国の研究開発における「評価」の価値は高まるだろうか?(4)
以上のように、新大綱には期待しているが、府省・独立行政法人等において、新大綱が適切に実施されるには、幾つの準備が必要であることも指摘しておきたい。
最も重要な点は、プログラム化、アウトカム指標の設定に関するノウハウの蓄積・普及である。経済産業省以外にはまったく経験がないにもかかわらず、府省には2013年から新大綱の示す変革に取り組んでもらわなければならない。府省の評価担当でさえも、全体をどのように移行して行けば良いのか、見当がついていないに違いない。研究開発の事業実施担当組織にも、そのゴールのイメージが明確になるように、早期に海外からノウハウを吸収して広く共有を図ることが望ましい。
次に、新大綱の内容をいつまでに、どのように実行するのか、実施スケジュールを明確に示すことである。平成20年の大綱も厳密に言えば実施されていないと疑われる点もあり、府省・独立行政法人等に任せておけば大丈夫だとは思えない。
3つ目に、体制強化への方策について、きちんとした道筋を示すことである。評価担当部署の設置、専門人材の確保には、当然、人件費抑制政策との調整が必要になってくる。研究開発への資金配分に対して一定割合を目途に評価システムを構築するというような新しい施策を打ち出す必要があるだろう。体制強化の指示だけ出して、実現については「現場で頑張れ!」では、誰も付いて来なくなる。
今回の改定においては、新大綱の内容と並んで、その実行にも十分な目配りがなされることが大切である。
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突然の連絡にて失礼いたします。
THEMISと申します。
ブログを拝見させていただきまして興味深く読ませていただきました。
つきまして少々お会いしてお話しをお聞かせいただくことはできますでしょうか。
NUPSパンダ様のことはブログのみでしか存じ上げませんで恐縮ですが、
メールにてお返事いただけますと幸いです。
なにとぞよろしくお願いたします。
投稿: THEMIS | 2012年9月 7日 (金) 12時06分