NO.1139 「違憲のデパート」(転載)。
今日もしつこく、ソマリア沖派兵問題。
と言っても、他人のフンドシですが・・・。
「時代の奔流を見据えて──危機の時代の平和学」(NPJ通信)より抜粋・転載して紹介します。
憲法記念日 緊急寄稿
ソマリア海賊対策の欺瞞性を突く
―─新法は恒久法・憲法改正への一歩
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)
木村氏は、「海賊対処法案は本当に穴だらけで問題が山積しており、まさに 『違憲のデパート』といった観があると言っても言い過ぎではない。」と、以下の問題点を指摘している。
自衛隊の海外派兵の恒久化、武力行使の容認、米軍との協力による集団的自衛権の行使、海上自衛隊の役割の拡大、シビリアンコントロールの崩壊・・・、まさに、「違憲のデパート」か。
今国会に提出されて審議中の海賊対処法案の性格と問題点については、以下の通りである。
第一に、自衛隊を派遣する対象地域を限定していないことの意味である。なぜ 「ソマリア沖」 に限定した特別時限立法としないのか。
それは、今回のソマリア沖ばかりでなく、いつでも世界中の公海に自衛隊を派遣することを可能にし、最終的には自衛隊の海外派兵の恒久化につなげることが最大の狙いだからではないか。
第二に、自衛隊の武器使用基準のなし崩し的緩和である。従来は正当防衛と緊急避難に限定されてきた武器使用基準を “任務の遂行” のために大幅に緩和すれば、武力行使との区別が曖昧になり、その結果、違憲・違法行為につながる可能性が大きくなることは自明である。
特に、正当防衛や緊急避難のための武器使用以外に、海賊の 「つきまとい」 に新たに 「船体射撃 (危害射撃)」 も容認することは大きな問題ではないかということ。
第三に、他国の軍隊への情報提供や海賊船・不審船制圧への直接的な共同対処行動への参加に歯止めがなされておらず、それが事実上の集団的自衛権の行使につながることである。
特に、今回の海上自衛隊派遣では、護衛艦だけでなく P3C 哨戒機や 「特別警備隊」 を派遣しており、米軍との協力関係も情報提供を含めて想定されていることを考えれば、その可能性はきわめて大きいと言わざるを得ない。
第四に、海上保安庁と海上自衛隊との役割分担、「領海警備行動」 と 「公海上の警備行動」 との区別が曖昧なことである。
海上保安庁が対処できないような 「特別の必要がある場合」 には海上自衛隊というのは、どのような場合なのかが具体的に示されておらず不明であり、すべての判断がその時の政府や現場の指揮官の判断・選択に委ねられているのは大きな問題である。
また、日本の内水・領海で行われる海賊行為についても、海上自衛隊が優先的に対処することになっているのは不可解であり、海上保安庁の優先権を認めるべきである。
また、自衛隊法82条の 「海上における警備行動」 は、本来、1954年に自衛隊法が制定されたときの経緯・立法趣旨からも、「領海警備行動」 を想定していることは明らかであり、それを 「公海上の警備行動」 にまで拡大解釈するのは到底無理だということである (4月21日の衆議院での水島朝穂・早稲田大学教授の参考人としての 意見陳述 を参照)。
第五に、自衛隊を派遣する場合に、国会承認 (事前承認だけでなく事後承認も) を必要とせず、国会へは事後報告でよしとしていることは、シビリアンコントロールの崩壊、民主主義の機能不全につながる大問題である。国会承認、それも事前承認が必要に変更すべきである。 (以上、部分引用)
参考:NO.1136 ソマリア沖への自衛隊派兵に反対!「海賊対処法案」を廃案に!キャンペーン中! http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1159.html
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2009.05.09 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・ソマリア沖派兵
