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NO.580 いろいろと考えてしまうのです。

 今日から9月。
8月下旬からずっと雨がちな日々が続き、暑さも和らぎしのぎやすくなってきました。
昨日は一瞬こんな空も見えましたが、福岡地方、まだパッとしません。

830空1010

 近所では稲刈りも始まり、早咲きの彼岸花も咲き、秋の気配が漂い始めましたが、このまま秋へまっしぐらと言うわけではないでしょうね。

830花0979

 さて、気になるエントリーを読んで、色々考え込んでいます。
悩ますのは、尊敬する「世界の片隅でニュースを読む」さんの「『伊藤和也さんの死を無駄にするな』という言説の危うさ」です。

 まさしく私の過去ログNO.576 伊藤さんの死を無駄にせず 、「テロ特措法」延長に反対を!は、「伊藤さんの死を無駄にせず」と書いているわけで・・・、スルーするわけにはいかないかな。

 この種の事件が起きると、必ずその扱い方が問題になります。
「自己責任」論や「自粛」論や、「利用」論などなど。私はこれらの立場には反対です。
「世界の・・・」さんの主張は、結論的には「少なくとも私は日本政府の戦争協力をやめさせるにあたり、伊藤氏の死をだしにする気はない。」ということであり、つまるところは「(政治的言説に)伊藤さんの死を利用するな」というメッセージとして受け取れる。

その論旨は以下に集約されるでしょう。

 アフガンの復興支援も、自衛隊の派兵阻止も、アメリカなどの戦争中止も、本来誰の死にも関わらず、それぞれ固有の論理によって主張されるべきである。自衛隊の派遣問題を例にとれば、「伊藤さんが自衛隊の派兵を望んでいなかった」から、あるいは「伊藤さんの死に報いるために」反対するのではなく、あくまで憲法が禁じる海外での武力行使に道を開くから反対するのである。この問題に「死者の遺志」を持ち出す危険は、今後「自衛隊の海外派兵を望む死者」が現れる場合を考えれば容易に理解できるだろう。


 他の人たちの言説を詳しく分析的に読んではいないので、ここでは自分の立場についてだけ述べます。
「アフガンの復興支援も、自衛隊の派兵阻止も、アメリカなどの戦争中止も、本来誰の死にも関わらず、それぞれ固有の論理によって主張されるべきである。」「自衛隊の派遣問題を例にとれば、あくまで憲法が禁じる海外での武力行使に道を開くから反対するのである。」(緑文字はすべて引用)
 このことに異論はない。しかし、そこで現実にあった「死」に触れることがどうして「利用」であり、「だし」にしていると見るのか、理解に苦しむ。

 憲法は紙に書いた言葉ではなく、世界と日本の現実の反映であり、「理想を実現しよう」という現実でもある。その理想を現実のものにしようという努力と営みの中で、人間がこういうことになってはいけない、戦争はしたらいけないということの意味が、「死」という事実を突きつけられたときに、これに言及することが「利用」だとする見方は、私にはどうしても理解できないのである。

 私たちは直接経験したこともない過去の侵略戦争の歴史を学び、被爆も含めその悲惨な人々の「死」と向き合いながら、憲法を手に入れて来たと理解し、これを守ろうと主張する。極論すれば、これとて「死」の利用と言われかねない議論ではないか?

 私にとっての政治的な言説は、現実と切り結びながらその変革のためになされるものであり、常に対立と闘争の中にあり、趣味や何かのように「ああそうですか」では済まされないものだ。
私は、「世界の・・・」さんに噛み付く気も、議論を吹っかける気も毛頭ありません。彼が自らの政治的言説において仰る立場にあることは尊重します。そしてなんとなく解る気がします。かねてからの一連の彼のエントリーには、敬服しているところですから・・・。

 私は私自身の言説を守るため、「自粛」しないために、自分の立場を改めて確認する必要があります。「伊藤さんの死」を「利用」したり「だし」に使うのではなく、まさに「無駄にしないため」にこそ触れたのだと。それは、「死」という残念な結果だが、憲法と自衛隊派兵をめぐる事実であるから。

以下も参考にどうぞ。
過去ログNO.577 アフガン問題での「責任ある議論」とは?

 


「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html


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2008.09.01 | | Comments(4) | Trackback(1) | ・社会評論Ⅰ

コメント

悲しいけれど無意味な無駄な死

アメリカ軍やらISAFやらがアフガニスタンでやっている対テロ戦争とやらは、「アフガニスタンと世界の平和を守るため」に全然なっていない、意義のないことです。
伊藤氏の生前の復興支援活動は、意義のあることです。

しかし、アメリカ軍やらISAFやらの将兵の死も、伊藤氏の死も、どちらも無駄な死です。
伊藤氏といえども、悲しいけれど無意味な無駄な死です。
彼は、アフガニスタンの人々の安全を脅かしているものに抗おうとして自ら向かい合った脅威そのものによって命を落とした、のではない。
自らの意図と直接関係のない、自らの業務の守備範囲外の要素によって命を落とした、のである。
(警官が強盗や通り魔を追跡中に犯人にやられたり消防士が火事で逃げ遅れた人を助けようとして殉職したりするのとは訳が違う、ということです。)
彼の死は誰のためにも何のためにもなっていません。それは何をどうしたって変わらない、彼の死を「無駄にしない」なんてことは不可能でしょう。

伊藤氏が生前やっていたことを「無駄にしない」、というなら話は解ります。すなわち、復興を完遂する、ということですが、それができてもやはり彼の死は無駄な死です。

mahounofuefukiさんの主張は、「誰某の死を無駄にするな」という言説は感情を煽り冷静さを失わせ思考を停止させる危険が大である、ということの警鐘でしょうか。

2008-09-01 月 18:17:56 | URL | latter_autumn #J6Syvwzk [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2008-09-01 月 19:18:31 | | # [ 編集]

倫理的な抵抗感

 拙文のために丁寧なフォローありがとうございます。

 確かに「だしにする」というのは言い過ぎだったかもしれません。「人間がこういうことになってはいけない、戦争はしたらいけないということの意味が、「死」という事実を突きつけられたときに、これに言及することが「利用」だとする見方は、私にはどうしても理解できない」というご批判はもっともで言い返す言葉もありません。

 ただ私は「人の死を無駄にしない」という言説に、戦没者に対する「靖国史観」と同じものを感じ取り、漠然とした不安をもっています。その後実際にある有名ブログが「伊藤さんのおかげで」(!)自衛隊の派遣がなくなりそうだ、とか「伊藤さんに国民栄誉賞を」などと言っているのを見るにつけ、その不安は的中したとも思っています。生きている時に称えるのではなく、「死んだから」称えるところに私は倫理的な抵抗を感じるのです。

 この問題については私も現在進行形で悩んでいるところで、現在の主張が最終結論というわけでもありません。こんなところでご容赦ください。

2008-09-01 月 21:27:27 | URL | mahounofuefuki #wr3uI9s6 [ 編集]

コメントありがとうございます。

latter_autumn さんへ。
仰るとおり、全うした生の後の死以外は無駄なものでしょうね。
>mahounofuefukiさんの主張は、「誰某の死を無駄にするな」という言説は感情を煽り冷静さを失わせ思考を停止させる危険が大である、ということの警鐘でしょうか。

理解できるような気がします。
コメントありがとうございました。

mahounofuefuki さんへ。
コメントありがとうございます。
>その後実際にある有名ブログが「伊藤さんのおかげで」(!)自衛隊の派遣がなくなりそうだ、とか「伊藤さんに国民栄誉賞を」などと言っているのを見るにつけ・・・

町村など政府が、まさに「利用」するのは論外とし、上記のような発言に危惧を抱くのは同感です。
日ごろの鋭く繊細なエントリーから、あなたの「倫理的な抵抗感」については、解る気がします。
そうした問題提起として、受け止めなおします。
>こんなところでご容赦ください。
そんなあ。こちらこそ噛み付いたみたいな形になって、お気を煩わせてしまい申し訳ありませんでした。

いずれにせよ、こうして発言するということは、自らの生き様をさらすことですから真剣勝負だということですね。
これからもよろしくお願いします。







2008-09-01 月 22:36:47 | URL | 友さん #- [ 編集]

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