平成26年度予算案は国立大学法人にどのような影響を与えるのか?(1)
平成26年度予算案を見ると、国立大学運営費交付金に関しては、国立大学改革プランの実行を促進するための仕掛けが鏤められている。どちらかと言えば、大学からの内発的な改革意思を拾い上げたというよりは、経団連を始めとする産業界の提言に基づいて構築された政府の方針を、少なくとも表面上は忠実に実行する国立大学法人に資源を優先的に配分する姿勢が目立つ。また、運営費交付金の3~4割を競争的に配分するという方針に従って、形の上では競争的に配分しているように見せる袋予算を設定するなど、苦心の跡が伺える。ただ、本質的には、主要な国立大学の教育研究の質を世界の大学に対抗して向上させるような国のリーダーシップは見られない。世界大学ランキング100位以内に10校をという目標は、やはり本気ではなかったことが明確になってしまったのではなかろうか?今回は、運営費交付金を中心に、気づいた点を述べてみたい。
第1に、交付金総額が対前年度3.1%増になったことは、形の上で消費税値上げ分を措置したように見えるが、給与改定臨時特例法の終了に伴う影響額が5%程度当然に増額となっているので、実際に使える予算は目減りしていることになる。そうした中で、国立大学機能強化に係る特別経費を獲得できたかどうかで、各法人の浮沈が左右されている。従来の特別経費による教育・研究プロジェクトの予算については、既存事業の一律減額、基礎科学関係の大幅減額査定が目立つ。袋予算の配分などで競争的な資源配分への切り替えを強調する一方で、大学改革促進係数で1.3%(附属病院を有する大学)の一律削減を掛けていることと併せて、再配分できる財源をタコが足を食うような形で確保せざるを得ない苦しい状況が続いている。総額を伸ばしながらメリハリを強化するのではなく、あくまで交付金総額を一定の枠の中に抑える政策が続いているのである。
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