『どんぶり委員長』の“3色缶詰開栓丼”を再現!
- Wed
- 23:00
- 再現料理
お店の方に確認した所、「俺の唐揚げ=醤油味のしっかりした唐揚げ」・「僕の唐揚げ=柚子胡椒味の上品な唐揚げ」との事で、結局その根拠は最後まで明らかにされなかったんですが、「なるほど、確かにがっつり系の濃い醤油味は<俺>って感じの押しが強いイメージがあるし、柚子胡椒の繊細で落ち着いた味はちょっと気弱な<僕>って印象を感じられなくもない」と、やや強引に納得したものです。
どうも、その日は相方さん共々「俺の唐揚げ」でガンガンいこうぜモードな飲み方をした当管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて主人公の男子高校生・吉田君が同じクラスの委員長の為に作った“3色缶詰開栓丼”です!
『どんぶり委員長』とは、家が厳しくて一度も丼を食べた事がなかった真面目で高飛車な女子高生・委員長(←残念ながら本名不明)が、同じクラスのルーズで料理上手な男子・吉田君が調理実習で親子丼を作ったのを見て衝撃を受け、その日以来やや強引に創作丼をリクエストしては学校の調理室で作ってもらう日々を描いた、学園系丼料理漫画です。
本能のおもむくままご飯に具を絡めてかっこむという、原始的かつ究極な食の喜びを余すところなく描かれており、キャッチコピーに載っている「器の中で生まれる無限の可能性」を実感させられる作品です。
委員長が目・鼻・舌を駆使して詳しく丼の全容を分かりやすく、おいしそうに説明してくれるのがありがたく、まるで読者も本当に丼を食べているかのような錯覚を起こしてくれるのがたまりません。
タイトル通り作中には丼しか出てこないのですが、「丼という限られたテーマでよくぞここまでオリジナリティーのあるレシピを…!」と感動するくらいバリエーション豊富で、その上レシピまで毎エピソード後に添えられている為、漫画として面白いだけではなくかなり実用的だと思います(←間違いなく美味しそうな“こってり&さっぱりのコロッケ2食丼”や“ベーコンミルフィーユ丼”といった王道系から、前代未聞な“勢いで作ってみたもち丼”や“広島風お好み焼き風丼”といった摩訶不思議系など、幅広くご紹介されています)。
同じ創作系丼漫画と言いますと、今から十年以上前に連載されていた『旬~味彩の匠~』がありますが、あちらはより手が込んだ感じで再現がそこそこ難しいので、『どんぶり委員長』はより身近で再現しやすいのが魅力的だと感じました。
本作の見所は、普段は規則第一でクールな表情を崩さない委員長が、吉田君が作った丼を食べた瞬間に見せる無邪気さと、心から幸せそうな表情!
初めは丼を「男だらけの店で食べる品のない食べ物」と敬遠していたものの、好奇心を抑えられず吉田君に“即席おんたま乗せ親子丼”を作ってもらって以来、「タレが染み込んだ具材とごはんの…ダイナミックな一体感!!」「どんぶり以外の事に気を取られることなく、ただひたすらに味と向き合える…!!」「ああ、すごい…どんぶりって…最高っ…!!!」とすっかり丼の虜になり、遂には何か食材を見るたび「コレをごはんと一緒にかっこみたいっ!」と考えるようになる委員長が、何ともかわいらしいです(←しかし、その飽くなき情熱とおかわり癖で体重がかなり不安定になっている模様で、吉田君から「お…お前太るぞ」と呆れられていますorz)。
そのせいか、当初は「何でオレがお前に作んなきゃいけねーんだよ!!」「…で、材料は?さすがにそこまで面倒みねーぞ」と素っ気なかった吉田君も(←まあ、親子丼作成をお願いされた時は委員長もかなり高圧的な上から目線だったので、仕方ないと思いますが;)、段々態度を軟化させて快く丼を作るようになり、最終的には下準備が必要な物は家であらかじめ済ましてくれるまでにデレますので、その変遷には思わずニヤニヤさせられます。
不真面目でマイペースな吉田君に委員長が振り回されていると思いきや、真面目に見えて実は天然で放っておけないタイプの委員長に吉田君が翻弄されるシーンも数多く、料理要素だけではなくラブコメ要素もあるのが読んでて楽しいです。
丼に対してただならぬ探求心を持つ委員長と、何だかんだいいつつ面倒見がいい吉田君の二人がこれからどんな丼を生み出してくれるのか、続きが非常に楽しみな漫画です。
今回ご紹介するのは、第六話目で登場した“3色缶詰開栓丼”!
作り方はとても簡単で、マヨネーズと味噌で味付けしたツナ缶、大根おろしと酢醤油を和えたサバ缶、わさびと醤油を混ぜた鮭缶を丼ご飯の上へ乗せ、最後に白髪ネギと小ネギを散らしたらもう出来上がりです。
ポイントは、調味料の味がよく絡むように缶の汁気はしっかりきっておくことくらいで、包丁をほぼ使わず下ごしらえもサッと済むのが嬉しい丼です。
ちなみに、吉田君はツナ缶→サバ缶→鮭缶の順に食べ進め、最後に少し残しておいた鮭缶ごはんに熱々の鰹出汁をかけて茶漬け風にしていただく気の利いた食べ方まで提唱しており、かえって普通の海鮮丼よりも変化があって面白いかもしれない…と感心したものです(←海鮮丼は醤油オンリーの味付けがほとんどで途中ダレやすい為、一つの丼で四つも違った味付けを堪能できるのは、結構ポイントが高いと思います)。
元々、「駅前のお店は500円で海鮮丼を売っていた→じゃあ、吉田に500円を渡せば同じクオリティの海鮮丼を食べられるはず!」と単純に連想した世間知らずの委員長に創作海鮮丼を依頼された吉田君が、何とか予算内に収めようとして苦肉の策で考え出した丼なのですが、缶詰だけ&手間いらずの割にはなかなか豪華な印象を受ける丼で、高校生とは思えぬ柔軟な発想力に舌を巻いたのを覚えています(←生じゃないとはいえ、一応海鮮は海鮮なので嘘は言っていませんし、さりげなく「開栓」に字面を変更してますので十分許容範囲だと感じました)。
なお、委員長曰くツナ缶は「昔おばあちゃんに作ってもらったミソ味の焼きおにぎりを思い出すなぁ…」「子どもも好きそうな味」、サバ缶は「さっきのツナ缶が子どもの頃を思い出す味だとすれば…こっちは少し成長した甘酸っぱい思春期の味って感じ?」「それにしてもご飯が進む…!」、鮭缶は「大人の洗練された美味しさに仕上がっている…!!」「お酒好きなパパが好きそうな味」との事で、「アンタこのどんぶりで…<人生>を表現したってワケね」と何故か一人納得していました。
おかげで興が乗った委員長は、「おまけに、魚だけに<荒波にもまれる>…人生もまた然りって事でしょ!?」という推理を吉田君に披露し、そこまで壮大なテーマを込めたつもりは全くなかった吉田君を困惑させるのですが、「否定するとプライド傷つけそうだし…」という理由で渋々認め、委員長を「ほーらね!アタシには何だって分かるんだから!」とますます調子に乗らせていました;。
勉強は出来るのにどこか抜けている委員長と、創意工夫と優しさに満ちた吉田君という、それぞれの特徴が際立ったエピソードでした。
先日、缶詰を安く手に入れられたので再現する事にしました。
作中には大体の作り方が記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、ツナ缶の味付け。油分をしっかり切ったツナ缶をボウルへ入れ、マヨネーズとお好みの味噌を投入してよ~く練り合わせます。
※味噌は最初、固形で粘りが強くまんべんなく混ざりにくいので、スプーンの背で押しつぶすようにしてから混ぜるとよりスムーズに合わさります。
次は、サバ缶の味付け。
ボウルへ缶の汁気をよくきったサバ缶、適度に水分をきった大根おろし、酢醤油を加え、スプーン等でざっくりと身を崩しながら混ぜ合わせます。
今度は、鮭缶の味付け。
油分をきっちり切った鮭缶をボウルへ入れ、続けてわさびと醤油を投入し、全体にわさびの香りと醤油の塩気がなじむまでかき混ぜます。
これら3種の具を炊き立てご飯をよそった丼へそれぞれ乗せ、白髪ネギと小口切りにした小ネギを中央に散らせば“3色缶詰開栓丼”の完成です!
作中で委員長が言っていた通り、色味に乏しい感じなのがちょっと残念ですが、ネギの緑があるせいか思ったよりも殺風景な感じにはなっていません。
3種もの缶詰を使った丼を食べるのは初めてですので緊張しますが、美味しそうな予感を信じて食べてみようと思います!
それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
いっただっきまーすっ!
さて、感想はと言いますと…生の刺身とはまた別次元の美味しさ!缶詰臭さが微塵もありません!
ツナ缶は、コンビニおにぎりによくある定番ツナマヨ味かと思いきや、意外性のある新しい味わいで衝撃。
ツナマヨはマヨネーズの個性が強くてひたすらまったりした味付けになりがちですが、これは味噌のコクがあって深い塩味が一本芯を通し、マヨネーズの油分のキレをよくしてぐっと奥行きを出しているのが特徴的です。
白髪ネギと抜群の相性で、まろやかな濃厚甘塩マヨ味を辛味のあるシャキシャキ感でキリッと引き締めるのがナイスでした。
一方サバ缶は、さっぱりして甘酸っぱいおろし酢醤油味がサバの癖を和らげ、割烹風の上品な仕上がりに。
大根おろしのほろりと甘苦い優しい汁気が青魚特有のこってりした旨味を包み込み、爽やかな後口にしています。
サバにもご飯にもすっきりして柔らかい酸味とネギの香味が効いているせいか、どことなく鯖寿司を彷彿する旨さで、例えるとするなら「おろし煮仕立てのシメサバ味」というイメージでした。
そして鮭缶は、清々しい和の風味が印象的なわさび醤油味が染みたこっくり甘辛い鮭がご飯にぴったりで、委員長の言う通り大人な味わい。
3種中最も甘みが強くて脂の旨味が濃いしっとりした鮭のほぐし身を、ピリッと舌を走ってすぐ消える落ち着いた辛さを持つわさびがしっかり受け止め、ワンランク上の酒肴風にまとめているのがよかったです。
小ネギのサクサクしたアクセントがよく合うシンプルな味付けなせいか、一番海鮮丼らしい具だと感じました。
鮭缶わさび茶漬けも、熱々で香り高いかつお出汁によってあっさりサラサラした食べ口で完全に後がしまるのが最高で、大満足でした。
濃いめな味付けの缶詰で白いご飯を口の中へグイグイ押し込んだ後、ラストは熱~い鰹出汁でしめるというコンビネーションが見事で、うっとりしました。
中でも味噌マヨネーズ味のツナ缶はご飯だけではなくトーストに塗って食べてもいけそうな感じで、いろんな可能性があるな~と思いました。
P.S.
コメント欄にて温かいお言葉を下さったり、サポートをして下さった皆様、誠にありがとうございます。
更新は頻繁にできませんが出来る限り毎日目を通し、感謝をしながら拝見しております。
●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『じったんの時短レシピ』の“じったん流カツオのタタキ”を再現!
- Tue
- 13:00
- 再現料理
洗浄ひとつとっても、たまご専用のブラシをわざわざ開発して使っているほどの懲りようで、しばらくは卵かけご飯を食べる度に「ありがたや~」と頭を下げながら食べそうです。
どうも、雌鶏だらけの鶏舎を見て「ここはいうならば、全寮制女子高みたいなものだな」と思った当管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『じったんの時短レシピ』にて珠里さんが故郷を懐かしく思いながら作った“じったん流カツオのタタキ”です!
前回、上司に失恋したショックを吹っ切った珠里さんは、数日後に気心の知れた友達である菜月さんと光恵さんのお誘いで、合コンに参加します。
どうやらお二人には、「傷心中の珠里の為、今回は引き立て役に徹する!」という思惑があったようで、合コン会場を珠里さんの故郷・高知の郷土料理を出すお店に設定し、会話の中心となるようさりげなくフォローしていたのですが、それがかえってあだとなります…(←合コンという男女の修羅場でここまで気遣ってくれる友達を持つ珠里さんは、本当に恵まれているな~と思います)。
というのも、土佐料理愛が人一倍強い珠里さんはカツオのタタキを一口食べるなり「あんなの本物のタタキやない!!」と反発心が生まれ、その場にいた男性陣が「うわっ!この魚めっちゃうめぇ。オレも高知に生まれてー!」「羨ましいよ!毎日こんなの食ってたの?」「オレも地元好き!つってもこんなうまいモンないけど」と言い出したのに失望し、「帰る。ここにはわかり合える男はいないわ」と見切りをつけ、お店を飛び出した為!
珠里さんとの付き合いが長い菜月さんと光恵さんも、まさか珠里さんの郷土愛がここまですごかったとは予想外だったみたいで呆然としており、気の毒でした(←珠里さんが帰った直後は、さぞ気まずい雰囲気だったはずですorz)。
正直、当管理人も以前某所で「醤油や魚介出汁が入っている博多とんこつラーメン」や、「唐揚げにサラサラマヨソースがかかったチキン南蛮」を食べて衝撃を受け、何とも言えないモヤモヤを抱いた経験がある為、珠里さんの気持ちも分からなくもないです。
しかし、一生懸命その場の空気を盛り上げようとテンションをあげていた男性陣は皆すごくいい人達だな~と感じましたので、「珠里さん勿体ないよ、早まりすぎだよ!」と心の中で突っ込んだものです;。
その後、珠里さんは自宅近くのスーパーへ真っ直ぐ向かって特売中だったカツオのタタキのサクを買い、本場の味を再現すべく台所へ立ちます(←『美味しんぼ』の山岡さんみたいに、合コン会場からみんなを引き連れて「本当のカツオのタタキを食べさせますよ」とお部屋へ招待すれば少しはチャンスが掴めるのでは…と思いましたが、そんな事は一切なくお一人のままでしたorz)。
こうして、所要時間わずか16分48秒という恐るべき短時間で珠里さんがこだわりまくって作り上げたのが、この“じったん流カツオのタタキ”です!
作り方は簡単で、ラップへ青じそ・みょうが・細ネギ・木の芽・カツオのタタキのサクを乗せて上から塩をかけ、その上からさらに青じそ・みょうが・細ネギ・木の芽を乗せてグルグル巻きにし、ラップの上から手で叩いて徹底的になじませ、薬味がしんなりしてきたら一口大に切って出来上がりです。
ポイントは、カツオのタタキのサクは少しだけ炙って温め直してから使用すること、薬味類はまるで「緑の絨毯」になるくらいふんだんに乗せること、味の決め手となる塩はお気に入りの上質な物を使うこと(←海塩か岩塩がお勧め)、カツオをたたく時は身がグズグズにならぬよう力加減に気を付けることの四つで、時短レシピとはいえ抑え所はきっちり押さえているのに好感を持ちました。
珠里さん曰く、「木の芽(山椒の若葉)があるとないとじゃ味が格段に違うんだよー」との事で、薬味は味というよりは香りと食感重視みたいでした(←どうやら、合コン会場のカツオのタタキは薬味が単なる添え物&カツオは一切叩いておらずただの刺身状態なのが許せなかったようです;)。
初見時は「酢醤油やしょうが醤油ダレではなく、塩だけで味付けするなんて珍しいな~」と思いましたが、調べた所高知では昔から知られている食べ方だそうで、一説によると「漁師さんが釣ったばかりの鰹を塩で食べていたのが塩タタキの始まり」なのだとか。
カツオのタタキというと、にんにくやしょうがが沢山かけられているイメージでしたので全く使われていないこのレシピは意外でしたが、その方がカツオの旨味が純粋に味わえそうだと興味を抱いたものです。
実際に食べた珠里さんは「これです…!」「カツオからにじみ出た脂に薬味がしみて、そこにほのかな塩味…そう…これぞタタキ…!!」とほんのり涙ぐんでおり、読んでいて「確かにこれは美味しそう…!」と激しく食欲をそそられたのを覚えています。
一口食べた時の、「もにゅっ」「シャクシャク!」「じゅわ…サキッ」という擬音も、「最初にカツオがトロンととろけて、次にネギとみょうがが弾けて、それからカツオの脂と薬味の香りがじわじわと溢れてくるんだろうなぁ…」と想像するだけでお腹がすく感じで、堪えられません。
おかげで珠里さんはすっかり機嫌がなおり、至福の表情を浮かべていました。
…けれどもその直後、菜月さんからきた「合コン代!女子は1人3000円!立て替えといたよ^^。払ってネ~」というメールを読んだ珠里さんは一気に現実に戻り、「…ごめん、忘れてた」と反省していました。
合コンからの逃走を怒るどころか、この寛大で気の利いたフォロー…やはり珠里さんには男運はなくとも、優しい友達運はすごくあるようです;(←断じて悲しい友情運の方ではないです)。
先日、いいカツオのタタキのサクが手に入ったので再現する事にしました。
作中には詳細な作り方がちゃんと記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、薬味とカツオの準備。大きく広げたラップの上へ、千切りにした青じそとみょうが、小口切りにした細ネギ、流水で洗った後しっかり水気を拭き取っておいた木の芽をたっぷり敷いて緑の絨毯状態にします。
そこへ、焼き魚にならないようちょっと温め直す程度に炙ったカツオのたたきのサクを置き、自分が一番好きなこだわりの塩を全体へふりかけます。
※当管理人は、昔ながらの製塩方法 ゛流下式塩田゛を利用してつくられた100%海水塩で、それでいてお値段もお手頃な沖縄の浜比嘉塩がお気に入りです。この塩は「あ、ちょっとかけすぎたかな?」という量でも塩気はそこまで強くなく、甘味とミネラル豊富な旨味が強いので大好きです。
塩を適度にかけ終えたら、先程と同じ薬味類をたっぷりとふりかけてカツオのサクをサンドし、ラップできっちりと包みます(←ラップが足りなかったり、包みがゆるかったりすると、たたく時にはみ出て悲惨な事になりますので要注意です!)。
この薬味サンドカツオを、身が崩れないようやり過ぎには気を付けて手で揉みたたき、薬味と塩をカツオの身にしっかりなじませます。
薬味類が十分しんなりしたらラップを外し、そのまま包丁で食べやすい厚さにジャクジャク切り分け、大皿へ薬味ごと盛り付ければ“じったん流カツオのタタキ”の完成です!
青じそと木の芽の瑞々しい緑と、みょうがの艶やかなピンクがカツオの身をさらに美味しそうに飾り立て、早く食べたい衝動に駆らされます。
皮が焦げて脂が弾けた香りと、薬味のすっきりした香りが混然となり、五感を刺激してきます。
それでは、薬味を絡ませていざ実食!
いっただっきま~すっ!
さて、感想はと言いますと…目を見張る程鮮やかな味わい!塩で締められ軽く水分が抜けて旨味が凝縮され、炙って香ばしさも蘇ったカツオが最高です!
にんにくとしょうがを使っていないので臭みがすごいのでは…と予想していましたが、潰れてさらに風味が際立った薬味類のむせ返るような香気のおかげでさほどではありません。
カツオの癖を完全に消すというよりは、「独特だけど病み付きになる熟成されたチーズ的な匂い」へと昇華されており、薬味に押されがちな従来のタタキとは違いカツオの個性が完璧に引き出されているのが印象的でした。
青じその爽やかな和の香り、みょうがの華やかなハーブっぽい香り、そして木の芽のまるで5月の若い新緑みたいな清々しい香りがカツオに品のいいベールを纏わせて高級感をプラスし、派手さはないものの奥行きのある美味しさを実現しています。
よくあるにんにくが効いたがっつり系のポン酢味もパンチがあっていいですが、今回のように香味塩だけだと、噛むごとにじわじわと染みでるカツオの豊潤な脂分や赤身特有の繊細なコクが、酸味がなくてシンプルな分よりシャープに、くっきりと鮮烈に浮かび上がるのが魅力的でした。
ネギと青じそのザクザクした歯触りやみょうがのジャキジャキした食感が、モチモチして歯にまとわりつくように柔らかいカツオの身に、丁度いいアクセントを付け足しているのもいい感じです(←おひたしみたいにしなっとなりつつ、張りを保ったままなのがたまりません)。
塩気の中にあるまろやかな甘みが特徴的な自然塩のおかげで塩辛さは微塵もなく、濃厚な味の割には後味さっぱりなのがナイスでした。
改めて焼き直すひと手間は「火が通りすぎないかな…」とハラハラしましたが、注意していればそうそう焼き過ぎにはなりませんし、何よりこの香ばしさにはそれだけの価値があります。
お酒のおつまみにもメインにもなる、素晴らしい一品でした。
P.S.
ブログに関する情報を下さったkawajunさんとゴンべさん、そしてコメントして下さった皆様、いつもありがとうございます。
今後のブログ更新の励みとさせて頂きます。
●出典)『じったんの時短レシピ』 岡村みのり/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『くーねるまるた』の“刻みらっきょうキーマカレー”を再現!
- Wed
- 13:00
- 再現料理
その食べ物とは、山汐菜の漬け物。
高菜に似ているようで実はもっとあっさりした、独特のシャキシャキコリコリした食感がたまらない漬け物なんですが、何と山汐菜は筑後川流域のごく一部の地域でしか育たない作物で大量生産はされていないらしく、従って限られた場所でしか売られてはいないとの事でした(←地元民しか分からないローカルネタで、申し訳ございません)。
おかげで、最近ではスーパーに行くたび「当然の顔をして並んでいるけど、もしかしたらあれもこれもここら辺でしか売られていない隠れローカル食品なのでは…」と疑心暗鬼になっている今日この頃です。
どうも、ご飯のお供はもちろん、福神漬けみたいにカレーのお供にしても不思議と合う山汐菜の懐の深さに感心している当管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『くーねるまるた』にてある暑い日にマルタさんが即興で作った“刻みらっきょうキーマカレー”です!
それは、うだるように暑いある日の事。
お昼の時間、外出先でカレーパンをかじっていたマルタさんは、昨日の夕食もカレーだったことに気づいてハッとします(←一瞬、『孤独のグルメ』の「ダブってしまった」ネタを思い出した当管理人は、五郎ちゃんファンです;)。
マルタさんが推測するに、どうやら体調を崩しかねない暑さに対抗する為に自然と体がスパイスを欲していたようなのですが、あんまりカレー続きなのもどうかと思い、「今晩こそちがうものを食べるぞ~!」と心に決めます。
実を言いますと、カレーは「発汗作用で体温を調節し、内側の熱を逃がす」「抗菌作用で食中毒を予防」「食欲増進作用で夏バテ解消」「健胃作用で消化をよくする」「スパイスが漢方薬のような働きをし、免疫力が高まる」という効用があり、夏場には非常に理にかなった食べ物。
その為、別にカレーばかりでも何も問題はないのですが、確かに同じ物ばかり食べていると体にはあまりよろしくないようですし、当管理人も「昼は揚げ物を食べたから、夜は和食で中和(←?)させよう」と選択する、まるで『賭博黙示録カイジ』にでてくるバランス理論の男みたいな発想を良くしている為、マルタさんの気持ちは分かる気がしました(^^;)。
しかし帰宅する途中、何故かカレー屋さんの看板ばかり目についたり、バスで前の席からカレーコロッケのいい匂いが胃を刺激したり(←密室にこもるカレーの匂いは、空腹時には立派な兵器ですorz)、ご近所さんの家から「ママー、今日の晩ご飯なあにー?」「今日はカレーよ」というほのぼのした会話が聞こえてきたりと、もう拷問としか思えない様々なカレーの誘惑がマルタさんを襲います…。
おそらく、「意識しないと決めたらかえって意識してしまう」という恋愛漫画によく出てくる心理が原因だと思うのですが、カレーは特定の人と違って町中に溢れかえっている上、匂いが直接頭を刺激してきて抗うのがとても困難ですので、読んでいて気の毒になったのを覚えています;。
おかげですっかり心が折れそうになったマルタさんは、これ以上余計な情報を目に入れまいと猛ダッシュするのですが、角を曲がればアパートはもう目の前という所でインド人留学生の男性二人から道を尋ねられ、一気に脱力していました。
…ここまできたら、もはや何らかの天意というか引力を感じるレベルですね。
こうして、カレー軍からの容赦ない猛アタックに抵抗する事を諦めたマルタさんは、今晩もカレーを食べようと決意して台所に立ちます(←渋々かと思いきや、頭にターバンを巻いていそいそと料理していますので、どうやら本心ではカレーに惹かれてたみたいです^^)。
その際、マルタさんがいつものレシピにもうひと手間加えて用意したのが、この“刻みらっきょうキーマカレー”です!
作り方はお手軽その物で、にんにく・しょうが・玉ネギ・合いびき肉・らっきょう・水で溶いたカレールー・ウスターソースを水分がなくなるまで炒め煮にしたら出来上がりです。
ポイントは、始めににんにくとしょうがをしっかり炒めて香りを出しておくこと、らっきょうは丸ごとではなくみじん切りにして入れること、カレールーはあまり水で薄めすぎないよう気を付けることの三つで、キーマカレーってこんなに簡単に作れるんだな~と驚きました。
ネットで見かける日本風キーマカレーのレシピは、トマトケチャップ(またはトマト缶)や他の野菜が高い確率で入っていて賑やかなイメージですが、マルタさんのキーマカレーは基本中の基本であるにんにく・しょうが・タマネギ・合挽き肉の他はらっきょうのみで、なかなか硬派だな~と感じたものです。
その昔、マルタさんは大学で同じ研究室にいた廣岡さんから、肉を抜いたポークカレーへ大量にらっきょうを乗せる食べ方を教わって以来らっきょうが好きになったというエピソードがありましたので、もしかしたらそれが着想のヒントになったのかな?と予想しました(←ちなみに、らっきょうに含まれる硫化アリルには肉に含まれるビタミンB1の吸収を高めたり、辛味を軽減する役目があるのでカレーとは栄養的にばっちりな組み合わせです!)。
その後、マルタさんは「おほっ!!おいっし~ッ♡」「らっきょうが、しっかりいい味出してる~!」「色んな誘惑に負けたけど…カレーにしてよかった♡」と大満足しており、めでたしめでたしな形で一日を締め括っていました。
先日、国産のらっきょうの甘酢漬けがたくさん手に入ったので再現する事にしました。
作中には大まかな作り方が記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、炒め作業。油をひいて弱火に熱したフライパンへ、みじん切りにしたにんにくとしょうがを投入して炒め、少しずつ香りを引き出していきます。
いい香りがしてきたらみじん切りにした玉ネギを加え、全体的に透き通ってくるまでよく炒め合わせ、合挽き肉を入れてしっかり火を通します。
合挽き肉の色が完全に変わって野菜類と一体化してきたら、みじん切りにしたらっきょうを足してざっと混ぜ合わせ、続けて市販のカレールーを水(←溶けにくい時はぬるま湯でもいいです)で溶いたものとウスターソースも加え、水分が飛ぶまでじっくり煮込みます。
※ウスターソースやらっきょうの影響でそこそこ甘味が出ますので、出来ましたら辛口のカレールーを使用される事をお勧めします。
大分水分が飛んでぽってりねっとりしてきたら火からおろし、炊き立てご飯をよそった器へ盛り付ければ“刻みらっきょうキーマカレー”の完成です!
見た目だけだと普通のドライカレーと何ら変わりがないように見えますが、湯気はどことなく甘やかなイメージでそそります。
らっきょうに火を通したらフニャフニャになりそうでちょっと怖かったんですが、ここは食いしん坊のマルタさんを信じて頂いてみようと思います!
それでは、ご飯へ適度に絡めていざ実食!
いっただっきまーす!
さて、感想はと言いますと…がっつり系で美味し!らっきょうが二重にいい仕事をしてます!
辛口のカレールーを使用したんですが、らっきょうのキュッとくる瑞々しい甘酸っぱさと、ウスターソースの熟成された甘味が加わっているせいかそこまで辛くなく、むしろやや甘口っぽい仕上がりになっていました(←但し完全に辛味が消えたわけではなく、後から徐々にピリピリくるので決して物足りなくはないです)。
短時間しか煮ていないのですが、ウスターソースに含まれる様々な香辛料や野菜類の出汁、奥深いコクのせいか即席とは思えない程複雑な深みとスパイシーな旨味が生まれており、後口に何とも言えない爽やかなフルーティーさが感じられるのが特徴的でした。
ねっとりトロリと舌に絡む柔らかいルーの中で、火を通しても尚シャキシャキパリパリと張りがあって小気味良く砕けるらっきょうの歯応えがいいアクセントになっており、癖になります。
濃厚に甘辛いソース味が下地になってるせいか、本格派キーマカレーというよりは「カレー風味のこってり肉味噌」というイメージで、ナンよりも断然ご飯!というべき日本人好みな味わいでした。
らっきょうの酸味がひき肉の油分のキレをよくしているおかげで、濃いめながっつり系の割にはさっぱりした食後感なのが印象的で、食欲がない時でもパクパク食べられそうです。
通常、カレーには白いご飯の他にもサフランライスやにんじんライスなどが合いますが、こちらは何も味がない白いご飯の方が断トツ相性がいいです。
なお、個人的にらっきょうと合挽き肉は野菜に匹敵する程たっぷり使った方がより美味しくなると感じました。
P.S.
あすかさん、先日はご質問コメントをして下さりありがとうございます。『華中華』は現在、1巻~18巻の途中まで再現しております。ちなみに、それらの記事はこちらに全てリンクしております。
波多野鵡鯨さん、先日はご情報と励ましのお言葉を下さりありがとうございます。『お江戸まかない帖』『おいしいかおり』『マルさんのスナック』『ゆかりちゃん』、是非読んでみますね。
そして、先月からコメントや拍手を下さる皆様、誠にありがとうございます。毎日ブログで目を通しては大いに勇気づけられておりますので、感謝しております。私の方こそ、いつも楽しみにしながらコメントを拝見しております。
●出典)『くーねるまるた』 高尾じんぐ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。