を吹かれて野次られる訳ではないですし、誰も気にしないので普通に入っていいとは思うのですが、異性ばかりの飲食店ではどうしてもアウェイ感は否めず無意識の内に緊張が走るので、委員長の気持ちもよくわかると思ったものです(←男性目線で例えるなら、若い女子ばかりでインスタ映えしそうなお洒落カフェに近いものがあります)。
すると、その時たまたま立ち食いうどん屋さんで食べ終えたばかりの吉田君とばったり鉢合わせし、自分の知らない世界に興味津々な委員長は「今、個人的に社会研究のレポート書いてて…」「<日本の立ち食い店と景気の関連性>っていうテーマのね!!」と無理がありすぎる理由をでっちあげ、中の様子を根掘り葉掘り聞きだそうとします(
「さっきの店で何を注文したの?」「ち…ちなみにうどんの種類はどんなのがあるのっ!?」「それでっ!?システムはっ!?」「薬味は!?ネギとか!?七味はどうするの!?」「他人と肩が触れ合う距離でまずは、おつゆをすすって!?それから麺を!?」など、吉田君が思わず引いてしまうくらい大興奮で、まるで「ラーメン二郎」のルールを確かめるべくジロリアンを質問責めにしているラーメン初心者のような熱心さでした;。
最近はネットで簡単に情報収集できるので、知らないお店を調べるのは楽勝と思われがちかもしれませんが、いざ調べてみると地元の小さいお店の細かいローカルルールみたいな情報はほとんどなく、結局は自分で実際に聞くか行くかして泥臭く探るしかない為、委員長が情報を持つ吉田君に食いつくのも無理はないな~と共感したものです(←だからこそ、色々問題はあるものの、食べログやGoogleマップローカルガイドの口コミは貴重だと思います)。
最終的には吉田君も「これ絶対レポート関係ねーだろ!!」と流石に気づいて突っ込んでいましたが、丼欲に憑りつかれている委員長は「そうだけど何か?」とまるで合気道師範のように華麗にかわし、「アタシのためにうどんのようなどんぶり作ってくれる!?」といつものようにお願いしていました。
マヨラー・ケチャラー・ソイラーなど、この世には様々な愛好者がいますが、委員長はもはや丼ラーという新ジャンルを作っていいくらいのはまりっぷりだと思います…。
こうして、ノリノリな委員長に逆らいきれず吉田君が渋々作ってくれていたのが、この“よくばり具材のはなまるう丼”です!
作り方は簡単で、麺つゆ・お水・刻んだいなり寿司用の油揚げ・牛バラ肉をお鍋に入れて煮込み、ご飯の上に汁ごとかけ、仕上げに天かす・刻みネギ・生卵を乗せたら出来上がりです!
ポイントは、牛バラ肉を入れる前にめんつゆ・お水・油揚げで少し煮込んでおくこと、牛バラ肉を入れた後はアクをこまめに取り除くことの二点で、こうすると油揚げについている甘い味が溶け込んでいいお出汁になると作中で語られていました。
おつゆは関西風ではなく関東風の甘辛い味付けみたいで、これなら確かにご飯が進みそう…と読んでいて食欲がわいたのを覚えています。
当初、吉田君は一種類の具しか入れないつもりで「…ていうか何の具材で食べたいんだよ?きつね、たぬき、月見、肉…」と聞いていましたが、委員長は「う~ん…全部?」とまさかの全部乗せを希望した為、こんなに具だくさんのレシピになっていました(←追加具材やうどんの種類が山ほどある「資さんうどん」のメニュー表を渡さなくてよかったねと心底感じました)。
実際に食べた委員長曰く、「だしの中に甘みが溶け込んだおつゆをたっぷりと吸った油あげがじゅわっと!!」「そして牛バラ肉の旨味も口いっぱいに広がる!!」!!「この香ばしい天かすのサクサク感とネギのシャキシャキ感!!」「よくばり具材の全てが…ごはんと合いすぎて完全にうどん超えっ!!」とのことで、本能の赴くまま夢中でかっ込んで食べていました。
なお、吉田君も委員長の食べっぷりを見て自分の分も作ろうとしたのですが、卵しか残っていなかった為、ただの卵かけご飯になっていて気の毒でした;(←でも、この材料なら薄めのすき焼き風卵かけご飯になりそうなので、これはこれでいけそうな気もします)。
うどんの具でご飯というのは今まで思いつきもしない組み合わせだった為、ちょっと迷いましたが、どういう味がするのか気になったので再現することにしました。
作中には分量付きの詳細なレシピが記載されている為、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、具の準備。
めんつゆとお水を入れたお鍋を火にかけ、市販のいなり寿司用味付き油揚げを細く切ったものを投入し、さっと煮込みます。
油揚げが煮えてきたら牛バラ肉の薄切りを加えてさらに煮込み、沸騰してアクが出てきたらこまめに取り除きつつ、コトコト煮ます。
牛バラ肉に火が通って味が染みてきたら、準備完了です。
次は、盛り付け作業。
丼へ炊き立てご飯をよそい、その上へ先ほど仕込んだ具を乗せ、おつゆを多めにぶっかけます(←汁が見えるか見えないかくらいの量が理想です)。
そこへ、天かす→刻んだ長ネギの順にトッピングをまんべんなく散らします。
※長ネギはかなり多めにするのがおすすめです!
トッピングをすべてかけ終えたら中央に生卵を落とし、七味唐辛子やお箸と共にテーブルへ運べば“よくばり具材のはなまるう丼”の完成です!
普段は白だし使用で関西風のうどんにして食べている為、関東風の甘辛いお出汁で食べるのは初めてで、ワクワクしました(←
丼というよりは汁かけご飯風なのが少し珍しく、どんな味がするのか楽しみです!
それでは、七味唐辛子を振りかけていざ実食(←食べる気持ちが先走り、七味唐辛子をかけた画像をうっかり撮り忘れました…申し訳ございませんorz)!
いただきまーすっ!
さて、感想ですが…見た目の大人しさからは想像もつかない程ガツンとくる漢飯!楚々としたお嬢様かと思ったら、バリバリのお転婆娘だったというくらいギャップがすごいです!
たぬきうどんやきつねうどんよりも、圧倒的に肉うどん要素が色濃く、脂が乗ってこってり濃厚な牛バラ肉のおかげでご飯が進みます。
しかし、さっと煮るだけに留めているせいか、比較的あっさりした甘辛味な為くどさは一切なく、途中で飽きることもありませんでした。
味付けは「つゆだくだく和風牛丼」に似ている気もしますが、こちらはめんつゆのみで甘味がそこまで強すぎないこと、油揚げ由来のほんわりとした当たりの優しい甘さが徐々に主張してくるのが最大の違いで、がっつり系なのにほっこり系でもあるという不思議な味わいが特徴的です。
たっぷりかかった長ネギのシャリシャリシャキシャキとした爽やかな食感が最高のアクセントで、肉々している丼の後口をすっきりと垢抜けさせていました。
牛肉の出汁とめんつゆを吸ってより味わい深くなったシコシコした口当たりの油揚げもしみじみ美味しかったです(←ただ、天かすは完全に存在が埋もれていたのが残念;)。
ここに月見を崩してまろやかさがプラスされると、まさに生卵をトッピングした牛丼という感じで、つゆが多めなのもあって委員長と同じくお茶漬け感覚でズルズルと口の中に吸い込まれました(←大阪にある「千とせ本店」の肉吸い玉子かけご飯にちょっと似ているイメージです)。
七味唐辛子をふりかけて鮮やかな香りとピリッとくる辛味が足されると、さらに食欲が増幅する感じで、「すき家のネギ玉牛丼」をやや彷彿とさせる味わいだとも思いました。
麺に合う物はご飯にも合うという定説を裏付ける結果となり、大満足な再現でした。
牛丼はいろいろ調味料を入れないと、イマイチパッとしない味になるのでは…という思い込みがあった為、面倒がって今まであまり作らなかったのですが、こんなに簡単で美味ならもうこのレシピでいいやと思うくらい良かったです。
丼の具にするのはもちろん、肉うどんや肉そばにしてもすごく合っていたので、おすすめです!
P.S.
kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。
焼き鳥屋さんで食べる、バター醤油味の焼きおにぎり…その響きだけでお酒がすすみそうなくらい、個人的にはパワーワードでした(´Д`*)。
『どんぶり委員長』のドラマをチェックしつつ、どんどん再現していこうと思います!
●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。