『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』の“若尾のポテトサラダ”を再現!
- Tue
- 21:43
- 再現料理
昨年は何の前触れもなく12月更新をお休みしてしまい、申し訳ございませんでした。
正直、過疎りすぎて場末のスナックどころか「…ここ、本当にまだ閉店してない?」と近所で噂になっていそうな曰く付きの個人店みたいな状態になっている為、来られる方もほぼ0になったかと思っていたのですが、拍手やコメントをして下さる方がいらっしゃった為驚くと同時に感謝いたしました。
2023年も、細々と着実に続けていきたいと思います。
どうも、新年早々に喘息を発症していたことが判明し、「辛い料理を控えるべきって言われたけど、四川麻婆豆腐やスリランカカレーを食べられなくなるのは嫌だな…」とあくまで食べる事ばかり考えている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』にて主人公・ワカオさんが父から受け継いで作り続けている“若尾のポテトサラダ”です!
『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』とは、新久千映先生の代表作・『ワカコ酒』のスピンオフ作品で、猫原ねんず先生によって連載されていた、居酒屋という限られた舞台で繰り広げられる日常グルメ漫画です。
先代の父から引き継いでもう20年になる、どの駅からも徒歩15分の立地にある猫の額ほどの大衆酒場「若尾」の店主・ワカオさん(50)が主人公で、スポーツ刈りとちょっぴり強面な顔立ちがトレードマーク。
寡黙なので分かりにくいですが、手間暇かけて料理を作る情熱と、お客さんへのサービス精神はかなりの物で、「おいしい」の一言が客席から聞こえるたらそれだけで「こんなことで明日も頑張ろうという気になってしまう」と思う、料理人の鑑のような男性です。
『ワカコ酒』はお客さん目線の漫画で「食べる行為のこだわり」を貫く攻めの姿勢で描かれていますが、『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』はお店の方目線の漫画の為、「作る行為のこだわり」をお客さんに満足してもらえるよう受けの姿勢で表現しており、読んでいて面白いです。
四季によってお店や食材の雰囲気が変わったり、季節の移り変わりを調理工程の感触の違いによってしみじみ実感したり、客席ではなくカウンターだからこそ見えてくるお客さん達の人間模様を密かに応援していたりなど、事細かに描写されている心情が微笑ましいので、一味ちがうグルメ漫画を読みたい方におすすめです(←また、臨場感あふれる料理描写も見ものなので、お料理系YouTuberの動画がお好きな方が見てもハマるかもしれません)。
「若尾」は午後7時に開店し、午後2時に閉店するやや遅い時間帯の営業スタイルで、店主一人だけだと負担が大きいせいか、女子大生・やっちゃんが接客兼調理アシスタントとしてアルバイトにきています。
明るく元気で手際がいい上に気配り上手、真面目ながら愛嬌もあり、常連さんとの会話もそつなく心から楽しんでこなすという、まさに理想の部下
飲食業界で働きたいと思い、料理人というお仕事に興味を抱いているやっちゃんの為、たまにワカオさんが簡単な料理を教えているシーンがあるのですが、飲み込みが早く「教えがいがある」と独白していました。
性別も年齢も性格も立場も異なるお二人ですが、だからこそ違う視野や知識をお互い交換し合っていい化学反応を起こしているのが読んでいてほのぼのする感じで、読んでいるこちらとしても常連客の一人になったような気持ちでついにやにやしながら眺めてしまいます。
今回再現するのは、第十六夜目のお話で登場した“若尾のポテトサラダ”。
作り方はちょっと手間がかかり、蒸して皮を剥いたじゃがいもをつぶして塩と粗びき黒胡椒で味付けし、粗熱が取れたら塩もみしたきゅうりと玉ねぎ・蒸して切ったにんじん・ざっくり崩した茹で卵・火を通したベーコン・細切りにしたたくあんを投入して混ぜ、最後にマヨネーズで味付けしてさらに粗びき黒胡椒をトッピングしたら出来上がりです。
ポイントは、じゃがいもは粗めにつぶすこと、きゅうりは種を取り除いてから斜め細切りにして塩もみすることの2点で、こうすると無骨なまでに芋の味がする水っぽくない仕上がりのポテトサラダになるとのことでした。
ワカオさん曰く、このポテトサラダはお袋ならぬ親父の味だそうで、昔からお店でも家でも定番料理として出されていた、子供の時一番好きだった思い出の味とのこと。
先代の頃から来ている常連さんにも人気のメニューで、「…うん、親父さんの頃から変わらない味。相変わらずうまいよ」「ここのはちょっとクセになるよな。何か食べたくなって寄っちゃったよ」とある男性が語っていました。
初見時は「たくあんとマヨネーズ味って合うのだろうか…?」と不思議でしたが、その後滋賀県にはマヨネーズで和えたたくあんをコッペパンに挟んだ“サラダパン”という総菜パンがあることを知り、意外と合うのか…と衝撃を受けたのをお覚えています。
最近、一時期高騰していたじゃがいもやにんじんの値段がやや落ち着いてきた為、これをいい機会に再現してみることにしました。
作中では、大体のレシピや作業工程が絵入りで描かれていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、じゃがいもの下ごしらえ。
じゃがいもは流水でしっかりこすり洗いして泥を落とし、少し濡れた状態のまま蒸し器に入れて蒸します(←この時、じゃがいもを一周分包丁で切れ目を入れてから蒸すと、後々皮が剥きやすくなります)。
じゃがいもの中心まで竹串がスッと入るくらいまで柔らかく蒸しあがったら蒸し器から取り出して皮を剥き、木べらやフォークなどでざっくりと粗く崩して塩と粗びき黒胡椒で味付けし、少し時間をおいて粗熱を取っておきます。
次は、具の準備。
卵とにんじんはそれぞれ適度に茹で、卵は殻を取ってからざっくりめにきざみ、にんじんは薄めのイチョウ切りにします。
きゅうりは種をそいでから薄い斜め切り、玉ねぎは薄くスライスしてからそれぞれ塩もみし、水分が出てきたらそれぞれ両手でしっかり水切りをします。
たくあんは好みによりますが、今回は軽く汁気を絞って細切りにしてみました。
ベーコンは拍子木切りにし、フライパンでややカリカリになるまで炒めておきます。
今度は、いよいよ仕上げ作業。
じゃがいもが入ったボウルへ、先ほど用意した茹で卵、にんじん、きゅうり、玉ねぎ、たくあん、ベーコンを投入し、丁寧かつざっくりと混ぜ合わせます。
そこへマヨネーズを絞り入れ、全体に味がなじむようまんべんなく混ぜます。
じゃがいもと具にマヨネーズや塩胡椒が合わさったら小皿へとりわけ、仕上げに上から粗びき黒胡椒を散らせば“若尾のポテトサラダ”の完成です!
ゆで卵の白、たくあんの黄色、きゅうりの緑、にんじんのオレンジ、ベーコンのこげ茶などいろんな色がじゃがいもに映えているのが美しく、目でも楽しめるポテトサラダです。
実家では魚肉ソーセージを使用していたり、具も大分簡略化されていた為いつもと違う雰囲気にドキドキしますが、見るからに美味しそうなので味が楽しみです!
それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、感想ですが…甘辛酸、色んな味がする賑やかなご馳走ポテサラで美味!副菜というよりもはや立派な主役で、酒の肴としても優秀です!
蒸した後大ぶりに崩した事で最高にホクホクしたじゃがいもや卵の黄身、プリプリした舌触りの卵の白身がベースで、一口だけでも結構食べ応えがありました。
滑らかなポテサラのように上品ではないですが、塊状でゴロッとした芋を噛みしめるのもワイルドな醍醐味があり、マヨ味に染まり切っていないじゃがいも本来の素朴な味も同時に楽しめるのも、少しお得な気がします。
ベーコンの旨味のある塩気と、粗挽き黒胡椒のピリッとしたスパイシーな風味が大人好みのパンチが効いた味付けにしており、王道というよりは食事に力を入れた今風のバーで提供されていそうな、オシャレで洗練されたポテサラというイメージでした。
たくあんのカリコリした小気味良い歯応えと、大根特有のじんわり優しい甘味が所々主張してくるのがよく、塩味だけだと単調になりそうになるのを引き締めてくれます。
意外にも、きゅうりの種がないのがそこそこ味に影響しており、水っぽさがなく全体的にしゃっきりしているのがひと手間かけたお店感を出しており、他の具ともしっくりくるよう調和していたのに感心。
また、いぶし銀的ないい仕事をしていたのが玉ねぎで、塩もみしてちょっぴりとろみを帯びてしんなりシャキシャキした食感、わずかにピリッとくるシャープな辛味がいいアクセントになっていました。
これまでポテトサラダは魚肉ソーセージが合うと考えていましたが、今回のように色んな具が入った贅沢なポテトサラダだったら、むしろベーコンみたいに存在感のある塩気の方がいいかも…と考えを改めました。
ポテトサラダはどうしても副菜みたいな扱いになりがちな割に、大変手間がかかるので作るのは億劫になりがちですが、こちらのポテトサラダは思い出すたびに食べたくなるような癖になる感じがあった為、また作ってみようと思いました。
夫もこのポテトサラダは気に入ったようで喜んでおり、ほっとしました。
P.S.
無記名さん、無記名さん、ひやむぎさん、コメントをして下さりありがとうございます。
無記名さんがおっしゃっていた「ロ〇ホ」の「コス◯ド」、恥ずかしながら今まで知らなかったので検索したのですが…確かに似てて驚きました!これも美味しそうですね…一度食べてみたいです。
無記名さんも、『おおどろぼう』シリーズのバナナオムレツが心に残っていたとお聞きし、とても親近感を抱きました!お役に立てたみたいで、よかったです。簡単なのにちょっとない美味しさなので、お勧めです(←卵は硬めに焼くより、フワフワ半熟がよさげです)!
ひやむぎさん、ブログを楽しみにして頂いているとのお言葉ありがとうございます! 『どんぶり委員長』は読んでも作っても楽しい作品なので、そうおっしゃって頂けるととても嬉しいです。『パンと僕のモモちゃん』、先日読んでいて面白い上に美味しそうなレシピがいっぱいで再現したくなりました…情報提供してくださり感謝です!
●出典)『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』1巻 漫画:猫原 ねんず 原作:新久 千映/コアミックス
『大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店』2巻 漫画:猫原 ねんず 原作:新久 千映/コアミックス
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。