NO.1403 内閣法制局の憲法「解釈」 国会答弁禁止をどう見る?
民主党小沢一郎幹事長が、「国会改革」と称してすすめようとている議員立法の禁止、「政府参考人」制度の見直し=官僚答弁禁止に加え、「衆院の委員会の定数削減」・・・について、当ブログでは、以下のように指摘してきた。
参考過去ログ:・・・いま国会に必要なのは、国会が国権の最高機関としての機能を発揮し、国民のための審議が十分できるようにすることだ。そのためには、政府・行政にたいする国会の監視機能を強化したり、議員立法などの立法機能を強めて行く方向での改革こそが求められているのではないだろうか。
小沢氏のねらいは定かではないが、どうみても民主政治に逆行しているといわねばならない。
■NO.1392 民主党の「議員立法禁止」と「官僚答弁禁止」は、「脱官僚」という名の国会軽視・空洞化。 http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1430.html
■NO.1396 小沢一郎氏の「国会改革」は、民主政治への逆行ではないか。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1432.html
今度は、内閣法制局長官の答弁も禁止すると言う。
憲法解釈 内閣法制局長官の答弁禁止 小沢氏が意向 (朝日 2009年10月8日4時8分)
一連の「国会改革」についての発言なので、この報道だけスルーするわけにもいかず、「基本問題は変わらないだろう」と思いつつ、ちょっと問題が複雑になってきて分かりにくくなってきたので、考えあぐねていた・・・。民主党の小沢一郎幹事長が7日の記者会見で、国会で政府の憲法解釈を示してきた内閣法制局長官の答弁を、今後禁止する考えを示した。小沢氏は国会論議を政治主導にするために国会法を改正して「官僚答弁の禁止」を盛り込む考えだ。
小沢氏は会見で法制局長官の答弁を認めるかを問われて「内閣法制局長官も官僚でしょう。官僚は入らない」と語った。
国会法では、内閣法制局長官は公正取引委員会委員長、人事院総裁らと並んで、独立性の高い機関の長として「政府特別補佐人」として答弁が認められている。小沢氏は、政府特別補佐人も含めた官僚答弁を禁止する考えだ。
カンニング(笑)をしてみることにした。
そこで、参考になる考えを記録し紹介します。(正確にはリンク先でどうぞ。)
(お薦めブログ)■内閣法制局長官よりも恐ろしい改憲政治家の憲法「解釈」(上脇博之氏)より。
(前略)
(4)しかし、これでは、憲法によって歯止めをかけている立憲主義の立場がなし崩しにされ、改憲政治家による「解釈改憲」が更に進む恐れがある。
大臣が護憲の政治家であるとは限らないからである。
(5)私は、これまで内閣法制局の憲法解釈が日本国憲法の立場を正しく捉えて「解釈」してきたとは思っていないが、それでも、改憲政治家の憲法「解釈」よりも、まだマシであると思っている。
正確に言えば、内閣法制局の憲法「解釈」は危険であったが、改憲政治家の憲法「解釈」はもっと危険である。
(6)今の明文改憲や更なる「解釈改憲」は、アメリカの要請に応えて海外で自衛隊が後方支援をしたり、武力行使をすることを「合憲」にするために、アメリカや日本の財界が要求しているものである。
決して、自衛隊そものものを「合憲」するするためだけに主張されているわけではないから、真の「専守防衛」論者はそのような改憲論に反対している。
(7)国会審議において官僚答弁を禁止するとして、憲法解釈について内閣法制局の答弁を禁止すれば、改憲政治家である大臣が憲法「解釈」を行うことになるから、これまで内閣法制局が違憲であると解釈してきたもの(自衛隊の集団的自衛権行使や、国連安保理決議がある場合の自衛隊の武力行使など)を「合憲」であると「解釈」してしまう危険性がある。
言い換えれば、官僚(内閣法制局)がつくってきた「歯止め」さえ取っ払ってしまい、立憲主義を骨抜きにしてしまう危険性があるのである。
小沢民主党幹事長も鳩山首相も改憲論者であることを、忘れてはならない。
(8)脱官僚依存とは、官僚”依存”を止めることであり、官僚答弁を一切否定することではないはずである。
ましてや、憲法解釈において官僚答弁を一切否定することではないはずである。
(9)国会法の改正により官僚答弁を禁止することについては、慎重の上にも慎重にすべきである。
(お薦めブログ)■内閣法制局の国会答弁を禁じる問題(下) (超左翼おじさん)より。
(前略)
私は、小沢さんが、名古屋高裁での違憲判決を尊重し、イラク特措法は合憲であるというこれまでの政府解釈を変えるというなら、法制局に答弁させないということもあり得ると思う。実際、答弁させたら、内閣と異なる解釈をするわけだから、大混乱になるだろう。
じゃあ、鳩山内閣は、イラク特措法を違憲だと認定する覚悟があるのか。名古屋判決が出たとき、民主党は、「政府は、裁判所の判断を真摯に受け止め、航空自衛隊のイラク派遣を直ちに終了すべきである」との談話を発表した。
それを貫くつもりがあるなら、まずやるべきことは、法制局の答弁禁止ではなく、内閣として違憲判断をすることだ。小沢さんの発言は、形ばかりを主張して、そういう中身がない。
しかも、だ。内閣法制局長官は、内閣が替わる度に、辞職を申し出て、新内閣により任命されるという方式がつづいている。だから、これまでの解釈を変えようと思えば、何よりも最初にやるべきことは、そういう解釈をしてきた法制局長官を任命しないことなのだ。
ところが、鳩山さんは、自民党政権時代の法制局長官を、そのまま任命した。この長官、イラク特措法ができたとき、すでに法制局第一部長といって、まさに自衛隊にかかわる憲法解釈をする立場の人だった。イラク特措法合憲論者なのだ。
結局、自民党政権時代と解釈を変えるつもりはないということだろう。答弁を禁止したところで、解釈の中身が変わらなければ、変化とは言えない。
それなのに小沢さんが、答弁を禁止するというのは、特別な意味があるのだろうか。イラク特措法の憲法解釈を変えるかどうかではなく、国連決議があれば武力行使も合憲だという憲法解釈を堂々とおこない、それを定着させようとする意図なのだろうか。
小沢さんの憲法解釈にそった解釈をする人物が、法制局のなかに見つからないので、荒技で乗り切ろうとしているのか。それならば、ことは選挙で有権者に問わなければならないような、きわめて重大な問題である。選挙での議論なしにできる問題ではない。こんごも注目していきたい。
内閣法制局も内閣の一員であり、時の政府と切り離して独立に存在するものではない。
両者とも一般的に国会運営のあり方として「答弁を禁止すべきか否か」と言う思考ではなく、内閣法制局が具体的に何を言っているのかと言う視点から考えることの重要性を教えている。それは、反対の立場からの「慎重論」であると読んだ。
なんだかここまで来ると、む・ず・か・し・い・・・。
自分への「宿題」にしておきます。
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