N.974 世界の学費 「教育費はタダ」をめざそう!
卒業・進学のシーズンが近づくと、思うことがある。
近所の友人は、二人の息子さんを遠くの私立大学に行かせている。学費や生活費を捻出するために、仕事を増やし、苦労多く最近痩せてきた。
貧困と格差が広がる中、授業料の滞納が増えたり、お金が払えなくて学業をあきらめる若者たちが増えている。
我が家は、あと一年で学費問題から解放されそうだが・・・。
私は4人兄弟の中で一人だけ大学に行かせてもらった。幸い国立大学で、当時の授業料は年間2万円にも満たず、月額1万2000円の奨学金と2万円の仕送りで、何とか卒業できた。それでも我が家はいっぱいいっぱいだった。後に父親が、「もっと頑張って、兄も弟も大学に行かせてやればよかった」といっていたが、それは敵わぬことだった。
そのもっと前、我が種子島の田舎の中学からは3分の1の仲間たちが中卒で集団就職し、都会に出て行った。みな貧乏だったからだ。以来、「貧乏人は学校に行けない」という問題は、私の中でどうしても向き合わざるをえないこととなった。必然的に70年代の学費値上げ反対の学生運動に参加することになった。それは私の、社会への入り口でもあった。
関連過去ログ:NO.400 金のあるなしで、教育を受ける権利に差別があってはならない。
そんな訳で、ちょっと調べてみたら、日本の学費の高さに改めて驚いた。
まず言いたい。
せめて学費、教育費はすべての子どもや若者たちにタダにすべきだ!
貧乏人の家に生まれたら最後、貧乏になるしかないというのはおよそ封建時代の遺物だ。人権だとか憲法だとかここでは理屈はいらないことにする。理屈抜きに、子どもたちを平等なスタートラインに立たせるのが大人の、まともな市民社会の仕事だ。
「高校や大学の学費無料をめざす」という国際人権規約の条項を承認していないのは、157カ国のうち、日本、ルワンダ、マダガスカルの3カ国だけ。ほとんどの国が、若者がお金の心配なく学べるように努力している。どんな貧しい国もだ。こうしてみると日本という国が、いかに野蛮で未開な国かがわかる。
国際人権規約 学費無償化をめざす条項
国際人権A規約(社会権規約) 1966年国連総会で採択
以下、資料をコピーしておきますのでご覧ください。□13条2項b 高校教育の無償化
種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること
□13条2項c 大学教育(高等教育)の無償化
高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること
当面は「軽減」だろうが、目指すは「無償」、タダだ!
共産党も、「教育費無料化を目指す!」と打ち上げて、当面の現実的な政策を語ればいいのだ。実際そういう方向なのだから・・・。
先ずはリンクに飛んで、具体的な「4つの提言」もご参考にどうぞ。
「世界一高い学費」を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために
2008年4月16日 日本共産党
この春、多くの新入生が希望に胸をふくらませて学校の門をくぐりました。新入生のみなさんは、有意義な学園生活をおくり、自分のやりたい勉学やスポーツなどにうちこみたいと、期待に胸はずませていることでしょう。日本共産党は、そうしたみなさんの願いが実現するように全力で応援します。
<「ひとしく教育を受ける権利」が侵害されている>
ところが日本には、進学を手放しで喜べない事情があります。「世界一高い学費」が、高校生や学生、その家庭に重くのしかかっていることです。子育て世帯についての実態調査(国民生活金融公庫)によれば、高校入学から大学卒業までにかかる費用は一人平均1045万円、わが子のための教育費は年収の34%に達しています。
とりわけ見過ごせないことは、「貧困と格差」の拡大の中で、学費が高すぎるために毎日深夜までアルバイトをして体を壊したり、学校を去らざるをえない若者が増えていることです。「1年間で2クラス分くらいの人が高校をやめた」「大学に合格したが入学金が払えず、1年間バイトをしてお金をためて再受験する」など、その実態は深刻です。私立大学では毎年1万人の学生が経済的理由から退学しています。
憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、教育基本法は「すべての国民は……経済的地位……によって教育上差別されない」(第4条)と明記しています。いま起きていることは、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」そのものです。
<「学費無償化」の方向は世界の流れ>
こうした事態を招いた最大の原因は、自民党政府の極度に貧困な教育対策です。高等教育予算の水準(国内総生産にしめる割合)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国全体の平均1.0%に対して、日本は0.5%にすぎず、加盟国中で最下位です。その一方で自民党政府は、“学費は、教育で利益を受ける学生本人が負担する”という「受益者負担」の考え方を教育にもちこみ、学費値上げをすすめてきました。1970年に1万2000円だった国立大学の授業料は今では53万5800円(標準額)で、これほど高騰した公共料金は他にありません。
国際人権規約(1966年に国連総会で採択)は「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。
教育を受けることは基本的人権の一つであり、経済的理由で妨げられるべきではありません。若い世代が高校や大学で新しい知識や技術、理想を身につけることは、社会の発展にとって不可欠ないとなみであり、それは社会全体にとっての貴重な財産となります。それだからこそ、学費をできるかぎり低額にとどめ、無償に近づけてゆくことが世界の大勢になっているのです。このことは、国民の「ひとしく教育を受ける権利」を保障した日本国憲法の精神にも合致しています。国民の生活や権利にかかわる多くの分野で、ヨーロッパなどで常識になっているルールが確立していないことは自民党政治の大きな歪みですが、「世界一高い学費」もその一つにほかなりません。
誰もがお金の心配なしに教育を受けられる条件を整えることは、若者に安心と希望をもたらし、日本の未来を支える安定した基盤となります。困難なもとでも真面目に学ぼうとしている若者の努力に応えることこそ政治の責任です。
日本共産党は、経済的理由で学業を断念する若者をこれ以上出さないために、以下の4つの提言をおこなうとともに、「世界一高い学費」を軽減させるための国民的な運動をよびかけます。
政策の骨子・4つの提言
一、公立高校の授業料の減免対象枠を年収500万円まで広げる。私立高校の場合は年収500万円以下の世帯を授業料全額免除に年収800万円以下の世帯は一部減額する直接助成制度をつくる。
二、国立大学・高専の授業料の減免枠を引き上げ、世帯年収400万円以下は全員授業料免除に。私立大学は年収400万円以下の世帯を減額とする授業料直接助成の制度をつくる。
三、国の奨学金をすべて無利子に戻す。年収300万円に達するまでは返済猶予に。経済的困難を抱える若者への給付制奨学金制度をつくる。
四、高校と大学の段階的無償化を定めた国際人権規約を批准する。
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2009.02.24 | | Comments(2) | Trackback(4) | ・教育問題