2013/04/30|Category:海外・東南アジア
肉
2013/04/29|Category:海外・東南アジア
居場所は何処
2013/04/28|Category:海外・東南アジア
世界中の熱帯から知られるが、どこでも発見されること自体が珍しいレアモンスターである。日本でも沖縄から2種知られるが、最近見つけたという噂を聞かない。日本産種は、環境省の希少種になっている。俺はまだ東南アジアで2回、南米で1回見ただけ。その東南アジアでの2回目がこのコロニーだ。
けっこう荒れたつまらない環境に限って生息するらしい。このコロニーは、ジャングルを切り開いてできた日当たり良いアスファルト道路脇の、小さな石の下にあった。きっと沖縄でもそういう「食指の動かない」環境をしつこく探せば、見つけられるに違いない。
このアリの特徴は、働き蟻にいっさい目がないこと。触角の生え際が顔のものすごく下側に下がっており、前方から見ると大アゴを隠してしまっている。まるで鼻の下を伸ばしているようだというのが、その名のゆかり。
本種を含むハリアリ亜科のアリは肉食性が強く、いくつかの種は特定種の生物しか襲わない。その例に漏れず、ハナナガアリは土壌動物の一種フサヤスデだけを専門に狩るスペシャリスト捕食者である。かつて一度だけ、このアリの飼育を試みたことがあり、その際に飼育容器内へフサヤスデを放してみたところ、働き蟻はすさまじいスピードでヤスデを追い回した。目が見えてないのに、きわめて敏速な動きだった。
アリはヤスデの脇を併走し、横から腹を曲げて毒バリを打ち込んだ。その瞬間、ヤスデはねじ巻き式のおもちゃが止まるが如く沈黙してしまった。それをくわえて、アリは自分のコロニーに持ち帰ったのだった。フサヤスデは、毛虫のように全身を毛で覆っている。そのため、このアリは巣の中でフサヤスデの毛を一本一本引っこ抜いて丸裸にしてから食うと言われている。俺が飼育したときは、条件が悪かったのかそれをやってくれなかった。
ちなみに、フサヤスデは尾端に特殊な防御用の毛束を持っている。これはアリなどに襲われたときにヤマアラシのように吹き付けて使うらしい。毛束の表面には細かい逆トゲが覆っているとかで、普通のアリがこの攻撃を受けると体中の体毛にヤスデの毛束がからみつき、動けなくなってしまうという。そんな危険な獲物を襲うのに特殊化したハナナガアリは、体に体毛を持たないことでヤスデの反撃を無効化するのに成功した。このアリが持つ、まるで陶磁器のような体表の質感には、そんな秘密が隠されている。
野外で発見したこのアリのコロニ内ーには、丸裸にされた餌のヤスデは見つからなかった。でも、恐らくヤスデから引っこ抜いたであろう毛束をくわえて右往左往するアリの姿はあった。
ヤスデという虫を専食するアリ自体少ないが、中でもフサヤスデを専食するアリといえば、少なくともアジアにはこのハナナガアリをおいて他に存在しない。誰も利用しない餌資源を独占できるようになったという点で、こいつらは成功しているのだろう。
以下、妄想。
しかし、こいつらはどうしてそんなけったいな虫を獲物として狩るように特化してしまったのだろうか。フサヤスデは決して珍しい虫ではないが、今すぐ多量に集めてこいと言われて集めてこられる程のものでもない。数がそんなに多くない上に、捕獲に多少とも危険を伴う獲物を専門に集めてくるのは、いくら反撃をかわす防御形態をもっているとはいえ、このアリにとってそれなりのコストになるだろう。何より、狩って巣に持ち帰った後に大変な努力をして下ごしらえせねばならないから、食べるのにも時間がかかる。栄養的にも、もっと良さそうな獲物は他にいると思うのだが。
また、餌を巡るアリ種間の競争から解放されるといっても、こんなマイナーで手のかかる獲物をわざわざ選んでスペシャライズしなくてもいい気がする。なのに敢えてそんな修羅の道を選んでしまった。当然の結果として、彼らは世界中どこでも数の少ない、繁栄とはほど遠い日陰者になってしまった。きっとこいつらは、みんなと同じなのが気に入らないのだ。「俺は他の有象無象とは違う道を行く」という、中二病じみた意地を感じずにおれない。だからこそ、俺はこのアリが好きなのである。
2013/04/27|Category:海外・東南アジア
2013/04/26|Category:海外・東南アジア
ヤー
2013/04/24|Category:双
2013/04/24|Category:海外・東南アジア
2013/04/21|Category:海外・東南アジア
2013/04/20|Category:海外・東南アジア
2013/04/19|Category:海外・東南アジア
浮葉植物の多い池でよく見られ、水面に落ちた虫を捕食する。この個体はよく見ると、浅瀬に打ち上げられたカイミジンコに口吻を刺している。この仲間の虫は大抵は無翅だが、ときどき翅のある個体がいる。普段はゆったりと水面を歩くが、逃げるときは素早い。
幼虫。獲物を待ちかまえる。
いつもは襲う側だが、襲われる側に回ることもある。水底からゲンゴロウ類の幼虫が上がってきた。動いたら襲われる。しばらくこのままだったが、さいわい難は逃れた。
水の生き物は見ていて癒されると言うが、水生昆虫というのはカメムシといいゲンゴロウといいトンボのヤゴといい、やたら肉食の凶暴なやつばかり揃っている。もし人間が虫サイズにされて沼っぺりに叩き出されたら、たちまち身ぐるみ剥がされて大魔界村状態になるだろう。
辛抱辛抱つっかい棒棄てたら希望も草茫々
2013/04/18|Category:海外・東南アジア
2013/04/17|Category:海外・東南アジア
2013/04/16|Category:海外・東南アジア
夜間、水たまりをヘッドライトで照らしてうつむいていたら、カゲロウが飛来してヘッドライトに衝突し、水に落ちた。カゲロウが暴れると、周囲のウォーターレタスに隠れていたピラニアどもがわらわら集まってきた。ミズカメムシMesovelia sp.までやってきた。最初はゆっくり歩み寄るが、手前まで来ると一気にダッシュして飛びつき、口吻を突き刺して毒を注射する。四方八方から毒矢を打ち込まれて、カゲロウはすぐ動かなくなった。
幼い頃、妙な正義感から身の回りで困っている生き物は何でもかんでも助けねば気が済まなかった時期があった。ちょうどその頃、小学生だった俺の姉が学校のプール脇で弱っていたツバメの雛を助けたとかで、学校の朝礼で激励されるということがあったため、それに触発されたのもあると思う。当時、水田が家の周囲に広がっていたこともあり、よく虫が水面に落ちて溺れているのを見たため、そういう虫は片っ端から掬って陸に揚げてやり、いいことをしたと一人で悦に浸っていた。
しかし、やがて自分が善意でしていたその虫助けが、田んぼの水面に住む数多の肉食昆虫たちから餌を奪い取る行為に過ぎないことに気づいた。自然の成り行きに人間が手を出すことの虚しさを覚えた。以来、あからさまに人為が絡んだケースでない限り、瀕死の野生生物全般を助けなくなった。
2013/04/14|Category:膜
2013/04/13|Category:膜
2013/04/12|Category:膜
2013/04/11|Category:クモ
リコレクション
2013/04/10|Category:植物
イヌノフグリVeronica didyma。長野にて。
各地にはびこっている外来のオオイヌノフグリV. persicaと違って、在来の草(史前帰化の説もあり)。小さくて淡い紫の花は可愛く、美しい。オオイヌより厚かましい感じがしないのが、俺の中でポイント高し。
大学学部時代、家の近所で生えている場所を先輩に教えて貰った。以来、毎年春になると何となく見に行ってしまう。群落は、ここ数年縮小も拡大もしていない。日本ではかつて普通に見られたようだが、近年見かける機会が少なくなり、環境省の絶滅危惧種にも指定されている。最近レッドリストを見たら、意外に絶滅危険度ランクが高いのに驚かされた。
イヌノフグリの仲間は、実はアリと浅からぬ関係をもつ。タネにアリの好む成分「エライオソーム」が付いているため、地面にこぼれたタネをアリが運ぶ。それにより、移動分散を助けて貰っているのである。エライオソームをタネに付ける植物は、他にもいろんな分類群で知られている。
また、ヨーロッパの乾燥砂漠地帯に生えるタチイヌノフグリV. arvensisは、アリの巣の周辺にしか生えないらしい。アリがよくタネを巣へ持ち帰ることに加え、アリの巣の周辺土壌がアリの出したゴミや排泄物により肥沃になることが関係している。
2013/04/09|Category:クモ
2013/04/06|Category:海外・東南アジア
2013/04/06|Category:海外・東南アジア
2013/04/04|Category:海外・東南アジア
カタゾウムシPachyrrhynchus sp.と、それに似たサルハムシEumolpinae sp.。カタゾウムシ類はとてつもなく体が堅く、捕食者である鳥などはこれを飲み込んでも消化できない。そればかりか、下手に飲み込むと消化管を痛めたり腹を下すのでこれを食いたがらないという。カタゾウムシ類はとても種類が多いが、どれも煌びやかな模様を体に持つ。これは、敵に自分を食べても不味いことを覚えさせる意味合いもあるだろう。
面白いことに、カタゾウムシ類の多い地域では、これに見た目の非常にそっくりな他分類群の昆虫群衆が成立している。ハムシやカミキリのほか、甲虫ですらないツユムシやコオロギにすらカタゾウ擬態と考えられる虫が知られている。いかにカタゾウという虫が、現地の捕食動物から嫌がられているかを如実に物語っている。
上のハムシは、実際にはもっと美しい虹色光沢を持つが、写真ではどうにもそれを表現できない。
東南アジア某所にて。といっても、カタゾウが多い場所と言ったら1カ所しかないが。
※なお、どうやらハムシには他にも別種のカタゾウに擬態した種類がいくつかいる模様。しかし、この写真の種以外は見つかりませんでした。