目黒川のサクラ*
今年のサクラ(ソメイヨシノ)は、川や沿道に伸びていた枝が短く切られていたために、例年ほど、見事な景色は見られませんでした。サクラは、枝が伸びている先に花がつくことで、アーチ状の形状が作られて、見る者がサクラに包まれているような感覚を生みます。しなやかな枝ぶりが、サクラの美の重要なポイントなのです。枝を切るのは非常に難しい仕事で、プロが担ったはずですが、今年に関しては、残念な結果になりました。樹木としても、生育環境が良くないので、年々弱ってきているのかも知れません。一部、根元から切られて、切り株だけになっているものもあります。都内では有名なお花見の名所になっているので、課題があるならば、対応するために寄付を集めるなりして、立派な状態で次世代に引き継げるようにしてほしいと思います。
伊勢ケ浜部屋の混雑*
相撲協会の方針で、宮城野部屋の親方・力士が、伊勢ケ浜部屋に編入されたために、気の毒なことに、伊勢ケ浜部屋がオーバーキャパシティ状態になっています。そもそも、北青鵬関の暴力問題で被害者になっていた者を含む力士たちには、何の罪もありません。伊勢ケ浜部屋の力士たちも同じです。急に人口密度が増えたわけで、大勢の難民が急に押し寄せた街のような状態です。稽古も、食事も、寝床も、十分なスペースがあるとは思えません。こうした無理なことを推し進めたのは、宮城野親方(元横綱白鵬)を追い出したい執行部の人たちです。これまでの処分に比して明らかな差別扱いで、宮城野部屋の閉鎖は不当な措置です。しかも、相撲協会は、相撲ファンを含む世間に対して、今回の措置について公式な説明を行っていません。自民党の裏金疑惑への対応は、全く不十分ですが、それでも、世間に対して説明責任を果たそうとする努力はしています。相撲協会の執行部は、そうした努力すらしようとしないのです。周辺にいる相撲ジャーナリストも、見て見ぬふりを続けたり、宮城野親方批判に加担しています。スポーツ庁も、知らん顔して無為で過ごすつもりでしょう。伝統を未来につなげるという意味で、様々な課題を抱えている相撲協会ですが、こんな体質では、入門者の減少を止められないと思います。宮城野親方は、死んだふり作戦をしているように見受けます。弟子の養成に力を注いで、部屋の復活を待つつもりなのでしょう。ただ、相撲協会の闇は、その間にも深くなっていきます。
曙太郎さん*
高見山さんが開いた東関部屋で、外国人力士として初めて横綱にまで上り詰めました。大相撲は、若貴時代でしたが、その強烈なライバルとして、曙関は11回の優勝を達成しました。高見山さんにスカウトされてハワイから来日し、相撲という競技を基礎から学んで、長身を生かした突き押しの取り口を完成させた努力には頭が下がります。故障を抱えながら、横綱としての責務を果たそうとする姿も、立派でした。親方として角界に残らなかった理由は、関取になれずに去って行く若者が大半であるにも拘らず、嘘をついて入門を勧めることに嫌悪感があったからだとのことです。心根が優しい人なのです。プロレスへの転身は、もともと興味があったとのことです。彼の存在が興行を支えていた時期がありました。プロレス界にとっても、恩人なのです。長い闘病の末に、54歳で逝去されました。ご冥福を祈ります。
名人戦第1局*
出だしから、空中戦のような力戦調の展開が続きました。形勢は互角の状態が長く続きます。2日目の20時ころには、豊島9段が7:3で優勢な局面を作りました。豊島9段が5九飛と打ち込んで勝ち筋に入ったと受け止めましたが、実際には、藤井8冠の応手が巧みで、勝ちへの道は非常に細く、一手最善手から離れれば、忽ち逆転の可能性があります。4八龍と金を取っていれば、豊島9段の勝ちになったと思います。豊島9段の一瞬の隙を逃さず、ようやくチャンスが来たことを悟って、藤井8冠は3七桂と指して逆転しました。優位に立った藤井8冠は、4一銀で止めを刺しました。流れるような決め技は、他の追随を許さない華麗な棋譜でした。最高峰の戦いに相応しい内容でした。後手の豊島9段の健闘が光りました。実力ナンバーワンの藤井8冠を追い詰めた将棋は、見事でした。この1局は、勝たせて上げたかったと思います。それにしても、藤井8冠は苦しくなっても負けないですね。これで、タイトル戦16連勝で、大山康晴さんの記録にあと1つと迫りました。
Abema地域対抗戦決勝*
戦前の予想通り、中部が5-1で関東Bに勝利して優勝しました。5勝のうち、藤井8冠が4勝を上げて、圧倒的な実力を示しました。残りの1勝は、初戦に出場した服部6段が上げたものです。監督の杉本8段を始め、名人戦に挑戦中の豊島9段や竜王戦に強い八代7段は、温存したままでの勝利です。藤井8冠の4つの勝利は、味のある内容でした。永瀬9段には、9六角打ちで一挙に優位に立ちました。増田8段には、厳しい攻めにも的確に玉をさばいて決め手を与えず攻めを切らせて。直後に鮮やかに寄せ切りました。森内9段には、従来の藤井曲線に近い展開で、一度もリードを許さずに押し切りました。優勝を決めた渡辺9段との対局では、再び受けの強さを発揮して、評価値96-4の圧倒的に不利な状況の中でも決め手を与えず、5五香打ちからの大逆転で勝利をものにしました。渡辺9段を相手に詰みまで首の皮一枚の状態で、こういう芸当ができるのは、藤井8冠しかいないでしょう。Abema地域対抗戦の通算成績は、15勝1敗でした。実力者揃いの大会で、この勝率は驚異的です。まさに戦型に関わらず、オールラウンドに最強を誇っています。これほど負けにくい棋士は、他に存在しません。今や飛んでもない怪物級です。
非常勤講師の雇い止め*
関西の私大で英語科目を、毎期、5~6コマ教えていた非常勤講師が、雇い止めになりました。理由は、学生による評価が低かったからということでした。加えて、単位の履修に関して、不可の比率が最大20%(他の非常勤は1%前後)となっていた点が問題視されました。京都地裁では非常勤講師側が勝訴し、大阪高裁では和解が成立しました。大学が設定している配点基準は、提出課題30%、授業態度20%、筆記試験50%というもので、同じ基準で評価を行っている他の非常勤講師は、独自の裁量で不可を付けることを避けていたようです。成績評価が厳格な講師への不満が、学生による評価の低さに反映してもおかしくありません。だから、学生アンケートを、教員評価に直接結びつける大学は、ほとんどないのです。日本の大学生が一般的に勉強しないのは、大学の成績評価が甘いからです。中堅以下の私学では、授業を全く理解できていない留学生にさえも単位を落とさない(不可はつけない)ことが、学内での暗黙の了解事項になっています。特に、外国語のような必修科目では、不可=留年ということにもなり、学生にとっては、不公平感が残ります。私学経営者の立場からは、建前通りに評価をされては、志願者が減る、休退学者が増えるという不安があり、空気を読んで、穏便に処理してほしいと願うのは、不思議ではありません。お客様扱いで、気分良く卒業してもらうだけの存在に堕した大学は、大学の名にふさわしいものとは言えません。しかし、そんな存在にしてしまったのは、大学の数を増やし過ぎたからです。この非常勤講師による訴訟は、大学の構造的な問題が、根本にあるのです。
U23サッカー日本代表対中国戦*
前半17分の西尾選手の退場で、試合がつまらなくなりました。中国側が退場狙いで仕掛けてくることは、頭に入れておくべきでした。故意に肘打ちをしたわけではないので、一発レッドは厳しすぎますが、要するに不注意でした。中国の側には少なくとも3点取れるチャンスがありました。GKが好セーブで阻止して、事なきを得ましたが、薄氷を踏む勝利でした。後半25分過ぎに、選手交代で、やっと少し攻める展開になりましたが、一時はシュート数が1-9になっていました。10人になったからと言って、このレベルの相手に、守りすぎました。1-0での勝利は、今後のグループリーグの1位突破には、不十分な結果です。3戦目の難敵韓国戦では勝たなければならなくなりました。西尾選手は出場停止でしょうが、怪我人が出なかったことだけが、救いです。
芝田山親方*
元横綱大乃国の芝田山親方は、広報部長から相撲教習所長という閑職に追いやられました。このところバランスを欠いた運営が目立つ八角理事長を諫めたところ、理事長に楯突いたとして執行部を外されたとのことです。宮城野親方への不当な処分と言い、相撲協会の内情は非常に危うい状態です。スイーツに詳しい芝田山親方は、国技館でも、パンの売り場に座っていて、ファンとの接点を大切にしていました。足が悪いのですが、NHKの解説の仕事などがなければ、毎日彼の姿が見られました。ビスケットのつかみ取りなどのサービス企画も実施してくれ、親方の脇に立って一緒に写真を撮らせてもらっている人も大勢いました。こういう懐の深い親方は、意外に少ないのです。八角理事長などは、公式の御挨拶の場くらいしか姿を見せません。審判部、警備、売り子などをやっている人たちは別にして、毎日何をしているのか、さっぱりわからない親方たちが多いのです。宮城野部屋の閉鎖など、相撲協会の最近の運営は、めちゃくちゃに近くなってきました。八角理事長自身に問題があるので、協会の主要な親方たちで、彼の首に鈴をつけるしかありません。長期政権の末期になると、誰にも独裁的な振る舞いが出てきます。傷口が広がらないうちに、自ら次にバトンを渡すことが、賢明だと思います。その意味で、芝田山親方は、義の人だと思います。彼を孤立させるようでは、力士=武士とは、とても言えないでしょう。親方衆、ぜひしっかりしてください。
政治家の学歴詐称問題*
小池百合子さんについては、石井妙子「女帝 小池百合子」(文藝春秋)という本でも、当時の語学力や学習状況などに鑑みれば、カイロ大学の卒業は不可能だったはずとの指摘がなされていました。テレビのニュースキャスターとしてデビューする際の強力な履歴として、最優秀な成績でカイロ大学を卒業されたことが売りになっていましたから、今さら、ご本人としては学歴詐称を認めるわけにはいかないでしょう。しかし、大学の卒業は、比較的簡単に証明できる事柄です。在京エジプト大使館から、(偽装工作と指摘されるような)中途半端な事実確認の文書を公表するまでもなく、卒業証書や成績証明書をきちんと自ら公表すれば、疑惑は直ちに払拭できます。上記の書籍によって名誉棄損されたのなら、訴えても良さそうですが、それもしないのは、主張の裏付けが出せないからではないかと勘繰られます。いずれにせよ、この件については、いい加減、真実を証明する客観的な証拠で、事実関係を明らかにしてほしいものです。これまで小池さんを支持してきた多くの選挙民に対して、きちんと説明する義務があると思います。もしもカイロ大学卒業が嘘だったら、政治家をこの機会に引退されるべきでしょう。
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