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2024年7月

2024年7月31日 (水)

おろそかなる報をあまくす

大関の陥落

 貴景勝関が2場所連続負け越しで大関を陥落しました。来場所、関脇で10勝以上を上げれば、復帰することができますが、過去の例を見ると非常に厳しい狭き門になりそうです。それというのも、貴景勝関が首の怪我で、頭から当たる押し相撲が取れず、苦しんでいるからです。彼の前には、霧島関が怪我から本来の相撲が取れずに、陥落しました。名古屋場所で復帰を目指しましたが、8勝に止まりました。またゼロから大関を目指すことになります。考えてみれば、大関が大関のままで引退した例は、最近は豪栄道関くらいで稀です。令和になってからの大関陥落力士は、高安関、栃ノ心関、貴景勝関(2度目)、朝乃山関、正代関、御嶽海関、霧島関となりました。彼らは、引退することなく、幕内で相撲を取り続けています。考えてみれば、横綱であれば、回復までに1年以上の猶予が与えられて、番付が落ちることがないのに、大関にはそうした特権がなく、陥落しやすいのです。かつては、3場所連続で負け越したときに陥落というルールでしたので、今よりも余裕がありました。これほど陥落が多くなった以上、もう一度、3場所負け越しのルールに戻すことを検討してはどうでしょうか?

 

鰻で食中毒

 横浜市の京急百貨店で販売された鰻弁当で、食中毒が起こっています。死者も出ました。黄色ブドウ球菌の疑いがあるようです。日本橋鰻伊勢定という老舗の鰻屋さんの弁当ですから、不思議に感じていました。鰻に問題があれば、本店ほかの営業所でも何か問題が起こっているはずだからです。どうやら、鰻やたれの問題ではなく、百貨店での調理の際に、菌が混入したようですが、鰻屋さんとしては、鰻弁当⇒食中毒、鰻が危ない?と勘違いされてしまいそうです。鰻で食中毒は起こるはずがないと、油断したのでしょうか?鰻好きとしては、誤った情報の伝わり方がないことを祈ります。

 

コロナ禍による教育への影響

 日記新聞に、佐野晋平教授(神戸大学)の投稿記事があり、休校が算数・数学に与えた影響として、休校から19か月後にはいずれの学年でも悪い方に影響が広がっていること、小4~5では標準偏差で0.3のマイナスと最大になっていることが紹介されていました。文科省は、基本的に休校による教育の遅れはないとしていますが、データの裏付けがありません。やはり、個々の研究者による調査研究ではなく、大規模なサンプルを収集して分析すべきだと思います。休校の際にも、家庭の方で、遅れが生じないように対策を講じている場合と、そうでない場合とでは、児童生徒の達成度に差が出るのは当然ですから、家庭環境を含めて、データを取って詳しく分析すべきなのです。学力テスト(小6と中3の国語・算数数学)の都道府県別の平均正答率を眺めても、かなりの格差があり、高学年に行くほどその幅が大きくなっていると感じます。東京と沖縄を比較すれば、小6では、国語で4点、算数で10点ですが、中3では、国語で6点、数学で14点の差となっています。この結果は、学校以外の教育機会の違いだろうと推測しますが、特に数理系の学習について、沖縄は真剣に取り組む必要があるでしょう。他にも、小6では全国平均以上でも、中3になると以下に落ちている県は、中学校での学習の在り方を見直す必要があると思います。学力テストに付随した生活アンケート調査の結果も、かなりショッキングです。授業以外の学習時間が、減少しており、他方で、テレビゲームやSNS・動画視聴の時間が3時間以上という子どもが3割もいる状況です。勉強時間を削って、ゲームやYouTubeで時間を潰しているとは、実に勿体ない話です。どんなに学力テストで達成状況を測定しても、こんな状態では、子供たちの将来に期待する方が馬鹿のように見えて来ます。教育政策に関して、きちんとしたデータに基づいた判断をしていくことが何よりも重要です。生活指導もしたらどうでしょうか?

 

2024年7月30日 (火)

姿を恥づる悔もなし

名古屋場所千秋楽

 照ノ富士関の10回目の優勝で幕を閉じましたが、横綱が14日目と千秋楽で琴櫻関と隆の勝関に負けたために、思いがけず決定戦に縺れました。彼の力士寿命もそう長くないことを痛感しました。次の横綱が早く必要です。その候補者である大の里関は、殊勲賞をもらいましたが、成績は9勝どまりです。取り口を研究されて、自分十分の型になれず、課題が明らかになった場所でした。これを乗り越えられれば、来年には横綱まで上っていくでしょう。隆の勝関は、しばらく低迷していましたが、今場所で押しの威力が蘇ったと感じます。気力溢れる相撲で、敢闘賞の受賞は納得ですが、殊勲賞でも良かったと感じます。平戸海関は、10勝を上げて技能賞を得ましたが、大関候補に名乗りを上げた格好です。立ち合いが鋭くなり、攻撃力が増しました。三賞の選考について、大の里関は除外して、11勝を上げて復活した若隆景関に敢闘賞を授与すべきだと思います。仮に、4つ目も可能ならば、美ノ海関にも敢闘賞を上げて良いと思います。大の里関に当てられたりする意味不明の割もあり、10勝に止まりましたが、彼の相撲が完成形に近づいている印象です。こういう地味な力士にもチャンスを与えるべきでした。名前が挙がらなかったというのは、選考委員が不明を恥じるべきです。選考方法も、相撲記者たちによるブラックボックスをやめて、候補力士を挙げてネットによるファン投票に委ねたらよいと思います。他に、印象に残ったのは、怪我を抱えた貴景勝関が鬼気迫る必死の相撲を最後まで見せていたこと、輝関が脇を閉めた下から押す技術を身に着けて幕内で勝ち越したこと、真面目な押し相撲の武将山関がついに幕内で勝ち越したことです。さらに加えれば、32歳以上の力士の成績が総じて悪いことですが、名古屋の暑さが影響しているのかもしれません。十両も含めて、新旧交代は確実に進んでいます。

 

なでしこ対ブラジル戦

 歴史に残りそうな大逆転劇でした。残り10分ほどの時間帯で、0-1のままで、エースのマルタ選手38歳を交代させてきました。ドラマはここから始まりました。なでしこは、攻撃あるのみで、フレッシュな選手たちが右サイドからドリブルで仕掛けます。終了直前にPKのチャンスを得て、何と熊谷選手が決めました。彼女が選ばれたのは、プレッシャーに一番強いからでしょうか?前半の先制のPKのチャンスは、田中選手が蹴って、GKのファインプレーに阻まれていたので、余計に重圧があったに違いありません。撥ねのけた精神力は20歳の時に蹴ったPKとは違う意味があったと思います。立派でした。これで、引き分けかと見ていましたが、2度目の奇跡を、またまた谷川選手が起こしました。ニューヒロインの誕生です。短い時間でしたが、彼女は、宮間選手の再来だと感じました。予測しなかったループのロングシュートがGKの上を越えて、ゴールネットを揺らしました。恐るべき19歳です。なでしこには、若い宝が育っていました。最後に切ったカードが切り札になり、逆転劇を生み出した池田采配が、賞賛されることになりました。逆に言えば、ブラジルの最後の交代が、結果的に早すぎたことになります。試合は、互いに4-3-3を基本に可変的なシステムの戦いになりましたが、ブラジルは前線の選手が日本のBKに張り付く形をとり、攻撃の組み立てを許さない作戦で、ショートカウンター狙いを仕掛けてきました。なでしこは、浅いラインの裏を狙って何回かシュートチャンスを作りましたが、散発的で、ブラジル優勢の時間が長く続きました。左サイドの守屋選手が切れ込んで打ったシュートが、ハンドを誘発して、PKを得ましたが、先制できませんでした。これで、ブラジルに流れが行った感じです。後半は、互いに攻撃力を高めて、一進一退が続きましたが、守備から攻撃への切り替えの早さで上回ったブラジルに、カウンターで正面から決められました。この1点が重い展開でしたが、交代選手の活躍で、グループリーグの突破に光が見えました。次戦のナイジェリアも、侮れない相手ですが、連勝で勢いをつけてほしいと思います。

 

Z世代化

 舟津昌平「Z世代化する社会」(東洋経済新報社)は、Z世代からの論理を踏まえて、社会の変化を捉えようという試みです。著者もゆとり世代の30代で、若い経済学者です。全6章の構成をキーワードで辿れば、SNSと学校、ビジネスと不安、就活における唯言と成長、職場の不思議、将来への教訓と進みます。興味深いと感じたのは、大学のテーマパーク化で、学生は客だという見立てです。大学の教員と学生は、互いに無関心であることが、互いにとって一番幸福なのだそうです。会社では、この関係は成立しません。ただ黙って座っている社員は評価されませんから・・・。客じゃなくなるのは試練になります。ブラックでなくなった職場でも、社員の不安は消えないようです。推し活は幸福感を高めるが、有料であるというのも面白いと感じます。私は、推し活は一種の宗教的行為で、推しを通じて他人と繋がれるので不安が緩和するという点も、宗教の機能を代替していると思います。怒られない若者というもの、社会の大きな変化です。メンタルも弱く、教育効果がないので、大人の方が怒らなくなったというのです。結果として放っておかれることになります。説教されたくない人には、しても効果がないので、厳しく指導などできないわけです。大相撲の世界でも、若手の親方たちは、指導法に悩んでいます。強度の高い稽古なしに、力士を強くするのは無理だが、それについて来られない人間が多いというわけです。ハラスメント騒動になるのも困るので、適当に放し飼いでやらせているようです。なるほど、よほど自覚のある人間だけが本当の稽古を積み上げて番付を上がってきているわけです。Z世代が社会の中核になれば、社会の色を決める存在になるでしょう。著者は、社会がZ世代化していると捉えます。終章の著者なりの助言は、説教に聞こえなくもありませんが、理由は探さない(無駄だから)、根拠のない自信を持とう、満点人間を目指さない(無理だから)、頭が悪くても大丈夫(どうせ悪いのが多い)、統合性を大事にする(陰謀論に振り回されない)、余裕を持て、まず一歩踏み出そうというようなフレーズになります。どこまでZ世代化した社会の構成員に刺さったかは分かりませんが、世代間で折り合いをつけるヒントにはなるかもしれません。

 

2024年7月29日 (月)

わづかに命をつぐばかりなり

ラグビー日本代表

 テストマッチを含めて、どうも新HC体制のチームの戦績が芳しくありません。イングランド、ジョージア、イタリアとの試合は、3連敗に終わりました。3年後のワールドカップでは、ベスト4を目標にしているとのことで、世界ランキング14位にまで落ちている現状を踏まえれば、遠い目標だと感じます。イタリア戦を見ると、トライ数でも、日本の2に対してイタリアは5で、攻守に渡って差がある状態でした。特に、攻撃の起点となる敵陣でのラインアウトにミスがしばしば起こり、チャンスを作れませんでした。修正が必要です。これまでの代表チームは、連携の練度が遥に上でした。技術的にも、一旦後退してしまったわけで、ベスト4という目標は現時点で無理だと感じます。3年後を見据えての選手選考の結果が、練度の低下になっているのでしょうが、「幼稚園」レベルの代表戦を見せられるファンは失望するしかないでしょう。トップリーグが世界レベルの選手たちの加入で、ファンの獲得に役立っている中で、代表チームが弱いと、ラグビーが見放されてしまいます。指揮官のエディーさん、何とかしてください。

 

男子サッカー対マリ戦

 1-0で勝利して、グループリーグ突破を決めました。お互いに4-3-3の布陣で、守備の際には、4-4-2になるような形です。マリは、前半の始めと終わりに攻勢に出ましたが、中間では、専ら自陣に引いてカウンター狙いでした。ボールを持たされていた感じです。失点しない作戦でした。後半は、攻勢に出て点を奪いに来ました。勝ち点3が必要だからです。サイドからの突破、セットプレーで、再三、決定的なピンチがありましたが、GKを中心に守り切りました。MOMは、小久保選手です。先取点のシーンでは、細谷選手のドリブル突破が効きましたが、ゴール前に3人の選手が走り込んだことが功を奏しました。最終盤にPKを取られましたが、GKのファインプレーで相手が外しました。枠に飛んでいれば、セーブできたと思います。マリは、個々の選手のパワーとスピードは侮れないと感じましたが、要は、ゲームを作るモドリッチ選手のような存在がいませんでした。次戦では、既にイエローカードをもらっている選手は注意が必要です。代替可能な選手は休ませるという選択もあるでしょう。厳しい戦いになる準々決勝に備えてほしいと思います。

 

泡盛の夏

 沖縄に1か月ほど滞在中の方から、田嘉里酒造所の「まるた」、「山原くいな」という銘柄の泡盛を送っていただきました。この造り手さんは、沖縄本島の最北端に位置しており、やんばるの天然水だけを使用した仕込みが自慢です。創業74年とのことです。早速、ロックで「まるた」を呑んでいますが、夏にぴったりの癖のない滑らかさです。呑み過ぎだけには注意したいと思います。

 

2024年7月28日 (日)

常に働くは養性なるべし

最低賃金

 全国平均の時給が1054円に上がりました。5%近い上昇率です。それでも、フルタイムの労働者の賃金中央値に対する割合は45.6%と、フランス、イギリス、ドイツと比べて、15~7ポイントも低い状況なのです。これほど最低賃金が抑制されてきたのは、経済が停滞してきた20年以上の結果だと思いますが、多くの労働者が雇用される中小企業の生産性が上がらなければ、賃金上昇も実現できないでしょう。最低賃金の上昇に耐えられないような企業は退場するしかないのですが、新たな企業による雇用の創出を、どこまで期待できるのでしょうか?日本経済全体としては、成長に向かえるのでしょうか?作戦全体が明らかにならないと、単に政府の方針に沿って、最低賃金がインフレ率を超えた伸びに設定されたというだけに終わってしまいます。

 

サッカー観戦術

 「林陵平のサッカー観戦術」(平凡社)は、一味違う観戦の仕方を教えてくれます。序盤に、両チームの戦術の基本を把握することを勧めています。特に、攻撃・守備とその切り替えの時に、、チームとしてどこをどう狙っているのかが分かります。お互いのシステムの違いで、有利なところを生かし、不利なところを補うというベンチの作戦にも注目します。選手交代による試合の流れの変化も重要な見どころです。システム(初期配置)の考え方についての解説も面白いと思います。4-4-2(バランス型)、4-3-3(攻撃重視型)といった選手の並びのことです。現在は、初期配置を狙いに合わせて変更する可変システムが隆盛です。強いチームがどのようにシステムを変更しながら勝利を目指そうとしているのかは、観戦術の重要なポイントです。著者は、現代サッカーをリードする世界的な監督たちも紹介しています。出身国は、スペイン、イタリア、ドイツ、アルゼンチン、ポルトガルです。イギリス、フランス、ブラジルなどの強豪国からの人がいないのは意外です。日本も、世界的な監督を生み出したいものです。Jリーグの解説でも、得点シーンや個々のプレーばかりに注目するのではなく、チームの作戦や選手起用の効果に重点を置くべきだと感じます。監督で勝つチームが出て来ると面白いと思います。

 

フランスと日本の文化格差

 オリンピックの開会式を比較すれば、日本とフランスには、スッポンと月ほどの差がありました。個々のパフォーマンスにも格差を感じましたが、全体構成の巧みさ、メッセージの豊かさ、五感に訴える効果など、子供と大人の差がありました。日本は、過去と土俗性に頼る傾向があり、全てに凡庸でした。フランスは、ゴシックまで取り入れた革新性に傾斜した構成が意識されていました。出演者も、取り上げるテーマも、衣裳・デザインも、演技も音楽も、質の高い多様性を示していました。外国人のテニス選手、歌手も参加して、国際都市パリを印象づけたと感じます。動画とライブを組み合わせて放送していましたが、動画の部分では、特に、フランスのブランドをそれとなく紹介して、世界への宣伝活動を行っていたのにも感心しました。PR効果としては絶大です。なかなか狡賢いやり方です。やはりフランスには文化の面で勝てそうにありません。

 

2024年7月27日 (土)

馬鞍、牛車と心を悩ますにはしかず

なでしこ対スペイン戦

 前半は、4-4-2のシステムが機能して、4:6くらいの保持率によって、守備一辺倒ではなく、守備から攻撃への切り替えも悪くなかったと思います。ゴール正面のFKを得て、素晴らしい藤野選手のシュートで先制したまでの流れはシナリオ通りだったでしょう。同点のシーンでは、相手の6番の選手(バロンドール受賞者で澤選手のような存在)が駆け引きで一枚上だったということで、守備陣としては仕方がなかったと思います。問題は、後半ですが、5バックにしてスペースを埋めたために、攻撃への切り替えがうまく行かなくなりました。波状攻撃を跳ね返すだけになり、苦しい時間が続きました。このシステム変更は、失敗でした。引き分け狙いだったのでしょうか?スペインの狙いである右サイドからの崩しを再三防いできましたが、清水選手が負傷退場(重傷なら影響大)した直後、ついに8番+6番のコンビで、決勝ゴールを決められてしまいました。スペイン女子の技術とスピードは、全盛期のシャビやイニエスタらがいた当時の男子チーム(ワールドカップ優勝)を想い起こさせます。なでしこは、チームとして精一杯戦いましたが、ランキング1位には及びませんでした。悲観する必要は全くないので、次戦までに修正して、より攻撃的な戦い(好調な浜野選手を先発させて4-3-3にする)を期待しましょう。池田監督の采配が、メダル獲得への鍵になります。

 

授業料の標準額

 年間53万5800円が国立大学の授業料ですが、決められたのは、2005年度です。この金額の2割増しまでの授業料を各大学法人の経営方針に従って自由に決められる仕組みです。実際に引き上げたのは、東工大など7校のみです。この標準額について、文科省は有識者会議において議論を始めるようです。財務省から何か言われたのかもしれませんが、標準額の引き上げは、国立大学にとっては、収入増にはなりますが、運営費交付金の減額が無ければの話です。人件費の上昇に対応できる財源の確保が急務になっており、それが運営費交付金の増額で賄えない場合は、人勧に準拠した賃上げができない大学が、来年度以降も増えて行くことになるでしょう。地方大学は、標準額+αの授業料を設定しずらいので、有識者会議は、アシストの意味があるのでしょうが、本来、国立である大学の人件費増のための財源措置が行えないというのは、国としての面目が保てなくなっていると言われても仕方がないでしょう。

 

虚偽投稿

 能登半島地震における虚偽投稿者が、特定されて、偽計業務妨害容疑で逮捕されました。逮捕されたのは、埼玉県の会社員25歳男性ですが、動機は、大災害に便乗することで、自分の投稿に注目してほしいからだということです。虚偽の投稿が現場の救助活動に、どんな悪影響が及ぶか、助かる人を助けられなくなるのか、想像力の欠片もないのでしょうか?今回の逮捕ですっかり有名人になったので、満足なのかも知れませんが、やったことは卑劣そのもので、厳しい指弾を受けるでしょう。今後の人生を通じて、少しでも世の中のために役に立つことをするようにして、真っ当な人間になってほしいものです。匿名性の壁に隠れて、被災者救助を妨害した罪は、簡単には消えることはありません。閻魔庁での裁きの前に、当面、世間の風の冷たさが骨身に染みることになるでしょう。それほど許されないことをしたということです。こういう馬鹿なことは絶対やめましょう。

 

2024年7月26日 (金)

只わが身を奴婢とするにはしかず

若者のホームレス

 実質的にホームレスになっている若者がかなり多いという報道がありました。実数の把握ができないので、肌感覚での話かもしれません。歌舞伎町のトー横の少年たちは、全国から家出して集合していると言います。親子関係が崩壊しているようで、家にいるのが辛い、居場所がないのです。SNSで連絡していた相手と歌舞伎町で会えれば、同じ境遇の同世代として、直ぐに仲間になれるようです。危険な大人が一杯の歌舞伎町ですが、少年たちは、晴れ晴れとしており、補導して親元に送り返しても、また戻ってくることになります。宮藤官九郎さんの脚本で放送中の「新宿野戦病院」でも、そんな未成年たちが描かれます。ホームレスというより、親なき子たちです。親が毒親であれば、子どもは、別のホームに収容するしかないでしょう。それが、病院であったり、NPO法人であったりしますが、歌舞伎町は、帰る家のない未成年の溜まり場になっており、簡単に解決する状況ではありません。まさに右肩下がりの日本の縮図です。

 

大不況への備え方

 ロジャース、渡辺「大暴落」(プレジデント社)は、経済大国ニッポンが過去のものとなった今、このままでは日本が、必ず財政破綻へ向かうと警鐘を鳴らしています。世界規模の経済危機になれば、世界戦争へと繋がる可能性さえあるとしています。戦争になった場合、自国のために戦う国民の割合が最低なのは、わが日本です。他の国は、悪くても30%ほどですが、日本は、その半分です。兵力の面で絶対に戦争ができない国なのです。50年ぶりの円安については、借金と人口減少が根本原因で、こういう国は繁栄しないので、将来ある人は、日本を出た方が良いと述べています。真っ当なアドバイスです。逆に言えば、公的債務を減らして、移民を増やす政策を取るべきなのです。著者は悲観的なシナリオを頭に描いているので、金利上昇局面になれば、不動産や株式などの価値が下がるため、特に流動性の低い不動産を持つことは警戒すべきだとしています。世界恐慌が来た時に頼りたいドル資産も、安全だとは考えない方が良いとしています。アメリカ借金をコントロールできていないからです。新NISAで投資を始めている人たちには、著者たちの警告を、どこまで信じるかどうかは別にしても、知っておくべきでしょう。私も、著者の勧めに従って、借金を増やさない、足るを知る、健康を維持することを基本に、お金に振り回されぬ生き方を心がけようと思います。

 

パリ五輪サッカー対パラグアイ戦

 南米1位で登場したチームなので、警戒しましたが、5-0での圧倒的な勝利には拍子抜けしました。この結果を招いたのは、パラグアイが、チームとして機能していなかったこと、規律がなく無用な反則を繰り返したこと、ピッチの真ん中を日本に支配されたことでしょう。補足すれば、日本くらいの相手なら、個人の力で戦えると勘違いしていたということです。前掛りに圧力をかければ、前線でボールが奪えると高を括っていたと思います。日本は、相手を引き付けて、適切にパスをつないで、パラグアイの思惑を封じました。反則のオンパレードは始めからでしたし、10番の選手がレッドカードをもらって10人になっても、ラフなプレーを続けていましたので、チームのスタイルなのかもしれません。日本のボランチはピッチを自由に動き回れて、特に藤田選手はボールの回収や繋ぎで流石の技術を見せてくれました。彼がMOMだと思います。パラグアイのシステム変更がなかったので、後半も中盤を支配できましたが、なぜ動かなかったのかは不明です。10人になったからでしょうか?オーバーエイジもいない、久保選手らも入らないチームで、勝てるのかと心配しましたが、大岩監督(最高殊勲者)の采配が的中して、最高のスタートが切れました。メダル獲得を期待しましょう。なお、不用意なバックパス(GKのファインプレーで得点に至らず)、無用な反則によるFK(ゴール前にクロスが来る)には反省が必要です。勝ち進めば、1つのミスで、敗退することもあります。

 

2024年7月25日 (木)

恩顧あつきを先とす

夫婦岩

 伊勢市駅から2駅先の二見浦下車、徒歩15分ほどで、行くことができます。表参道は、締まっている旅館もあり、かなり寂れた印象です。私が訪れたのは、夏の雷雨が30分ほど降った後でした。夫婦岩は、大小2つの岩を注連縄で結んだものです。2つの岩の間を潜ると夫婦円満、良縁の御利益があると言われています。2つの岩と注連縄は、沖合700mの海中にある猿田彦大御神の輿石神石と日の大神(日の出)を遥拝する鳥居の役割を果たしています。伊勢参りの際には、この夫婦岩がある二見興玉神社を参拝するのが一般的でした。夫婦岩は全国各地にありますが、やはり、この伊勢の二見ヶ浦の夫婦岩が最も知られていると思います。私は、今回、55年ぶりくらいに再訪しました。強烈な日差しの下でしたが、潮風に吹かれて、夫婦岩には、均整の取れた美しさと強さを秘めた清々しさを感じました。江戸時代の人たちは、遠路はるばるやってきて、波穏やかな海岸に寄り添うように立つ2つの岩に、自分たちを重ねて、心身が清められるような気持になったのだろうと思います。

 

名古屋場所11日まで

 照ノ富士関が独走状態です。ただ、勝ち続けているだけでなく、取り口が安定しています。全勝で10回目の優勝を飾って欲しかったのですが、残念ながら、大の里関のタイミングの良い突き落としで黒星を喫しました。大関陣では、琴櫻関が、面目を保っていますが、勝ち方で強さを感じさせない点に物足りなさがあります。豊昇龍関は、省エネ相撲で、相手の力を使う勝ち方が多いのが、横綱とは対照的です。両者は、11日目が終わって横綱と2つの差で、ほぼ優勝争いは終了という感じです。貴景勝関は、首の怪我が重く、大関陥落はやむを得ない状況です。御嶽海関や大栄翔関から人情相撲で星をもらったような形で、痛々しい感じがします。ただ、本人が必死に土俵を務めているのは十分に伝わってきます。大の里関は、相手の研究が進み、十分な体勢になれずに苦戦が続きました。中村親方の独立で、部屋の稽古相手が減ったこともあり、大関・横綱昇進が、予想よりも遅くなるような気がします。上位で、期待通りの相撲を見せているのが、平戸海関です。立ち合いの鋭さが増しました。三役を維持して行けるでしょう。霧島関の大関復帰の可能性はほぼなくなりました。負け方が悪く、はっきり力が落ちていると思います。奇跡を起こすとすれば、開き直りでしょう。下位の力士で目立った活躍をしている人はいません。ただ、地味ながら技能に優れた美ノ海関には10勝以上して、ぜひ三賞を受賞してほしいと思います。横綱が土俵を引き締めていますが、全体的には、やや盛り上がりに欠ける名古屋場所になりました。幕下上位では、木竜皇さん、大青山さんが好成績で十両昇進が望めそうです。9月場所では新風を吹き込んでくれるでしょう。

 

ポガチャル

 今年のツール・ド・フランスで、3回目の総合優勝を成し遂げました。ステージ優勝も6回で、彼が最強であることを示しました。対抗馬のビンゲゴー(昨年の総合優勝者)が、十分な準備ができなかったこともありますが、25歳のスロベニア人は、横綱相撲で上りを制して、力の差を見せつけていました。疲れが心配ですが、パリオリンピックでも優勝を狙っているでしょう。ポガチャル選手は、欧州では超がつくほどの有名人ですが、日本では知る人ぞ知る存在です。自転車競技の人気度が違いすぎます。山のコース脇にキャンピングカーで陣取って、選手が観客をかき分けるように上っていく中で、大声援を送る熱狂ぶりは凄いものです。今年は、最終ステージが、パリの凱旋レースではなく、ニースでのタイムトライアルでした。直後にオリンピックが予定されているからですが、ツールがパリを走らないのは、パリのファンには残念でしょう。その代わり、選手たちは、各国代表でパリのレースにやってきます。テレビ中継があれば、楽しめます。

 

2024年7月24日 (水)

只糸竹、花月を友とせむ

国立大学の授業料値上げ

 東大が値上げを検討していますが、実現への道筋が整っているわけではないようです。それでも、標準額に固定するというわけにはいかなくなっています。公務員時代と違って、人勧による賃上げ分が予算で配分される保障はなくなりました。授業料の値上げによる財源で給与の上昇を賄うことができるわけでもありませんが、法人として稼げるところでは、稼ぐしかないというのが本音でしょう。国立というのは、既に看板だけになりつつあります。運営費交付金は重要な財源ですが、安心できない、頼れないという状況になっています。政府の物価上昇以上の給与アップで経済の好回転というシナリオに乗り遅れそうな財務状況なのです。かつて、大学貧乏物語が語られて、政治的なバックアップに繋がった時代がありましたが、今、再び、国立大学の経営危機を本気でPRしなければならなくなりました。地方大学は、値上げしたいが、値上げすれば、学生募集に影響が及ぶという悪循環を恐れています。私学は毎年のように授業料の改訂を余儀なくされていますが、国立も同列になりつつあります。いずれにせよ、値上げのロジックが課題になるでしょう。学生還元も当然の要請です、値上げ分をそのまま給与アップに使えるわけでもありません。

 

不動産のデジタル証券化

 投資マネーの流入で、市場規模が3年で40倍に膨らんでいるそうです。急速に、普及しつつあるということです。ブロックチェーン技術で小口化したトークンを販売するという形態です。対象は、ホテル、オフィス、賃貸マンションのほか、今後は、リゾートホテルなどにも拡大するようです。不動産の価値が下落する恐れはないのでしょうか?この点が一番の懸念でしょう。また、市場が整備されていないので、流動性は低い状態です。日経新聞でも、同じ指摘がありましたが、100万円程度の投資で、3~5%の年利が取れるので、資産家には一つの選択肢として認識されるでしょう。不動産を購入して、自分で、この程度の利益を出すのが難しくなっているからです。

 

シェル・レーヌ

 三重県鳥羽市のブランカという店の、マドレーヌのような洋菓子です。形状は、あこや貝ですが、フランスやスペインの人たちには、巡礼のシンボルであるホタテ貝に見えるかもしれません。第22回全国菓子博覧会名誉総裁賞を受賞しています。東京では、アンテナショップの三重テラスで入手可能だとのことです。伊勢に行った際に、このお菓子を手に入れるために、少し探し回りましたが、「ぎゅうとら」というスーパーチェーンで、売られていることを確認して、買いに行きました。おはらい町でも、ぜひ販売してほしいところです。伊勢方面に行かれる方は、赤福(平らに持ち運ぶ必要あり)ばかりでなく、ぜひ、シェル・レーヌをお求めください。東京や外国に出しても、ひけを取らぬ質の高いお菓子です。日持ちもするので、手土産にも最適でしょう。

 

2024年7月23日 (火)

たのむべき奴もなし

国土を侵食する太陽光発電

 伊勢への列車旅で、太陽光発電の装置が各地で目につきました。雑草が隙間から出ているようなものもあります。元が農地であったと思われるような立地にもあります。耕作する人間がいなくなれば、食糧生産は不可能ですから、やむを得ないのかもしれません。しかし、一旦、パネルが張り巡らされてしまえば、農地に戻すことは難しいでしょう。食糧自給力を高める努力をしなければ、近未来の食糧を巡る争いを乗り切るのが難しくなるでしょう。伊勢神宮は、神様に差し上げる食事は、米や塩を含めて、基本的に自給しているのだそうですが、可能な限り、見習いたいものです。土地をパネルで埋めてしまうのではなく、今後の太陽光発電も、建物自体を新しいタイプ(ペロブスカイト太陽電池)で覆うような形態が望ましいと思います。景観の面からもメガソーラーに歯止めをかける必要があると思います。

 

朝粥

 伊勢市へ行く機会があり、教えてもらった外宮前の「あそらの茶屋」で、朝粥を食べました。7時30分からの営業ですが、7時15分頃に着くと、8組目(1人客が比較的多い)でした。それでも、開店時に入店でき、鯛の朝粥定食(ほかに伊勢海老、鮑、サザエなどもあり)をいただきました。箱型のお膳で1人前ずつ持ってきてくれて、定食の内容を丁寧に説明してくれます。粥(出汁付き)はお代わり自由なので、男性なら2杯くらいは食べるでしょう。焼いた目刺しが2匹ついており、久しぶりに食べました。温泉卵は、そのまま食べてもいいし、粥に入れても味変になります。その他のおかずも味付けのバランスが良く、定食としての完成度が高い粥でした。前夜の酒盛り(而今が特に美味)を受けて、健康によい朝食になりました。朝食後、ペットボトルを2本仕入れて、強烈な日差しの下、大満足で外宮へと向かいました。

 

金剛證寺

 伊勢から志摩方面に向かう伊勢志摩スカイラインを通って車で行く、朝熊山にある臨済宗南禅寺派の寺院です。平安時代には、弘法大師によって、堂宇が整備されて、密教修行の一大聖地になっていたそうです。伊勢神宮の鬼門を守る寺で、虚空蔵菩薩(秘仏)とともに、天照大神をお祀りしています。伊勢音頭で、「朝熊かけねば片参り」と謡われているので、興味を持って、訪ねることにしました。日曜日だったので、少ないながらバス便(片道800円)があります。帰りの便に遅れぬように、境内を奥の院まで足早に見て回りました。奥の院は、高野山の雰囲気で、江戸時代の墓石も苔をまとって並んでいます。特に、太く長い木製の柱型の卒塔婆の列が壮観です。このような形状の先祖供養は始めて見ました。最も太く長い柱は、50万円と書いてありました。本堂など主要な堂宇は、江戸時代に家康の命により池田輝政が再建したものです。朝熊山の頂上付近に開かれた寺院なので、伊勢参りの旅人が急坂を上って参詣するのは、相当大変だったろうと感じます。猛暑の中、朝から、外宮、内宮とかなりの速度で回り、おはらい町での「てこね寿司」の昼食後に、猿田彦神社にも行った上で、へんば餅のお店で時間調整のために休憩して、やっとの思いで金剛證寺に参拝したので、奥の院からバス停に向かう足取りは相当疲労の色が濃かったことを想い起こします。それでも、おかげさまで、伊勢参りを完結することができました。同行してくれた方には感謝です。

 

2024年7月22日 (月)

われ今、身の為にむすべり

検察の厳しい取り調べ

 東京地裁は、横浜地検の検事さんによる取り調べにおいて、人格権否定の違法な行為があったとして、国家賠償を認めました。黙秘を続ける被疑者の弁護士さんに対して、「ガキ」「お子ちゃま」などの侮蔑的発言を繰り返したことが問題になりました。裁判所が、録音録画(全事件の3%)の開示を求めて発覚したもので、やはり、録画が取り調べの透明性を向上させる意義は大きいと思います。小説には、警察や検察による取り調べの描写で、「なめんなよ」などの表現はよく出てきます。どうも始めから犯罪者だと決めつけて自白に誘導することが、取り調べの主眼であるという考え方が基本にあるようです。権利として保障されているはずの黙秘権の行使を尊重することなく、21日間に56時間も取り調べを行ったということにも、驚かされます。被疑者が黙秘する中で、56時間も何をしていたのでしょうか?天の岩戸を開くように、雑談でもし続けたのでしょうか?大半の時間が無駄じゃないでしょうか?黙秘=容疑事実アリという見方も思い込みに過ぎません。冤罪の温床になりそうです。やはり、客観的事実を見落としていないか、きちんと犯罪事実を立証するための証拠を積み上げることが必要です。江戸時代の拷問さながらに、自白させようと迫るのは、やめたらどうでしょうか?自省を込めて言うなら、取り調べ中に相手がずっと黙っていることに腹が立ってきますから、どうしても頭に血が上ってきて、侮蔑的発言もしたくなります。自分を守るためにも、そういう状態で取り調べをしない方が良いと思います。

 

力士インタビュー

 NHKの大相撲中継でも、しばしば、力士にインタビューする場面がありますが、横綱・大関を破った場合でも、ぶっきらぼうな受け答えしかしない人が多くなっています。負けた相手のことを慮っている、次の対戦があるので作戦を知られたくない、親方たちから多くを話すなと釘を刺されている等の事情があるのでしょう。現役を引退して年寄になると、急におしゃべりになるケースもあります。稀勢の里関(二所ノ関親方)は、その典型でしょう。力士がテレビ番組に出演する場合は、もう少しリラックスして、面白いネタを披露することもあります。その場合は、適当に編集することが可能なので、発言で炎上するようなことはないでしょう。今、プロ選手たちは、インタビューを受ける際の基礎的な心得について、研修を受けています。力士たちにも、勉強の機会を作るべきだと感じます。NHKの大相撲中継は、全国のファンに対するアピールの場ですから、的確な受け答えをして好感度を上げるべきでしょう。ライブで、基本的に編集ができないので、インタビューへの対応力が試されます。力士個人や部屋に任せずに、相撲協会として、取り組むべきだと思います。

 

体操女子の代表の出場辞退

 パリを目前にして、代表が出場辞退しました。未成年の喫煙と飲酒が原因だそうですが、辞退しなければならないほどの非行なのか、よく分かりません。体操ムラの判断が済んでいるので、全てが事後で、部外者は文句の言いようもありません。補欠の選手が繰り上がって出場するのかと思ったら、それもできないのだそうで、最有力の選手を失って日本代表は苦しい戦いに挑むことになります。せめて、補欠の選手が出場できるように、うまく計らえなかったのでしょうか?怪我や病気を理由に選手交代とすれば、補欠の選手にもチャンスが生まれたのに、そうすることはスポーツマンシップに反するのでしょうか?馬鹿正直も良いですが、体操ムラのマネジメント力の欠如が残念です。選手のメンタルヘルスを保てなかったのは、大きな失敗です。個人だけの責任にするのは、問題の矮小化だと感じます。こういうケチがつくと、体操男子の方にも悪い影響が出ないか心配です。それにしても、この話題で、喧々諤々コメントが乱れ飛ぶ日本は、平和だと思います。結局、内部での足の引っ張り合いの結果、一人の選手が非行を咎められて葬られたということに過ぎません。とても気分の良い話ではありません。体操という競技団体はそういう体質の所なのかと改めて認識しました。

2024年7月19日 (金)

しずかなるを望とす

名古屋場所の休場連鎖

 まだ始まったばかりですが、幕内力士のうち、千代翔馬関、高安関、阿武咲関、朝乃山関が、怪我(手術後のリハビリ中を含む)で休場しています。大関貴景勝関も怪我の影響で本来の相撲には程遠く、痛々しい状態で、黒星が先行しています。大関豊昇龍関は右肘を痛めているようですし、翔猿関も腕の筋肉を故障したようです。休場者は、まだまだ増えて行くでしょう。力士の大半が、サポーターなどで、古傷が悪化しないように保護しています。特に、膝の怪我は致命傷になります。4日目を終わって、横綱照ノ富士関だけが4連勝で、千秋楽までの体力が不安ではありますが、実績があるので10回目の優勝が13日目あたりに決まってもおかしくなさそうです。休場の原因は、様々ではありますが、総じて、力士の体重が増え過ぎたという事情が影響しているものと推測しています。筋肉量との関係で、適正体重を超えていないか、大学に協力してもらって、力士の体を見直すべき時期に来ていると思います。また、休場によって番付が落ちることを嫌って、無理して出場するという行動も改める必要があると思います。そのためには、新公傷制度を設けて、番付の降下限度を設定するのが良いでしょう。幕内なら、十両の最下位から再出発できるようにすれば、無理な出場は無くなると思います。幕内の元の地位への復帰も早くなるでしょう。大相撲の未来のために、怪我対策は欠かせないピースだと思います。

 

王位戦第2局

 先手の渡辺9段が、相掛かりで、藤井7冠に完勝しました。中盤以降、圧倒した内容で、第1局の逆転負けを払拭する好内容でした。藤井7冠が珍しく隙を見せたのが、3六歩とした局面で、渡辺9段の対応が素晴らしく、そこから形勢が傾きました。終盤、6五桂から2五角と攻めた局面で、勝利を決定的にしました。藤井7冠には、本譜以外にも粘りの指し方があったようですが、いずれにせよ形勢が逆転することはなさそうです。渡辺9段のメンタル面を懸念していましたが、流石に百戦錬磨の棋士だけに切り替えが上手に行えたようです。逆に、後手とは言え、藤井7冠にいつもの冴えが感じられず、不調ではないかと心配になってきました。第3局がタイトル戦の流れを決める重要な一局になると感じます。

 

米中の国産への傾斜

 国際分業が当たり前になっていましたが、トランプ政権(勝つと予想して)と習近平政権は、ともに、国産への傾斜を鮮明にしています。バンス副大統領候補の発言は、流石にヒルベリー・エレジーの著者らしく、ラストベルトに産業を復活させるという歴史の巻き戻しのような構想を色濃く打ち出しています。選挙目的の単なるPRだと割り切るわけにもいかないと思います。中国でも、ハイテク産業の国内化を進めようとしています。アメリカに対抗しうる国営企業を柱とする経済圏の確立を目指しているようです。その一方で、海外からの投資は受け入れたいという矛盾もあります。アメリカに余裕がなくなると、同盟国としては、自前の安全保障体制を強化せざるを得ないでしょう。円安の是正については、むしろ歓迎できます。エネルギーや食糧の輸入国ですから、現在のような円安からは早く脱却したいものです。トランプ政権の誕生を、リスクとばかり見ずに、沖縄の駐留米軍の縮小などにも繋げたらよいでしょう。習近平政権が国営企業を優遇するのは、体制維持のための方策でしょうが、雇用拡大、経済成長の観点からはマイナスにしか作用しないはずです。日が没する国になりつつあります。

 

みさごは荒磯にゐる

兵庫県知事のパワハラ疑惑

 県議会の百条委員会で、事実関係が明らかになると思いますが、告発者が公益通報した際に、副知事を含む5人の委員による検討で、パワハラ疑惑を否定して、通報者が処分される結果になったという点に、大きな問題を感じます。知事に対する告発を、知事本人に任命された5人が、正当に判断できたのかという疑問です。特に、身内というべき副知事が委員として参加しているのは、委員構成の偏向・不備と言われても仕方がないでしょう。この時点で、告発を否定してしまったゆえに、今では、単なるパワハラ事件というよりも、知事の職責を果たすための資質の欠如が問われる状況にまで、問題が拗れています。県職員労組からは辞職勧告があり、副知事さんは辞職しています(知事さんの辞職も進言)。この混乱を立て直すには、多くの人が言うように、知事さんが辞職するしかなさそうです。百条委員会の結果を見てからの判断にしたいのかもしれませんが、兵庫県政の混乱は、地元ばかりでなく、全国にも広く知られ、いまさら知事の職責を果たす環境を作り直すのは難しいでしょう。告発者が「死をもって抗議する」との遺書を残しているのは、覚悟のほどがうかがわれる一方、残念な判断だと思います。家族を含めて、地元で四面楚歌のような状況に陥り、大変に苦しかったのでしょうが、告発が正しいものならば、本件が決着を見るまでは、死んではならなかったと思います。内部通報者が、抗議のために死ぬなどという事態を招いた兵庫県は、公益通報システムの再検討を行う必要があるでしょう。まずは、なぜ、システムが機能しなかったかを第三者によって検証すべきです。

 

生成AIと新聞

 新聞協会が、生成AIの検索連動型サービスは、報道コンテンツを無断で使用しており、著作権侵害に該当する可能性が高いとの声明を発表しています。これまでも記事の学習に対して許諾を求めてきましたが、かなわないまま生成AIサービスが拡大することに危機感を強くしているのです。日本の著作権法は、学習段階では、一般的に著作権侵害に当たらないと規定しています。文化庁は、将来的に販売する可能性があるデータベースを無断で学習させることは、侵害に当たる恐れがあるという見解をまとめていますが、新聞協会の主張をどこまで是としているのかは不明です。そもそも、学習は原則的に許諾なしに行えるという法的根拠があるので、生成AIの開発者側は、新聞協会の主張を直ぐに呑むことはなさそうです。フランスでは、独禁法の観点から、記事を無断で利用した開発者に罰金を科すと発表しています。アメリカでは、オープンAIが、アメリカや欧州の新聞出版大手と対価を払う契約を結んで開発を進めようとしています。また、無断使用の開発者に対して、一部の報道機関によって訴訟も提起されています。事態は流動的な状況ですが、日本が傍観しているうちに、欧米では、事実上のルールが形成されていくのではないでしょうか?

 

中央区のふるさと納税返礼品

 最高額が1100万円のフルオーダースーツの仕立券が、返礼品に加わったのだそうです。これをもらうには、3700万円の寄付を行う必要があります。巨額の納税を行っている富裕層ならば、ありえない寄付額なのでしょうが、こうした返礼品もアリなのかという疑問が湧きます。ふるさと納税に本旨に鑑みれば、邪道も極まれりといった感想を持ちます。1000万円規模の寄付をするような人が、返礼品欲しさで動くとは思いませんが、他の自治体の財源をかすめ取るのを許すにしても、1件の規模が大きすぎます。ふるさと納税の制度を残すとすれば、所得に対する寄付総額の上限を抑制するしかないのではないでしょうか?実際に、寄付者の故郷への寄付がどの程度の規模なのかを調べて、返礼品目的に堕している制度を見直す必要があるでしょう。

 

2024年7月18日 (木)

かむなは小さき貝を好む

サッカー日本代表選手の逮捕

 鹿島からドイツのマインツに移籍したばかりの佐野選手が、チームに合流する前に、不同意性交の疑いで男2人とともに逮捕されたという報道を見ました。詳しい事実関係が明確になるまで、彼の無実を信じたいと思います。また、マインツ(鹿島)、JSAは、彼を適切に支援してほしいと思います。その上で、なぜ、サッカー日本代表の選手が、こういう事件に巻き込まれるのかをきちんと分析して、他の選手たちの自分を守る行動に繋げてほしいと思います。佐野選手のサッカー人生にとって、今が一番重要な時期です。本人が軽率な行動をとることはないはずですが、逮捕という最悪の事態を招いたのは、残念なことです。一人のサッカーファンとして、遠藤選手の後任候補と考えていただけに、この事態は、痛恨の極みです。何とか、彼の才能を潰さないでほしいと願います。

 

トランプ王国の誕生

 トランプさんは、アメリカ大統領に最も近い男になっていますが、アメリカ連邦最高裁によれば、大統領が公務で行った行為は基本的に免責されるということなので、もはや、大統領選挙は、王様選びに近くなっています。しかし、最高裁も実に思い切った決定を行ったものです。歴史家は、後年、アメリカ合衆国が、共和制から帝政に変化した年だったと分析するのではないでしょうか?暗殺未遂事件という危機を乗り越えて政治観が変わったかもしれませんが、トランプさんのもともとの地金が変わっていなければ、王様になったら、何でもありのホワイトハウスになることでしょう。同盟国である日本としては、機嫌を損ねないように、隠忍自重を重ね、艱難辛苦に耐える覚悟が必要になるでしょう。世界最大の経済力と軍事力を有する国の王様には逆らえません。そんなバカな話があるかと言わずに、憲法を超えた存在だと考えておくべきだと思います。

 

国民健康保険料

 私学共済に任意継続でお世話になっていましたが、今年度から、国民健康保険を利用する身となりました。7月に始めて世田谷区から保険料の通知を受けて、大変驚きました。家計の収入が300万円未満である一方、夫妻2人分の保険料は48万円弱にもなっています。窓口では3割負担なので、この保険料の元を取るには、約21万円の自己負担をするほど医療サービスを受ける必要がある計算になります。実際には、到底、そのような額には達する可能性は極めて低く、保険と言いつつ、負担が直接給付を確実に上回る第2の税金ともいうべき実態です。負担が高額過ぎると思っても、制度的に、任意に脱退することはできません。私学共済の任意継続では、35万未満の負担でしたから、定年過ぎの身には、国民健康保険の負担は家計に堪えます。保険料負担を引き下げるための制度改正が必要だと感じます。国民皆保険は、経済的な負担の面で、実質的に破綻しています。等しく3割負担にすべきだと思いますが、早く制度改革をしないと、世代間で著しい不公平が生じます。後期高齢者の負担の一部をより若い世代に肩代わりさせるのも、苦肉の策なのでしょうが、リターンのない負担は保険制度である以上、理屈が通らないと思います。

2024年7月17日 (水)

一身を宿すに不足なし

ユーロ2024の新星

 欧州サッカーの王座には、スペインが座りました。最多となる4回目の優勝です。年齢構成のバランスが取れ、特に、若い選手が伸び伸びと素晴らしい力を発揮していました。ウィリアムスとヤマル(17歳になったばかり)の両翼は、スピードとテクニックが一流です。中心のペドリ選手が怪我で不在だったにもかかわらず、決勝でも、イングランドを翻弄したと思います。イニエスタ級の多様な選手が得点している層の厚さにも感心させられました。今後は、フランスに代わって、スペインが欧州の中心になっていくものと思います。ヤマル選手は、メッシ選手のように、バロンドールを何度も獲得する存在になる可能性があると感じます。まさにスター誕生です。大会を通じて感じたことは、GKの守備力が非常に高くなっていること、股抜きのシュートが珍しくないこと、OGがかなりあったこと(誘うような速いクロスによる)、両翼からの攻撃がゴールを生むことが多いこと、1点では勝てなくなっていること、最終盤にはドラマが待っていることです。ジョージアのような格下と思われたチームが大健闘する姿は感動的でした。速攻で奪った得点を、全員で体を張って守っていました。必死さが伝わります。ライブとダイジェストを無料提供してくれたAbemaさんには感謝したいと思います。

 

不動産承継と修繕

 次世代に引き継ぐ際に、直ちに大きな修繕費を要するような状況にならないように注意が必要です。資金がなければ、不動産を一部処分することにもなります。地主と家主8月号のシミュレーション(木造10戸のアパート)によれば、10年、15年、20年、25年、30年と築年数が経過すると、1戸当たりの修繕費が、9万、64万、23万、98万、23万と推移します。15年、25年が大きな数字になるのは、屋根・外壁の塗装、給湯器・浴室設備の修理・交換などが追加になるためです。アパート1棟となれば、築25年になれば980万の修繕費を用意しなければならないのです。年間の収益に鑑みれば、かなりの負担です。従って、築20年を超えるような物件については、計画的に修繕を行っておかないと承継の際に、次世代に大きな負担を残すことになるのです。別に仕事があるような人ならば、いきなり、大きな試練に曝されることにもなりかねません。

 

世界に広がる中華料理店

 海外旅行をしていると、どこに行っても中華料理店があることに気が付きます。子ども連れには、食いっぱぐれないための最後の砦的な意味があり、重宝しますが、何を食べても同じ調味料の味で、まずい店もあります。関卓中「地球上の中華料理店をめぐる冒険」(講談社)は、15か国の中華料理店を取材して、店主家族の人生の物語を紡いでいます。現地の食材を活用して、現地の人たちの味の好みを反映したメニューを開発しているのは、中国人の逞しさと創造力の賜物です。私が興味をそそられたのは、モーリシャスの「豚バラの梅葉蒸し」、キューバの「本格上海焼きそば」、アマゾンの「麻婆豆腐」、ペルーの「黄金唐辛子味・牛肉とブロッコリーと豆腐の炒め物」です。故郷を出て、世界に広がっている人々を見れば、まさに、「地球市民の居場所は世界にある」のだという思いを強くします。日本人には、こういう感覚は稀だと思います。海外で立派に働いている人に対して、国内ではできないからだろうなどと悪口を言う日本人がいるのも残念なことですが、そういうメンタリティが日本人の相当数にあることは確かです。恐らく僻み根性もあるでしょうが、狭いムラの中でしか生きられない、生きる術を知らない人が、日本の社会を息苦しくさせているのではないでしょうか?もっと日本から地球市民を出したいものです。

 

2024年7月16日 (火)

かくれ給へるもあまた聞ゆ

真のオリンピックの終焉

 オリンピックは、本来、理念あってのイベントで、スポーツの各種目の世界一を決めるだけならば、世界選手権で十分です。パリ五輪も、ウクライナやガザでの戦闘さえ止められないなら、意味がないと思います。2021年の東京大会の無観客開催で、結局、IOCの収益のために大会を開催する裏事情があからさまになりました。はっきり言えば、もうオワコンでしょう。オリンピック金メダリストを特別視するのも、いい加減やめにしたらどうでしょうか?マイナー競技のアスリートがオリンピックを目標にするのは自由です。でも、世界一を決めるのは、オリンピックではないでしょう。男子のサッカーくらいになると、自分のキャリアアップを優先して、オリンピックを捨てる選手もいます。選手はオリンピック至上主義からは離れつつあります。残る問題は観客の方です。根っからのオリンピック好きがいても構いません。心を動かされた思い出があるのでしょう。ただ、個々の選手が優劣を競う本来の姿に戻すべきで、国別のメダル数などどうでもよいのではないでしょうか?すっかり商業主義に侵されたオリンピックをブランド化して、あくまでも儲けようとするIOCに振り回されるのは愚だと思います。クーベルタンも嘉納治五郎も、あの世で苦い思いをしていることでしょう。歪曲されてしまったオリンピックをもう卒業しませんか?

 

トランプ銃撃事件

 20歳の容疑者の動機は不明ですが、最有力の大統領候補が銃撃されたという事実は、アメリカの民主主義の現在を映す鏡だと感じます。暗殺は未遂に終わり、トランプ候補には同情も集まるので、また一歩、当選に近づいたと思います。130m先の倉庫の屋根からの銃撃ということで、警備の在り方についても、再考を求める事件でした。日本の安倍首相や岸田首相(未遂)のケースに比べれば、凶器の質が違います。こんな武器が普通に買えるアメリカならではの事件です。世界的に、政治的な思想の実現のために暴力の行使が正当化されるという感覚が広がっているようです。アメリカ社会が政治的に分断されている中で、暗殺の危険が現実になっていることを改めて認識しました。トランプさんの運の良さで事件が未遂に終わったことだけが、不幸中の幸いでした。事件に巻き込まれて死亡した支援者の方々には哀悼の意をささげます。どんなにトランプさんの思想に反感を持とうが、彼を殺そうとするのは正しくないことが分からない人が日本にもいるでしょう。真に危うい時代になっています。

 

若者流出

 公立学校の教員のうち、高ストレスと認められた者が、2023年度の小中高の平均で、11.7%と過去最高になっているとの報道がありました。朝日新聞「わたしが日本を出た理由」取材班「ルポ若者流出」には、教員経験者の方の海外流出の例も紹介されています。印象に残ったのは、問題行動のある児童に手を焼いて助けてほしいと願ったところ、担任なのだから自分でどうにかしろと切り捨てられたというエピソードです。普通の組織ならありえない話でしょう。学校現場の荒廃ぶりが伺われます。ブラック職場は、教員という集団が作っていると感じます。教員をやめた後、この方は、カナダへ渡って、保育士の資格を取得して、自己肯定感を取り戻せたとしています。働きづらい国からの脱出は、教員ばかりではありません。教育目的の移住(選択肢の多いマレーシアが人気)も増えています。LGBTQの方もジェンダー後進国を出国しています。もちろん、良いことばかりではありませんが、日本人がこの国に息苦しさを感じて海外に移住して居場所を求めるということが、珍しくなくなっているのです。特に、人間が働く場として、大きな課題を抱えていると思います。外国人を含めて、多様な人材を包摂しているカナダのような国に学ぶ必要があるでしょう。コロナ禍後には、海外に転出する人が増えています。2023年には、15万9000人が転出していますが、女性が男性のほぼ倍に上っています。若者流出は、決して特殊な現象とは言えなくなっています。

 

2024年7月15日 (月)

仮の庵もややふるさととなりぬ

上げ底のゼロエネ住宅

 日経新聞が、普及優先で、名ばかりのゼロエネが3割もあると指摘しています。公然の事実なのでしょうが、日本という国の信用を落とすだけの官僚による「やったふり」でしょう。省エネ環境基準自体も、イタリア、アメリカ、スペイン、韓国に比べて緩いということです。その上で、例外措置を認めて、補助金を出したり、ゼロエネを認証したりするのでは、詐欺と言われても仕方がないでしょう。ゼロエネ住宅の質を確保するには、積極的かつ長期の優遇措置を考える必要があるでしょう。例えば、固定資産税の減額、所得税の還付などの税制措置で誘導する方が効果的ではないでしょうか?

 

日大重量挙げ部

 また日大の運動部の不祥事が明るみに出ました。報道によれば、部の幹部が、入学金・授業料の免除を受けている学生から、免除相当分を徴収して、私的に流用していたとのことです。ヤクザの親玉への上納システムのようです。しかも、大学による免除分をかすめ取るという悪質ぶりです。上納する側は、保護者も学生も、文句を言えない状態だったものと思われます。今どき、何という組織風土でしょうか?とても大学の内部の話とは思えません。重量挙げ部を存続させるのかを含めて、日大自体の組織の体質が問われます。林理事長もご苦労が絶えませんね。

 

賃貸物件の大規模修繕

 「地主と家主」8月号では、大規模修繕が特集テーマです。興味深い点をいくつか紹介します。まず、施工会社の選択のポイントです。見積書、与信調査、現場代理人をよくチェックすることを勧めています。次に、長期的な視野で大規模修繕を検討することです。今後、建設コストが下がる要素はないことを頭に入れて早めに計画を練ることが重要だとしています。外壁に関しては、10年をめどに専門家による診断をすべきだとしています。屋上防水についても、新築10年以降は定期点検で劣化の状況を把握して、今後の稼働年数に応じた工法を選択することを勧めています。オーナーさんの経験談では、3社見積もりで2倍以上もの金額差があったが、作業内容と工期を比較しながら事業者を選定したとのことです。大規模修繕は、前回からの経過年数を基本に、減価償却費の減少を踏まえた税金対策の観点も考慮し、空室対策や資産価値アップを図るものです。当該物件の事業計画に照らした投資が必要です。当然のことながら、そのための経費を用意しておかなければなりません。

 

2024年7月14日 (日)

ふくろふの声をあはれむ

学校の民間管理

 文科省が、学校のプールを民間に管理委託することを検討せよと全国の教育委員会に通知しました。教員が水道を閉め忘れて巨額な水道料金を生じるケースもあり、教員の労働負担を適切に減らしたいということもあり、こうした通知になったものと思います。ただ、民間委託には、当然追加費用がかかります。財政負担が全国でどれほどになるのか、推計しているのでしょうか?よほど余裕のある自治体でなければ、この種の費用を予算化するのは難しいでしょう。なぜなら、給食費の無償化のように保護者にとっての負担軽減にはならないからです。部活動の指導を外部に委託する話も似ていますが、結局、金がボトルネックになると思います。通知一本で社会が動くはずもなく、文科省の意図はよくわかりません。

 

投資講座マルチ商法

 警視庁が摘発したグループは、若者をターゲットにしていました。手口は、なかなか巧妙です。まず、マッチングアプリを通じて知り合うところが入り口です。出会った相手に、ビジネススクールの入会を勧誘するのです。投資によって、良い暮らしができると、吹き込みます。勧誘してくる相手に、自分に対する好意を持ってほしいという気持ちに、付け込む汚いやり方です。もちろん、入会しても、投資について学べるという謳い文句の通りにはなりません。知人を紹介すると10万がもらえるという餌もあります。この辺りは、マルチ商法そのものです。この手口で、2000人から8億5000万円を集めたというわけです。このグループは、業務停止命令以降も、別法人によって同じ業務を行っていました。底なしの無法者集団です。モノなしマルチは、情報弱者の高齢者ばかりでなく、世間の世知辛さに疎い若者を狙うタイプがあるので注意が必要です。昔は、モノを買わせる手法でしたが、今の主流は、モノなしなのです。捜査が難しいので、行為犯罪にはおとり捜査を可としてはどうでしょうか?

 

ファミリー農園の盗難

 世田谷区から借りている農園(15㎡)の区画から、カボチャ1個が盗まれました。例えば、ブロッコリーの葉が鳥に食べられることはありますが、人間に取られるという経験は初めてです。一番奥の区画なので、下見をして、熟し具合を見て、人気のない時間帯に盗んでいったものと思います。以前に借りたときは、もっとたくさんのカボチャを収穫しましたが、こういうことはありませんでした。世田谷区という住宅街においても、世知辛い世の中になったと実感します。思えば、関東でも、収穫間近の果実などが大量に盗難にあった事件がありました。1個と言えども、やっと収穫できる状態になった野菜を持っていかれるのは、不愉快極まりない出来事です。盗難被害に遭った農家の方の気持ちがしみじみと分かりました。農園の管理会社には、監視カメラの設置をお願いしました。他の利用者さんにも被害に遭った方がいるかもしれません。ある方の区画には、美味しそうなスイカが生っているので下見をしている輩は目を付けているかもしれません。

 

2024年7月13日 (土)

埋み火をかきおこす

羽生善治9段

 鈴木忠平「いまだ成らず~羽生善治の譜」(文藝春秋)は、歴代1位のタイトル99期を誇る羽生善治9段の将棋人生を好敵手に光を当てながら辿るというノンフィクション作品です。取り上げられた棋士は、米長邦雄(1-0)、豊島将之(2-2)、谷川浩司(16-6)、森内俊之(8-8)、佐藤康光(17-4)、深浦康市(4-2)、藤井聡太(0-1)、渡辺明(4-5)です。なお、カッコ内は、羽生9段から見たタイトル戦の対戦成績です。このほかの棋士では、羽生9段から2勝した者は、佐藤天彦9段、郷田真隆9段の2人だけです。タイトル戦通算成績では、99勝39敗で、7割以上の勝率を上げています。歴代2位の大山15世名人が80勝、3位の中原16世名人が64勝ですから、羽生9段が圧倒的な成績を残していることが分かります。それでも、渡辺9段以降の世代の棋士には、分が悪くなっていることが分かります。タイトル100期という大台を期待するファンは多いのですが、AI時代の研究家である若い藤井聡太7冠や伊藤匠叡王に対して50代の羽生9段が勝たなければならず、容易ではありません。著者が描く好敵手の棋士たちの中で、人格的に最も素晴らしいと感じるのは、谷川浩司17世名人です。60歳を過ぎても、現役で指し続けているのも立派です。王将として羽生9段の全冠制覇を阻んだのも、1年後にそれを許したのも、最後の砦となっていた谷川さんでした。7冠制覇の偉業を成し遂げた羽生さんに対して、打ち上げの席で、日本酒を注ぎ、「今日は、おめでとうございます」と声をかけた谷川さんの姿が印象的に描かれていますが、こういうことができる人は、将棋世界でも稀でしょう。棋士にとって、将棋は敗れた後が一番難しいのです。谷川さんは、一直線に最短の寄せを見出せる天才、羽生さんは、局面を複雑化させて相手を幻惑する曲線的な勝ち方ができる天才です。両者には、8歳の年齢差があり、タイトル27期獲得の谷川さんをもってしても、対戦成績では若い羽生さんに大きくリードされています。歴史的に見れば、両者は、谷川さんが若くして開いた世代交代の扉を、羽生さんが大きく開けたという関係です。さらに、羽生世代と言われる棋士たちが続きました。今日、藤井聡太7冠の出現で、再び将棋ブームが起きていますが、谷川17世名人という人は、立ち居振る舞いという面で、あらゆる棋士のお手本になる存在だと思います。谷川さんあっての羽生さん、羽生さんあっての藤井さんということになるでしょう。藤井7冠についても、こういう作品がいずれ書かれるでしょうが、どういう好敵手が並ぶことになるのか、楽しみです。

 

特定秘密の管理体制

 防衛、外交、スパイ、テロ防止に関する特定秘密情報の管理が、自衛隊や防衛省の内部で常態的に不適切であったことが分かりました。こんな国とは、情報共有する気になりません。資格の取得に1~2年かかるようですが、有資格者が不足していて、ルールを守れないから守らないという理屈は、世の中に通用するはずがありません。同盟国との情報共有に欠かせないことが、防衛省及び自衛隊で、なぜ、疎かにされてきたのでしょうか?要は、組織全体が弛みきっているのではないでしょうか?要は、常に定員を充足できない数の問題だけでなく、質の面で資格取得ができる能力を持った人間が絶対的に不足しているのではないかと疑念を持ちます。誰がトップに座っても、組織に人材がいなければ、国土防衛という役割を果たせません。今後、有資格者を適切に増やすことができるのでしょうか?それができなければ、ルールの形骸化は是正できません。当面、防衛省、自衛隊には台湾有事への対応ができるようにしてもらわなければなりません。本当に、我が国の防衛は大丈夫なのでしょうか?

 

司法とカルト対策

 最高裁が、統一教会による献金返還請求を封じる念書という方策について、「合理的に判断することが難しい状態だったことを利用して一方的に大きな不利益を与える」念書は、「公序良俗に反しており無効」と判断しました。念書があるために、返還請求を諦めていた家族たちには、大変有意義な判決です。地裁・高裁は、念書は有効としてきたので、最後の砦で、ようやく司法がカルト教団を擁護する姿勢を転換したわけです。この判断は、ある意味、法の原則に対する例外を認めるパターナリズムの所産です。統一教会という組織の本質を見極めないと、念書によって法的救済の道をふさがれて難渋する被害者家族から、司法が目を背けることにもなりかねない状況でした。今回の最高裁の判決が、遅ればせながら、司法を正義の軌道に戻したと言えるでしょう。そもそも、行政も司法も、カルトに対して、少しでも甘い顔をしてはいけないのです。統一教会のようなカルトは社会の敵で、危険な存在です。一般的な宗教法人とは、全く異なる性格を持っています。同列に扱うと、カルトに付け込まれます。法を逆手に取ることなど、彼らにとっては、朝飯前なのです。

 

2024年7月12日 (金)

世に遠ざかるほどを知る

夏のイベントと気候変動

 夏祭りが熱中症への懸念から、これまで通りには開催できなくなっています。暑さを吹き飛ばすように、日中、神輿を担ぎ、山車を引くというような伝統の行事への影響が出ています。行事を維持するとすれば、時期をずらすか、日が暮れてから行うか、賢い選択が必要になりそうです。お祭りだけでなく、スポーツイベントにも影響があります。高校総体や高校野球など、戸外での競技は、選手たちの健康に配慮した形で行うことを考えるべきでしょう。例えば、サッカーなどは、真夏の炎天下で行うのは、本来無理です。飲水タイムなどを設けながら実施していますが、高校総体とは切り離して、北海道などの比較的涼しい会場で、毎年実施する方が良いでしょう。空いている札幌ドームを使うのも一案です。夏の甲子園も、同じことで、真昼の試合は避けるようですが、ドーム球場での実施が合理的な選択肢です。猛烈に暑い甲子園球場を「聖地」のように言うのは、勘違いに過ぎません。ドーム球場に建て直してもらえないなら、場所を変えるべきでしょう。気候変動による気温、水温の上昇は、私たちの生活に現に影響を与えているので、それに応じて、イベントの持ち方も柔軟に変更して行くことが求められていると思います。頑固に伝統を墨守しようとすれば、せっかくのイベントが行えなくなります。

 

名古屋場所の見どころ

 注目は、大の里関です。連続優勝への期待が高まります。対抗は、大関の琴櫻関と豊昇龍関でしょう。この2人には横綱昇進のチャンスを早くつかんでほしいと思います。うっかりすれば、大の里関に先を越されます。着実に地力をつけてきた新小結の平戸海関にも、まず勝ち越して、大関挑戦への足固めをしてほしいと思います。中卒たたき上げの代表格として、頑張ってほしいと思います。少し番付が下がった王鵬関にも注目しています。大勝ちして三役復帰を目指してほしいものです。真夏の場所なので、稽古十分で、体力・気力が充実している力士が、活躍するでしょう。熱海富士関は、惜しいところで三役昇進を逃しているので、今場所こそはと、執念を燃やしているはずです。立ち合いが甘いために、自分十分になれずに負けることが多いので、それを直せば、直ぐに大関候補になれるでしょう。大食いナンバーワンの湘南乃海関にも同じことが言えます。彼も立ち合いがポイントになります。優勝争いから簡単に脱落した先場所の悔しさを、どうバネにして成長しているか、確かめてみたいと思います。心配なのは、首を痛めている貴景勝関で、頭から当たる本来の相撲が取れないと、最悪、引退ということもありうると思います。霧島関も、大関復帰には10勝が必要で、そのためには、5日目までを1敗以内で乗り切ることが必須です。故障していたのかも知れませんので、体が治っているのかがポイントになりそうです。最後に、幕下の筆頭から5枚目までの十両昇進争いは、新鋭からベテランまで力量ある力士が揃っているので、文字通り熾烈です。特に、若手の木竜皇、大辻、吉井、若碇の各力士に期待しましょう。

 

不登校の処方箋

 小川涼太郎「不登校の9割は親が解決できる」(PHP)は、「3週間で再登校に導く5つのルール」というキャッチコピーがついています。そんなに簡単なら、不登校問題は、1年もあれば解決できそうです。著者によれば、不登校の原因は、52%が無気力・不安だとしています。いじめや友人関係は9%に過ぎません。正しい親子関係が築くことができれば、自己肯定感が得られて、問題を解決することができるという見立てです。著者は、学校に行くことができないと、同等の勉学の機会を作るには、かなりの経済的負担が求められるので、得策ではないと考えています。また、デジタル機器の普及が、不登校を拡大してきたとの見方をしており、一旦、デジタル機器から子どもを切り離すことを推奨しています。ゲームやYouTubeへの依存だけでなく、脳の発達に支障が生じるからだとのことです。ただ、学校に行かない場合に、デジタル機器を一切使わずに、学習を進めるのも難しい話です。あくまで、再び登校することを目標にするためのルールとしてのデジタル機器の使用禁止なのです。登校に向けて整えるべきこととして、著者は、5つの条件を上げています。自己肯定感、生活習慣、親子関係、考える時間、しなやかな考え方が、キーワードです。これらが整わないうちは、学校の話は出してはいけないと述べています。学校に行きなさいはもちろん、学校に行かなくても良い、学校がダメだというような話もダメです。1日10回は褒めるべきだと述べており、褒め方のコツも伝授しています。愛情の伝え方がうまくなれば、親子関係が好転するからでしょう。著者が指摘している経済的負担に関しても、学校至上主義を転換して、フリースクールへの通学を支援する、学習コンテンツを蓄積して視聴できるようにするなどの措置が採られるようになれば、不登校が問題だとはされなくなる可能性もあります。通信制高校の在校生が拡大している状況に鑑みれば、通信制中学校という受け皿も必要かもしれません。文科省が自ら企画して、設置、運営してはどうでしょうか?

 

2024年7月11日 (木)

山鳥のほろと鳴くを聞く

虚しき都知事選

 現職が290万票以上を獲得して、3選されました。この結果は、容易に予想されたものです。中高年の有権者に支持された結果です。彼女に勝つには、逆に300万票以上を獲得しなければならず、そんな候補者はいなかったので、始めから競争にならない選挙でした。石丸さんは、都民には無名でしたが、160万票以上を得ました。若者層からの支持では、小池さんを上回っていたようです。投票率が若干改善したのも、彼を支持する若者層が投票したからだと思います。蓮舫さんの得票は120万票以上でしたが、拒否反応を示す有権者も多く、支持基盤を拡大することには成功しなかったと思います。考えて見れば、2位+3位でやっと1位と同等という結果ですから、どうにも現職の再選という結果は動かしがたかったということになります。嘘をつかれても、騙されても、年配の有権者は、安心感を求めて現職に投票します。彼らの目から見て、信頼感のある新しい候補者がいなかったからでしょう。50人以上も立候補する異様な知事選でしたが、終わってみれば、虚しさだけが残ります。41歳の石丸さんへの投票は、既存の政党や政治家への不満の表明に他なりません。今後、政治家として、どういう道を歩むのか注目したいと思います。ただ、時間が立てば、彼の本質が明らかになり、失望する人やアンチの声も大きくなっていく可能性があります。小池さんは政党色を消して勝ちましたが、既成の国政政党は、すべて負けたと言えるのではないでしょうか?

 

フェラーリ

 2023年、マイケル・マン監督作品です。1957年における創業者のエンツォ・フェラーリの私生活と経営の苦境、さらにはレースへの情熱がテーマです。見どころは、何と言っても、当時のフェラーリ車の爆走でしょう。1950年代のイタリアの上流の生活も映画によって蘇ります。ドラマは、経営のパートナーである妻(息子が前年に病死している)と愛情を注ぐ女性(認知していない息子がいる→その息子が今や副社長になっている)との間で葛藤する主人公を描きます。金がかかるレースに熱中する一方、車の売り上げが伸びず、経営者としては、行き詰まり状態です。それを打開するために、イタリア縦断レースで優勝を狙うというストーリーです。主人公は、ある意味で、無責任男です。2人の女性に対して、誠実とは言えません。レースチームのマネジャーとしては、冷酷なまでに、勝利を優先して、危険を顧みず、とても身勝手です。カーレースの歴史に燦然たる名を刻み、イタリア国家の誇りになっているフェラーリという名前は、無責任で、傲慢で、冷たい情熱を持った男によって、作られてきたのです。ただ、彼の本質は、亡くなった息子の喪失感に悩み、妻に対する罪悪感に沈み、ドライバーの事故死に人知れず苦悩する孤独な男です。しかし、いったん外に出れば、フェラーリというブランドを作り上げるために、大企業と、マスコミと、競争相手と、家族とも戦い続けた人なのです。映画は、彼を英雄とは描いていません。あくまで、一人の男なのです。

 

フランス国民議会

 物事を決められない議会の構成になってしまいました。最大勢力となった左派連合が、極左に率いられるようになれば、極右と似た政策が実行されかねません。一般に世の中という者は、左右の端には支持が集まらず、真ん中に山ができるものですが、フランスでは、大統領及び彼の与党への批判が、左右の端の方へと流れて行きました。極右の内閣を防ぐために、左派と中道が手を結んだ結果ですが、両者は政策的に水と油なので、連立の可能性は低く、危うい政治状況です。遠くない将来に、再選挙にならざるを得ないのではないでしょうか?マクロン政権が国民多数の支持を得ていないことだけは良く分かりました。国民の分断も決定的になってきました。フランスやEUは、どこへ向かうのでしょうか?

 

2024年7月10日 (水)

猿の声に袖をうるほす

ツール・ド・フランス2024

 パリ五輪があるので、早めに始まっています。イタリアで3戦を行い、その後、フランス各地を転戦中です。総合優勝に関しては、ポガチャルがリードしており、今年はビンゲゴーから黄色のジャージを奪還する可能性がありそうです。他に2人ほど、有力な選手もおり、ビッグ4と位置付けられています。イタリアの2回のステージでは、フランス人が優勝して、盛り上がっています。世界大会なので、地元の選手が勝つことも稀なのです。最後のステージ優勝を目指して引退を1年延ばしたカベンディッシュ選手が第5ステージを制したことが、前半のトピックです。これで最多勝を35勝に伸ばしたレジェンドです。優勝を左右する山岳ステージを、熱狂的なフランス人たちとともに楽しみたいと思います。

 

悪徳業者にご用心

 不動産がらみで、用心が必要なのは、マグネットチラシと飛び込み営業です。水回り関係で、よくマグネットチラシに電話をしたがために、法外な料金を請求されるケースがあります。郵便受けに良く入っていますが、あんなチラシは直ぐに捨てた方が良いでしょう。飛び込み営業は、屋根の修理、外壁の塗装、シロアリの駆除などの業者さんが、親切そうに声をかけてきますが、絶対に、家に入れてはいけないとされています。よく見ていないと壊されるかも知れません。無用な工事をして、多額の請求をしてくるので、悪徳業者には、隙を見せないことです。支払った金は返ってきません。世田谷区あたりの情報弱者をカモにしようとしてきます。バカを見ないように気を付けましょう。

 

王位戦第1局千日手指し直し局

 2日制の戦いでしたが、後手の渡辺9段の戦略が功を奏して、2日目の夕刻になって、持ち時間をリードしつつ、渡辺9段が先手で指し直しになりました。渡辺9段の研究成果が十分に発揮されて、藤井7冠は不利な形勢で指し直し局の終盤を迎えました。勝負手を放って、藤井7冠が攻めに出たところで、渡辺9段が、3九玉と逃げておけば、比較的容易な詰み筋(15手詰め)で勝利をつかむことができたようです。そこで、2七玉としたために、最終盤に逆転のドラマが待っていました。この時点で評価値は渡辺9段に大きく振れており、優勢は動きませんでしたが、超難解な19手詰めを解く必要がありました。両者とも、1分将棋に入っていたので、歴戦のトップ棋士にも手に負えなかったようです。詰みを逃した渡辺9段でしたが、その後、藤井7冠が4二金と打ったところで、もう一度、幻の詰み筋が生じたようです。これが4二銀であれば、藤井7冠の勝ちになるというのですから、将棋というゲームは奥深いものです。この詰み筋も難しすぎて、結局、渡辺9段を持ってしても発見できず、ジェットコースターのような終盤は、二転三転の末に、藤井7冠に軍配が上がりました。9分9厘勝利を手にしていた渡辺9段には、残酷な結果となり、ショックでしょう。どうやって気持ちを立て直すのかが、シリーズのカギになります。将棋で勝って、勝負に負けたという内容でした。脳を労わってほしいと思います。

 

2024年7月 9日 (火)

蕨を折り木の実を拾ふ

伊勢参りの計画

 7月に伊勢市に行く都合があるので、伊勢参りをしてこようと計画しています。数年前に、外宮・内宮には参拝したので、今回は、これらに加えて、前日に二見浦(夫婦岩などは子どもの時に見たのが最後)に寄り、神宮参拝の後には、バスに乗って金剛證寺(江戸時代の伊勢参りでは定番、いわゆる神宮寺)にも行くつもりです。週末に運行しているバスに乗って山に入ります。また、お伊勢さんとは無関係のようですが、内宮に近い猿田彦神社にも、最後に時間が許せば、行ってみようと考えています。おはらい町の散策時間が短くなるかもしれません。外宮では、せんぐう館にも足を運ぶつもりです。神楽殿では、次の式年遷宮(2033年)に向けた御造営資金の奉納も、この機会に、身分相応の形でしておこうと思います。その次までは自分の寿命がないと思いますので・・・。

 

司法消極主義

 加藤新太郎「四日目の裁判官」(岩波書店)は、東京高裁判事を経験された弁護士さんが書かれたエッセイ集です。著者によれば、日本の裁判所には、私人間の秩序の形成に関して、判例法理を創造してきた歴史があるとのことです。ある教授によれば、大量の事件に飲み込まれかねない事態に直面した場合のほか、次の条件がすべて整った場合であるとされています。新たな社会問題が発生する、重大な道徳的側面が伴う、国会も行政も動かない、弁護士が創造性豊かである、裁判官に弁護士の熱意を受容する力があるという条件です。面白いのは、裁判官の執務における建前としての法実証主義と本音としてのパターナリズムという重層構造が、司法の政策形成に影響しているという見方です。もう一つに気になるのは、判決次第で自分の経歴が左右されると裁判官が感じれば、萎縮効果が働く可能性があるという指摘です。人事の話なので、真実性はともかく、一種のアナウンス効果があると思います。消極主義に傾くのは、内閣提出法案について、綿密な事前の内閣法制局による審査があり、運用を含めて表現や解釈を詰めているからかも知れません。ただ、例えば、著作権法などは、技術的な進歩によって新たな伝達方法が開発されるようなケースでは、著作者の利益が不当に害されているかどうかの判断が司法に委ねられる場合もあります。幸い、知財高裁という専門裁判所ができているので、立法しきれない部分は、司法に政策形成をお任せするのも妙案だと感じます。他にエッセイらしい内容としては、なんて日だ(忘れ物騒動)、もてた話(騙されている)、だまされる裁判官(芝居がうまい人にはご用心)、できる弁護士のパフォーマンス(勝訴だけではない先読みの賢さ)などもあります。硬軟取り混ぜた、裁判官経験者ならではの貴重な作品です。

 

ファミリー農園の耕作放棄

 世田谷区のファミリー農園を借りて、15㎡の区画で、春夏の野菜栽培をしています。同じように、3月から始めた人の中で、2人の方は、雑草ぼうぼうで耕作放棄気味です。管理会社の方からも、連絡しているそうで、片方の人は、雑草駆除に取り掛かった形跡がありました。これを機に復活するかもしれません。耕作が続けられない事情があるのかもしれません。そこで、世田谷区には、約2年の契約期間の途中で返却して、規定に基づいて返金を行い、残りの期間の借り手を、待ちの列に並んでいる人に声をかけて探すという方法を提案しています。耕作放棄地になることを防ぐには、それしかないでしょう。実は、私の区画の前の借り手が、耕作放棄していた模様です。隣地の畑をやっている地主さんから、そう伺いました。農園を提供している地主さんにしてみれば、雑草ぼうぼうは、大変失礼です。耕作放棄は不可です。

 

2024年7月 8日 (月)

猿丸太夫が墓をたづぬ

肉不足

 輸入の牛肉、豚肉の調達価格が上昇し、国内の在庫が減少しているとの記事を見ました。前年同月比で、輸入の牛肉が13%減、豚肉は15.2%減となっています。アメリカの生産量もやや減少期にあるとのことで、中期的には回復するのかもしれませんが、円安が解消しないと、買い続けることが難しいようです。アメリカのバラ肉の価格が高騰しており、ベーコンなどの加工品の利益確保が困難だとの声もあります。以前から、1ドル160円を超えるような円安状況では、エネルギーや食糧の輸入に悪影響があると懸念していましたが、既に、肉に関して、そうした事態になりつつあることが分かりました。焼き肉店は、経営難で廃業がということです。相次いでいます。過当競争もあり、価格転嫁が難しい業界なのでしょう。国内の肉の生産にも、輸入飼料の価格上昇が影響を与えており、気候変動による酷暑を乗り切るために肉を食べてスタミナをつけるのも、容易ではなくなるのではないでしょうか?円安の行き過ぎは、滅びの道だと思います。

 

鷹と蟻

 賃貸経営には、鷹の目と蟻の目を両方持てと言われます。鷹の目は、広く経営に関する環境を頭に入れるということです。制度改正、相続対策、業界のトレンド、景気動向など、長期的なマクロの変動に対するアンテナの感度を良くするのです。東住協セミナーなどへの参加も、その意味では大変役に立ちます。いつも、年配の経営者さんたちで盛況です。蟻の目は、自分の物件を常に稼げる状態に保つことです。設備更新など入居者ニーズへの対応を、臨機応変に行うミクロの視点です。世田谷区などでも、賃貸物件でも空室が増えていますが、住宅が余っている状況ですから、やむを得ない面があります。築古になれば長く空室状態が珍しくありません。焦って、不適切な賃借人を入れるリスクを警戒しているために、空室になっているのかもしれません。せっかくの資産が有効に活用されず、淘汰されてしまうのは、勿体ないと思います。昨今は、建築費の上昇が顕著ですから、建て替えの費用を回収するには、賃貸料の上昇が必要で、そうしたことが難しい立地では、なかなか有効な空室対策も打てなくなりつつあります。一極集中と言われて、東京は恵まれているように思うかもしれませんが、立地によって大家さんも決して楽ではなくなりました。鷹と蟻、二つの目が矛盾することもありそうです。頭を整理して、可能な限りの経営戦略を実行する気力が必要です。お互いに頑張りましょう。

 

笑点収録参加

 昨年12月に続いて、この7月に、収録参加の機会を得ました。ハガキを出し続けているので、偶々当選したというわけです。番組の具体的な内容に関しては、禁止されているので書けませんが、後楽園ホールは年配の方々を中心に満員の盛況でした。タダですから、当たり前かもしれません。新参の晴の輔さんも、キャラを確立しつつあります。毎回の収録で、母校の農大の応援歌、立川流には、よく触れています。大喜利の答えは、品の良い正統的なものが多く、彼が始めに答えると、お題の趣旨を外さないような答えが後に続きます。50年以上続く人気番組への彼の起用の意味が良く分かります。クリーム色というカラーも定着しています。先輩の回答者からのいじりもありますが、逆らわず、あっさりと受け流しています。澄んだコンソメスープのような味わいです。くどさで受けを取っている宮治師匠とは、対照的で、メンバーの組み合わせがうまく行ったと思います。小遊三師匠は、2本の収録の終盤になると、トイレに行きたくなるようです。彼の答えが、下ネタの問題でカットになっていないか、後で、テレビ放送の時にチェックしようと思います。好楽師匠は、いつになく積極的に手を上げて答えていました。脱力・無気力キャラで、好不調の波があるのかもしれません。今回は、久しぶりに会場の大爆笑を取った素晴らしい答えもありました。たい平師匠は、まだ還暦ですが、押し出されて年配の立場になってしまったので、立ち位置が難しくなっています。旧メンバー時代と現在を繋ぐような役割を担っているようです。一之輔師匠は、家族との断絶、ハゲなどの自虐、ブラックな時事ネタを持ち味にしていますが、他のメンバーをいじる役割を演じようともしています。親しい宮治師匠には、特に毒を吐きやすいようです。司会の昇太師匠は、今回は、座布団を気前よく与えていました。そろそろ、10枚貯める成功者を出そうという意図を感じました。山田さんは、焼きそばの紅生姜のような役割ですが、笑点の定点として欠かせぬ存在になっていると感じます。人柄はレギュラーの中で一番良いのではないでしょうか?テレビには映りませんが、会場を盛り上げるMC役を、三遊亭愛楽師匠(五代目圓楽師匠の弟子)が今回も務めています。初めて収録に参加する観客も半数くらいはいるので、場を和ませながら、一体感が生まれるように、上手に誘導していました。アシスタントですが、番組の陰の功労者です。

 

2024年7月 7日 (日)

桜を狩り紅葉を求む

大人らしくない人

 池袋暴走事故の遺族への中傷をSNSで行って逮捕された2人の50代男性たち、福岡BBQ4人死傷事故の原因(火にアルコールを投入)を作った60代の専門学校の理事長、会社の同僚を洗濯機に押し込め起動させて全身打撲の傷害を負わせて逮捕された2人の30代男性たちなど、これが大人のやる事かと驚かされる事件が続いています。不思議な社会になったものですが、大人の形をしていながら、まったく未熟な人間、壊れた人間が相当数いることが分かります。結局、自立していない子どものままなのではないでしょうか?自分のすることが社会的に許されることなのか、少し立ち止まって考えればわかりそうなものです。それができない人間が、あちこちに生息しているのが、私たちの社会なのです。大人になるための訓練について、学校を中心に再構築すべきだと思います。子どものような大人は要りません。

 

胡友平さん

 蘇州の日本人学校の送迎バスから降りてきた児童と迎えに来た母親を襲撃した男によって、殺害された中国人女性です。この方の犠牲で、日本人には大きな被害は出ませんでした。犯人の動機は公表されていないので、事件の詳細は不明ですが、胡さんがいなければ、間違いなく、何の罪もない日本人が死傷することになったでしょう。暴漢から子どもや母親を守ってくれた彼女へ、心からの感謝と哀悼の意を表したと思います。一方で、中国国内では、SNSで暴漢を英雄視する発信をする人間も少なくないとのことです。愛国の鎧を着ることで、政府のコントロールを遁れて、危険な扇動をしようという意図なのかもしれません。日本人や日本に対してなら、何をやっても愛国ゆえなら許されるという理屈なのでしょう。経済格差の拡大、景気の減速・停滞による失業の増加などの社会的不満が、愛国という通路を経て爆発する恐れがあります。特に、愛国が反日のかたちで表現される可能性に留意しておくべきだと思います。

 

鹿児島県警の闇

 警察庁の特別監査が入っているので、その結果を見なければなりませんが、これまでのところ、本部長による不祥事隠しなどの問題を軽い処分で乗り切ろうと警察庁自身が画策してきたので、正義の執行や真実の探求を期待するのは難しいかもしれません。異様に感じるのは、内部告発した人間を特定するために、マスコミに家宅捜査をかけて、情報提供者を逮捕したことです。報道の自由は、情報源の秘匿なしには実現しません。警察が自分たちの都合で情報源の特定のための捜査を行うことになれば、警察関係の内部告発はできなくなります。鹿児島県警の動きは、非常に危険な捜査権の逸脱ではないでしょうか?県警の暴走を許していれば、警察に対する国民の信頼を損ねると思います。警察庁には、大局を誤らないでほしいものです。

 

2024年7月 6日 (土)

蝉歌の翁が跡をとぶらふ

サッカー欧州選手権

優勝予想をすれば、本命は、フランスです。マスクを被ったエムバぺ選手が、準決勝以降、爆発しそうです。対抗は、開催国のドイツに勝ったスペインです。ペドリ選手が、エースとして成長してきました。ドイツは、チャンスがありながら、得点に至らず、開催国として、準々決勝で敗退となり、残念でしょう。ダークホースということなら、オランダかもしれません。グループリーグでは、もたついていましたが、ようやくチームとして機能してきました。ガクポ選手のパワーは、侮れません。力的には、紙一重なので、VARによるオフサイドやPKの判定で、勝負が決まる可能性が高いと思います。どのチームも、運に恵まれないと優勝はできないでしょう。ベスト8のチームと日本代表が戦う機会があれば、好勝負になるでしょう。ぜひ、ポルトガル、オランダ、スイス、トルコあたりと強化試合をやってほしと思います。アジアの国相手では、ちょっと物足りなくなってきたからです。

 

年金制度の財政検証

 厚労省によれば、実質成長率1.1%が続く「成長ケース」が実現すれば、現在30歳の人が、65歳で受け取れる年金額が、現役世代の57.6%となり、給付水準の低下は、6%に止めることが可能だとの試算を公表しました。物価上昇率を2%、対物価の賃金上昇率を1.5%、対賃金の運用利回りを1.7%と想定しています。これまでの30年を踏まえれば、あくまで楽観的な予測と言えるでしょうが、厚労省としては、この「成長ケース」が目指すべき姿だとしています。これが実現すれば、30歳の人たちも嬉しいでしょうが、「横ばいケース」になると、現役世代との比較を意味する所得代替率が、65歳になって年金をもらう時には、ほぼ50%を切ることになります。現在の水準から18%も下がることになるので、現実的に、年金だけで暮らすことは、今よりもずっと難しくなると思います。「マイナス成長ケース」なら、数字を見ただけで絶望的だと感じられるでしょう。2025年度の年金制度改革では、国民年金の保険料を65歳まで納付する案は見送られましたが、給付水準の向上のためには、遠くない将来に導入することになるのではないでしょうか?ただ、その場合は、国の追加財源も必要になるので、その見通しが得られなければ、改正に踏み切れないことになります。いずれにせよ、人口減少が続く中で、年金制度を安定させるためには、経済成長シナリオの実現が欠かせないと思います。

 

伊東選手への告訴

 サッカー日本代表だった伊東選手にかけられた性加害疑惑は、結局、刑事事件にはならずに、当事者である女性2人と伊東選手の間の民事裁判において、争われることになりそうです。週刊新潮が記事にしたことで、伊東選手は、経済的な利益を失うとともに、社会的評判を汚されました。サッカー日本代表としての活動もできない状態になりました。私は、アジアカップでの敗北の大きな原因が、伊東選手の離脱(JFAによる判断)にあったと考えています。攻撃の大きな駒を失ったこともさることながら、チームに無用な波風を立てる結果になったと感じます。警察の捜査では、女性たちの主張に信憑性が認められなかったようです。一人のサッカーファンとしては、そんなことで、せっかくの優勝のチャンスを逃したのなら、実に虚しい話だと思います。女性たちは,何を目的に、週刊誌に売り込んだのでしょうか?彼女らは、どういう経緯で伊東選手に近づけたのでしょうか?週刊新潮は、女性たちの話にどうして真実性があると受け止めたのでしょうか?伊東選手には、詫びる気があるのでしょうか?JFAは、なぜ、伊東選手を信じてあげなかったのでしょうか?今後、どのように関係を修復するのでしょうか?知りたいことはたくさんあります。しかし、どれほど明らかになるかは分かりません。もしも、今回のことを教訓とするなら、女性から選手に対して性被害の訴えがあっても、週刊誌が取り上げようとも、あくまで中立的、客観的な立場で静観し、加害者が逮捕されるほどの確たる証拠がない状況では、現状を変更すべきではないということです。真実が明らかになる前に、基本的に選手を守るという姿勢を取れないようでは、選手たちから見放されても仕方がありません。サッカーファンならば、苦しい思いをした伊東選手をねぎらうとともに、この騒動の責任の所在を忘れないようにしましょう。

 

2024年7月 5日 (金)

はるかに故郷の空を望む

登山の基本は自己責任

 富士山には、これといった技術のない人でも、5合目からなら登れます。外国人を含めて、大人気になってしまったのも、手軽さと達成感が受けているのだと思います。山梨県が、吉田ルートからの入山者の数をコントロールするために、原則予約制を導入して、2000円(安すぎる)の入山料(従来の寄付とは別)を取ることにしたのも、合理的な措置だと思います。弾丸登山をやめろと警告しても、従わない人もいるでしょう。山小屋の営業時間を過ぎてから到着する迷惑な客もいるでしょう。山開き以前に勝手に登山する人間もいるでしょう。軽装、あるいは不適切な格好での登山をしようとする外国人もいるでしょう。もう、彼らのお世話をやめたらどうでしょうか?要は、死ぬのも勝手、怪我や病気になるのも勝手です。一切、面倒見なければ良いだけです。山上の診療所も、ルールを守って登山している人だけを診ることにしたらどうでしょうか?医の倫理に反しますか?山開き前に登って死んだ人は、警察が収容してあげる必要もなく、遺族が民間に依頼して山から降ろす費用負担をすべきでしょう。自己責任のはずが、いつのまにか、誰彼問わず、おんぶにだっこ状態になっていませんか?ルールを守らないなら、すべて自己責任で全うさせるべきだと思います。関係者の方々は、心を鬼にして、勝手な人たちを助けるのをやめるべきでしょう。

 

パリ五輪のサッカー日本代表

 メダルへの期待は萎んでしまいました。オーバーエイジがゼロというのは、補強選手を容れない都市対抗野球のようなものです。優勝を狙うチームは、中軸となる選手を補強しています。パリでメダルを狙うためには、不可欠の要素でした。23歳以下の選手に関しても、最も有力な久保選手(レアル・ソシエダ)を招集できないというのは、JFAの交渉力の弱さでしょう。オリンピックには、有力チームから選手を借りることが難しくなっているようです。要は、二流の大会に過ぎないからですが、特に、現在、欧州選手権が開催中で、そちらの方に欧州のクラブ関係者のすべての関心が集中しており、全力を出し切った主力選手たちは、パリには出さないからです。日本人選手たちだけは、貸しますよとは言えないでしょう。大岩監督には気の毒ですが、集めることができた戦力で、できるだけ良い試合をしてください。U23の主力の一人だった松木選手(FC東京)もメンバーから外れました。年齢を超えたリーダーシップのある彼がいたらと感じる場面がありそうです。移籍のチャンスがあるようなので、彼には、新たな場で、大きく成長して、次のワールドカップを目指してほしいと願います。結局、U23の大会は、選手にとって、単なる通過点に過ぎません。オーバーエイジの制度もやめにしたらどうでしょうか?

 

旧優生保護法の違憲判決

 最高裁は、制定当初から、憲法13条及び14条に違反する法律だったと判断しました。問題になっている不妊手術の規定は、1996年まで存続しており、補償措置として、2019年の救済法で、一時金320万円が支給されたものの、不十分であるとしています。国は、除斥期間(不法行為から20年)の適用を主張してきましたが、今回の判決で、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない場合は、権利の濫用とするとの新たな法理が示されました。最高裁の判例(1989年)を変更したものです。逆に言えば、従来の最高裁の判例に従った判断を国がし続けていたために、然るべき救済措置が遅れたとも言えるでしょう。今回の判決で、その縛りが消えたので、適切な補償措置に関する立法が進むものと思います。従来の判例に縛られてきたとは言え、常識的に考えれば、意に沿わない不妊手術をされた人間への補償が、一時金の額で十分だとは誰も思わないでしょう。国会も行政も、思考停止していた結果、救済が遅れてしまいました。こういうことが繰り返される愚は、いつになったら解消するのでしょうか?

 

2024年7月 4日 (木)

落穂を拾ひて穂組を作る

バイデン氏の撤退?

 加齢による衰えが隠しきれなくなり、トランプの復活を阻止するために、民主党候補者の差し替えを模索する動きがあります。もはやバイデンさんは、認知能力の低下で、大統領の仕事を全うすることはできそうにもないという絶望的な状況なのです。なぜ、ここに至るまで、民主党から、バイデンさん以外の候補者が出てこなかったのでしょうか?結局、共和党から出て来るトランプ候補が強力だからです。勝てない戦を途中から引き受けようという奇特な人は、滅多にいないでしょう。撤退となれば、残りの任期中も、完全にレームダック状態になるので、それだけは避けるために、撤退の判断はありえないと思います。8月の党大会までは、差し替えの可能性があるそうですが、いずれにせよ、トランプ候補の当選が決定的になったと思います。したがって、今後は、日本としても、堂々と、トランプ政権との関係を構築することに舵を切るべきでしょう。やはり、高齢者同士の大統領選挙は不毛な選択でした。バイデンさんの老化を読み違えた民主党の大失敗です。トランプさんも、任期の後半には、同じ状態に陥るかも知れません。経済は好調を維持していますが、政治的には、頼りにしたい同盟国であるアメリカの低迷期になりそうです。

 

オールスター戦の無意味

 パリーグは、日本ハムの8人の選手が組織的なファン投票によって、選出される結果になりました。これは、NPBにとって、おめでたいことでしょうか?もしも、オールスター戦を続けたいならば、ファン投票の仕組みを見直すべきでしょう。パリーグのベストナインという観点から、箸にも棒にもかからないような成績の選手が選ばれるなら、オールスター戦にはなりません。看板倒れの企画なら、やめた方が良いと思います。セリーグに対しても失礼でしょう。試合は、オープン戦以上のものにはなりそうもなく、他の球団の選手たちにも、日ハムの選手の控えでやる気になれという方が無理な話です。他の球技では、こんなローカルな催しになるようなオールスター戦は見たことがなく、NPBの体たらくが、際立ちます。NPBのファンの多くは、とたんに無関心となり、オールスター戦をテレビでも見ないと思います。ファン投票で力量ある好選手が揃うMLBのオールスター戦がとても眩しく見えます。

 

カスハラへの対応策

 筋の通らぬ文句をつけてくる人間には、一切譲歩する必要がないということです。カスハラという言葉自体が、無理を尤もとして宥めようとする勘違いの産物です。カスタマーによるハラスメントには、もれなく訴訟を起こすと決めればよいだけです。航空業界では、CAさんや地上職員さんたちが、直接の被害者になることが多いのでしょうが、文句があるなら、定められた窓口へどうぞとだけ伝えて、後は自分の仕事ではないとして相手にしないことをマニュアルに定めれば良いでしょう。若い女性が相手だと思えば、無茶苦茶なことを言ってくる人間もいるでしょうから、男性をチームに入れて、彼に捌かせるというのも良いでしょう。腕力で負けそうな相手には、カスハラはしにくいものです。一種の用心棒です。航空業界なら、ブッラクリストに載せた客は予約を受けないなどの方法もあり得ます。カスハラにも、確信犯的な利益享受目的型のほか、高齢者にありがちな逆上型があるでしょう。いずれにせよ、その場を収めようと、幼児をあやすような対応はしてはいけないと思います。外国の航空会社のCAさんは、羊の群れを管理する牧童のような振る舞いが当たり前で、JALやANAとは、印象が随分と違います。遊牧民型に移行するという意識改革をすれば、自ずとカスハラ対応が変わってくると思います。甘えの構造は、カスハラの元です。

 

2024年7月 3日 (水)

これを友として遊行す

学力と幸福

 西村、八木「学力と幸福の経済学」(日本経済新聞出版)は、生きる力をつける学校教育について学術的に考察するものです。論旨は比較的簡単で、学校教育は人生を左右するということで、数学ができる人は所得が高い、物理好きは仕事ができるとしています。当たり前のような気もします。著者は、入試制度の多様化は、優秀な労働者を生み出さなかったとして、否定的な見解を示しています。東京のMARCHや日東駒専あたりでも、一般入試組と推薦入試組には、明確な学力差があることは認識されています。これが地頭の差なのか、努力の差なのかは、見解が分かれるでしょうが、地頭が良くても努力できない人は、成績は上がらないでしょう。卒業後の平均所得でも両者に差があるとするデータが紹介されています。家庭教育に関しては、自己決定力(自立心)によって幸福度が違ってくるとしています。家庭の教育力によって、子どもの育ち方が違うのは、経験的にも当然のことだと言えますが、その結果としての子どもの精神的な幸福度の測定は、非常に難しいと思います。例えばサッカーのプロ選手になるという目標に達しなかった場合に、その人間は不幸なのか、挑戦したことで幸福なのかという問題です。終章では、大阪市における教育実践の例(規範意識の醸成、学力向上、理科教育)が紹介されています。著者は、自学自習教材による指導に、新しい学校の可能性を見出しています。それは、教師の役割の転換を意味します。著者の教育改革論のキーワードは、創造力(そのために学級規模の縮小)、分権化、統一試験(基礎学力)です。大学の学部の個性化を進めるべきで、個性化入試はすべきでないとう考えです。少数科目入試にも疑問を呈しています。大学生の学力低下を招いていると考えているからです。確かに、勉強しなければ、知識は吸収できません。しかし、学力がなくても、本人が幸福ならば、それが悪いとも言えません。学者の考える幸福が、国民にとっては、すべてではないということです。学校というものが、社会的な価値を維持できているのか、かなり疑問に感じている国民が増えつつあると思います。

 

棋聖戦第3局

 藤井7冠が、山崎8段に勝利して、最年少で永世棋聖の称号を獲得しました。藤井曲線での強い勝ち方でした。先手の山崎8段は、工夫を凝らした差し回しで、得意の力戦に持ち込む作戦でした。藤井7冠は、角交換の際に、3三桂と取ったのが、その後の展開を読み切った妙手になりました。飛車をぶつけて、交換した時点で、かなり有利になりました。山崎8段の敗着は、6六銀でした。6六歩が正着だったようです。銀は攻撃のために、手持ちにしておくべきでした。逆に、この正着に辿り着いていれば、山崎8段にもチャンスがあったようです。形勢に差がついた後、山崎8段も逆転に向けて罠を仕掛けて行きましたが、藤井7冠はそうした勝負手を巧みにかわします。7冠に後退したといっても、藤井聡太という棋士は間違いなく最強です。山崎8段には、何とか、淡路島の第4局まで進んでほしかったのですが、久しぶりにタイトル戦に挑戦者として出場したことに、感謝を込めて拍手を送りたいと思います。

 

フランス国民議会選挙

 マクロン大統領の賭けは大失敗に終わりそうです。極右政党が第一党になる模様ですから、フランスの内政に関しては、大きな変化があると思います。移民やその子孫の増加によって、伝統的なフランス社会が変質しつつあることへの、揺り戻し現象だと感じます。パリの高級住宅街とされる16区でもアフリカ系の住民が居住するようになり、旧来の住民との軋轢が起こっているとの報道を見ました。中道与党系は半分以下に議席を減らすことになり、大統領と議会が常に緊張状態になりそうです。ドイツとフランスが支えてきたEUとの関係にも影響が出て来ると思います。左翼連合も得票を伸ばしているので、中間が細って、右と左に山がある不思議な勢力図になります。フランス国民が分裂状態だとも言えます。フランスの分断は、欧州全体に悪い影響を及ぼすと思います。

 

2024年7月 2日 (火)

ふもとに一の柴の庵あり

円安で貧乏

 既に、1ドル160円の水準を超えました。政府の円買い介入も、2か月程度の時間稼ぎにしかなりませんでした。円安がさらに円安を加速するような流れで、新NISAによる投資も、海外の投信を買う動きになっています。インバウンドによる購買で、高島屋さんなどは収益が上がっていますが、要は、自国で買うよりもブランド品が安いからという動機です。バブル期には、パリのルイ・ヴィトンの店に、日本人が集団で押しかけて、顰蹙を買っていました。超円高時代の懐かしい思い出です。今の円安によって、世帯負担が1年で9万円増加するという予測もあります。食料品やエネルギーの多くは、輸入に頼っていますが、円安で価格上昇が避けられません。円安が是正できなければ、長期的に、国富を失い続けることになります。対ドルだけでなく、大半の通貨に対しても弱い状態に陥っているのは、国家の危機だと感じます。もはや金利を上げることを躊躇している場合ではないと思います。金利がある世界で生き残っていくしかないという、当たり前の事実を認める必要があります。消費者に負担を転嫁できないならば、市場から退場するしかないということです。また、インフレ対策と称して、バラマキの補助金を続けるのも、問題があります。財政規律の立て直しが必須です。当面、1ドル130円のラインにまで戻るための経済・財政・金融政策が求められているのではないでしょうか?ポスト岸田政権の大きな課題だと思います。そうした政策での競争を期待したいものです。

 

不登校との向き合い方

 榎本博明「学校行きたくない」(平凡社)は、教育心理学の視座から、不登校という現象に分け入って、学校の価値を軽視する傾向への警鐘を鳴らすものです。文科省も、不登校を問題行動ではないとして、無理に通学させる必要がないとの方針を打ち出しています。したがって、子どもが行きたくないと言えば、親は、それを受け入れるようになってきています。著者は、不登校が増加している原因を、学校の持つ意味の変化(学びの場は他にもある)、一斉授業の持つ説得力が低下(個性の重視)、文科省の方針転換、子どもたちの遊びの変化(人間関係力の低下)、叱らない子育てによる子どもの精神的なひ弱さとしています。要は、成長の場としての学校が、多くの子どもにとって機能しなくなっているということでしょう。不登校の原因について、神経症的なもの(優等生の息切れ型、甘やかされ型)、精神障害によるもの、怠学傾向によるもの(無気力型、非行型)に加えて、積極的・意図的なもの(学校に価値を感じない)、一過性のもの(転校、病気など)などの類型によって、対応が異なるとしています。教室で授業を受けない別室登校をしている子どもは、不登校に含まれません。中には、保健室などから勝手に抜け出して、体育館などにたむろする生徒もいるようです。学校に行かない、行っても授業を受けない明るいドロップアウトが、近年増加している類型だそうです。著者の言うように、不登校であっても、人間関係についての経験を積む場が持てれば、ひきこもりの人生を送るようなことにはならないと思います。その意味では、学校に拘る必要はないと思いますが、やはり、通信制やフリースクールを含めて、他の子どもと接点を持てると同時に、社会に出る前の知識技能を学ぶ場としての学校の意義を見直す必要がありそうです。学習機会の喪失は、人生における様々な機会を得られないことに繋がるからです。不登校経験者に関して、大規模な社会調査を行って、国の施策に生かす必要があるのではないでしょうか?

 

マイクロソフトの仕事の仕方

 牛尾剛「世界一流エンジニアの思考法」(文藝春秋)からは、生産性を上げるためのマインドセットを考えるための多くのヒントが得られます。1600円+税は安いので、売れているのも理解できます。我が意を得たりと膝を打つフレーズが満載です。「いかにやることを減らすか」「リスクや間違いを快く受け入れる」「バリューを出す」「マルチタスクは生産性が最低なのでやらない」「1日4時間は自分の時間を確保する」「頭の中でのみ整理する」「ボスの役割はサポートすること」「チームの上下関係をなくす」「脳の酷使をやめる」などなど。詳しく知りたい方は、読んでください。特に興味深いと感じたのは、テストストロンを意識的に増やすという勧めです。アメリカのビジネスマンは、その種のサプリを摂取しているのでしょうか?怖い気もしますが、加齢とともに、意欲の低下が感じられれば、テストストロンで回復するという方法があることを知りました。著者も、サプリとプロテインを日常的に摂取しているとのことです。マイクロソフトで働くような人には、当たり前のことなのでしょう。ワールドクラスになるには、文字通り大変です。

 

2024年7月 1日 (月)

みづから情をやしなふばかりなり

セーヌ川で泳げるのか?

 パリ五輪では、セーヌ川が、トライアスロンの水泳の会場です。もともと、パリに降った雨水が塵芥とともに流れ込んで、水質が悪いことが知られていましたが、パリ市とフランス政府が科学技術を使って、泳げるような状態にしたそうです。本番で、水質の安全性が確認される必要があるでしょう。Netflixで、「セーヌ川の水面の下に」という作品が放映されています。日本でも、トップ10内に入っていたので、視聴した方も多いでしょう。まさに、オリンピックのプレ大会に、主人公らの努力もむなしく、「怪物」が暴れ込んで、選手たちが犠牲になるというパニックものです。女性のパリ市長が登場していましたが、安全軽視で、自業自得に陥る話になっていたのには、辛辣な皮肉が効いていました。本物の市長さんは、怒っていないでしょうか?明らかに、現実の「怪物」は水質です。セーヌ川沿いの飲食店も、大会開催中は、交通が遮断されるために、営業休止を検討しているとのニュースも見ました。儲かるはずの時期なので経営的には打撃です。オリンピックのために都市機能がマヒするなら、市民としては開催を望まないのではないでしょうか?テロの標的になる恐れがあるために、一段と警備は強化せざるを得ないでしょうから、パリには近づかない方が良さそうです。

 

大阪万博と日本沈没

 大阪万博は、パビリオンの建設が遅れ、腰を引く国も増え、チケットは売れず、メタンガスの発生など安全性への疑問が呈され、散々な状況です。それでも、開催に向けて、動きは止められず、自ずと関西ローカルの寂しい万博になりそうです。東南海・南海トラフの巨大地震が起きれば、人工島から脱出するのは容易ではなさそうなので、行く気はありませんが、学校行事で児童・生徒を連れて行く場合は、保護者には理解を得ておく必要があると思います。そこに行かないと見られない特別なものは、一体、何なのか、未だに分かりません。月の石級の目玉があるのでしょうか?懸念するのは、かつての日本が主催する国際イベントを整然と行ってきた(無観客で強行した東京2020を除く)のに対して、今回の万博が、日本沈没を象徴する失敗イベントになることです。関西ローカルは恥をかくだけなら構いませんが、日本という国の評判に泥を塗るようなことだけは、許すわけにはいきません。やるのなら、全ての責任を引き受けて、逃げることなく死ぬ気でおやりください。

 

人間の証明

 角川歴彦さんが、いわゆる「人質司法」に対する国家賠償を求める裁判を起こしました。弁護団には、そうそうたる手強い先生方が揃っています。オリンピック汚職事件の当事者にもなっていますので、そちらの裁判の結果にも注目したいと思いますが、高齢で病気がある角川さんに勾留226日間は、確かに長すぎたと感じます。「人質司法」については、角川さんのケースでも裁判所自身が保釈を認めず、検察の片棒を担いできました。その意味で、最高裁の判断を拝見したい気もしますが、早く制度の見直しを進めるために、国会での議論を超党派で活発化させてほしいものです。角川さんが人生の最終盤に挑む「人間の証明」は、国際的にも悪名高い制度の改正に、確かな一石を投じることになると思います。私には、厚い壁に風穴を開けるために、命を燃やして特攻しようとしているようにも感じられます。その挑戦には拍手を送りますが、法改正は、国会の仕事ですから、心ある政治家の方々には、汗をかいてほしいと思います。

 

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