残念ながら、この世の中には優秀な医者とそうでない医者がいる。
では、その違いは何なのだろう?
ちなみに出身大学ともあまり関係はないと思っている。東大や京大を出ようとアホな医師はアホであり、カネを積めば入れると言われている私立を出ても優秀な医師は優秀だ。
実は、医師が遭遇する多くの場面において両者にそう大きな違いはない。
診断・治療に対する各種ガイドライン等が(内容の是非はともかくとして)かなり整備されてきており、医療機器の進歩も相まって、大抵の場面においてどんな医者が診察・検査・治療を行っても結果に大きな違いが生じない状況がかなりできあがってきている。
ただ、残念ながらあくまで多くの場面においてであり、すべての場面で違いが出ないわけではない。
むしろ、多くの場面で違いが出ない分、違いが出る場面では如実に優秀さの違いが結果に表れる。
重症患者の管理や急変時の対応、難しい症例における診断能力、年末年始など繁忙期の救急外来の待ち時間などなど、決して頻繁に遭遇するわけではないが避けては通れない状況においては優秀さがその結果にコミットする。
当たり前と言えば当たり前の話だが、うまくいっている時は誰がやってもうまくいくが、うまくいっていないときは優秀なやつがやらないと最終的にうまくいかない。もちろん優秀なやつががんばってもうまくいかないことも多々あるが。
一見したところ合理的な制度に見える複数主治医制がイマイチ広まらないのもここに理由がある。
”あなたの主治医は女性が交代でやりますがいいですか?~東京医大女子減点問題が迫る「患者改革」”
という記事がはてブで大いに叩かれているが、内容の是非は置いておいて、ブクマのコメントを読むと多くのはてなユーザーは複数主治医制に賛成らしい。
だが、実際に自分が患者もしくはその家族になったときに、諸手を挙げて賛成してもらえるかは甚だ疑問だ。
もちろん、診断や治療がうまくいっている時はいい。別に誰が担当しようとほぼ変わりない。
問題はうまくいっていない時だ。
ひどくざっくりした例えで申し訳ないが、ほぼ同じ経験年数の優秀な医師A、普通の医師B、アホな医師Cという3人で患者の主治医をしていて、担当医は研修医で基本的に指示したことしかできない、指導医は外来で忙しくて基本的に入院患者は任せっきりという状況を考えてみる。
担当患者の一人が急変して集中治療室に入室して厳密な管理が必要になったため、当直帯や休日も3人の主治医のうち誰かが交代で病院に常駐して対応することになったとしよう。
優秀なA医師が綿密な治療計画を立てて、B医師・C医師とも積極的にミーティングをして治療方針を共有し、当初は治療がうまく進んでいるように思えたが、やはりこうした状況で急変はつきものであり、当直帯で急激な状態の悪化があった。
そのとき病院にいたのはA医師で、適切な検査と対応によって何とか状態は持ち直し、患者家族は「やっぱりA先生は優秀で頼りになるわ」と胸をなでおろした。
ただ、その後は状態が不安定になり、一進一退を繰り返す状況になった。
今度はC医師が病院に残っている時に急変が起きた。A医師は優秀なので、考えられる限りの状況とその対応法を電子カルテに申し送りとして記載して家に帰ったが、急変の状況はA医師も予想していなかったものだった。
C医師も考えられるだけの検査を行って原因と対応法を探るが一向にわからない。
そうこうしている間に患者の状態はどんどん悪化していき、患者家族にも「大丈夫か?」と不安が募っていく。
C医師は自分だけでは対応できないと考えて指導医に電話するが、指導医も「電話ではよくわからないからとりあえず病院に行くけど、私も集中治療は得意じゃないからちょっと対応できるかわからないけど・・・。A先生に相談してみたら?」と言うのみ。
担当医の研修医が不安そうに「C先生、どうしましょう?A先生呼びますか?」と言ってくる。
患者家族も「この前状態が悪くなったときはA先生がうまくやってくれた。このまま死んじゃったらどうするの!早くA先生を呼んで!」と怖い顔をして言い出す始末。
アホながらも責任感の強いC医師はなおもA医師に電話しようか迷っているが、その間に「このままでは患者さんが死んでしまいます。C先生が呼ばないなら私が呼びます!」といって夜勤の担当看護師がA医師に外線で電話をかけて状況を説明し、A医師がダッシュで来院。
レントゲンと各種データを確認して人工呼吸器の設定を変更し、何とか状態は改善したものの依然予断を許さない状況。
細かい投薬の調整や人工呼吸器の設定の調整が必要なため、A医師は結局その後1週間は泊まり込みで患者の対応に当たることになり、B医師とC医師もシフト表に従って病院に泊まってはいるものの、看護師は「A先生が泊まってるならA先生に相談しよう」と言うことで、シフト表を無視して何かあれば時間関係なくまずはA医師に電話をかけるように。
患者家族も「A先生が対応してくれるなら安心」と言うことで急変時の怖い顔はどこへやら。
その後患者さんはA医師の献身的な治療によって何とか状態を持ち直し、集中治療室を退室して一般病棟へと戻っていきましたとさ、めでたしめでたし。
だいぶデフォルメして書いたが、これと多かれ少なかれ似たようなことは日本全国津々浦々で起こっている。
同じ医療職で看護師ではチームによる交代勤務ができるのに、医師ではなぜできないんだと言われているが、看護師の業務については教育や指導によって個人の技量をある程度均一化できるが、残念ながら、ここで書いたような医師の「優秀さ」は教育や指導で何とかなるものではない。いかに優れた教育をしようと、到達できるレベルには限界がある。
一定の基準は保証されているものの個々人のレベルが大きく異なり、しかも置かれた状況によっては求められるレベルが限りなく高くなるということが、医師の業務と看護師の業務の根本的な違いであり、多くの人が思っているように医師の交代業務が浸透しない理由だと思う。
一定の基準が保証されているのであれば、それで満足すべきだと言うのが理屈ではあるが、人間はそんな単純なものではない。
選択肢がないのであれば納得するしかないが、眼前に別の優れた選択肢があるのであれば、理に適っていなかろうが、それを選びたくなるのが人情というものだろう。
上に書いたような状況で、理屈に従って「A医師を呼んで!」と言わない自信がある方は大手を振って複数主治医制に賛成と言ってもらっていい。
自信がない方は少し考えて欲しい。
A医師が身を粉にして奮闘した結果として得られるのは、自分の優秀さで患者さんを良くしたという大きな達成感と幾ばくかの時間外労働に対する報酬、そして周囲からの高評価のみである。
治療を受けた患者さんや家族の負担は変わらない。今の日本では誰に治療を受けようがかかる医療費は同じである。患者さんが呼び出し手当を払うわけでもない。
A医師のことだから他の担当患者や外来などにも迷惑をかけないようにしっかりやっていただろう。
色々なところで言われているが、現在の医療において「利便性」と「成果」と「医療者の労働環境を含めたコスト」の3者は残念ながらトレードオフの関係にある。
現状ではこのうち「コスト」、しかも「医療者の労働環境というコスト」に負担がのしかかっている状態で何とかバランスが取れている。まぁ、そよ風程度でもう崩れそうであるが。
極論すれば、この「医療者の労働環境というコスト」を最も多く払えるのが若い活きのいい男性医師と言うのが、東京医大の女子減点問題に端を発する一連の問題の原因の大部分を占めている。
この問題を受けて、この「医療者の労働環境というコスト」を減らせば良いという意見が声高に聞こえてくる。全く以てその通りである。このアンフェアな関係を早く何とかして欲しい。
ただ、そのコストの総量が減った場合にどこがそれを補填してくれるのだろう。
AIを含めたテクノロジーの進歩で状況は劇的に変わるかもしれないが、すべての医師を「優秀」というレベルまで持って行くには到底至っておらず、現状は実用面ではまだまだ未来の話としか言いようがない。
とにかく、リソースが限られている以上、夢のような解決法がないことだけは確かである。
医療関係者だけでなく、多くの人が当事者として今後の医療のあるべき形を考えて行って欲しいと思う。
「優秀な医者とそうでない医者の違い」とかいうタイトルのくせに結局この話か、と思われた方におかれてはタイトル詐欺で誠に申し訳ない。
だが、現在のシステムの崩壊によって結果的に患者さん側に「利便性」や「成果」のコストを押しつけるようなことはできればしたくないと多くの医療者が思っていると思う。
その医療者の端くれとして、微力な自分にできるのはこうして増田として自分の考えを書くことくらいなんだよ。
ここまで読んでくれてありがとう。
三行とは言わんが、せめて三分の一にしてくれ...
なんか物を書き慣れてない感じがする
頭悪そう
医者ってこんな感じだよ 医学部入ったら定年まで徹夜明け日勤で脳が溶けてるから
お荷物の女は切り捨てて、未来のA医師と裏口入学で未来のC医師までも獲得するメソッド
優秀な医者とそうでない医者の違いがなんとかできないものなら 優秀な患者を育てる作戦ではどうなんだろう? テクノロジーによって、「そうでない医者」を「優秀な医者」にできな...
患者は医療関係者と直接会話するのではなく、お互いにAIを通して会話するとか 罵倒や強い声や怖い顔等、攻撃的な要素は遮断 要領を得ない説明や分かりにくい専門用語などは適度に意...
それ同じテクノロジーを使ってると思うけど。どちらにしろ教育と効率化だろ 現在での具体例は義務教育の保健科目や家庭の医学 ITに限るならIBMワトソンの無料エンジンサービス化に期...
appleが、iPhoneと医療機器を繋ごうとしてた記憶があるけど バイタルデータをとって、何か世界を変えようということだったのかな。
つまり現在のせいではBどころかC、いやそれ以下のハズレ医師が主治医になったら終わりってことだな 何名もの死者を出した群大病院腹腔鏡手術の執刀医のようなね
料理人で考えてみて。一人だけがいくら千切りが上手にできても、宴会とるならスライサーがあったほうが楽だ。 料理にしろ医療にしろ、システム化が一番強いし、普通の企業はそれが...
スーパーマン前提で仕事を回してるのはマネージメントの失敗としか思えない。 その優秀なA医師が突然トラックに轢かれて死んだらどうするんだろう。A医師が「もうこんな激務嫌だ!...
実際にトラックに轢かれたり鬱病になって逃亡するのは底辺ライン工も変わらないどころかむしろそちらの方が多いので議論に値しません
どこの病院にもスーパーマンが1人以上いて水準を保っている。 いなくなったら、「残念だが手の施しようがなかった」件が増えるだけで、重症をたくさんみていて忙しいようにみえる...
これどこでもあるね。うちは世界的企業のシステムを保守してるんだけど問題が起きたときやはり個人の力量で結果大分変わるよね
何か起きても自分がやればうまく対応できると思っていてもやっぱり限界があるんだよね。チームとして、あるいは会社として対応できるシステムを組み上げておかないとどこかで破綻...
ある一定以上の人材になると看護師みたいに力量をあげれなくなるんだよ。 100人ぐらいいたらシステム化して属人生を減らせるけど10人以下のチームとかになるとそうもいかない。 何と...
患者本人ないしは家族であった場合は、「A医師を呼んでくれ」と思うだろう。しかし、制度論のレベルでは、やはり「C医師に任せるべきだ」と言わざるを得ない。制度論というのは目的...
私はとある難病を治療しきれず、後遺症として症状が定着してしまった患者だ 日本でも患者数が多すぎる程ではないため、特定を避けたいので詳しい症状は言わないけど 感覚器官の病...
なら尚の事、優秀な医者を作り出すために入試は公正にしましょうね〜 下駄を履かされてる人が多いからBやC医師が世にのさばるんですよね 今現状優秀な医者選別にこれがベストだなと...
急変を急変と判断できるから、優秀なんだよ。それだけ。 医療に限らず、どの分野でも、実際に業務を回してるのは全体の1~2割程度なんだよね… そこにさらに業務を突っ込んでくるか...
本当に医者の質を均一化できないの? 医者って偉い人だから、質を管理するなんておこがましいなんて思ってない? 逆にどうして看護師は均質化できるの? 偉い人は下っ端を都合の...
「プロ野球選手の質を均一化できないの?」と、置き換えて考えてみよう。 戦力外通告寸前の選手からスター選手まで玉石混淆の選手層を、どうやって均一化させるの? 加えて、労働環...
そもそも均一化する必要ないよね? チームとしての戦力がある程度均衡してればいいだけで、チーム内にはいろんな能力を持った選手がいたほうが面白い。
「医者の質を均一化」するのは「プロ野球選手の質を均一化」するくらい“難しい”、 と言ってるだけで、その“必要性”の話はここではしとらんよ。
もともとの話が、医師の能力を均一化できないことが問題の原因のように書かれているからね。 均一化しなくても解決できるんじゃね?って話。
出たなそもそもガイジ それなら元増田にトラバつけろよガイジ クソトラバガイジ
ごめん、なんでもかんでもプロスポーツ選手に例えるネオリベは馬鹿ということしかわからないのだけど。
増田は馬鹿だなあ〜
「権藤、権藤、雨、権藤」の時代から、ローテーションくんだり球数制限したり、試合後のアイシングしたりと、コンディションのマネージメント。 昔は、投手は140キロ出れば一流だっ...
ついでに言えば、何故A医師が優秀たりえるかと言えば、天性は勿論として、 それに加え、相応の経験と努力を詰んで来ているからであって、 これが労働環境が改善されて労働時間が1/3...
労働時間が1/3になったら空いた時間を使って最新の医療技術へのキャッチアップや別の医師が遭遇した珍しい症例の把握など、よりスキルアップが図れますね。
それ労働時間じゃないんですか。
ないんです
今までの経験上断言できるけど、残念ながらそこまで意欲の高い医者はほぼいない。すくなくとも日本には。空いた時間は遊んでる。 ものすごく稀には、空いた時間に論文を読み込む奇...
馬鹿しかいないってことか。
空いた時間を家事育児などに回さないのなら、一体何の為の労働環境改善だよ。
そりゃ労働環境だけ改善したって別に競争がなくなるわけでもないでしょう
こうして教員の部活顧問のような当然の如きサービス残業や善意を求められるブラック環境が出来上がるんですね分かります。 当然、給与も発生しない勤務時間外なんだから、空いた時...
空いた時間を家事育児などに回したいなら回せばいいし、医療の道を極めたいのならそうすればいい。 それは人生において何を目的に生きていくかという個人の問題だよ。
そうだね。大いに賛同する。 で、それで医者の経験値が低下して、従来はなかった重い後遺症が残ったり、死んでしまったりしても、文句は言わないんだよね?
なぜ文句を言う必要があるのか。 文句を言うって人は、医者は不眠不休で働けとでも言いたいの?
素晴らしい。別にそれなら良いんだ。貴方の意見を尊重する。 いざ自分が当事者になった時、例えば、夜中に苦しんで死にそうな我が子を目の前にした時、 医者の労働環境を配慮して感...
了解ちゃんです
きも
「医療現場の労働環境の改善が進まないせいで我が子は死んだ」と文句言わないでくださいね。
労働環境が改善されないまま、女医の数が現場の声を無視した社会のゴリ押しで増えて医療崩壊が起きたら、似たようなことは言うかも。 というのも「労働環境の改善」はあくまで枝葉...
なるほど、現状ベストな医療を提供されていると考えているのですね。
優秀な医師は休む暇もないという状況で、なぜ自分の子供だけは優秀な医師に診察してもらえると信じられるのか。 これが親馬鹿ってものなのか?
別にすべての患者が急変するわけでもあるまいし、うまくいかないケースだけひけらかされてもなあ そもそもこういうチームではリーダーを決めておくのは当たり前だし、A医師が優秀で...
ITエンジニアの話かと思ったぞ。 Aエンジニアが得るのは、鬱で退社/退人生の違いはあるけど。
どの業種もあほな担当は、あほなクライアントのせいで出来ている。
https://anond.hatelabo.jp/20180807124518「■優秀な医者とそうでない医者の違い」を読んだ 無能BやC医師が居てもおよそ役にたたないから、複数医師チームはうまくいかないと増田が主張している...
A:イメージ通り ▼ 子供に不寛容だった俺が寛容になった話 787 users anond:20180814021922▼ ファミレスでの「子どもの泣き声は騒音」の件、怒り、憤り。 784 users anond:20180813120212▼ 外で騒ぎ続...
全体的に意味がわからん
anond:20180819234919 の 解説必してみる?(´・ω・`) イメージ通り ・ 年収的にファミレスに行きそう ・ 家族構成的(単身/子なし世帯)にファミレス行かないのにそれっぽい事を言いそう あ...
背景を推測じゃなくて妄想してるだけの上にこう思われたくて行動してるに違いないんだぁ!と喚いててワロタマズローとか信じてそう
年の瀬や 水の流れと 人の身は 明日待たるる 匿名ダイアリー ランク タイトル ブクマ数 日付 カテゴリ 1 増田文学100選 3435 2018/06/17 02:57 おもしろ 2 Wi-...
https://anond.hatelabo.jp/20181209010339 タレコミ系とか長文だらけやぞ。
字数どこに書いてあるの?
リンク飛んで長文多いのが確認できれば充分だろ
https://anond.hatelabo.jp/20181209012641 お疲れ様。今お前に絡んでる増田は絶対に謝れないから難癖付けるだけのクズだから放っておいてあげろ。
頭悪そう
あとで読む。 今年のまとめ、良くぞ作ってくれました。 あざーっす
ギリギリ載らなかった なぜかちょっと悔しい たぶん期待してしまったせいだな 期待はほんと毒だ
自分用まとめ。今年は力作が多かったけど、飛び抜けてヘンテコな増田は少なかった印象。 俺的増田大賞2018は、「妹のゴミ部屋を掃除した」に進呈。 01/31 さようなら時天空 anond:2018013...
幾山河越えさり行かば 寂しさのはてなむ国ぞ 今日も増田はゆく 若山牧水 今年まとめた増田ランキングを増田神社に奉納させて頂き、今年の増田納めとさせていただきます。 ...
自分用まとめ。今年は力作が多かったけど、飛び抜けてヘンテコな増田は少なかった印象。 俺的増田大賞2018は、「妹のゴミ部屋を掃除した」に進呈。 01/31 さようなら時天空 anond:2018013...
AI 医者なら、診断は全国どこでも一緒 むしろ世界中のどこでも医者なら