2013/10/31|Category:鱗
2013/10/30|Category:甲
2013/10/28|Category:双
2013/10/27|Category:直
2013/10/26|Category:未分類
2013/10/25|Category:未分類
2013/10/24|Category:未分類
2013/10/23|Category:未分類
木の肌カマキリLiturgusa sp.に捕まったオオアリCamponotus sp.。この世のどこかの楽園にて。
世界中の熱帯(特に東南アジア、中南米)には樹幹を住処とする、扁平な体で樹皮そっくりな色彩のカマキリが見られる。それらはどこの地域のものも、非常によく似た姿と生態を示しているが、その全てが必ずしも系統的に近縁なもの同士ではないはずである。
一般的に「木の肌カマキリ」と呼ばれるものとしては、東南アジア産のTheopompaが有名どころのように思える。
「木の肌カマキリ」は、どこの地域の種も動きが雷のように素早い。その動きを生かして、すばしっこいアリを好んで捕食する。常に頭を下に向けて樹幹に止まっており、射程までアリが近寄ってくると、初速から最高スピードでダッシュしてアリを追い、あっという間に捕まえる。普通のカマキリは手元に餌が来ないと捕らないし、さほどアリを餌として好まない。だから、カマキリがアリを能動的に追い回す様は、見ていて異様である。
不思議なことに、野外でこの手のカマキリにバッタなどアリ以外のものを差し向けると、捕ろうとしない。あるいは、捕ろうとしても逃げられたり、ちょっと囓ってすぐ捨てたりする。その直後にアリを与えると普通に捕って食うため、先の餌は腹がいっぱいで食えなかったわけではない。
実験的にきちんと調べた人はいないと思うが、世界中の「木の肌カマキリ」と呼ばれるものの中には、アリ捕食に特化したものが相当種数混ざっていると思う。
いつか見てみたいカマキリの一つに、アフリカのSphodromantis obscuraがある。アフリカには、枝の中空のトゲの中に特定種のアリを養う「アリ植物」のアカシアの木がある。件のカマキリは、そのアカシアの枝上にしか住まない。そして、腹部の形がアリの住処であるアカシアのトゲそっくりの形をしているらしく、油断して近寄ってくるアリを次々に捕らえて食うという(Beier and Hocking 1965; Gilbert et al. 1975)。現時点で、好蟻性と呼べそうな唯一のカマキリである。
姿を確認したいのだが、関連論文が極度のマイナー誌のため入手できず、どれほどそれがアカシアのトゲにそっくりな姿なのか分からない。加えて、最近の採集例も聞かず、ネットで画像検索しても出てこない。この種を含む属は種類が多いが、いずれも日本のハラビロカマキリに似た種ばかりの、代わり映えしない分類群のようだ。その中でこの1種だけがそんなに変わった姿をしているとは考えにくいが、でも見てみたい。
参考文献:
Beier M, Hocking B (1965) A new Sphodromantis (Dictyoptera: Mantidae) from Tanganyika, with notes on habits. Proceedings of the Royal Entomological Society of London. Series B, Taxonomy 34:31–32.
Gilbert LE, Raven PH (1975) Coevolution of animals and plants. The University of Texas, Austin.
世界中の熱帯(特に東南アジア、中南米)には樹幹を住処とする、扁平な体で樹皮そっくりな色彩のカマキリが見られる。それらはどこの地域のものも、非常によく似た姿と生態を示しているが、その全てが必ずしも系統的に近縁なもの同士ではないはずである。
一般的に「木の肌カマキリ」と呼ばれるものとしては、東南アジア産のTheopompaが有名どころのように思える。
「木の肌カマキリ」は、どこの地域の種も動きが雷のように素早い。その動きを生かして、すばしっこいアリを好んで捕食する。常に頭を下に向けて樹幹に止まっており、射程までアリが近寄ってくると、初速から最高スピードでダッシュしてアリを追い、あっという間に捕まえる。普通のカマキリは手元に餌が来ないと捕らないし、さほどアリを餌として好まない。だから、カマキリがアリを能動的に追い回す様は、見ていて異様である。
不思議なことに、野外でこの手のカマキリにバッタなどアリ以外のものを差し向けると、捕ろうとしない。あるいは、捕ろうとしても逃げられたり、ちょっと囓ってすぐ捨てたりする。その直後にアリを与えると普通に捕って食うため、先の餌は腹がいっぱいで食えなかったわけではない。
実験的にきちんと調べた人はいないと思うが、世界中の「木の肌カマキリ」と呼ばれるものの中には、アリ捕食に特化したものが相当種数混ざっていると思う。
いつか見てみたいカマキリの一つに、アフリカのSphodromantis obscuraがある。アフリカには、枝の中空のトゲの中に特定種のアリを養う「アリ植物」のアカシアの木がある。件のカマキリは、そのアカシアの枝上にしか住まない。そして、腹部の形がアリの住処であるアカシアのトゲそっくりの形をしているらしく、油断して近寄ってくるアリを次々に捕らえて食うという(Beier and Hocking 1965; Gilbert et al. 1975)。現時点で、好蟻性と呼べそうな唯一のカマキリである。
姿を確認したいのだが、関連論文が極度のマイナー誌のため入手できず、どれほどそれがアカシアのトゲにそっくりな姿なのか分からない。加えて、最近の採集例も聞かず、ネットで画像検索しても出てこない。この種を含む属は種類が多いが、いずれも日本のハラビロカマキリに似た種ばかりの、代わり映えしない分類群のようだ。その中でこの1種だけがそんなに変わった姿をしているとは考えにくいが、でも見てみたい。
参考文献:
Beier M, Hocking B (1965) A new Sphodromantis (Dictyoptera: Mantidae) from Tanganyika, with notes on habits. Proceedings of the Royal Entomological Society of London. Series B, Taxonomy 34:31–32.
Gilbert LE, Raven PH (1975) Coevolution of animals and plants. The University of Texas, Austin.
2013/10/22|Category:未分類
2013/10/21|Category:未分類
オオサシガメ一種Triatoma infestans。楽園に潜む死神。
一般にサシガメ類は他の虫を捕らえて体液を吸う捕食昆虫だが、オオサシガメ亜科の仲間は人間を含む温血動物から吸血する。その中でも中南米に分布する本種をはじめとする複数種は、シャーガス病という恐ろしい病気を人間にうつすことで有名である。
昼間は民家の壁の隙間などに隠れており、夜になると現れる。そして、寝ている人間の肌に口吻を突き刺して吸血し、その後多量の排泄物を刺し口に残して姿を消す。排泄物にはシャーガス病の病原体となる原虫が含まれている。刺し口は猛烈に痒いらしく、ボリボリ掻くうちにその傷口から原虫がすり込まれ侵入する形で感染が成立するという。
顔が腫れるなどの初期症状が出ることもあるが、なかなか気付けないことも多いようだ。刺されてから何年も経って、突然心不全で死んだり、深刻な内臓の疾患にかかる恐れがある。貧しい集落の民家はたいてい土壁で出来ており、サシガメの住処となる隙間が多いため、こうした場所では感染リスクが高い。
これの撮影地は、ぎりぎりシャーガス病蔓延地域から外れてはいたらしいが、灯火をたくとたびたび飛来したため油断ならなかった。
※本種はTriatoma infestansでなく、Rhodnius属の一種とのご指摘を頂きました。Agrias様、ありがとうございました。本属もシャーガス病の媒介能を持ちます。
一般にサシガメ類は他の虫を捕らえて体液を吸う捕食昆虫だが、オオサシガメ亜科の仲間は人間を含む温血動物から吸血する。その中でも中南米に分布する本種をはじめとする複数種は、シャーガス病という恐ろしい病気を人間にうつすことで有名である。
昼間は民家の壁の隙間などに隠れており、夜になると現れる。そして、寝ている人間の肌に口吻を突き刺して吸血し、その後多量の排泄物を刺し口に残して姿を消す。排泄物にはシャーガス病の病原体となる原虫が含まれている。刺し口は猛烈に痒いらしく、ボリボリ掻くうちにその傷口から原虫がすり込まれ侵入する形で感染が成立するという。
顔が腫れるなどの初期症状が出ることもあるが、なかなか気付けないことも多いようだ。刺されてから何年も経って、突然心不全で死んだり、深刻な内臓の疾患にかかる恐れがある。貧しい集落の民家はたいてい土壁で出来ており、サシガメの住処となる隙間が多いため、こうした場所では感染リスクが高い。
これの撮影地は、ぎりぎりシャーガス病蔓延地域から外れてはいたらしいが、灯火をたくとたびたび飛来したため油断ならなかった。
※本種はTriatoma infestansでなく、Rhodnius属の一種とのご指摘を頂きました。Agrias様、ありがとうございました。本属もシャーガス病の媒介能を持ちます。
2013/10/20|Category:未分類
光米搗の一種。とあるこの世の楽園で。
コメツキムシの中でも限られた大陸にしかいないグループで、かなり種類が多い。これは、日本のサビキコリとほぼ同大の小型種で、生息地での個体数はかなり多かった。夜、5,6m位の距離からでも容易に発見できるほどの光量だった。
光米搗の仲間は、胸部背面に2つの発光器をもつことで有名な虫である。しかし、大型のある種にはその2灯の他にもう1灯、胸部腹面にも発光器を持つものがいる。驚いたことに、この手の種では背面の2灯は緑に光るのに、腹面の1灯はオレンジに光る。
しかも、緑灯は地面に止まっているときだけ点灯させ、オレンジ灯は飛んでいる最中しか点灯させないのだ。地面から空へと飛び立つ瞬間に両灯の切り替えを行うため、両灯が点灯しているのはこの切り替え時である2,3秒間だけ。翅を開こうとする時、それまで暗かった腹面が次第に赤く燃えるようにボウッと光り始め、それがどんどん明るくなったと思ったときには、もうそこに虫の姿はない。まるで、虫の体内の核融合発電システムが稼働するかのようで、メチャクチャかっこいい。
今回の遠征でお世話になった方々には、この緑・オレンジ灯が両方点灯している奇跡の瞬間を披露いたそうと思っております。
コメツキムシの中でも限られた大陸にしかいないグループで、かなり種類が多い。これは、日本のサビキコリとほぼ同大の小型種で、生息地での個体数はかなり多かった。夜、5,6m位の距離からでも容易に発見できるほどの光量だった。
光米搗の仲間は、胸部背面に2つの発光器をもつことで有名な虫である。しかし、大型のある種にはその2灯の他にもう1灯、胸部腹面にも発光器を持つものがいる。驚いたことに、この手の種では背面の2灯は緑に光るのに、腹面の1灯はオレンジに光る。
しかも、緑灯は地面に止まっているときだけ点灯させ、オレンジ灯は飛んでいる最中しか点灯させないのだ。地面から空へと飛び立つ瞬間に両灯の切り替えを行うため、両灯が点灯しているのはこの切り替え時である2,3秒間だけ。翅を開こうとする時、それまで暗かった腹面が次第に赤く燃えるようにボウッと光り始め、それがどんどん明るくなったと思ったときには、もうそこに虫の姿はない。まるで、虫の体内の核融合発電システムが稼働するかのようで、メチャクチャかっこいい。
今回の遠征でお世話になった方々には、この緑・オレンジ灯が両方点灯している奇跡の瞬間を披露いたそうと思っております。
2013/10/19|Category:未分類
カブラオヤモリ一種Thecadactylus rapicauda。必要にかられてゴキブリを採ろうと、納屋の床下にあったゴミバケツを蹴飛ばしたら、それがたまたまこいつのお家だった。寝ているところをたたき起こされ、目を白黒させているところ。その節は申し訳なく思う。
とあるこの世の楽園で。
つい先日、やっとの思いでかの地から戻りました。想像以上の成果が得られ、正直驚きの連続でした。今回の遠征に関して多大なるご支援を頂いた協力者の方々には、近日中には成果報告を兼ねた御礼の品をお送りいたす予定です。これから不在中の雑務処理に追われるため、少しお時間を頂きますが、今しばらくお待ち頂ければ幸いです。本当にありがとうございました。
浅草
2013/10/12|Category:海外・東南アジア
2013/10/11|Category:海外・東南アジア