2013/12/28|Category:未分類
2013/12/27|Category:粘
2013/12/25|Category:脊椎動物
2013/12/24|Category:鱗
死んだように動かないが、澄んだ瞳はまだこの生き物が生命の火を消していないことを雄弁に物語る。
キノカワガは、個体によってかなり色彩に変異があり、極端に体色の濃い奴や薄い奴が同所的に見られる。そして、蛾本人は自分の体色を明らかに認識しておらず、場違いな色彩の樹幹に平気で止まって越冬するため、冬の森にいけばすぐ彼らの姿を見つけることが出来る。
人間の目にはすぐにバレる擬装でも、天敵の鳥どもをやり過ごすにはこの程度で十分なのだろう。
長野にて。
2013/12/23|Category:甲
体長4-5mmの、この仲間としては比較的でかい種類。近所の森では、ネズミが出入りする石垣の隙間でよく見かける。なぜか冬しか見かけず、晴れた日には盛んに石垣へと飛来するのが見られる。ネズミの糞などを食う腐食性の種だろう。
寒冷期になると、野の小虫どもは冬眠場所を求めて石裏の隙間などに入ろうとする。そのとき、偶然アリの巣くっている空間に紛れてしまうことがよくあるようだ。アリもアリで、気温が下がってくると満足に活動できなくなるため、本来なら撃退せねばならないそうした余所者の小虫を追い出せずに置いてしまう。
古い年代に書かれた好蟻性昆虫関連の文献を見ると、現在の知見ではアリと関係ないことが明らかな甲虫やクモを、好蟻性種として記録しているものが散見される。それらの中には、冬季に偶然余所からアリの巣内に紛れた虫を、勘違いしてそう書いているものが少なくないと思う。
ある種類の虫がアリの巣から見つかっても、すぐにそれを好蟻性と呼ぶことはできない。その種類のどの個体も偶然でない頻度で常にアリの巣から得られるものか、実際にアリと一緒に飼育して特異な行動をアリに見せないか、近縁の種や属も好蟻性か否かなど、総合的に見て判断せねばいけない。
とはいっても、他の近縁種はまったくアリと関係を持たない自由生活種ばかりなのに、一種類だけ明白に好蟻性の生態を持つという例も、全くない訳ではない。難しい。
長野にて。
2013/12/22|Category:脊椎動物
2013/12/21|Category:蜻蛉
水田脇の林の下枝にしがみつき、そのまま風雪に耐えながら一冬越す。見た目も色も小枝そっくりなのに加えて、そういう小枝が密生した場所に止まることが多いため、発見の難易度がすさまじく高い。探す目印は一切なく、しがみつく場所も決まっていないので、探すポイントを絞るのに一苦労する。
活動期の本種に近寄ろうとすると、すぐに飛んで逃げてしまう。しかし冬眠中は、当然ながらその場から一歩も動かない。とはいっても、しがみついた体勢で体を傾ける程度のことはできる。人間の接近を察知すると、このトンボは体を巧みに斜めにして、人間の側から見てトンボの形と認識されにくいように自身の姿を見せる。だから、ただでさえ見つけにくいのに余計に見つけにくい状態になる。
この中で3秒以内に発見できたら神。
行きつけの森でここ数年間、毎年このトンボの越冬態を探し続けて分かったのは、こいつを確実に見つけるには北向きの斜面に発達した杉林がいいらしいということ。日も当たらず底冷えするこの杉林で半日くらい探すと、毎年必ず1匹は見つかる区画があるのだ。
このトンボにしろゼフィルスの卵にしろ、とりあえず越冬昆虫を探したくば北向きの斜面を探すと外れがない。越冬昆虫にとって、一日の中で極端に気温が上下する状態は危険である。冬眠も活動もできず、無駄にエネルギーを消耗して衰弱死してしまうからだ。だから、一日を通してずっと気温が低いままの北向きの斜面が、安心して冬眠できるのである。
長野にて。
2013/12/19|Category:鱗
2013/12/18|Category:脊椎動物
2013/12/17|Category:鱗
平頭11:50
2013/12/16|Category:半
2013/12/13|Category:海外・東南アジア
2013/12/12|Category:海外・東南アジア
2013/12/11|Category:海外・東南アジア
2013/12/10|Category:海外・東南アジア
2013/12/09|Category:海外・東南アジア
2013/12/07|Category:海外・東南アジア
夢の使者に呼ばれる朝
2013/12/06|Category:膜
2mmちょっとしかないちっぽけなありんこだが、油断ならない。強い肉食性を示すこのアリは、常に集団で行動し、自分より遙かに大きい相手にも挑み掛かる。羽化・脱皮直後で動けず、体の柔らかい状態の虫がこいつらに見込まれれば、まず助からない。獲物の体に束になってとりつき、隠し持った毒針で刺しまくって殺す。そしてたちまち獲物の体を解体し、片付けてしまう。
毒針は意外に強力で、刺されれば人間でもそれなりに痛みを感じるほど。西日本ではしばしば民家に侵入し、食品にたかったり就寝中の人を刺したりするなど、問題を起こす。
かつてマレーシアの宿に泊まったときのこと。早朝ベッドの上で目を覚ましたとたん、「ぼぼぼぼぼっぼぼぼっ」という、やまだかつてない爆音が鳴り響いた。びびって飛び起きたが、隣のベッドでは同行者が普通に眠っているばかりだった。どうやら、この耳をつんざく爆音は、世界でも俺の耳にしか聞こえていないらしい。
そうか、これは神の声だ。ついに宇宙心理に目覚めて解脱の境地に達することができたのか。これはいよいよ宗教を起こす頃合いかと浮き足だったが、その時やけに耳元がむずむずすることに気づいた。試しに耳穴へ指をつっこんでほじくったら、なんと中から数匹の生きたヒメアリが指にこびりついて出てきた。あの爆音は、じつは寝ている最中になぜか耳穴に徒党を組んで侵入したアリが、鼓膜をひっかく音だったのだ。
2013/12/05|Category:甲
2013/12/04|Category:甲
カタキバゴミムシ類は、左右のアゴの形が異なる(昆虫では分類群を問わず、珍しい事ではないが・・)。このアゴを使い、小型の陸貝を襲って食うと言われている。巻いたカタツムリの殻を壊しながら中身を食うのに、都合良い形になっているらしい。
カタキバゴミムシ類は日本の本土で数種が知られるほか、絶海の孤島・小笠原にも本土とは違う種がいることが知られている。小笠原には固有の陸貝がたくさんいるから、それらを食うのに特化しているのかもしれない。それ故、昨今の小笠原産陸貝類の置かれている危機的な状況から察して、むこうのカタキバもひもじい思いをしているのは疑うべくもない。
長野にて。
草不可避
2013/12/03|Category:脊椎動物
実家にほど近いとある町の河原に、カヤネズミがまとまって生息している。毎年、帰郷の際にはここを訪れ、ネズミの巣が今年もちゃんと確認できるか調べている。
カヤネズミはとても小さなノネズミの一種で、ススキやアシが茂る草原に生息する。細い草を巧みに加工して、まるで鳥の巣のような独特の丸い巣を作るので有名である。そして、近年こういう生息に適した環境がなくなってきていることを受け、全国的に希少になりつつある動物としても知られる。この生息地のある県とて例外でなく、県の希少野生生物に指定されている。
俺がここ数年間、この生息地である川にそって右岸・左岸ともにひたすら歩いて調べた限りでは、長さ十数kmあるその川の中でも、とある500mほどの範囲の流域にそった草むらでしか巣が見つけられていない。その場所は、河川敷の他の場所に比べて、少し生えている草の種類や生え方が違うように思える。どうやら、ネズミはそのわずかな環境の違いを見抜き、本当に自分にとって営巣に適した箇所にしか生息していないらしい。
カヤネズミは夏期に草上で巣を作って過ごし、冬は地中に隠れて過ごす。夏の草むらは草が生い茂り過ぎ、カヤネズミの巣探しをするには向かない。本来は冬になってから枯れ野でまだ草から落ちずに残っている巣を探す方が効率がいい。でも、せっかく盆で帰郷した時だったので、思い切って夏の草いきれの中へ特攻し、巣を探すことにした。
生息地のコアになるエリアの一部に市の職員による草刈りが入ってしまっており、生息を確認できない状況もあったが、まだ草刈りが入っていない箇所ではいくつか巣が見つかった。しかし、どれもやや古く、すでに使われていない雰囲気だった。俺がここで見る巣はいつもこういう巣ばかりで、未だにご本尊そのものの顔を拝めていない。
カヤネズミの巣作りはとても巧みである。一見、鳥の巣のように見えて、作り方も構造もまったくそれとは異なる。ネズミの巣は完全な球形で、出入り口らしい箇所がどこにもない。適当な場所を掻き分けて出入りするのだと思う。そしてその作り方も独特で、鳥と違ってよそから巣材を一切持ってこない。空中で数本の細い草を一カ所により集めて束ね、短冊状に噛みほぐした後に丁寧に編み込む。だから、この丸い巣はほどけばただの草に戻ってしまうのだ。巣が丸ごとボトッと地面に落ちることはない。
巣を作ろうとはしたが、途中で気に入らなくなり断念したようなものも見つかった。
数年前、多くの巣が見つかった区画。大規模な草刈りが入ってしまっており、丸坊主に。ネズミはどこへ行ったのだろう。
日本のどこかにて。
2013/12/02|Category:未分類
最近ではアキアカネが全国的に減っているようで、こういう光景もなかなか見られない。
オレンジの景色の中を赤トンボが群れ飛ぶ姿を見ると、大昔に放送していたアニメ「キテレツ大百科」のEDテーマ「レースのカーディガン」の1シーンを無性に思い出す。
キテレツ大百科は相当に長期間放送していたアニメで、放送期間中に何度もテーマソングが変わった。特にEDテーマの更新頻度が高かったのだが、初期の頃を中心にやたら歌謡曲じみた、アニメソングらしからぬ歌が流れたのを覚えている。その中でも「レースのカーディガン」は、あまりにもキテレツ大百科というアニメの世界観にそぐわない、場違いな雰囲気の暗い歌だった。でも、俺の中ではアニメソング史上屈指の名曲に思っている。全放送回中たったの8回しか流れなかった、幻の歌でもある。
四季が移り変わる中をコロ助が歩いていく映像に合わせて歌が流れるのだが、秋のシーンで赤トンボと落ち葉が舞う場面が一番気に入っていた。
2013/12/01|Category:長
今年の夏に見たガガンボモドキ一種Bittacus sp.。小さな蛾を捕らえて食う。
ひょろひょろして頼りない雰囲気の虫だが、肉食性。自分より弱小な生物に対する捕殺能力は高い。近寄ってくる獲物に長い後脚をすばやく伸ばし、先端のフ節でムチのように絡め取る。
自身の体を支えて立つほどには脚は強くないため、止まるときは必ず脚の爪を何かに引っかけ、ぶら下がる体勢になる。
ガガンボモドキの仲間は、交尾の際に雄が雌に餌を渡す「婚姻贈呈」の習性を持つことで、世界的に著名である。海外では動物行動学の観点から盛んに研究されてきた。一方、日本ではトガリバガガンボモドキBittacus nipponicusを除けば配偶行動の研究はほとんどなされていない。
日本にもそれなりに種類はいるのだが、いずれも山間部に行かないと見られない、基本的に個体数が多くない、夜行性で観察しにくいなどの理由でなかなか研究が進まない。今のところ、日本で婚姻贈呈が確認されているのはトガリバガガンボモドキだけのようだが、実際にはかなりの他の日本産種もやっているに違いない。
今年は頑張って婚姻贈呈を観察しようと頑張ってみたが、ダメだった。日中は林縁の茂みに多くの個体が休んでいるのに、日没を迎えた途端にみなどこかへ消えてしまい、容易に追跡できない。これの交尾を観察するのは、当分先のことになりそうだ。
長野にて。