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2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

論理計算のための宇宙と型、二種類の述語

[追記]「論理計算のための宇宙と型 補遺」に続きがあります。[/追記]型理論と圏論の言葉は次のように対応します。$`\newcommand{\mrm}[1]{ \mathrm{#1} } \newcommand{\mfk}[1]{ \mathfrak{#1} } \newcommand{\In}{ \text{ in } }`$ 型理論 圏論 型 対象 型…

シグマ型とパイ型の短縮記法(便利)

一部の証明支援系/プログラミング言語において、シグマ型を直積型と同じ '$`\times`$' で、パイ型を指数型と同じ '$`\to`$' で書くという記法が採用されています。これは短く書けて便利なのですが、当然ながら混乱を招くので、少し変更した形で紹介します。…

最近の型理論のハマリ所

色々とハマル。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\In}{\text{ in }} \newcommand{\op}{ \mathrm{op} } % used \newcommand{\hyp}{\text{-} } % used \newcommand{\ILT}{ \triangleleft } % immediately…

前層の表現可能性 再論:指標による記述

以前、圏論の普遍性という概念は難しい、という話を書いたことがあります。 圏論の普遍性が難しい理由 普遍性は“前層の表現可能性”により語られるので、普遍性の難しさは“前層の表現可能性”の難しさです。「表現可能である」ことは前層の性質ですが、「当該…

GAT〈ガット〉

日記風にダラッと書きます。ヴォエヴォドスキー〈Vladimir Voevodsky〉のC-システム(「C-システム、分裂ディスプレイクラス、カートメルツリー構造」参照)は、名前を変更しただけでカートメル〈John Cartmell〉のコンテキスト圏〈contextual category〉と…

型理論的形式体系の構文代数系はファイバー付き依存多圏

型理論的形式体系〈type-theoretic formal system〉とは、抽象的演繹系(「演繹系とオペラッド」参照)の一種で、基本的な構文構成素としてコンテキストと何種類かの判断を持ちます。型理論的形式体系があると、コンテキストを対象として、コンテキストのあ…

複前層の圏とファミリー付き圏

「ヴォエヴォドスキーの宇宙圏とパルムグレンの複前層」で述べたように、ヴォエヴォドスキーとパルムグレンは、同じ時期に同じ概念を独立に考えていたようです。その概念を、パルムグレンによる呼び名 "multivariable presheaf over $`\mathcal{C}`$" を縮め…

型理論に出てくる第一射影と第二射影

ファミリー付き圏〈category with families | CwF〉やC-システム〈C-system〉(コンテキスト圏〈contextual category〉と同じ)など、型理論の構文的側面を圏論的に定式化した圏(型理論的圏)では、「射影〈projection〉」と呼ばれる射が登場します。射影が…

ヴォエヴォドスキーの宇宙圏とパルムグレンの複前層

最近、カートメル/ヴォエヴォドスキーのC-システム(「C-システム、分裂ディスプレイクラス、カートメルツリー構造」参照)に興味を持っています。で、次の論文を眺めてみました。 [Voe14-15] Title: A C-system defined by a universe category Author: Vl…

パチモンの圏 = システム

「C-システム、分裂ディスプレイクラス、カートメルツリー」より: ヴォエヴォドスキー〈Vladimir Voevodsky〉は、型理論の理論〈theory of type theories〉の基礎としてカートメル〈John Cartmell〉のコンテキスト圏〈contextual category〉を採用しました…

C-システム、分裂ディスプレイクラス、カートメルツリー構造

インスティチューション理論の骨組みに、型理論やモナドを使って肉付けしようという目論見(「構文付き変換手インスティチューション 1/n」における“半具象インスティチューション”)は、型理論的圏の反対圏が指標の圏として使えることが分かってちょっと進…

型理論とインスティチューション理論が繋がるぞ!

ビンゴ! 「インスティチューションの“指標の圏”の具体化として、型理論的圏の反対圏をとればいいだろう」と見当をつけていたのですが、アタリだったようです。型理論的圏は、拡張包括構造を持ちます。拡張包括構造を持つ圏上の、プルバック四角形(コスパン…

ファイブレーションの亀裂と分裂

昨日の記事「拡張包括構造のもうひとつの定式化」で次のように書きました。 $`\mathrm{Disp}`$ が関手になるとき、選択した $`(d, f) \mapsto f^\# d`$ 達を、ディスプレイクラス $`\mathscr{D}`$ の分裂子〈splitting〉と呼びます。分裂子を持つディスプレ…

拡張包括構造のもうひとつの定式化

拡張包括構造については、「最近の型理論: 拡張包括構造を持ったインデックス付き圏」で述べたことがあります。型理論的圏(「指標の圏はコンテキストの圏の反対圏」参照)は、なんらかの拡張包括構造を持ちます。拡張包括構造の定式化は色々とあります。ジ…

パルムグレンによる、型理論の複前層モデル

パルムグレン〈Erik Palmgren〉は、圏の“前層の圏”を作る操作を繰り返し適用することにより、依存型理論の圏論的モデルを構成しました。パルムグレンのモデルは、カートメル〈John Cartmell〉のコンテキスト圏〈contextual category〉の“印象的な具体例”を与…

型理論とインスティチューションの周辺

紹介している資料は、「依存型理論の圏論的セマンティクスの資料」と一部重複しています。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}`$ 構文論と形式言語 構文モナド 相対モナド 構文論と形式言語インスティチューションは、構文論と意味論の枠組みを与えます。…

指標の圏はコンテキストの圏の反対圏

「構文付き変換手インスティチューション 1/n」において、半具象インスティチューション〈semi-concrete institution〉という言葉を出しました。インスティチューション理論における指標の圏〈category of signatures〉やモデル関手〈model functor〉は、公…

集合のバンドルと圏のバンドル

集合のバンドルは便利に使えます。集合のバンドルの圏化〈categorification〉はファイバー付き圏〈fibered category〉がふさわしいでしょうが、もっと素朴な“圏のバンドル”も定義しておいたほうが良さそうです。例えば、ジェイコブス〈Bart Jacobs〉の包括圏…