さる心地に道心おこしてつきありくらんよ
敬遠されるマイナ保険証
12月から、従来の健康保険証に代わって、所有している人(国民の約6割)はマイナ保険証の利用が義務付けられるものとばかり思っていましたが、従来の保険証も有効期限までは使えるのだと知りました。マイナ保険証がない人(約4割)には、資格確認書が届くということです。まだ少数ですが、マイナ保険証をやめる人もいるようです。ポイント付与でメリットは享受したので、もうマイナ保険証を保持する意味を見出せないからでしょう。私も、これまでは、あえて医療機関には健康保険証を持参していました。マイナカードを紛失すると面倒だからです。恒に財布に入れておくのは、財布ごと無くす(盗られる)危険が付きまといます。クレジットカードの停止・再発行手続きさえ、それぞれに原則本人が電話をかける必要があり、かなり面倒で気を使います。特に、紛失したマイナカードが悪用されないか不安があります。マイナ保険証が、利用者にとって具体的なメリットを生まないのであれば、これ以上の普及は望めそうもありません。また、資格確認証の発行の事務も相当な負担になるでしょう。そうまでしてマイナ保険証を推進する意味はあるのでしょうか?
自宅の被災認定
能登半島地震から11か月が経ちますが、NHKの調査で、罹災証明書の発行手続きに必要な建物の被災認定作業において、再調査の申請が多数に上っていることが分かりました。対象市町村において、全体の28.7%もの再調査申請があるとのことです。被害が大きかった輪島市に至っては、42%を超えています。この再調査の実施が、自治体に大きな負担となっているのです。専門家が皆無の自治体もあり、一般の職員がマニュアル片手に1件1件調査を行うので、作業効率も上がりません。報道では、再調査の結果、一部損壊から半壊にグレードが上がったケースが紹介されていました。この認定結果は、受けられる支援の金額に直結しますので、少しでも可能性があれば、再調査を求めるのは人情でしょう。認定基準が複雑で、自治体の事務負担が過大になることは、本末転倒だと感じます。特に、罹災証明書の発行がこれほど遅延しているのは、被災者の方々を無用に苦しめる結果となっています。東京に暮らす人間には能登の事情は詳しく分かりませんが、再調査の作業を他県からの専門家の派遣によって、迅速化すべきだと思います。なお、判定基準の簡素化による作業効率アップも、併せて検討すべきでしょう。
中国は覇権国家となるか?
玉木俊明「ユーラシア大陸興亡史」(平凡社)は、ユーラシア大陸の東西に位置する中国とヨーロッパの文明の発展の歴史の流れを分析して、近未来への潮流を把握しようとする作品です。第10章が、「中国は覇権を握るのか?」となっていることが象徴的です。結論としては、著者は、「アングロサクソンが築き上げた仕組みを利用し、自動的にコミッションが入る新しいシステムの構築に成功したとき、中国は覇権国家になる」としています。その関係で、著者が注目するのは、上海+香港の金融市場、中露のユーラシア連合(軍事+資源)、一帯一路政策(経済圏)です。未開発の土地がなくなり、先進国で人口減少が始まりつつある現在、近代世界システムは終焉に向かっているが、コミッション資本主義は継続するというのです。一帯一路の経済圏から巨額のコミッションを得られるようになれば、中国が世界経済の中心になる可能性が高いと見ています。以上のような大きな歴史的転換が起こるかどうかは、私には分かりません。かりに、そうした交代が起きるとすれば、軍事的な衝突が避けられないと思います。日本は巻き込まれるのは必至です。その場合、特に核兵器の使用への危機感を高める必要があると考えます。広島・長崎を最後にしたいという希望は日本人に共有されていますが、世界には、核兵器の悲惨さなど省みない独裁者もいるからです。
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