米国のトランプ次期大統領が2020年大統領選で敗北した結果を覆そうとした事件などについて、捜査を指揮したジャック・スミス特別検察官が今月10日、司法省を辞職した。米メディアが11日に伝えた。
トランプ氏は12日未明、自身のソーシャルメディアに「ジャック・スミスは、トランプに対する魔女狩りに1億ドル以上を費やした後、手ぶらで町を去った」などと投稿した。
スミス氏は、ガーランド司法長官に任命されてトランプ氏に関する捜査を指揮していた。23年6月には、大統領1期目の退任時に大量の機密文書を許可を得ずに自宅へ持ち出し、司法省の捜査を妨害した事件でトランプ氏を起訴。同じ年の8月には、20年大統領選の結果を覆そうとした事件でもトランプ氏を起訴した。
トランプ氏は無罪を主張し、刑事手続きを引き延ばす戦術をとった。その結果、どちらの事件も初公判が開かれないまま24年11月の大統領選を迎え、トランプ氏が当選を果たした。
司法省は長年、現職大統領は起訴しないという立場を堅持している。このため、スミス氏は選挙を巡る事件でトランプ氏の起訴を取り下げた。機密文書持ち出し事件は、南部フロリダ州の連邦地裁判事が起訴を棄却したため控訴していたが、こちらも取り下げた。公判が一度も開かれないまま、二つの事件は終結した。
一方、トランプ氏は、司法省の捜査や起訴を「政治的動機に基づくものだ」と繰り返し批判してきた。捜査を指揮したスミス氏に対しては、自身が政権に返り咲いた際には「即刻解任する」との考えを示していた。スミス氏はこれを念頭に自ら辞職したとみられる。
トランプ氏はこのほか、二つの州法違反事件で起訴されている。不倫相手への口止め料を不正に処理したとされる事件では、ニューヨーク州の裁判所が10日、陪審による有罪評決を維持した上で、刑罰を科さない判決を言い渡した。20日に大統領に就任するトランプ氏は控訴する方針だ。【ワシントン西田進一郎】
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